成分名 |
メトレレプチン(遺伝子組換え) |
適応症状 |
脂肪萎縮症 |
簡易説明 |
メトレレプチンは遺伝子組み換え型ヒトレプチン製剤と呼ばれる注射剤になります。ヒトレプチンのN末端がメチオニル化されたヒトレプチンアナドグであるメトレレプチン(遺伝子組み換え)を含有する製剤になります。
当初、肥満症治療薬として開発が行われていましたが、脂肪萎縮症にを引き起こす糖代謝及び脂質代謝の異常の主な原因がレプチンの欠乏であると言うことが判明したことから、脂肪萎縮症を対象とした臨床試験が行われました。
脂肪萎縮症は、全身あるいは部分的に脂肪組織が消失あるいは減少する希少難治性疾患です。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/脳神経外科内科/消化器内科外科/精神科/麻酔科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
脂肪萎縮症は指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
メトレレプチンを主成分とす医薬品であるメトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」は2013年3月25日に製造販売が承認され、2013年5月24日に薬価基準へ収載、その後2013年7月25日に販売開始となりました。 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」【製薬メーカー:塩野義製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
米国(国名)では、Aegerion Pharmaceuticals, Inc.(会社名)が、MYALEPT(販売名)を2014年2月24日に製造販売が承認されています。
欧州(国名)では、Amryt Pharmaceuticals DAC(会社名)が、Myalepta(販売名)を2018年7月30日に製造販売が承認されています。 |
効果・作用 |
メトレレプチン(遺伝子組換え)は脂肪萎縮症にたいして効果のある医薬品です。
作用について:脂肪萎縮症では、脂肪細胞から分泌されるレプチンが著しく減少しています。
メトレレプチンは、その減少したレプチンを補充する事により、脂肪萎縮症における糖代謝と脂質代謝を改善します。
脂肪萎縮症は指定難病に認定されています。
全身性あるいは部分性に脂肪組織が消失する疾患です。脂肪組織からは、身体の働きを調整するいくつかのホルモンが分泌します。
脂肪萎縮症では、この脂肪組織がほとんどなくなってしまう為に、これらの分泌も減ってしまいます。
脂肪組織の消失と共に重度のインスリン抵抗性糖尿病や高中性脂肪血症、脂肪肝炎(アルコール性を除く)など様々な代謝における異常を発症する予後不良な疾患です。
脂肪萎縮症には遺伝子の異常による先天性のものと、自己免疫などによる後天性のものが存在します。
全身の脂肪組織がほとんどなくなってしまう全身性脂肪萎縮症と、下肢などの特定の領域に限局して脂肪組織がほとんどなくなってします部分性脂肪萎縮症が存在します。脂肪萎縮症になると、食欲が落ちているわけではなく、かえって亢進しているのにも関わらず、全身あるいは部分的に痩せてきます。但し部分性脂肪萎縮症はやせが目立たなかったり、部分的に太ったりする場合もあります。
脂肪組織が減少する事によってインスリン抵抗性の糖尿病を発症します。強いインスリン抵抗性の為、もともと使用されている糖尿病治療薬での改善が困難で、3大合併症を高頻度に合併します。1つは糖尿病性網膜症。網膜は眼底にある薄い神経の膜で、細い血管が張巡らされています。糖尿病の進行により血管がもろくなり、出血したり網膜剥離を起こしたりして、失明の原因になります。2つ目は糖尿病成人症。腎臓には糸球体と言う毛細血管の塊があります。老廃物をろ過する役割を担っています。糖尿病の進行により糸球体の血管が壊れるため、尿が出なくなる等腎臓の機能が低下します。3つ目が糖尿病性神経障害です。糖尿病の進行により血流不全になると、身体の隅々に張り巡らされている末梢神経に、十分な酸素が行き渡らなくなり、神経細胞がダメージを受け、身体の痺れや痛み、感覚の鈍麻等が起こります。血中中性脂肪濃度の著しい上昇はしばしば急性膵炎を引き起こします。急性膵炎では膵臓が急激に炎症を起こす疾患です。高トリグリセリド血症になると。急性膵炎のリスクが高くなることが分かっています。また動脈硬化を引き起こします。
現在のところ脂肪萎縮そのものに対する治療法はありません。脂肪組織の減少により糖や脂質の代謝に重要な役割を果たしているレプチンと言うホルモンも著しく減ってしまいます。その為、糖や脂肪の代謝異常が起こり、糖尿病、高トリグリセリド血症、脂肪肝等の病気にかかりやすくなります。近年脂肪萎縮症の治療に対しレプチン製剤が使用されるようになってきました。このレプチンと呼ばれるホルモンは脂肪組織から分泌され、脂肪組織の欠損に伴い、血液中のレプチン濃度も低下する事が脂肪萎縮症で見られる糖脂質代謝異常の主因であると考えられています。
脂肪萎縮症を患っている患者の多くは、糖尿病合併症及び、高中性脂肪血症を原因とする急性膵炎や、肝硬変、肥大型心筋症が死因となることが多く、平均寿命は30から40歳と言われており、極めて予後不良です。多くは乳幼児期から小児期に発症するとされており、国内での患者数は100万人に1人程度です。 |
