ミトタン

成分名

ミトタン

適応症状

副腎癌・手術適応とならないクッシング症候群

簡易説明

ミトタンは副腎癌または、手術の適応とならないクッシング症候群に適応のある医薬品です。
以下の症状に対し作用することで治療することができます。
1)副腎癌
副腎とは腎臓の上部にある組織で、主にアルドステロン、コルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンなどのホルモンを作る細胞です。
副腎は副腎皮質と副腎髄質で構成されておりますが、副腎皮質の細胞から発生する悪性腫瘍のことを副腎癌と呼びます。
2)クッシング症候群
また副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンはあらゆる生体機能を調整します。
副腎の良性腫瘍やがん、結節性過形成、下垂体腫瘍等が原因でコルチゾールが過剰に分泌されるようになる事とをクッシング症候群と呼びます。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/腎臓内科/泌尿器科等

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

疾患によって治療方針・検査項目がことなります。
病院によっても若干前後しますがおおよそ以下の通りですが、検査する項目が多ければさらに加算されます。例えば、レントゲン・CT検査・MRI検査・核医学検査などがあります。その他、血液検査、尿検査、病理組織検査等もあります。適応症においては薬物療法よりも摘出手術を優先する場合がございます。検査項目、治療方針に関しては病院でご確認ください。
診察料としては3500円~5000円
検査料としては3500円~
薬剤料としては4300円(1日分)[オペプリムとして換算]~

厚生労働省による認可、または発売年月日

1983年9月21日製造販売承認
1984年3月17日薬価基準収載
1984年3月17日販売

国内のジェネリック認可

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関連製品(先発薬)

オペプリム【製薬メーカー:株式会社ヤクルト本社】

関連製品(ジェネリック)

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効果・作用

ミトタンは副腎癌及び手術の適応とならないクッシング症候群に効果があると定義されております。

手術の適応とならないクッシング症候群については、下垂体性ACTH過剰分泌によるクッシング症候群(クッシング病)の患者には、下垂体腺腫摘出及び下垂体放射線照射等の方法も考慮することとされております。

【重要な基本的注意】
1)投与量が確定するまで治療は入院中に開始する事。
2)長期連続大量投与により、脳の機能障害を起こすことがあります。治療を長期継続する場合には、一定期間ごとに行動的及び神経学的評価を行うことが必要とされます。
3)めまい、嗜眠等が現れることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させることとされております。

【病態生理】
副腎癌については前述でも述べた通りですが、こちらは罹患率が100万人に2人程度という珍しいがんになります。副腎癌にかかりやすい年齢は10歳前後と40~50歳代で、女性は男性に比べて1.5~3倍多くなります。
またクッシング症候群はその病態毎に以下のように分類されます。
1)副腎性クッシング症候群
2)ACTH依存性クッシング症候群
3)薬剤性クッシング症候群
いづれの場合においても症状として体重が増えたり、顔が丸くなったり、血糖値や血圧が高くなったりという症状を引き起こすのが特徴となります。
なお、原発性アルドステロン症やクッシング症候群など、副腎にできる腫瘍を創傷して副腎腫瘍と呼びますが、この場合はほとんどが良性腫瘍を指します。副腎腫瘍が悪性化して副腎癌に変化することはないと言われております。

【ミトタンの作用機序】
①細胞毒作用(壊死作用):副腎組織の変化は皮質に選択的であり、特に皮質の束状層の萎縮や壊死が認められています。
②ステロイド合成阻害作用:ステロイド分泌量の低下が認められるが、その合成阻害部位は、まだ決定されていません。
③ステロイド代謝への作用:コルチゾールの代謝物のうち、6βーヒドロキシ体を増加させます。
以上の作用から手術の適応とならない重度のクッシング症候群や副腎癌に用いられます。

使用方法

通常成人1回1カプセル~2カプセル1日3回経口投与から開始し、有効量まで漸増し、以後、症状、血中・尿中ステロイド濃度、副作用等により適宜増減する

副作用

重大な副作用
1)胃潰瘍・胃腸出血(頻度不明)
2)紅皮症(頻度不明)
3)認知症・妄想(頻度不明)
4)副腎不全(頻度不明)
5)低血糖(頻度不明)
6)腎障害(尿細管詳細)(頻度不明)
7)肝機能障害・黄疸(頻度不明)

