成分名 |
パシレオチドパモ酸塩 |
適応症状 |
パシレオチドパモ酸塩を主成分とする医療用医薬品であるシグニフォーLAR筋注用キットは①先端巨大症及び下垂体性巨人症(外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合)における成長ホルモン、IGF-I(ソフトメジンーC)分泌過剰状態及び諸症状の改善に対して、また②クッシング病(外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合)に対して適応を持ちます。 |
簡易説明 |
パシレオチドパモ酸塩を主成分とする医薬品であるシグニフォーLAR筋注用キットは持続性ソマトスタチンアナログと呼ばれる医薬品です。パシレオチドパモ酸塩はシクロヘキサペプチド構造を形成しており、ソマトスタチン受容体に結合することにより、成長ホルモン及びIGF-I分泌、ならびに副腎皮質刺激ホルモン及びコルチコステロン分泌を抑制します。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/泌尿器科/麻酔科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
■病院で処方してもらう時の費用目安
診察料などの目安 :約10,000円~
薬代1キットあたりの目安:10mg約111,600円/20mg約196,800円/30mg約284,800円/40mg約351,600円/60mg約475,600円(薬価)
※病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。
クッシング病は指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
パシレオチドパモ酸塩を主成分とする医薬品「シグニフォーLAR筋注用キット」は、
10mg、及び30mg
2018年3月23日に製造販売が承認され、2018年8月29日に薬価基準収載、2018年8月29日に販売開始となりました。
20mg、40mg、60mg
2016年9月28日に製造販売が承認され、2016年11月18日に薬価基準収載、2016年12月2日に販売開始となりました。 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
シグニフォーLAR筋注用キット10mg/20mg/30mg/40mg/60mg【製薬メーカー:レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
米国において、ノバルティスファーマ(会社名)が、SIGNIFOR® LAR (pasireotide) for injectable suspension, for intramuscular use(販売名)を20mg、40mg、60mg:2014年12月に、また10mg、30mg:2018年6月に承認されました。
欧州において、ノバルティスファーマ(会社名)が、Signifor powder and solvent for suspension for injection(販売名)を20mg、40mg、60mg:2014年11月に、また10mg、30mg:2017年9月に承認されました。 |
効果・作用 |
パシレオチドパモ酸塩を主成分とする医薬品である「シグニフォーLAR筋注用キット」は①外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な先端巨大症及び下垂体性巨人症における成長ホルモン、IGF-I(ソフトメジンーC)分泌過剰状態及び諸症状の改善に対して、また②外科的処置で効果が不十分又は施行が困難なクッシング病にたいして効果のある医薬品になります。
1)作用部位
成長ホルモンや副腎皮質刺激ホルモンを産生する細胞では、ソマトスタチン受容体の発現が認められており、パシレオチドはそのソマトスタチン受容体に結合して過剰なホルモンの分泌を抑制すると考えられています。
2)作用機序
通常、下垂体腺腫には、5種類のソマトスタチン受容体サブタイプ(sstr1~5)が発現しています。
ソマトスタチン受容体に対するパシレオチドの結合親和性はsstr1、2、3及び5に対し高い親和性を示します。
ソマトスタチン受容体サブタイプはG蛋白質共役受容体であり、この受容体が活性化する事によってcAMPの産生が阻害され、成長ホルモン等のホルモン分泌が抑制されます。
成長ホルモンはインスリン様成長因子-I分泌を制御するホルモンであり、成長ホルモン低下により肝臓におけるインスリン様成長因子-I産生が低下します。本剤は、複数のソマトスタチン受容体サブタイプへの結合を介して成長ホルモン及びインスリン様成長因子-Iの分泌を抑制することにより、先端巨大症及び下垂体性巨人症に対する治療効果が期待されています。
また、クッシング病患者では、主にsstr5への結合を介して副腎皮質刺激ホルモンの分泌を抑制することにより、クッシング病に対する治療効果が期待されます。 |
使用方法 |
1)先端巨大症・下垂体性巨人症