使用方法 |
通常、メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」を使用する場合、主成分であるメトレレプチンとして、全年齢の男性には0.04mg/kgを、また18歳未満の女性には0.06mg/kgを、そして18歳以上の女性には0.08mg/kgを維持量として1日1回皮下注射を行います。
投与開始する際には、男性では0.02mg/kgから、また18際未満の女性では0.03mg/kgから、そして18歳以上の女性では0.04mg/kgから開始し、1ヵ月程度をかけ維持量まで増量します。
なお、患者の症状に応じて適宜減量する事とされております。 |
副作用 |
重大な副作用
1)過敏症(頻度不明)
蕁麻疹、全身性発疹を含む過敏症が現れる事があります。
その他の副作用
精神神経系、注射部位、その他の副作用が報告されております。
発生頻度は以下の通りです。
1)精神神経系
頭痛(15%未満)
2)注射部位
腫脹・疼痛・掻痒・発赤等の注射部位反応(53.3%)
3)その他
低血糖、脱毛(15%未満)
悪心、疲労感、膣出血、体重減少(頻度不明)
頻度不明の過敏症等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■メトレレプチン(遺伝子組換え)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」の有効成分
メトレレプチン(遺伝子組換え)
▼代表薬の添加物
・グリシン、精製白糖、ポリソルベート20、L-グルタミン酸、水酸化ナトリウム
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①重度の血液異常(好中球減少症等)のある患者
海外臨床試験において、重度の血液異常(好中球減少症等)のある後天性脂肪萎縮症患者にT細胞性リンパ腫が報告されています。但し本剤との因果関係は不明です。
②膵炎及び高トリグリセライド血症の既往のある患者
海外における臨床試験において、膵炎及び高トリグリセライド血症の既往歴のある患者において、メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」の突然の中止後に、急性膵炎が起きたとの報告がある為、投与を中止する場合は、持続する腹痛(重度)、背部への放散痛等の症状を十分に観察し、徐々に減量するなど慎重に行う事とされています。また、血中トリグリセライドの推移を観察するとともに、必要に応じて脂質異常症治療薬の投与の検討あるいは用量調節を行う事とされています。
③低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
・下垂体機能不全又は副腎機能不全
・栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
・激しい筋肉運動
・過度のアルコール摂取者
臨床試験において、インスリン製剤を併用した場合に低血糖が報告されています。
2)腎機能障害患者
主に腎で排泄されると考えられる為、高い血中濃度が持続する恐れがあります。
3)妊婦
マウスにおいて出生時数の減少、出生時の生存率低下、体重低下、発育遅延が報告されています。
4)授乳婦
本剤の乳汁中への移行は不明です。
5)小児等
低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していません。
6)高齢者
一般的に高齢者では生理機能が低下しています。また低血糖を起こすおそれがあります。
上記にあてはまる方は、メトレレプチン(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。 メトレレプチン(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)糖尿病用薬(インスリン製剤、スルホニルウレア系薬剤、速効型インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬剤、αーグルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、GLP-1アナログ、SGLT2阻害剤等)
インスリン製剤との併用により低血糖が起こることがあり、その他の糖尿病用薬との併用でも低血糖の祖俺がある為併用には注意が必要です。
メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」の使用にあたっては、患者及びその家族に対し低血糖症状及び対処方法について十分説明する事が必要とされています。
上記を使用している方は、メトレレプチン(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。 メトレレプチン(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
メトレレプチン(遺伝子組換え)に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
インタビューホーム 【塩野義製薬株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】 |
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