メキシレチン塩酸塩

成分名

メキシレチン塩酸塩

適応症状

1. 頻脈性不整脈(心室性)
2. 糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善

簡易説明

メキシレチン塩酸塩はその作用機序からNaチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)と呼ばれております。頻脈性不整脈に効果が期待されております。
まず不整脈とは、心臓の脈の打ち方が乱れることを言います。その不整脈にはいくつか種類があり、脈が飛んだりリズムが乱れる期外収縮性不整脈、通常より脈が遅くなる徐脈性不整脈、そして、通常より脈が速くなる頻脈性不整脈があります。
安静時の正常な脈拍は1分間に50回から100回となっておりますが、1分間に100回以上の場合に頻脈性不整脈と診断されます。
症状としては疲労感や息苦しさを伴ったり、めまいやふらつきが生じることがあります。また失神やけいれんといった重たい症状になることや、場合によっては突然死の引き金にもなります。
また神経障害性疼痛の治療にも用いられておりますがこちらは保険適応上糖尿病性における疾患に限られております。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

疾患によって治療方針・検査項目がことなります。
病院によっても若干前後しますがおおよそ以下の通りですが、検査する項目が多ければさらに加算されます。不整脈であればホルター心電図の検査が必要になります。末梢神経障害であれば糖尿病の診断が必要となります。詳細に関してはかかりつけの病院でご確認ください。
診察料としては3500円~5000円
検査料としては3000円~
薬剤料としては1700円(30日分)[メキシチールカプセル100mgとして換算]~
*病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

【メキシチールカプセル50mg/100mg】
1985年1月31日製造販売承認
1985年7月29日薬価基準収載
1985年7月29日発売

【メキシチール点滴静注125mg】
2008年9月5日製造販売承認
2008年12月19日薬価基準収載
1987年9月9日発売

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

メキシチールカプセル50mg/100mg【製薬メーカー:太陽ファルマ株式会社】
メキシレチン塩酸塩100mg「KCC」【製薬メーカー:共和クリティア株式会社】
メキシチール点滴静注125mg5mL【製薬メーカー:太陽ファルマ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

メキシレチン塩酸塩錠50mg「杏林」【製薬メーカー:キョーリンリメディオ株式会社】
メキシレチン塩酸塩錠100mg「杏林」【製薬メーカー:キョーリンリメディオ株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル50mg「YD」【製薬メーカー:株式会社陽進堂】
メキシレチン塩酸塩カプセル50mg「JG」【製薬メーカー:日本ジェネリック株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル50mg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル50mg「ツルハラ」【製薬メーカー:鶴原製薬株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル50mg「日医工」【製薬メーカー:日医工株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル50mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル100mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル100mg「JG」【製薬メーカー:日本ジェネリック株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル100mg「YD」【製薬メーカー:株式会社陽進堂】
メキシレチン塩酸塩カプセル100mg「日医工」【製薬メーカー:日医工株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル100mg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
メキシレチン塩酸塩カプセル100mg「ツルハラ」【製薬メーカー:鶴原製薬株式会社】

効果・作用

メキシレチン塩酸塩は頻脈性不整脈及び糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、痺れ感)の改善に保険適応が認められております。

(1)作用機序
1)頻脈性不整脈 (心室性) に対する作用機序
メキシレチン塩酸塩は心筋細胞におけるNa+の通り道であるNaチャネルを阻害(遮断)し、Na+の細胞内への流入を抑えることで活動電位の立ち上がり速度を抑えて脈を整える作用を表します。抗不整脈薬はその作用などにより、I群からⅣ群に分類されますが、メキシレチン塩酸塩はI群に属する薬剤となります。

