ブセレリン酢酸塩

成分名

ブセレリン酢酸塩

適応症状

子宮内膜症/生殖補助医療における早発排卵の防止/中枢性思春期早発症/子宮筋腫の縮小及び子宮筋腫に基づく諸症状の改善(貧血、腰痛、下腹痛、過多月経)/生殖補助医療における卵胞成熟など

簡易説明

ブセレリン酢酸塩は、主に子宮内膜症や中枢性思春期早発症、子宮筋腫に関する諸症状の過多月経や下腹痛、貧血、腰痛の改善などに用いられます。
日本では、先発薬としてクリニジェンがスプレキュア点鼻液の商品名で販売しています。
子宮内膜症の病巣は、女性ホルモンの影響を受けて増殖、剥離、出血を繰り返して、生理のときに強い痛みを伴うことが多く、性交痛や排便痛も特徴的ですが、女性ホルモンをおさえることで、そのような病巣を小さくする効果があります。
効き目がよく、治療中はほとんどの人の症状が改善しますが、完全に治るわけではありません。一般に4か月~6か月間でいったん中止するため、その後再び症状が出て来ることがあります。

処方可能な診療科目

内科/産婦人科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~10,000円
薬代1瓶あたりの目安:スプレキュア点鼻液約7122.1円(15.75mg10mL1瓶)
薬代後発薬1瓶の目安:ブセレリン点鼻液 約5521.2円(15.75mg10mL1瓶)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1988年8月発売開始【スプレキュア点鼻液0.15%】

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

スプレキュア点鼻液0.15%【製薬メーカー:クリニジェン】

関連製品(ジェネリック)

ブセレリン点鼻液 0.15%「ILS」【製薬メーカー:日医工製品】
ブセレリン点鼻液0.15%「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】

海外での使用実績

各国で様々な商品名での取扱があります。
・Bucel(インドのCelon社)
・Suprefact, Suprefact-Pro(トルコのSanofi-Aventis)
・Zerelin(インドのGlenmark)
・Bigonist(フランスのSanofi-Aventis)
・Metrelef(ドイツのFerring)
・Profact(ドイツのSanofi-Aventis)
・Profact Depot(ドイツのApogepha Arzneimittel)
・Suprecur(イギリス、アイルランド、スウェーデン、フィンランド、オーストリア、デンマーク、香港、ノルウェーのSanofi社/リトアニアのHoechst-Biotika)
・Suprefact(イギリス、アイルランド、スウェーデン、ベルギー、マルタ共和国、アルゼンチン、オーストリア、デンマーク、エジプト、フランス、ハンガリー、イタリア、レバノン、メキシコ、マレーシア、ニュージーランド、オランダ、ポルトガル、シンガポール、南アフリカのSanofi社(各国名称省略)/スロヴェニアのSanolabor)
・Suprefact Depot(スウェーデン、ブラジル、スペイン、フィンラン、オーストリア、ブルガリア、オランダ、ポルトガルのSanofi社※各国名称省略)
・Suprefact E(タイのSanofi-Aventi)
・Supremon(台湾のSanofi-Aventis)

<獣医用>
動物を対象としたブセレリン酢酸塩の医薬品取扱があります。
・Busol(アイルランドのT.P. Whelehan/イギリスのAnimalcare/フィンランドのFaunapharma/フランスのLaboratoires Biové/オランダのLe Vet)
・Buserelin aniMedica(ドイツとオーストリアのaniMedica)
・Buserol(スイスのGräub)
・Porcemtal(アイルランドのIntervet Ireland/フランスのMSD Santé Animale Intervet)
・Réceptal/Receptal(フランスのMSD Santé Animale Intervet/オーストリア、ベルギー、イタリア、オランダ、ポーランド、スウェーデン、アイルランドのIntervet/ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、スイス、フィンランドのMSD)
・Veterelin(イタリア、アイルランド、オランダのLaboratorios Calier)

