メテノロン酢酸エステル

成分名

メテノロン酢酸エステル

適応症状

悪性腫瘍の消耗状態/外傷の消耗状態/骨粗鬆症/再生不良性貧血の骨髄の消耗状態/熱傷の消耗状態/慢性腎疾患の消耗状態 など

簡易説明

本剤プリモボラン錠は「経口蛋白同化ステロイド剤」という種類に分類されるもので、腎臓にはたらきかけて赤血球の産生を促す造血ホルモン(エリスロポエチン)をつくらせたり、造血幹細胞に直接はたらきかけて造血を促したりする作用があります。
そのため、本剤の服用により骨が丈夫になる、体力の著しい消耗状態が改善するなどの効果が得られます。

処方可能な診療科目

皮膚科/腫瘍内科/形成外科/内科/産婦人科/整形外科/泌尿器科 など

健康保険の適応

健康保険適用

病院で処方してもらう時の費用目安

プリモボラン錠5mg(バイエル薬品):12.2円/5mg 1錠
*病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1962年11月(発売)

国内のジェネリック認可

-

関連製品(先発薬)

プリモボラン錠5mg(製薬会社:バイエル薬品)

関連製品(ジェネリック)

-

効果・作用

本剤プリモボラン錠には「蛋白同化作用」という作用があります。

蛋白同化作用とは、体内のアミノ酸を集めてタンパク質(筋肉や骨の主成分)をつくるはたらきのことで、その作用によりカルシウム(Ca)、リン(P)、窒素(N)各元素の貯留が行われます。

生体の骨や歯は体内の「ハイドロキシアパタイト」という物質によって構成されています。
ハイドロキシアパタイトは、化学名でいえば「水酸化リン酸カルシウム」と呼ばれるもので、血液中のCaとPが結合することで生成されます。また窒素(N)はタンパク質を構成するアミノ酸の要素です。
さらに、本剤には蛋白の同化と同時に、生体における体蛋白の異化(タンパク質を分解してエネルギーを取り出す作用)を抑制するはたらきもあります。

つまり本剤は、筋肉や骨の主成分であるタンパク質をつくるはたらきと、タンパク質の分解を抑制するはたらきを併せ持っているため、筋肉が増強したり骨密度が高まったりして、結果、体力の著しい消耗状態の回復や骨粗鬆症の治療に効果を示すのです。

また蛋白同化ステロイドである本剤は、腎臓にはたらきかけ、赤血球産生を促進する「エリスロポエチン」というホルモンを出させます。さらに造血幹細胞に直接作用して、増殖を促すはたらきもします。そうした作用をもつため、再生不良性貧血の治療にも有効なのです。

使用方法

通常、成人は1日2~4錠(メテノロン酢酸エステルとして10~20mg)を2~3回に分けて服用しますが、対象の疾患や年齢、症状により適宜増減されます。必ず医師から指示された用法、用量に従って服用してください。
また本剤は副作用があらわれる頻度が比較的少なく、もしあらわれたとしても軽度なことが多いのですが、大量に(1日10錠やそれ以上)長期にわたり内服される場合は副作用があらわれやすくなります。ご注意ください。

副作用

重大な副作用
【肝機能障害、黄疸】
AST、ALT、γ-GTP(いずれも「トランスアミナーゼ」と呼ばれる酵素で、肝臓でアミノ酸の代謝に関わるはたらきをするもの)等の著しい上昇を伴う肝機能障害や黄疸(全身けん怠感や吐き気、皮膚や白目が黄色くなる症状)があらわれることがあります。
長期にわたり服用する場合は、数カ月ごとに血液検査を実施するなど特に注意が必要です。

その他の副作用
■共通
過敏症状/吐き気/嘔吐/ざそう(にきび) など

■男性
陰茎肥大/持続性勃起 など

■女性
嗄声(しゃがれ声)/月経異常/性欲亢進/色素沈着 など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
【アンドロゲン依存性悪性腫瘍またはその疑いのある方】
本剤の使用により、アンドロゲン依存性悪性腫瘍(前立腺癌など男性の生殖器やホルモンに関連して出現する腫瘍)の症状を悪化させるおそれがあります。