1)不整脈の作用機序
脈は心臓の拍動による振動が末梢血管に伝わったものであり、心臓の拍動は心筋細胞の活動によって起こります。心筋細胞は電気信号によって活動し、この電気信号に乱れが生じることで不整脈が起こります。通常は心筋細胞内にNa+が流入し細胞の活動が始まり、K+が細胞外へ放出されて活動が収まります。しかし不整脈では何らかの原因によって普段は起こらないところで心筋細胞の活動が起こることがあります。K+の細胞外への放出による活動電位が収まりきる前に再びNa+の電気信号により心筋細胞の活動が始まってしまうような頻脈性の不整脈では、Na+の細胞内への流入を阻害することで活動電位の立ち上がりの速度を抑えることが改善方法の一つとなります。

2)糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善に対する作用機序
神経細胞膜のNaチャネルを遮断することで、傷害された小径有髄線維と無髄線維の再生過程における異常発火を抑制します。また、中枢神経系における、痛みの伝達物質であるサブスタンス P の遊離抑制作用、上位中枢からの内因性オピオイドを介する下行性疼痛抑制神経の賦活により脊髄後角ニューロンの過剰興奮を抑制します。これらの機序により、痛みの閾値を上昇させ、鎮痛効果を発現するとされております。

使用方法

【メキシチールカプセル50mg/100mg】
1.頻脈性不整脈(心室性)
通常、成人にはメキシレチン塩酸塩として、1日300mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は450mgまで増量し、1日3回に分割し食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
2. 糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善
通常、成人にはメキシレチン塩酸塩として、1日300mgを1日3回に分割し食後に経口投与する。

用法・用量に関連する使用上の注意
1.頻脈性不整脈(心室性)に投与する場合
1日用量450mgを超えて投与する場合、副作用発現の可能性が増大するので注意すること。
2.糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善を目的として投与する場合
(1)2週間投与しても効果が認められない場合には、投与を中止すること。
(2)1日300mgの用量を超えて投与しないこと。

【メキシチール点滴静注125mg】
『静脈内1回投与法』
通常成人には1回1管(メキシレチン塩酸塩として125mg、2〜3mg/kg)を必要に応じて生理食塩液又はブドウ糖液等に希釈し、心電図の監視下に臨床症状の観察、血圧測定を頻回に行いながら5〜10分間かけ徐々に静脈内に注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
『点滴静脈内投与法』
静脈内1回投与が有効で、効果の持続を期待する場合に、心電図の連続監視下に臨床症状の観察、血圧測定を頻回に行いながら点滴静脈内注射を行う。
通常成人には、次のいずれかの方法で投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(1)シリンジポンプを用いる場合
1管(メキシレチン塩酸塩として125mg)を必要に応じて生理食塩液又はブドウ糖液等に希釈し、1時間にメキシレチン塩酸塩として0.4〜0.6mg/kgの速度で投与する。
(2)微量調整用の自動点滴装置又は微量調整用の輸液セットを用いる場合
1管(メキシレチン塩酸塩として125mg)を必要に応じて生理食塩液又はブドウ糖液等500mLに希釈し、メキシレチン塩酸塩として0.4〜0・6mg/kg/時(体重50kgの場11分間に1.3〜2.0mLに相当)の速度で投与する。

副作用

重大な副作用
1)中毒性表皮壊死症(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(0.1%未満)、紅皮症(0.1%未満)
2)過敏性症候群(頻度不明)
3)心室頻拍(0.1%未満)、房室ブロック(頻度不明)
4)腎不全(頻度不明)
5)幻視、錯乱(頻度不明)
6)肝機能障害(0.1%~5%未満)、黄疸(0.1%未満)
7)間質性肺炎、好酸球性肺炎(頻度不明)
(類薬)
・心停止、心室細動、失神、洞房ブロック、徐脈

