セベラマー塩酸塩

成分名

セベラマー塩酸塩

適応症状

透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善 など

簡易説明

「セベラマー塩酸塩」は、主に慢性腎臓病(CKD)の病態において、消化管内でリンを吸着し、リン排泄を促すことで高リン血症を改善して、動脈硬化や骨折などを予防する薬で、透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善に用いられます。
日本では、協和キリンがフォスブロックの商品名で販売しており、また、中外製薬がレナジェルの商品名で販売しています。
「セベラマー塩酸塩」は、消化管内で食物に含まれるリンを吸着して、体内への吸収を阻害し、その結果、血液のリンの濃度が低下して、高リン血症が改善されます。
リンとカルシウムの血清濃度を正常に保つことは、骨の病変を防ぎ、また動脈硬化をおさえて重い心血管系合併症を防ぐことにもつながります。

処方可能な診療科目

内科/循環器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
フォスブロック錠250mg 17.9円/錠(薬価)
*病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2003年6月認可

国内のジェネリック認可

-

関連製品(先発薬)

フォスブロック錠250mg【製薬メーカー:協和キリン】
レナジェル錠250mg【製薬メーカー:中外製薬】

関連製品(ジェネリック)

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効果・作用

「セベラマー塩酸塩」は、主に慢性腎臓病(CKD)の病態において、消化管内でリンを吸着して、リン排泄を促すことで高リン血症を改善し、動脈硬化や骨折などを予防する薬です。
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)では、腎臓の機能が低下することで、食事などにより吸収された余剰のリンの排泄が滞り、体内にリンが蓄積し高リン血症が引き起こされ、これを放置しておくとリンとカルシウムの過度な結合により、骨以外の組織でも石灰化がおこります。
特に血管の石灰化は動脈硬化の原因となり血栓症などが発症しやすくなることや、関節の石灰化で関節症、皮膚であれば掻痒(痒み)など様々な症状がおこりやすくなります。
そのほか、血清中のリンの上昇とカルシウムの低下は副甲状腺ホルモンの分泌を促進し、このホルモンが骨からカルシウムなどを流出させるため、骨がもろくなります。
「セベラマー塩酸塩」は、消化管内でリンを吸着する作用により、リンの消化管内での吸収を抑制して、血液中のリンの濃度上昇を抑えることで高リン血症を改善し、動脈硬化や骨折などを予防します。
リンを吸着する作用の仕組みは薬剤ごとに異なり、金属イオン(カルシウムや鉄)がリンと結合したり、金属以外の物質がリンと結合して、これらリンと結合した物質が体外へ排泄されることで結果として体内のリンを減らす効果が期待できます。

使用方法

▼用法用量
・成人には、セベラマー塩酸塩として1回1~2gを1日3回食直前に経口投与します。なお、年齢、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減しますが、最高用量は1日9gとします。

副作用

重大な副作用
▼腸管穿孔、腸閉塞(いずれも頻度不明)
腸管穿孔、腸閉塞の病態を疑わせる高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には、速やかに投与を中止して、腹部の診察や画像検査(単純X線、超音波、CT等)を実施し、適切な処置を行ってください。

▼憩室炎、虚血性腸炎(いずれも頻度不明)
憩室炎、虚血性腸炎の病態が進行し腸管穿孔等の重篤な状態に至らぬよう、異常が認められた場合には、投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼消化管出血(0.3%)、消化管潰瘍(0.1%)
吐血、下血及び胃、十二指腸、結腸、直腸等の潰瘍があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼肝機能障害(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼便秘・便秘増悪、腹痛、腹部膨満
便秘・便秘増悪、腹痛、腹部膨満があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。(発現頻度は、使用成績調査、特別調査及び市販後臨床試験を含む。)

・悪心、腹部不快感、下痢・軟便、消化不良、嘔吐
・食欲不振、胃炎・胃炎増悪
・痔核、おくび、嚥下障害
・肝機能異常(ALT、LDH、総胆汁酸の上昇)
・血中カルシウム減少
・Al-Pの上昇
・血中重炭酸塩減少、血液pH低下、ビタミンK上昇、ビタミンK減少、血中亜鉛減少、血中銅減少、ビタミンA上昇、低比重リポ蛋白減少、トリグリセリド上昇、PO2上昇、鉄代謝障害
・水分過負荷
・貧血
・そう痒症、発疹
・上皮小体ホルモン上昇
・関節痛

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。

■腸閉塞の患者
腸閉塞の患者は、投与開始に先立ち、患者の日常の排便状況を確認することや、患者には排便状況を確認させるとともに、便秘の悪化、腹部膨満感等の症状があらわれた場合には、医師等に相談するように指導してください。本剤が腸管内で膨潤し、腸閉塞、腸管穿孔を起こすおそれがあることから、投与しないでください。

使用に注意が必要な方
■腸管狭窄のある患者又は便秘のある患者
腸管狭窄のある患者又は便秘のある患者は、本剤が腸管内で膨潤し、腸閉塞、腸管穿孔を起こすおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■腸管憩室のある患者
腸管憩室のある患者は、腸管穿孔を起こした例が報告されています。慎重に投与してください。

■腹部手術歴のある患者
腹部手術歴のある患者は、腸閉塞を起こした例が報告されています。慎重に投与してください。

■痔疾患のある患者
痔疾患のある患者は、本剤が腸管内で膨潤し、症状を悪化させるおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■消化管潰瘍又はその既往歴のある患者
消化管潰瘍又はその既往歴のある患者は、本剤が腸管内で膨潤し、症状を悪化又は再発させるおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■重度の消化管運動障害を有する患者
重度の消化管運動障害を有する患者は、本剤が腸管内で膨潤し、症状を悪化させるおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■出血傾向を有する患者
出血傾向を有する患者は、ビタミンKの吸収阻害により出血傾向を増強するおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■胃又は腸切除術の既往歴のある患者
胃又は腸切除術の既往歴のある患者は、これらの患者は臨床試験では除外されています。

■嚥下障害を有する患者
嚥下障害を有する患者は、これらの患者は臨床試験では除外されています。

■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。

■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討してください。

■小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していません。

■高齢者
消化器症状等の副作用に注意してください。高齢者において認められた副作用の種類及び副作用発現率は、非高齢者との間に差は認められていませんが、一般に生理機能が低下しています。

上記にあてはまる方は、セベラマー塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
セベラマー塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・シプロフロキサシン
・甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシンなど)

上記を使用している方は、セベラマー塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
セベラマー塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
「セベラマー塩酸塩」はどういった薬ですが?

「セベラマー塩酸塩」は、血液中のリンを減らす効果があり、腎臓病でリンが増えているときに用います。

「セベラマー塩酸塩」を使用する際に気をつけることはありますか?

「セベラマー塩酸塩」は腸閉塞のある人は使用禁止となっています。腸管狭窄や消化管潰瘍など胃腸の病気、また便秘や痔のある人は慎重に用いてください。

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