【妊婦又は妊娠している可能性のある方】
女性胎児の男性化を起こす危険性があります。

使用に注意が必要な方
【前立腺肥大のある方】
症状を悪化させるおそれがあります。

【心疾患、または腎疾患のある方】
ナトリウムまたは体液の貯留が出現する危険性があります。

【癌の骨転移のある方】
高カルシウム血症があらわれる可能性があります。

【糖尿病のある方】
耐糖能の低下がみられることがあります。

【コレステロールの高い方】
本剤主成分のメテノロン酢酸エステルの骨格はコレステロールでできているので、血中コレステロールが上昇する可能性があります。
そのためコレステロールが高い方の内服には慎重になる必要があります。
なお服用を終了すれば、服用前の数値に戻ります。

【授乳婦】
治療や母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続か中止かを検討する必要があります。

【小児】
骨端の早期閉鎖や性的早熟を来すことがあるため、観察を十分に行い慎重に使用してください。

【高齢者】
アンドロゲン依存性腫瘍が潜在している可能性があり、また一般に生理機能が低下しているため観察を十分に行い慎重に使用してください。

上記にあてはまる方は、メテノロン酢酸エステルを使用する事が出来ない可能性があります。
メテノロン酢酸エステルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
【副腎皮質ホルモン剤】
■薬剤例:プレドニン錠5mg(塩野義製薬株式会社)、セレスタミン配合錠(髙田製薬株式会社)など
■理由:耐糖能(血糖値を正常に保つための、グルコース(ブドウ糖)の処理能力)が低下するおそれがあります。併用の際は十分に注意してください。

【クマリン系抗凝血剤】【ワルファリンカリウム】
■薬剤例:ワーファリン錠1mg(エーザイ株式会社)、ワルファリンK錠1mg「日新」(日新製薬株式会社)など
■理由:クマリン系抗凝血剤、及びワルファリンカリウム剤の作用を増強させることがあります。併用の際は十分に注意してください。

上記を使用している方は、メテノロン酢酸エステルを使用する事が出来ない可能性があります。
メテノロン酢酸エステルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告はありません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
プリモボランはステロイドですか?

プリモボランはメテノロンという成分を含むアナボリックステロイドです。
アナボリックステロイドとは、蛋白同化作用(外界より摂取した物質から、生体の化学反応によって蛋白質を作り出す作用)を有する ステロイドホルモンのことです。
プリモボランの主成分であるメテノロンはネコの副腎皮質に含まれているホルモンで、ステロイドの中では数少ない自然に存在する成分です。
天然に存在する成分のため、プリモボランは他のアナボリックステロイドに比べて、副作用が比較的弱いという特徴があります。
他のステロイドに見られる、肝毒性や女性化といった作用がありません。

プリモボランを使用する上で、上記以外に何か注意することはありますか?

本剤を男性が服用される際には、定期的に前立腺の検査を行う必要があります。
また女性が服用される際は、1-2カ月程度で変声の可能性があることを事前にお含みください。

プリモボランの内服で、精子の量が減少することはありますか?

結論から言いますと、まず心配ありません。
本剤を製造販売しているバイエル薬品株式会社の効能書には、副作用の1つとして「大量継続投与による精子減少など」が挙げられています。
通常、副作用に関してはその根拠となる文献が示されるのですが、こちらの件にはその文献が示されていません。古い薬ということもあり、根拠が明らかでないのです。
さらに、そもそも精子は2-3カ月ごとに産生されるため、もし本剤の作用として一時的に精子が減少したとしても、内服を終了すればすぐに精子形成機能は元通りに回復します。
以上の理由から、ご質問の件は特に心配ないと考えます。

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