効果・作用

ブセレリン酢酸塩は、子宮内膜症や子宮筋腫を治療する薬です。下垂体-性腺系機能抑制作用を持っており、使用を継続することで性ホルモンの分泌を抑え、卵巣機能を抑えます。
子宮内膜症の病巣は、女性ホルモンの影響を受けて増殖、剥離、出血を繰り返し、生理の時に強い痛みを伴うことが多く、性交痛や排便痛も特徴的です。
ブセレリン酢酸塩は、その女性ホルモンを抑えることで病巣を小さくする効果を持っており、効き目が良く、治療中はほとんどの人の症状が改善されるとされています。しかし、完治する訳ではなく、一般的に4~6か月間で一度中止しますが、その後再び症状が出てくる場合もあります。性ホルモン分泌も抑えることから、中枢性思春期早発症も適応されます。
有効成分は、性腺刺激ホルモン放出の誘導体で、女性ホルモンの分泌が増えますが、2~3週間すると逆に女性ホルモンが低下します。主に子宮内膜症、また子宮筋腫の治療に用いられ、閉経のような状態にするため「偽閉経療法」と呼ばれることもあります。症状が重い場合や閉経に近い人に勧められることが多い薬となっています。

◆性腺刺激ホルモンとは
卵巣から分泌され、一般的に黄体形成ホルモンと濾胞刺激ホルモン(または卵胞刺激ホルモン)の2種類で成り立っています。主に卵胞の発育や成熟に大きく関与している働きがあります。

使用方法

[子宮内膜症、子宮筋腫]
・成人には1回あたり左右の鼻腔内に各々1噴霧ずつ(1回あたりブセレリンとして計300μg)を1日3回、月経周期1~2日目より投与します。なお、症状により適宜増減します。

[中枢性思春期早発症]
・左右の鼻腔に各々1噴霧投与を1回投与(1回あたりブセレリンとして計300μg)とし、通常1日3~6回投与します。効果不十分のときは皮下注射法に切り替えます。本剤の効果は、本剤投与前と比較した投与2週以降におけるGnRHテストの血中LH、FSHの反応性の低下及び血中性ステロイドの低下で判断します。

[生殖補助医療における卵胞成熟]
・左右の鼻腔に各々1噴霧投与を1回投与(1回あたりブセレリンとして計300μg)として、通常、採卵の34~36時間前に2回投与しますが、患者の反応に応じて、投与回数は1回~4回の範囲で適宜調節します。

■使い忘れの際の注意点
・使用開始1ヶ月以内の場合、気が付いた時点で速やかに噴霧し、通常の噴霧スケジュールに戻って下さい。ただし、次に使用する時間が近い際は、出来る限り時間をあけスケジュール通りに使用するようにして下さい。
・使用開始1ヶ月以上経過している場合、2~3日以内の使い忘れでは、その時点から噴霧を開始して、通常の噴霧スケジュールに戻って下さい。4日以上噴霧し忘れた際は、医師や薬剤師に相談して下さい。
いずれの場合も、絶対に2回分を一度に使用してはいけません。
■保管上の注意
・使用後はオーバーキャップを閉めて保管しましょう。

副作用

重大な副作用
▼ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、熱感、全身紅潮、血圧低下等)を起こすことがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼うつ症状(頻度不明)
更年期障害様のうつ症状を起こすことが報告されています。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼脱毛(頻度不明)
脱毛があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼狭心症、心筋梗塞、脳梗塞(いずれも頻度不明)
狭心症、心筋梗塞、脳梗塞があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼血小板減少、白血球減少(いずれも頻度不明)
血小板減少、白血球減少があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼不正出血(頻度不明)
大量の不正出血があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼卵巣のう胞破裂(頻度不明)
膨満感、下腹部痛(圧痛等)等の異常が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼糖尿病の発症又は増悪(いずれも頻度不明)
糖尿病の発症又は増悪があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

