ランジオロール塩酸塩

成分名

ランジオロール塩酸塩

適応症状

ランジオロール塩酸塩を主成分とする医療用医薬品はオノアクト点滴静注用50mg・オノアクト点滴静注用150mgそしてコアベータ静注用12.5mgの3種類が小野薬品株式会社より販売されていますが、各々適応症が異なります。

1)オノアクト点滴静注用50mg/150mgの使用について
【成人に使用する場合①~⑤の適応症が認められています】
①手術中に発生した頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、洞性頻脈)に対する緊急処置
②手術後において循環動態監視下で発生した頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、洞性頻脈)に対する緊急処置
③心機能が低下している患者において発生した頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動)
④生命に危険のある不整脈(心室細動、血行動態不安定な心室頻拍)で難治性かつ緊急を要する場合
⑤敗血症に伴う頻脈性不整脈(心房粗動、心房細動、洞性頻脈)

【小児に使用する場合⑥の適応症が認められています】
⑥心機能が低下している患者において発生した頻脈性不整脈(上室頻拍、心房細動、心房粗動)

2)コアベータ静注用12.5mgの使用について
①コンピューター断層撮影による冠動脈造影における高心拍数時の冠動脈描出能の改善

簡易説明

ラジオロール塩酸塩を主成分とする医療用医薬品であるオノアクト点滴静注用50mg/150mgは短時間作用型β1選択的遮断剤として効果を発現します。ラジオロール塩酸塩には血中濃度半減期が3.96分と言う特性があります。臨床現場において、投与2~3分後から速やかに心拍数の減少作用を示し、その効果は投与中も持続し、投与終了後は速やかに消失するとの報告があります。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/心臓内科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1瓶あたりの目安:12.5mg2,700円/50mg3,900円/150mg10,522円(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

【オノアクト点滴静注用50mg】
2002年7月5日:製造販売が承認されました。(旧販売名として)
2002年8月30日:薬価基準に収載されました。(旧販売名として)
2002年9月6日:販売開始しました。(旧販売名として)
【オノアクト点滴静注用150mg】
2015年2月10日:製造販売が承認されました。
2015年5月29日:薬価基準に収載されました。
2015年5月29日:販売開始しました。
【コアベータ静注用12.5mg】
2011年7月1日:製造販売が承認されました。
2011年9月12日:薬価基準に収載されました。
2011年9月15日:販売開始しました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

オノアクト点滴静注用50mg/150mg【製薬メーカー:小野薬品工業株式会社】
コアベータ静注用12.5mg【製薬メーカー:小野薬品工業株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

海外では発売されていません。

効果・作用

ランジオロール塩酸塩は
①手術中の不整脈に対する緊急処置
②手術後の不整脈に対する緊急処置
③心機能低下時に発生した不整脈
④難治性かつ緊急を要する不整脈
⑤敗血症に伴う不整脈にたいして効果のある医薬品になります。

その作用機序は、主に心臓に存在するβ1受容体に選択的に作用する事により、交感神経終末及び副腎髄質より遊離されるノルアドレナリン及びアドレナリンによる心拍数増加作用に拮抗する事で抗不整脈作用を発現します。

1)手術時には麻酔、気管内挿管、皮膚切開等の手術侵襲が、交感神経の緊張を生みカテコールアミンが分泌されます。このカテコールアミンはβ1及びβ2受容体に作用します。β1受容体が刺激されると頻脈性不整脈が生じ、心拍数の増加、心収縮力の増加により酸素需給悪化が生じます。
2)手術後においては麻酔・痛み・発熱・ストレスなどの持続的な自律神経興奮状態が交感神経の緊張を生みカテコールアミンを分泌します。このカテコールアミンがβ1受容体を刺激する事で頻脈性不整脈が発生します。
3)心機能低下(心不全)例における頻脈性不整脈(心房細動・心房粗動)では交感神を緊張させる事によりカテコールアミンの分泌を促進します。
4)心室性不整脈においては交感神経が不整脈基質である心臓リモデリングとトリガーである期外収縮に作用する事で心室頻拍や心室細動が生じます。
5)敗血症の場合、感染に伴う炎症亢進、臓器障害、循環動悸不安定化により交感神経の緊張が高まりカテコラミンが増加します。この増加したカテコラミンがβ1受容体に作用する事で頻脈性不整脈を発生します。

ランジオロール塩酸塩はいずれの場合においても選択的にβ1受容体を遮断する事によって頻脈の抑制並びに酸素需給の改善、心拍数低下、同調律復帰をもたらします。

使用方法

【①手術中の不整脈に対する緊急処置】
最初の1分間は0.125mg/kgで静注、その後1分間あたり0.04mg/kgで持続投与、なお投与中は1分間あたり0.01mg/kgから0.04mg/kgの範囲内で適宜調節可能です。

