エルカトニン

成分名

エルカトニン

適応症状

骨粗鬆症/高カルシウム血症/骨ページェット病

簡易説明

エルカトニンはウナギカルシトニンの構造を元に化学合成されたポリペプチド(13個のアミノ酸)で、カルシトニンの持つ骨吸収抑制作用に伴う血清カルシウム低下作用を示します。
カルシトニンは哺乳類では甲状腺より分泌されますが、魚類、鳥類、両生類では鰓後腺から分泌されます。旭化成ファーマ株式会社の研究所では様々な魚類の鰓後腺を調べた結果、ウナギに高い活性を示すカルシトニンが存在することを見出しました。
エルカトニンを主成分としたエルシトニン(以下、本剤)は当初週2回の筋注製剤として発売され、その後週1回投与の20Sに改良され、さらには、アンプル製剤からシリンジ装填済みのディスポ製剤が発売されました。また高カルシウム血症、骨ページェット病の治療薬として40単位製剤が発売されました。

処方可能な診療科目

整形外科など

健康保険の適応

骨粗鬆症における疼痛
(40単位のみ)
高カルシウム血症、骨ページェット病

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません(薬価記載)
エルシトニン:10単位(1mL1管) 132.00円/20S(1mL1管) 189.00円/20Sディスポ(1mL1筒) 748.00円/40単位(1mL1管) 460.00円【製薬メーカー:旭化成ファーマ株式会社】
エルカトニン:10単位(1mL1管) 63.00円/20単位(1mL1管) 90.00円/40単位(1mL1管) 235.00円

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1982年9月1日

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

エルシトニン注(10単位、20S、20Sディスポ、40単位)【製薬メーカー:旭化成ファーマ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

エルカトニン筋注「NP」(10単位、20単位、40単位)【製薬メーカー:ニプロ株式会社】、エルカトニン筋注「TBP」(10単位、20単位、40単位)【製薬メーカー:東菱薬品工業株式会社】、エルカトニン筋注「トーワ」(10単位、20単位)【製薬メーカー:東和薬品株式会社】

海外での使用実績

中国
製品名:Elcitonin Inj.(1993年4月発売)、Elcitonin Inj.10u(1993年4月発売)、Elcitonin Inj.20S(1998年8月発売)
製薬メーカー:旭化成ファーマ株式会社
※2022年10月現在

効果・作用

骨は常に破壊(骨吸収)と再生(骨形成)を繰り返しています。骨にはカルシウムの貯蔵庫としての役割もあり、この骨吸収と骨形成によってい血清カルシウム濃度の調整を行っています。本剤は骨吸収を抑制する作用により骨のカルシウム遊離(=血清カルシウムの上昇)を抑えつことで、高カルシウム血症、骨ページェット病の治療に用いられています。
また、本剤はカルシトニン受容体を介して、末梢神経のセロトニン受容体等の発現異常を改善し、セロトニン神経系を賦活させることで鎮痛効果を示すことが示唆されています。この作用により骨粗鬆症の疼痛改善効果を示します。
【本剤の臨床試験】
(10単位)
骨粗鬆症の疼痛に対する一般臨床試験(451例)の有用性(自発痛、運動時痛の評価)は66.3%(299/451)でした。
(20単位)
骨量改善度を主な使用としたプラセボ対象試験の最終全般改善度(骨評価改善度と自覚症状改善度を総合した26週時点での評価)は、プラセボ群19.3%(21/109)に対して、本剤群では43.6%(48/110)と有意な改善が認められました。また自覚症状改善度(鎮痛剤併用なしでの26週時点での評価)はプラセボ群25.3%(19/75)に対して、本剤群では39.3%(33/84)でした。
(40単位-高カルシウム血症)
高カルシウム血症に対する一般臨床試験の筋肉内注射の有効率は77.6%(59/76)、点滴静注の改善率は64.5%(89/138)でした。]
※原発性副甲状腺機能亢進症の場合は、他の原疾患による高カルシウム血症に比べ効果が劣ることが示されています(副甲状腺機能亢進症の有効率:44.4%)。
(40単位‐骨ページェット病)
一般臨床試験の有効率は81.8%(9/11)でした。

