ビタミンA

成分名

ビタミンA

適応症状

夜盲症、結膜乾燥症、角膜乾燥症、角膜軟化症におけるビタミンA欠乏症の治療
角化性皮膚疾患のうち、ビタミンAの欠乏又は代謝障害が関与すると推定される疾患

簡易説明

医療用医薬品においてビタミンAを主成分とする医薬品は輸液・軟膏・錠剤・散剤等多岐にわたります。剤形によって投与経路が異なりますがその多くは不足している栄養素の補給目的とされております。なお、今回は内服薬に着目して解説させていただいております。
ビタミンAは脂溶性ビタミンの中で最初に発見されました。当初、ビタミンAは脂肪を除去した飼料でハツカネズミを飼育した際に、栄養障害を起こして死ぬという事実から、その存在が明らかとなり、脂溶性Aと名づけられました。この脂溶性Aが欠乏すると角膜乾燥症などの眼疾患にかかりやすいこと、またカロチンにもビタミンA効果があることから、生命維持に必須なアミンという意味で脂溶性Aを「ビタミンA」と呼ぶようになりました。
ビタミンAは上皮組織の保護、視紅の生成に重要な因子で、欠乏すると皮膚、粘膜の乾燥、角化、夜盲症、眼球乾燥症などの眼疾患の原因となるとされております。
ビタミンAの欠乏は、食物からの摂取が少ないときだけではなく、消耗性疾患時におけるビタミンAの消費亢進及び胃腸、肝臓、膵臓の障害などでビタミンAの吸収・代謝が不十分な場合にも起こる事が分かっております。
また発育期や妊娠・授乳器にもビタミンAの需要が高まり、不足しがちになります。このような場合、まず肝臓内のビタミンA貯蔵量が減少し、次いで血中濃度が低下するため、速やかなビタミンAの補給が必要であるとされております。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/眼科/皮膚科/小児科/産婦人科等

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:約10円
この医薬品に後発薬は発売されておりません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2006年8月17日製造販売承認
2006年12月8日薬価基準収載
1951年3月17日発売

国内のジェネリック認可

国内においてジェネリック医薬品の販売はありません。

関連製品(先発薬)

チョコラA錠1万単位/チョコラA末1万単位/g【製薬メーカー:サンノーバ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

後発医薬品は現時点において販売されておりません。

効果・作用

チョコラA錠1万単位は夜盲症、結膜乾燥症、角膜乾燥症、角膜軟化症などにおけるビタミンA欠乏症の治療、また角化性皮膚疾患のうち、ビタミンAの欠乏または代謝障害が関与すると推定される疾患に効果のある医薬品になります。
チョコラA末1万単位/gにおいては更に予防投与、また妊産婦、授乳婦、乳幼児、消耗性疾患などの際のビタミンAの補給目的としての使用も認められております。

【作用機序】
ビタミンAの働きとしては①眼における作用としてロドプシンと呼ばれる暗順応にかかわるタンパク質の合成に関与していると言う事になります。暗順応とは、明るい場所から暗い場所へ入った場合に、次第に目が慣れていく反応のことを言います。
ビタミンAは11-cisレチナールの形でオプシン(網膜の赤色素)と結合して暗所で物を見るのに必要なロドプシン(視紅)を形成します。
また②皮膚に対しては、皮膚のターンオーバーを促進作用がございます。
皮膚のターンオーバーとは、新しい皮膚の生成から4週間後に脱落するまでの生まれ変わりの過程のことを指します。
コレステロールスルホトランスフェラーゼが前駆物質に作用する事で硫酸コレステロールを生成します。この硫酸コレステロールが皮膚のターンオーバーの遅延に関与しており、レチノールはコレステロールスルホトランスフェラーゼを阻害する事で硫酸コレステロールの合成を抑制する事で、皮膚のターンオーバー遅延による皮膚の角化を抑制すると言われております。
他の型(レチノール、レチノイン酸)は、骨、睾丸、子宮の成長、胚胎発育、上皮組織の成長と分化の調節に必要になります。レチノールとレチノイン酸は、生化学反応で補因子として働くと考えられおります。

