成分名 |
エテルカルセチド塩酸塩 |
適応症状 |
血液透析下における二次性副甲状腺機能亢進症 |
簡易説明 |
エテルカルセチドは、血液透析下における二次性副甲状腺機能亢進症に対して使用されます。エテルカルセチドはカルシウム受容体を作動することで効果を発揮しますが、副甲状腺細胞表面におけるカルシウム受容体に直接はたらきかける特徴をもつので、血液中のカルシウム値を上昇させずに副甲状腺ホルモンの分泌を抑制し、血液中のリン値を低下させることができます。 |
処方可能な診療科目 |
内科/内分泌科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:2.5mg約730円/5mg約1,091円/10mg約1,596円(薬価)
薬代後発薬1瓶の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月:2017年2月 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
パーサビブ静注透析用2.5mg/5mg/10mg(小野薬品工業) |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
エテルカルセチドは、血液透析下における二次性副甲状腺機能亢進症に対して使用されます。
二次性副甲状腺機能亢進症は、慢性腎不全の方に高い頻度で発症し、副甲状腺ホルモンの過剰分泌を引き起こす合併症です。慢性腎不全が進行すると、リンの体外への排泄が低下します。それに伴うビタミンD活性化障害によって血液中のカルシウム濃度が低下します。すると血液中のカルシウム濃度を高めるために副甲状腺ホルモンの分泌シグナルが過剰に刺激され、副甲状腺ホルモンの分泌が過剰になってしまいます。病態としては骨吸収が促進され、骨の痛みや関節の痛みが引き起こされ、骨から溶解したリンとカルシウムが全身の血管に蓄積して石灰化し、動脈硬化などの合併症リスクが高まることから、エテルカルセチドなどによる治療が推奨されています。
エテルカルセチドの具体的な作用メカニズムはカルシウム受容体を作動する点にあります。副甲状腺細胞表面におけるカルシウム受容体に直接はたらきかけることで、血液中のカルシウム値を上昇させずに副甲状腺ホルモンの分泌を抑制し、血液中のリン値も低下させます。エテルカルセチドは注射製剤なので、水分摂取が制限されていたり、リン吸着剤などの経口製剤を服用したりすることの多い透析患者さんにとってはコンプライアンス向上も期待できます。 |
使用方法 |
成人(15歳以上)のケース:エテルカルセチドとして1回5mgが開始用量となります。週3回の頻度で、透析終了時の返血時において透析回路静脈側に注入します。
その後は、使用する方の副甲状腺ホルモン(PTH)および血液中のカルシウム濃度を十分にモニタリングしながら、1回2.5〜15mgの範囲の中で医師の判断の元、適宜用量を調整しつつ週3回、透析終了時の返血時に投与します。
<使用上の注意>
・エテルカルセチド塩酸塩は血液中のカルシウムを低下させるので、血液中のカルシウム濃度が低くないことを確認してから使用を開始してください(目安:8.4mg/dL以上)。
・血液中のカルシウム濃度は、エテルカルセチド塩酸塩の使用開始時および用量を調整した時は週に1回のペースで測定し、維持期においては2週に1回以上のペースで測定してください。血液中のカルシウム濃度が8.4mg/dL未満に低下してしまったケースにおいては、以下の通り対応することが推奨されています。なお、血液中のカルシウム濃度検査は、エテルカルセチド塩酸塩の効果および副作用を正確に判断するために使用開始前に実施することが推奨されています
■血液中のカルシウム濃度:7.5mg/dL未満
直ちにエテルカルセチド塩酸塩の使用を中止してください。再開する場合、目安として8.4mg/dL以上に戻ったことを確認してから中止前の用量、もしくはそれ以下の用量から使用を再開してください。
■血液中のカルシウム濃度:8.4mg/dL未満
原則、エテルカルセチド塩酸塩の増量を行わずにカルシウム剤やビタミンD製剤の使用、エテルカルセチド塩酸塩の減量などの処置を実施してください。また、血液中のカルシウム濃度を週1回以上のペースで測定し、心電図検査も併せて実施することが推奨されています。エテルカルセチド塩酸塩を増量するケースにおいては、目安として血液中のカルシウム濃度が8.4mg/dL以上に戻ったことを確認してから増量してください。 |
副作用 |
重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・QTの延長
・心不全の増悪
・血液中のカルシウム減少、低カルシウム血症
※QTの延長、心不全の増悪、血圧低下、しびれ、筋けいれん、気分の不快感、不整脈、けいれんなどが引き起こされた場合は血液中のカルシウム濃度をモニタリングし、ビタミンD製剤やカルシウム剤の使用を検討してください。
その他の副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。
・胃腸障害:逆流性食道炎、はきけ、下痢、腹部の不快感、嘔吐、便秘、胃腸炎、悪心、心窩部不快感、痔、口の感覚マヒ、口内炎、軟便
・心臓障害:右脚ブロック、心房細動、心室性期外収縮、上室性期外収縮、心筋梗塞、頻脈性不整脈
・代謝、栄養障害:食欲の減退
・呼吸器、胸郭および縦隔障害:鼻出血
・全身障害:だるさ、胸の痛み、突然死
・筋骨格系および結合組織障害:筋けいれん、脊椎すべり症、側腹部の痛み、筋肉の痛み
・神経系障害:頭痛、味覚異常、手根管症候群、視神経炎、ジスキネジア、感覚異常
・眼障害:まぶたの炎症
・皮膚および皮下組織障害:斑状皮疹、発疹、じんましん、かゆみ
・感染症関連:単純ヘルペス
・血管障害:大動脈解離、低血圧
・臨床検査異常:高カリウム血症、心電図ST異常、尿量の減少、低リン酸血症
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ・エテルカルセチド塩酸塩を配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、パーサビブ静注透析用はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼パーサビブ静注透析用の有効成分
エテルカルセチド塩酸塩
▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム、コハク酸、調節剤
使用に注意が必要な方 ・低カルシウム血症を患っている方
※低カルシウム血症の悪化を引き起こす可能性があります。
・授乳している方
※授乳している方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ使用してください。
・妊娠している方
※妊娠している、または妊娠している可能性のある方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ使用してください(厳密には、投与しないことが推奨されています)。
※動物実験(ラット):母親に対する影響によって、生産児数の現象、生存率の低下、出生児における体重増加抑制、妊娠期間の延長が確認されています。また、エテルカルセチド塩酸塩が胎盤を通過することも確認されています。
※動物実験(ラットおよびウサギ):母親に対する影響(ふるえ、血液中のカルシウム値低下、体重減少)によって胎児の体重低値が確認されました、催奇形性は認められませんでした。
※動物実験(ラット):エテルカルセチド塩酸塩が乳汁中に移行することが確認されています。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください。
・小児など
※小児などを対象としている安全性および有効性を指標とした臨床試験が実施されていません。
上記にあてはまる方は、エテルカルセチド塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 エテルカルセチド塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン、デキサメタゾンなど)、カルシトニン、ビスホスホネート系薬剤(アレンドロン酸ナトリウム水和物、ミノドロン酸水和物、リセドロン酸ナトリウム水和物、イバンドロン酸ナトリウム水和物など)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(バゼドキシフェン酢酸塩、ラロキシフェン塩酸塩)、デノスマブ
※エテルカルセチド塩酸塩による血液中のカルシウム低下作用が増強される可能性があります。
上記を使用している方は、エテルカルセチド塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 エテルカルセチド塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
エテルカルセチド塩酸塩に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
パーサビブ静注透析用 【パーサビブ静注透析用 添付文書】 |
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