【②手術後の不整脈に対する緊急処置】
最初の1分間は0.06mg/kgで静注、その後1分間あたり0.02mg/kgで持続投与、投与開始後5~10分で、目標とする徐拍作用が得られない場合は、0.125mg/kgで1分静注後、1分間あたり0.04mg/kgで持続投与を行います。
投与中は1分間あたり0.01~0.04mg/kgの範囲で適宜調節可能です。

【③心機能低下時に発生した不整脈】
1分間あたり1μg/kgで静注、投与中は1分間あたり1μg/kgから10μg/kgの範囲で適宜調節可能です。

【④難治性かつ緊急を要する不整脈】
1分間あたり1μg/kgで静注、投与中は1分間あたり1μg/kgから10μg/kgの範囲で適宜調節可能です。
不整脈再発時には、最大1分間あたり40μg/kgまで増量する事が可能です。

【⑤敗血症に伴う不整脈】
1分間あたり1μg/kgで静注、維持量は適宜増減可能ですが、最大投与量は1分間あたり20μg/kgを超えない事とされています。

副作用

重大な副作用
1)ショック(0.1%)
過度の血圧低下があらわれる事があります。
2)心停止(0.2%)、完全房室ブロック(頻度不明)、洞停止(頻度不明)、高度徐脈(頻度不明)、
3)心不全(0.1%)
心不全の急激な憎悪が現れるおそれがあります。

【その他の副作用】
循環器、呼吸器、肝臓、その他の副作用が報告されております。

その他の副作用
循環器、呼吸器、肝臓、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)循環器
血圧低下(10%以上)
徐脈、ST低下、肺動脈圧上昇(1%未満)
2)呼吸器
喘息、低酸素血症(1%未満)
3)肝臓
AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン上昇(1~10%未満)
γーGTP上昇(1%未満)
4)その他
白血球増多、血小板減少、AlーP上昇、LDH上昇、BUN上昇、クレアチニン上昇、尿酸上昇(1%未満)

呼吸器の低酸素血症等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)心原性ショックの患者
心機能を抑制し、症状が悪化する恐れがある為使用できません。
2)糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者(但し、敗血症に起因する代謝性アシドーシスは除く)
アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強する恐れがある為使用できません。
3)房室ブロック(Ⅱ度以上)、洞不全症候群など徐脈性不整脈患者
刺激伝導系に対し抑制的に作用し、悪化させる恐れがある為使用できません。
4)肺高血圧症による右心不全のある患者
心機能を抑制し、症状が悪化する恐れがある為使用できません。
5)未治療の褐色細胞腫の患者
6)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■ランジオロール塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、オノアクト点滴静注用50mg/150mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼オノアクト点滴静注用50mg/150mgの有効成分
ランジオロール塩酸塩
▼代表薬の添加物
・D-マンニトール、pH調節剤
7)うっ血性心不全のある患者
心機能を抑制し、症状が悪化する恐れがある為使用できません。

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴のある患者
①気管支痙攣性疾患の患者
②コントロール不十分な糖尿病患者
③低血圧症の患者
④重篤な血液障害のある患者
⑤末梢循環障害のある患者(壊疽、レイノー症候群、間歇性跛行等)
⑥大量出血や脱水症状等により循環血液量が減少している患者
⑦褐色細胞腫の患者
⑧左室収縮機能障害のある患者
⑨非代償性心不全の患者
2)重篤な腎機能障害患者
3)重篤な肝機能障害患者
4)妊婦
5)授乳婦
6)小児等
7)高齢者

上記にあてはまる方は、ランジオロール塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ランジオロール塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤(レセルピン等)
2)血糖降下剤(インスリン等)
3)カルシウム拮抗剤(ベラパミル、ジルチアゼム等)
4)ジギタリス製剤
5)クラスⅠ抗不整脈剤(ジソピラミド、プロカインアミド等)、クラスⅢ抗不整脈剤(アミオダロン、ニフェカラント等)
6)クロニジン
7)交感神経刺激剤(アドレナリン等)
8)コリンエステラーゼ阻害剤(ネオスチグミン、ジスチグミン臭化物、エドロホニウム塩化物等)
9)フェンタニルクエン酸塩、プロポフォール
10)プロカイン、スキサメトニウム

上記を使用している方は、ランジオロール塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ランジオロール塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ランジオロール塩酸塩に関する
よくある質問
輸液量を減らして使用する事はできますか?

輸液量を減らすと濃度が高くなります。ラジオロール塩酸塩は濃度が高い状態でで使用した場合には、局所反応や皮膚壊死が発現する可能性があります。必ず輸液で溶解して使用する必要があります。
オノアクトQ&A 【小野薬品株式会社ホームページ】

ラジオロール塩酸塩は溶解後どのくらい安定性を保ちますか?

生理食塩液、注射用水で72時間後までの安定性を検討しています。但し、微生物による汚染には注意が必要です。
オノアクトQ&A 【小野薬品株式会社ホームページ】

参考元一覧

インタビューホーム 【小野薬品工業株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
オノアクトQ&A 【小野薬品株式会社ホームページ】

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