プラリドキシムヨウ化物

成分名

プラリドキシムヨウ化物

適応症状

有機リン剤の中毒

簡易説明

プラリドキシムヨウ化物を主成分とする医薬品であるパム静注500mgは有機リン剤における中毒解毒剤として効果を発現します。農薬等に用いられる有機リン剤による中毒とは、有機リン剤が生体内におけるコリンエステラーゼを阻害する事によってアセチルコリンの過剰伝達が起こる事によって発現します。
プラリドキシムヨウ化物はアトロピン硫酸塩の抗コリン作用とは作用機序が異なり、有機リン剤によるコリンエステラーゼ活性阻害に対する拮抗作用により中毒症状を抑制します。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/皮膚科/脳神経外科内科/泌尿器科/精神科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1管あたりの目安:500mg約1,000円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

プラリドキシムヨウ化物を主成分とする医薬品であるパム静注500mgは1958年4月22日に製造販売が承認され、1958年3月1日に薬価基準に収載されました。その後1958年5月に販売が開始されました。
また、販売名変更に伴い2006年7月26日に改めて製造販売が承認され、2006年12月8日に新たに薬価基準に収載されました。その後2007年3月に販売開始となりました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

パム静注500mg【製薬メーカー:住友ファーマ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

米国ではBaxter Healthcare Corporation(会社名)がPROTOPAM CHLORIDE(販売名)を1964年3月に承認されました。

効果・作用

プラリドキシムヨウ化物を主成分とする医薬品であるパム静注500mgは有機リン剤の中毒にたいして効果のある医薬品になります。

【作用機序】
正常時では神経伝達で生じたアセチルコリンはコリンエステラーゼによって酢酸とコリンに分解する事で刺激が中断されます。
有機リン剤による中毒は有機リン化合物が生体内においてコリンエステラーゼに結合し、有機リン剤の加水分解により、リン酸化する事で、コリンエステラーゼが阻害状態となり、アセチルコリンの分解を阻止してしまい、過剰のアセチルコリンが蓄積する事により、神経感受器をアセチルコリンが過剰に刺激する事によって中毒症状を起こします。有機リン剤により阻害状態となったコリンエステラーゼは自然回復もしますが極めて緩徐です。
プラリドキシムヨウ化物はこのリン酸エステルをコリンエステラーゼから離脱させる事によって、数分以内にコリンエステラーゼの酵素活性を回復させる事が出来ます。

【安全性薬理試験より】
1)呼吸に対する作用
動物実験より100~150mg/kgを静脈内投与した場合、呼吸中枢の鎮静を示しました。
2)血圧に対する作用
動物実験より100~200mg/kgの大量を静脈内投与した場合、一過性の血圧低下が認められました。
3)末梢血行動態に対する影響
動物実験の耳介血管灌流試験において、10~20mg/kgの投与で血管拡張が認められました。
4)コリンエステラーゼ阻害作用
プラリドキシムヨウ化物は有機リン剤によるコリンエステラーゼ阻害作用に拮抗しますが、逆に高濃度のプラリドキシムヨウ化物はコリンエステラーゼ活性を阻害する事が報告されています。

【主な有機リン剤】
アセフェート、アミプロホスメチル、イソキサチオン、イソフェンホス、エチオン、エチルチオメトン、カズサホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、ジメチルビンホス、ジメトエート、スルプロホス、ダイアジノン、チオメトン、トルクロホスメチル、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリミホスメチル、ブタミホス、プロチオホス、プロパホス、プロフェノホス、ホサロン、ホスチアゼート、ホルモチオン、マラソン(マラチオン)、メスルフェンホス、モノクロトホス、BRP、CVMP(テトラクロルビンホス)、CVP、CYAP、DDVP(ジクロルボス)、DEP、DMTP、ECP、EDDP、EPN、IBP(イプロベンホス)、MEP(フェニトロチオン)、MPR、PAP、SAP(ベンスリド)
その他の農薬にカーバメート剤、ピレスロイド剤があります。但し、これらの農薬中毒に対してはプラリドキシムヨウ化物は無効とされています。

使用方法

パム静注500mgの主成分であるプラリドキシムヨウ化物を用いて通常成人に投与する場合には、1回1gを静脈内に徐々に注射します。
なお、投与する患者の年齢及び症状によっては適宜増減する事が認められています。

副作用

その他の副作用
消化器、循環器、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)消化器
嘔気(0.1~5%未満)
口内苦味感(頻度不明)
2)循環器
胸内苦悶、不整脈(0.1~5%未満)
3)その他
軽度不快感(0.1~5%未満)
下顎疲労感、ヨード過剰症状(鼻咽頭灼熱感、耳下腺痛)(頻度不明)

頻度不明のヨード過剰症状等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■プラリドキシムヨウ化物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、パム静注500mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼パム静注500mgの有効成分
プラリドキシムヨウ化物
▼代表薬の添加物
・生理食塩液

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①重症筋無力症の患者
筋肉症状に十分注意する必要があります。健常人と異なる反応を示す事がある為使用には注意が必要です。
2)腎機能障害患者
本剤は主に腎臓で排泄される為腎機能障害患者においては排泄の遅延が生じる恐れがある為使用には注意が必要です。
3)妊婦
臨床試験において類似化合物であるプラリドキシム-2-メタンスルホネートを家兎に大量投与した際、胎仔へ移行する事が認められている為使用には注意が必要です。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する事とされています。
4)授乳婦
有機リン剤の影響、本剤の治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討しなければなりません。

上記にあてはまる方は、プラリドキシムヨウ化物を使用する事が出来ない可能性があります。
プラリドキシムヨウ化物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)アトロピン
機序は不明ですが混注によって薬効発現が遅延する事がある為併用には注意が必要です。
併用する必要がある場合には両剤を混合せず、個別に投与する事とされています。
2)糖尿病治療中の患者
本剤を投与中の患者において、実際の血糖値よりも高値を示す事があります。その偽高値に基づきインスリン等の血糖降下剤を投与する事によって、昏睡等の重篤な低血糖症状を現す恐れがある為使用には注意が必要です。

上記を使用している方は、プラリドキシムヨウ化物を使用する事が出来ない可能性があります。
プラリドキシムヨウ化物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

プラリドキシムヨウ化物に関する
よくある質問
プラリドキシムヨウ化物を投与し始めてどのぐらいで効果が現れますか?

臨床試験においてヒトにプラリドキシムヨウ化物を静脈内投与した場合、投与終了後1分後に血中濃度が最高値を示したとの報告があります。
インタビューホーム 【住友ファーマ株式会社】

プラリドキシムヨウ化物を投与した場合どの位の時間効果が持続しますか?

臨床試験の結果より血中濃度半減期は約0.9時間と報告されています。3時間後にはほぼ消失してしまいます。
インタビューホーム 【住友ファーマ株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【住友ファーマ株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

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