その他の副作用
・ほてり
・リビドー減退、外陰部そう痒感、腟乾燥
・腟炎、性交痛、視力異常、眼精疲労
・帯下
・子宮萎縮、卵巣過剰刺激症状、卵巣のう胞
・卵巣機能不全、卵巣過剰刺激症候群
・乳房緊満
・乳房萎縮、乳房痛
・乳汁分泌
・ざ瘡
・爪のわれ
・多毛、皮膚乾燥
・発疹、蕁麻疹
・湿疹、そう痒
・食欲亢進、嘔気・嘔吐、腹痛、腹部膨満感、食欲減退、便秘、下痢、口渇
・口内炎
・AST、ALT、LDH、ビリルビン上昇
・Al-P、γ-GTP上昇
・肩こり
・関節痛、腰痛、頸・背部痛
・痙攣、筋肉痛、胸痛
・骨・四肢等の疼痛
・頭痛
・めまい、多汗、神経過敏、傾眠、不眠、しびれ感
・嗄声、不安、健忘
・昏迷、片頭痛
・動悸、浮腫
・四肢冷感、血圧上昇
・鼻炎
・鼻出血、呼吸困難
・咽頭痛、喘息様症状
・貧血
・体重増加、疲労、倦怠、トリグリセライド上昇、耳鳴
・咳、耐糖能の悪化、体重減少、悪寒、発熱、コレステロール上昇、脱力感、味覚・嗅覚異常
・甲状腺腫大、下垂体腺腫、難聴

極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■診断のつかない異常性器出血のある患者
診断のつかない異常性器出血のある患者は、類似疾患(悪性腫瘍など)のおそれがあります。投与しないでください。
■妊婦又は妊娠している可能性のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある患者には投与しないでください。

■授乳期の患者
授乳期の患者には投与しないでください。

■本剤の成分又は他のGnRH誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分又は他のGnRH誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。

■ブセレリン酢酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方スプレキュア点鼻液は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼スプレキュア点鼻液の有効成分
ブセレリン酢酸塩
▼代表薬の添加物
・クエン酸ナトリウム水和物
・塩化ナトリウム
・ベンザルコニウム塩化物
・pH調節剤

使用に注意が必要な方
■うつ病又はうつ状態の患者並びにそれらの既往歴のある患者
うつ病又はうつ状態の患者並びにそれらの既往歴のある患者は、更年期障害様のうつ症状があらわれるおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■粘膜下筋腫のある患者
粘膜下筋腫のある患者は、出血症状の増悪、あるいは大量出血のおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■高血圧症の患者
高血圧症の患者は、血圧を上昇させるおそれがあります。患者の血圧に注意して慎重に投与してください。

■糖尿病の患者
糖尿病の患者は、耐糖能が悪化するおそれがあるので患者の血糖値に注意してください。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■脳血管障害、冠動脈疾患又はその既往歴のある患者
脳血管障害、冠動脈疾患又はその既往歴のある患者は、血管病変が進行し、これらの疾患が増悪することがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■肝機能障害患者
肝機能障害患者は、肝機能が悪化するおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■小児等
低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していません。

上記にあてはまる方は、ブセレリン酢酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ブセレリン酢酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・性ホルモン製剤(エストラジオール誘導体、エストリオール誘導体、結合型エストロゲン製剤、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤、両性混合ホルモン剤など)
・糖尿病薬(インスリン製剤、グリベンクラミドなど)

上記を使用している方は、ブセレリン酢酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ブセレリン酢酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はございません。

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
薬の使用方法で注意点はありますか?

基本的にはブセレリン酢酸塩として点鼻薬を鼻腔内に噴霧して使用します。その際に吸収を安定させるため、使用前に鼻をかみ、鼻腔の通りを良くして下さい。頭を少し傾け鼻腔に噴霧器を奥まで垂直に入れ、鼻から息を吸い込みながら、鼻腔内一気に噴霧して下さい。噴霧後は、薬液が奥まで広がるよう、頭を後ろに傾け、静かに鼻で呼吸をして下さい。

適応する症状によって気を付ける点はありますか?

子宮内膜症や子宮筋腫で使用している場合は、基本的に避妊をして下さい。避妊は飲み薬以外の方法で行なって下さい。
また、この薬または同類薬の長期使用によって、骨量の低下が見られる可能性があります。6ヵ月を超える継続使用は原則として行いません。ただし、医師の判断により6ヵ月を超えて使用する場合は、骨量の検査が行われます。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。