イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)

成分名

イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)

適応症状

ムコ多糖症Ⅱ型

簡易説明

イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)は日本で初めて承認されたムコ多糖症Ⅱ型に使用する酵素補充薬剤です。
ムコ多糖症Ⅱ型は主に男性に多くみられますが、ごくまれに女性が発症することもあります。
特定の酵素が不足することで命を脅かします疾患ですが、本剤は酵素を補充することが症状改善の作用機序となっています。
週1回約2時間前後の点滴静注のため、毎日投与しなくても治療を継続できる点が特徴です。日本ではサノフィが販売しています。

処方可能な診療科目

小児科/耳鼻咽喉科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
エラプレース点滴静注液6mg【製薬メーカー:サノフィ】6㎎1瓶383928円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

2007年10月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

エラプレース点滴静注液6mg【製薬メーカー:サノフィ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

アメリカでは2006年7月から、ヨーロッパでは2007年1月から承認されています。
世界で40か国以上で承認されています。

効果・作用

イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)は、男性に主にみられるムコ多糖症Ⅱ型に使用される薬剤です。
疾患では、酵素であるイズロン酸-2-スルファターゼが不足することで、X染色体に異常が生じます。
酵素が不足すると、組織障害や臓器機能不全をもたらしますが、本剤は酵素を補充することで蓄積されたGAGを分解し、症状を改善します。

海外においてムコ多糖症Ⅱ型患者96名を対象に臨床試験を実施しています。
96名のうち、日本人4名が含まれていました。試験に参加した患者背景としては、努力肺活量の予測値に対する%FVCが80%未満かつ、イズロン酸-2-スルファターゼの酵素活性が認められない5~31歳の男性としました。
本剤1kgあたり0.5mgを32名に毎週投与、32名に1週間ごとの投与、32名にプラセボを53週間投与しました。6分間歩行試験と%FVCの本剤投与開始時から53週目までの変化量をスコア化したところ、本剤毎週投与群はプラセボ群に比べて有効であることが示されました。
それぞれの項目の変化量を比較したところ、6分間歩行試験では本剤毎週投与群はプラセボ群に比べて歩行距離が35m増加していましたが、%FVCでは、両群の変化量に有意差はありませんでした。
プラセボ群では、治験中、尿中GAG濃度の値に変化はありませんでしたが、本剤毎週投与群では、53週目の平均尿中GAG濃度が正常範囲の上限値付近まで明らかに低下しました。
肝臓と脾臓の容積はプラセボ群と比べて、本剤毎週投与群では53週間をとおして減少しましたが、プラセボ群では変化がみられませんでした。

また、抗体産生について、海外における試験で調べています。
94名中47名、割合として50.0%に抗イデュルスルファーゼIgG抗体が発現しました。IgG抗体がプラスとなった患者では陰性被験者に比べて、尿中GAG濃度の減少効果は弱かったですが、本剤の有効性に与える抗体産生の影響は不明でした。
また、抗体がプラスの患者では、陰性被験者に比べIARが発現しやすい傾向にありましたが、抗体産生に関わらず、全体的な発現頻度は、本剤の投与継続に伴って、減少していました。

使用方法

1kgあたり0.5mgを週に1回静脈内に点滴投与します。

副作用

主に、頭痛、浮動性めまい、振戦、高血圧や悪心、咳嗽、下痢、発熱、皮疹などがあげられます。
項目別の発現頻度は以下の通りです。

血液およびリンパ系・・貧血/リンパ節炎/血小板減少症(5%未満)
精神系・・不安(5%未満)
神経系・・頭痛/浮動性めまい/振戦(5%以上)、意識レベルの低下/知覚過敏(5%未満)
眼・・流涙増加(5%以上)、アレルギー性結膜炎/霧視(5%未満)
耳および迷路・・回転性眩暈(5%未満)
心臓・・不整脈/チアノーゼ/動悸(5%未満)
血管・高血圧/潮紅/低血圧(5%以上)
呼吸器/胸郭および縦隔・・咳嗽/頻呼吸/喘鳴音(5%以上)、呼吸困難/鼻閉/気管支痙攣/咽頭炎/肺塞栓症/鼻漏(5%未満)
胃腸・・腹痛/悪心/下痢/舌腫脹(5%以上)、上腹部痛/胃腸炎/軟便(5%未満)
皮膚および皮下組織・・発疹/そう痒症/蕁麻疹/そう痒性皮疹/紅斑(5%以上)、斑状皮疹/湿疹/顔面浮腫(5%未満)
筋骨格系および結合組織・・関節痛/筋痛/筋痙攣/頚部痛/背部痛/骨痛(5%未満)
腎および尿路・・遺尿/夜間頻尿(5%未満)
全身障害および投与局所・・発熱/末梢性浮腫(5%以上)、悪寒/倦怠感/冷感/ 局所の炎症/注射部位関節腫脹/疼痛/異物感(5%未満)、注射部位腫脹(頻度不明)
臨床検査・・血中アルカリホスファターゼ増加/血中乳酸脱水素酵素増加/血中ビリルビン増加/血中
尿酸増加/ヘモグロビン減少/心拍数減少/心拍数増加(5%未満)

重大な副作用としては重度のIARに注意をしてください。頻度は不明ですが、本剤投与中と投与開始してから24時間以内に発現することがわかっております。呼吸窮迫、低酸素症、低血圧、血管浮腫、発作などのアナフィラキシー症状があらわれた場合には、すぐに投与を中止し、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤の投与や気道確保などの適切な処置を実施してください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼エラプレースの有効成分
イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)
▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸一水素ナトリウム七水和物、ポリソルベート20
・以前、 イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)を使用してアナフィラキシーショックとなったことのある方は使用できません。

使用に注意が必要な方
・重症な呼吸不全又は急性呼吸器疾患のある方は、IARによって症状が急速に悪化する可能性があるため使用には注意をしてください。
・妊婦又は妊娠している可能性のある方もしくは授乳婦
・5歳未満の小児に対しては試験を実施していないため使用に当たっては十分注意をしてください。
・高齢者は一般的に生理機能が低下していますので注意をしてください。

上記にあてはまる方は、イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)に関する
よくある質問
本剤を使用する際に注意をすることはありますか?

2点あります。①本剤は保存剤を使用していないため、希釈してから8時間以内に必ず投与をしてください。やむを得ない理由があって8時間以内に投与できない場合でも2~8℃の間で保管し、必ず24時間以内に投与を完了してください。②必ず0.2μmのインラインフィルターを用いて投与してください。

適用上の注意

【上記引用元:エラプレース点滴静注液6mg 医薬品インタビューフォーム】

本剤は女性に使用できますか?

ムコ多糖症Ⅱ型はX連鎖が劣性となっている遺伝疾患であり、主に男性に認められる疾患です。稀に女性の報告もありますが、本剤は女性への投与経験はありませんので、安全性・有効性は確立していません。

臨床使用に基づく情報

【上記引用元:エラプレース点滴静注液6mg 医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

エラプレース点滴静注液6mg 添付文書

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