その他の副作用
1)消化器
食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢(10%以上)
便秘、口渇(10%未満)
口内異常感、腹痛(頻度不明)
2)皮膚
発疹(10%以上)
脱毛、掻痒(10%未満)
色素沈着、皮膚乾燥(頻度不明)
3)中枢神経系
嗜眠(10%以上)
頭痛、眩暈(10%未満)
歩行不安定、脳波異常、言語障害、振戦、不穏、不安、健忘、神経過敏、神経症、痺れ(頻度不明)
4)内分泌
女性型乳房(10%未満)
帯下増加、性器出血、ACTH高値(頻度不明)
5)肝臓
AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、γーGTP上昇(10%以上)
6)代謝・栄養
総コレステロール上昇(10%以上)
低尿酸血症、低ナトリウム血症、低カリウム血症(頻度不明)
7)血液
白血球減少(10%未満)
貧血、血小板減少、眼底出血(頻度不明)
8)腎臓
浮腫、乏尿、血漿レニン活性上昇(頻度不明)
9)循環器
高血圧、動機、QT延長(頻度不明)
10)その他
味覚異常、関節痛、筋肉痛(10%未満)
全身倦怠感、耳鳴り、腰痛、発熱、のぼせ、脱力感(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
【警告】
ショック時や重篤な外傷を受けたときには、一時的に投与を注意すること
●副腎抑制を起こす恐れがあります。

1)重篤な外傷のある患者
●副腎抑制を起こす恐れがあります。
2)スピロノラクトン、ベントバルビタール、ドラビリンを投与中の患者

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
 ①本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
 ●治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。

有効成分:オペプリム
添加剤:カプセル内容物(セラセフェート、ステアリン酸マグネシウム、タルク)、カプセル本体(ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチン)

 ②無月経の症状を呈している患者
 ●本剤の作用により月経が再開することがあります。

2)肝機能障害患者
 ①副腎皮質からの転移腫瘍以外の肝疾患のある患者
 ●代謝が妨げられて蓄積する恐れがあります。

3)生殖能を有する者
●妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後十分な期間適切な避妊をするよう指導することとされております。

4)妊婦
●妊娠又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験は実施していません。

5)授乳婦
●治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

6)小児等
●小児等を対象とした臨床試験は実施していません。小児において、5~6カ月後に中枢神経症状が発現し、急激な血漿中濃度の上昇を来していたとの報告はあります。

7)高齢者
●減量するなど注意すること。一般に高齢者では生理機能が低下しております。

上記にあてはまる方は、ミトタンを使用する事が出来ない可能性があります。
ミトタンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
エプレレノン(セララ錠25mg/50mg)
エサキセレノン(ミネブロ錠1.25mg/2.5mg/5mg・ミネブロOD錠1.25mg/2.5mg/5mg)
●ミトタンの薬効をこれらの薬剤の類薬(スピロノラクトン)が阻害するため、こちらの医薬品においても同様の作用があるとされております。

トリロスタン(デソパン錠80mg)
●トリロスタンは副腎皮質ステロイドホルモン生合成阻害作用を有します。その為副腎皮質機能抑制作用が増強する恐れがあります。

CYP3A4で代謝を受ける薬剤
ミダゾラム(ドルミカム注射液10mg2mL、ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg)
アムロジピン(ノルバスク錠2.5mg/5mg/10mg・ノルバスクOD錠2.5mg/5mg/10mg、アムロジン錠2.5mg/5mg/10mg・アムロジンOD錠2.5mg/5mg/10mg)
クラリスロマイシン(クラリス錠50mg小児用50mg、クラリシッド錠50mg小児用、クラリス錠200mg、クラリシッド錠200mg)等
●ミトタンは肝チロクロームPー450(CYP3A4)を誘導するため、CYP3A4で代謝を受ける薬剤の血中濃度に影響を与える可能性があります。その為塀用薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱する恐れがあります。

上記を使用している方は、ミトタンを使用する事が出来ない可能性があります。
ミトタンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
スピロノラクトン(アルダクトンA):機序は明確ではないが、ミトタンの薬効が阻害されるおそれがあります。
ペントバルビタール(ラボナ):機序は明確ではないが、ペントバルビタールの睡眠作用が減弱する恐れがあります。
ドラピリン(ビフェルトロ):本剤の肝チロクロームPー450(CY33A4)誘導作用により、ドラピリンの代謝が促進され、血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがあります。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
薬物療法と手術ではどちらが優先されるか?

副腎癌は悪性度が高く、急速に進行します。5年生存率は16~44%とされており、転移がなければ手術が検討されます。クッシング症候群においても手術での腫瘍摘出が第一の治療となります。

服用量は有効量まで漸増しとあるがどこまで増量するのか?

血中濃度を測定しながら検討しますが、特に血漿中濃度が20μg/mLを超えた場合に中枢神経症状が多く認められる為過量投与には注意が必要となります。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。