使用方法

(10単位)
1日1管を週2回筋肉内注射します。症状等により適宜増減します。
(20単位))
1日1管を週1回筋肉内注射します。
(40単位)
高カルシウム血症:1日2回(朝晩)に1管を筋肉内注射または点滴静注します。点滴の場合は1~2時間かけて注入します。年齢、血中カルシウムの変動により適宜増減します。
骨ページェット病:1日1回筋肉内注射します。

副作用

重大な副作用
・ショック、アナフィラキシー:血圧低下、気分不良、全身発赤、蕁麻疹、呼吸困難、咽頭浮腫などの症状が現れた場合は投与を中止し、適切な処置を行います。発現例の多くは初回投与時、投与後1時間以内に発現しています。
・テタニー(手足などの筋肉が痙攣を起こした状態):低カルシウム血症性テタニーが現れた場合は投与を中止し、注射用カルシウム剤の投与など適切な処置を行います。本剤投与2時間後にあらわれたとの報告があります。
・喘息発作:異常があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行います。投与後の発現時期に特別な傾向はみられていないが、発現例の多くは投与初期にみられています。
・肝機能障害、黄疸:掻痒感、食欲不振、全身倦怠感、黄疸等の異常があらわれた場合は投与を中止し適切な処置を行います。DLST(薬剤リンパ球刺激試験:アレルギー検査の一つ)が陽性であった症例についてはアレルギーの可能性が考えられます。

副作用発現率:10単位 2.37%(412例/17,374例)、20単位(ディスポ含む) 3.95%(887例/22,478例)、40単位 10.66%(472例/2,393例)
主な副作用:消化器症状(悪心、嘔吐等)、循環器症状(顔面紅潮、熱感等)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■妊娠末期の方(40単位のみ)
動物実験で血清カルシウムの急激な低下、テタニー様症状が認められたとの報告がある為、使用出来ません。
■本剤及び本剤を配合した医薬品の添加物にアレルギーをお持ちの方
本剤及び下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、エルシトニン注はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼エルシトニン注の有効成分
エルカトニン
▼エルシトニンの添加物
酢酸ナトリウム水和物、等張化剤、pH調節剤

使用に注意が必要な方
・過敏症状(発疹等)を起こしやすい体質の方:過敏症状がおこりやすいと考えられます。
・気管支喘息の方(以前に罹患していた方を含む):喘息発作を誘発するおそれがあります。
・妊婦:治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用します。
・授乳婦:動物実験で乳汁分泌量が減少し、新生児の体重増加抑制が報告されています。
・小児:臨床試験を実施していません。
・高齢者:一般に生理機能が低下しています。

上記にあてはまる方は、エルカトニンを使用する事が出来ない可能性があります。
エルカトニンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
ビスホスホネート系製剤:血清カルシウムが急激に低下するおそれがあります。

上記を使用している方は、エルカトニンを使用する事が出来ない可能性があります。
エルカトニンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

エルカトニンに関する
よくある質問
骨粗鬆症における疼痛での投与期間についての注意点はありますか?

本剤の投与は、6ヵ月間を目安とし、長期にわたり漫然と投与しないこと。

エルカトニン(エルシトニン注10単位 添付文書)

【上記引用元:PMDA 医療用医薬品 情報検索】

点滴静注する場合の注意点はありますか?

・本剤を希釈する場合は、通常「日局」生理食塩液を始めとする各種電解質を含む輸液で行うこと(電解質を含まない輸液を使用した場合、本剤の容器への吸着が認められており含量が低下する。)。
・含量低下は時間経過と共に大きくなるので、希釈後速やかに使用すること。

エルカトニン(エルシトニン注40単位 添付文書)

【上記引用元:PMDA 医療用医薬品 情報検索】

参考元一覧

エルカトニン(エルシトニン注 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

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