ミルリノン

成分名

ミルリノン

適応症状

他の薬剤を使用しても効果不十分な急性心不全

簡易説明

ミルリノンを主成分とするミルリーラ注射液10mgは急性心不全治療剤です。ミルリノンは、ホスホジエステラーゼⅢ(PDEⅢ)を選択的かつ強力に阻害する事により作用を発現します。ミルリノンは、血管を拡張する作用と陽性変力作用を併せ持っており、且つこれらの作用はより強力で高い安全性を有しています。その結果心収縮・拡張機能改善及び前・後負荷軽減する事によって心拍出量を増加させ、肺うっ血と末梢循環を改善します。

処方可能な診療科目

内科/小児科/産婦人科/心臓内科/循環器科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1管あたりの目安:10mg約2,700円(薬価)
薬代後発薬1管の目安:10mg約1,400円(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ミルリノンを主成分とする医療用医薬品のミルリーラ注射液10mgは1996年7月10日に製造販売が承認され、1996年9月6日薬価基準に収載、その後1996年9月6日に販売が開始されました。後に日医工株式会社に販売移管され、新たに2021年9月1日に販売が開始されました。

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

ミルリーラ注射液10mg【製薬メーカー:日医工株式会社】

関連製品(ジェネリック)

ミルリノン静注液10mg「NIG」【製薬メーカー:日医工岐阜工場株式会社】
ミルリノン注10mg/22.5mgバッグ「タカタ」【製薬メーカー:高田製薬株式会社】
ミルリノン注射液10mg/22.5mg「F」【製薬メーカー:富士製薬工業株式会社】

海外での使用実績

英国(国名)ではSANOFI(会社名)がPrimacor 1mg/ml Solution for Injection(販売名)を発売しています。

効果・作用

ミルリノンを主成分とする医療用医薬品のミルリーラ注射液10mgは他の薬剤を使用しても効果不十分な急性心不全にたいして効果のある医薬品になります。

その作用機序は、ホスホジエステラーゼⅢを選択的に阻害する事によりその作用を発現します。もともとホスホジエステラーゼⅢは細胞内サイクリックAMPを特異的に分解します。このホスホジエステラーゼⅢを阻害する事によって心筋細胞内サイクリックAMP量を選択的に増加させる事により、細胞内Ca2+濃度がを上昇し、結果心筋収縮力の増強作用及び血管拡張作用を発現すると考えられています。
また、心収縮・拡張能改善と後負荷軽減により、心拍出量を増加させます。前・後負荷の軽減によって、肺うっ血と末梢循環を改善します。心筋酸素消費量に影響を及ぼすことなく血行動態を改善します。

【強心作用】
動物実験において濃度依存的に発生張力を増強させたが、拍動数に対する増加作用は弱かったことが認められています。
また、用量依存的に心筋収縮力を増強させたが、心拍数増加作用及び血圧下降作用は弱かったことが認められています。
【心臓・血管系に対する作用】
動物実験において用量依存的に心拍出量及び一回拍出量を増加させることが認められています。また収縮させた血管を濃度依存的に弛緩させることが認められています。

使用方法

ミルリノンを主成分とする医療用医薬品のミルリーラ注射液10mgを使用する場合には、注射液そのまま原液で使用するか、又は必要に応じて希釈してから使用します。希釈溶液にはブドウ糖注射液、生理食塩液、総合アミノ酸注射液、乳酸リンゲル液等を用います。原液、もしくは希釈したミルリーラ注射液10mgを用いて静脈内投与を行います。投与する量および速度は、ミルリノンとして患者の体重あたり50μgを10分間かけてゆっくりと行います。静脈内投与後引き続き0.5μg/kg/分を点滴静脈内投与します。
なお、点滴に使用する投与量は、治療を受けている患者の血行動態、また臨床症状に応じて1分間あたり0.25μg/kgから0.75μg/kgの範囲で適宜増減して使用する事が保険適応上認められています。また、治療を受けている患者の状態及び症状によっては、点滴静脈内投与から開始しても良いとされています。

副作用

1)心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、心室細動、血圧低下(各0.1~5%未満)
2)腎機能の悪化(頻度不明)
腎機能の低下している患者では、腎機能の悪化を来すことがあります。例えば慢性腎不全、糖尿病成人症、高齢者等に使用する際には特に注意が必要です。

循環器、血液、消化器、その他の副作用が報告されております。
発生頻度は以下の通りです。
1)循環器
心房細動、心室性期外収縮、上室性期外収縮等の不整脈、頻脈、動悸(0.1~5%未満)
2)血液
血小板減少(0.1~5%未満)
3)消化器
嘔吐、嘔気(頻度不明)
4)その他
肝機能障害、LDH上昇、ほてり感、頭痛(0.1~5%未満)
気管支攣縮(頻度不明)

頻度不明の気管支攣縮k等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)肥大型閉塞性心筋症のある患者
流出路閉塞が悪化する可能性がある為使用できません。
2)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■ミルリノンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ミルリーラ注射液10mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ミルリーラ注射液10mgの有効成分
ミルリノン
▼代表薬の添加物
・ブドウ糖、乳酸、pH調節剤

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①重篤な頻脈性不整脈のある患者
不整脈が悪化する恐れがある為使用には注意が必要です。
②著しく血圧の低い患者
血圧がさらに低下する恐れがある為使用には注意が必要です。
③血清カリウム低下のある患者
補正困難な場合、重篤な不整脈を来す恐れがある為使用には注意が必要です。
④高度の大動脈弁狭窄・僧帽弁狭窄等がある患者
本剤により改善が見られない可能性がある為使用には注意が必要です。
⑤利尿剤を大量に投与されている患者
本剤に十分反応しない可能性がある為使用には注意が必要です。
⑥フロセミド等のループ利尿剤の投与を受けている患者
過度の利尿により低カリウム血症が生じやすい為、ジギタリスを併用している場合にはジギタリスによる不整脈が生じやすくなるため使用には注意が必要です。
⑦急性心不全患者
本剤投与により不整脈が現れる可能性を高める事がある為使用には注意が必要です。
2)腎機能障害患者
本剤は腎排泄型の薬剤である為、腎機能の低下している患者では血漿中濃度が高くなる恐れがある為使用には注意が必要です。
3)妊婦
4)授乳婦
動物実験において乳汁中へ移行する事が認められている為使用には注意が必要です。
5)小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない為使用には注意が必要です。
6)高齢者
高齢者は一般的に腎機能が低下している事が多く、血漿中濃度が高くなる恐れがある為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、ミルリノンを使用する事が出来ない可能性があります。
ミルリノンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)カテコラミン系の強心薬(ドパミン塩酸塩、ドブタミン塩酸塩等)
不整脈の発現を助長させる恐れがある為、併用には注意が必要です。必要に応じてどちらかを減少する必要があります。

上記を使用している方は、ミルリノンを使用する事が出来ない可能性があります。
ミルリノンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ミルリノンに関する
よくある質問
ミルリノン使用後どのくらいで効果が現れどのくらい持続しますか?

動物実験において静脈内持続投与開始後速やかに発現し、投与終了後60分間持続したとの報告があります。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

治療上有効な血中濃度はどのくらいになりますか?

100から200ng/mLになります。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

過量投与した場合にはどのような症状が現れますか?

過度の心拍数増加や血圧低下が見られた場合過量投与の可能性があります。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

他の注射液と混合して使用しても大丈夫ですか?

希釈する以外、他の注射液と混合せずに用いる事が望ましいとされています。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【日医工株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】

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