その他の副作用
・循環器
動機(0.1~5%未満)
徐脈、起立時めまい、QRS延長、血圧上昇、浮腫、胸部圧迫感、心房細動(0.1%未満)
低血圧(頻度不明)
・消化器
悪心・嘔吐、食欲不振、胸やけ、胃・腹部不快感、口渇、便秘、下痢、腹部膨満感、消化不良、腹痛(0.1~5%未満)
嚥下障害、口唇炎、舌炎、胃痛(0.1%未満)
食道炎、食道潰瘍(頻度不明)
・精神神経系
振戦、めまい、痺れ感、眠気、頭痛(0.1~5%未満)
不眠、耳鳴り、眼振、イライラ感、複視、発汗、意識障害(0.1%未満)
痙攣、譫妄、構音障害(頻度不明)
・過敏症
掻痒感、全身発疹(0.1~5%未満)
発熱、蕁麻疹、紅斑(0.1%未満)
多形(滲出性)紅斑(頻度不明)
・肝臓
尿ウロビリノゲンの上昇(0.1%未満)
・腎臓
BUN、クレアチニンの上昇(0.1%未満)
腎機能障害(頻度不明)
・血液
白血球数異常、赤血球減少、血色素量減少、ヘマトクリット減少、血小板数異常、好酸球増多、リンパ球減少、好中球増多(0.1%未満)
顆粒球減少(頻度不明)
・泌尿器
排尿困難、尿閉、尿失禁(0.1%未満)
・その他
咽頭違和感、にがみ、倦怠感、咳、足のこわばり、血清カリウム・総コレステロールの上昇、脱力感、ほてり(0.1%未満)
味覚異常(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

有効成分
 メキシレチン塩酸塩
添加物
 本剤は添加物としてトウモロコシデンプン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウムを含有します
カプセル本体には、以下の添加物を含有します

メキシチール50mg:赤色3号、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、軽質無水ケイ酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、氷酢酸、タルク、ゼラチン

メキシチール100mg:赤色3号、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、軽質無水ケイ酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、氷酢酸、タルク、ゼラチン

2.重篤な刺激伝統障害(ペースメーカー未使用のⅡ~Ⅲ度房室ブロック等)のある患者
『原則禁忌』
糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、痺れ感)の改善を目的として投与する場合における重篤な心不全を合併している患者

使用に注意が必要な方
1.基礎疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者
2.軽度の刺激電動障害(不完全房室ブロック、脚ブロック等)のある患者
3.著名な洞性徐脈のある患者
4.重篤な肝・腎障害のある患者
5.心不全のある患者
6.低血圧の患者
7.パーキンソン症候群の患者
8.高齢者
9.血清カリウム低下のある患者
10.他の抗不整脈薬による治療を受けている患者

上記にあてはまる方は、メキシレチン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
メキシレチン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
リドカイン
プロカインアミド
キニジン
アプリンジン
カルシウム拮抗剤
β受容体遮断剤
アミオダロン
胃排出能を抑制する薬(モルヒネ等)
肝薬物代謝酵素機能(特にチロクロームPー450系のCYP1A2及び2D6)に影響を与える薬剤
シメチジン
リファンピシン
フェニトイン
テオフィリン
尿のpHをアルカリ化させる薬剤(炭酸水素ナトリウム等)
尿のpHを酸性かさせる薬剤(塩化アンモニウム等)

上記を使用している方は、メキシレチン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
メキシレチン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
車の運転はしても大丈夫ですか?

頭がボーッとしたり、めまいなどが現れることがありますので、車の運転など危険を伴う機械の操作は行わないようにしてください。

成人ではなく小児への使用は可能ですか?

原則として「小児の頻脈性不整脈(心室性)」に対して「5~10mg/kg/日を1日3回に分けて」処方した場合、当該使用事例を審査場認められておりますので使用は可能です。しかし、使用上の注意において、「低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。」と記載があることに留意して使用されるべきものであります。

帯状疱疹後の神経痛にも効果はありますか?

メキシレチンは保険適応上帯状疱疹後神経疼痛に使用はできません。しかし、薬理作用上効果は期待できますので、医師によってはセカンドチョイスとして使用される場合がございます。かかりつけ医にご相談くださいますようお願いします。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。