使用方法

【チョコラA錠1万単位】
治療の目的には、ビタミンAとして通常成人1日10,000~100,000ビタミンA単位を経口投与します。これは錠剤換算した場合1日1錠~10錠を経口投与する事と理解されます。なお、年齢、症状により適宜増減する事とされております。
なお、ビタミンAとして通常成人1日3,000~100,000ビタミンA単位となっております。

【チョコラA末1万単位/g】
補給の目的には、通常成人、1日0.2~0.4g(ビタミンAとして、2,000~4,000ビタミンA単位)を3回に分けて経口投与します。なお、年齢により適宜減量する事とされております。
治療の目的には、通常成人、1日0.3~10g(ビタミンAとして、3,000~100,000ビタミンA単位)を3回に分けて経口投与します。なお、年齢、症状により適宜増減する事とされております。

粉末の使用においては予防的且つ補給的投与が可能であり、錠剤との適応症の違いがございます。

副作用

主な副作用
1)大量・長期投与により、下記ようなビタミンA過剰症状が現れることがあるとされております。(頻度不明)
①脳神経系:大泉門膨隆、神経過敏、頭痛
②胃腸:食欲不振、嘔吐
③肝臓:肝腫大
④皮膚:脱毛、掻痒感
⑤その他:体重増加停止、四肢痛、骨痛、関節痛

2)過敏症(頻度不明)
発疹等が現れることがあるとされております。

いずれの場合においても副作用と疑われる症状が出た場合は投与を中止する事とされております。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)レチノイド製剤(エトレチナート《商品名:チガゾンカプセル10/25》、トレチノイン《商品名:ベサノイドカプセル10mg》、タミバロテン《商品名:アムノレイク錠2mg》、ペキサロテン《商品名:タルグレチンカプセル75mg》)を投与中の患者
2)妊娠3か月以内又は妊娠を希望する婦人へのビタミンA5,000IU/日以上の投与(ビタミンA欠乏症の婦人は除く):外国において、妊娠前3カ月から妊娠初期3カ月までにビタミンAを10,000IU/日以上摂取した情勢から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする報告がございます。

使用に注意が必要な方
1)高齢者:生理機能が低下しているため減量するなど注意をすることとされております。

上記にあてはまる方は、ビタミンAを使用する事が出来ない可能性があります。
ビタミンAを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
パクリタキセル:本剤によるチトクロームP450(CYP2C8)に対する競合的阻害作用によってパクリタキセルの血中濃度が上昇するとされております。

上記を使用している方は、ビタミンAを使用する事が出来ない可能性があります。
ビタミンAを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
エトレチナート(チガソンカプセル10/25):エトレチナートのビタミンA様作用によりビタミンAの作用が増強され、ビタミンA過剰症と類似した副作用症状が現れることがあるとされております。

トレチノイン(ベサノイドカプセル10mg):トレチノインはビタミンAの活性代謝物になります。その為ビタミンA過剰症と類似した副作用症状を起こす恐れがあるとされております。

タミバロテン(アムノレイク錠2mg)・ベキサロテン(タルグレチンンカプセル75mg):これら薬剤はビタミンAと同じレチノイドである為、ビタミンA過剰症と類似した副作用症状を起こす恐れがあるとされております。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ビタミンAにはどのような効果がありますか?

ビタミンAは脂溶性ビタミンで、眼や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める役割があり、暗いところでの視力を保つ働きがあります。

ビタミンAを含む食品にはどのようなものがあるか?

レバー、バター、卵黄、人参、うなぎ、モロヘイヤ、ほうれん草等に多く含んでおります。

ビタミンAが不足するとどのような症状が出るのか?

ビタミンAが欠乏状態になると暗がりで視力が著しく衰える夜盲症を発症したり、皮膚や粘膜の乾燥、子供の場合は成長障害などにつながる可能性が指摘されております。

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