通常、成人に投与する場合には、パシレオチドパモ酸塩として40mgを4週毎に3ヶ月間、臀部筋肉内に注射します。その後継続する場合には、注射後の患者の状態に応じて、20mg、40mg又は60mgの用量を用いて4週毎に投与します。
2)クッシング病
通常、成人に投与する場合には、パシレオチドパモ酸塩として10mgを用いて、4週間毎に臀部筋肉内に注射します。なお、注射後の患者の状態に応じて、適宜増量して投与する事ができますが、最高用量は40mgとなります。 |
副作用 |
重大な副作用
1)高血糖、糖尿病の発症又は憎悪(63.4%)
糖尿病性ケトアシドーシスや糖尿病性昏睡に至るおそれがります。
2)徐脈(5.7%)、QT延長(1.7%)
β遮断剤、カルシウム拮抗剤等の徐脈作用を有する薬剤又は水分や電解質を補正する薬剤を投与している患者において、徐脈又はQT延長が認められることがあります。
3)肝機能障害(6.3%)
ALT増加、AST増加、γーGTP増加を伴う肝機能障害を起こす事があります。
その他の副作用
血液及びリンパ系障害、内分泌障害、神経系障害、胃腸障害、肝胆道系障害、皮膚及び皮下組織障害、臨床検査、全身障害及び注射部位反応、代謝及び栄養障害の副作用が報告されております。
発生頻度は以下の通りです。
1)血液及びリンパ系障害
貧血(5%未満)
2)内分泌障害
副腎機能不全(5%未満)
3)神経系障害
頭痛、浮動性眩暈(5%未満)
4)胃腸障害
下痢、腹痛、悪心、腹部膨満(5%以上)
嘔吐(5%未満)
5)肝胆道系障害
胆石症(5%以上)
胆嚢炎、胆汁うっ滞(5%未満)
6)皮膚及び皮下組織障害
脱毛症(5%以上)
7)臨床検査
血中CK増加、グリコヘモグロビン増加、リパーゼ増加、血中アミラーゼ増加、血中コルチゾール減
少、プロトロンビン時間延長(5%未満)
8)全身障害及び注射部位反応
疲労(5%以上)
注射部位疼痛(5%未満)
9)代謝及び栄養障害
低血糖、食欲減退(5%未満)
脱毛等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■パシレオチドパモ酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、シグニフォーLAR筋注用キットはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼シグニフォーLAR筋注用キットの有効成分
パシレオチドパモ酸塩
▼代表薬の添加物
・乳酸・グリコール酸共重合体、グルコースエステル、D-マンニトール、カルメロースナトリウム、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、グリコール
2)重度(Child-Pugh分類クラスC)の肝機能障害のある患者
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①糖尿病の患者
②臨床的に重大な徐脈、急性心筋梗塞、高度心ブロック、うっ血性心不全、不安定狭心症、持続性心室性頻脈、心室細動の既往歴のある患者
③QT延長のある患者(先天性QT延長症候群、うっ血性心不全、低カリウム血症又は低マグネシウム血症の患者)
2)肝機能障害患者
① 重度(Child-Pugh分類クラスC)の肝機能障害患者
②中等度(Child-Pugh分類クラスB)の肝機能障害患者
③軽度(Child-Pugh分類クラスA)の肝機能障害患者
3)妊婦
4)授乳婦
5)小児等
6)高齢者
上記にあてはまる方は、パシレオチドパモ酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 パシレオチドパモ酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)シクロスポリン
2)抗不整脈剤(QT延長を起こす事が知られている薬剤)
3)カルシウム拮抗剤(ジルチアゼム、ベラパミル等)、β遮断剤(アテノロール等)、水分や電解質を補正する薬剤
4)CYP3A4で代謝される薬剤(キニジン等)
5)ブロモクリプチン
6)インスリン製剤、血糖降下剤
上記を使用している方は、パシレオチドパモ酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 パシレオチドパモ酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
パシレオチドパモ酸塩に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
インタビューホーム 【レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
総合製品情報外用 【レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社ホームページ】
患者向け医薬品ガイド 【レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社ホームページ】 |
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