デプロドンプロピオン酸エステル

成分名

デプロドンプロピオン酸エステル

適応症状

円形脱毛症
乾癬
結節性痒疹
紅斑症
紅皮症
固定蕁麻疹
湿疹・皮膚炎群
掌蹠膿疱症
脂漏性皮膚炎
進行性指掌角皮症
蕁麻疹様苔癬
ストロフルス
ダリエ遠心性環状紅斑
中毒疹
日光皮膚炎
ビダール苔癬
虫さされ
薬疹
痒疹群
皮脂欠乏性湿疹
特発性色素性紫斑
マヨッキー紫斑
シャンバーグ病
多形滲出性紅斑
ジベル薔薇色粃糠疹

簡易説明

この薬はアトピー性皮膚炎や虫刺されなどに用いられることが多いです。先発品はエクラーという名前で軟膏、貼付剤、ローション剤、クリームとして販売されています。後発品は軟膏とクリームのみです。

ステロイド剤であり、強さは5段階中3番目のストロングです。そのため顔や陰部などの皮膚の薄い部分への使用はご注意ください。同じストロングのステロイド外用薬はメサデルム、リンデロンV、プロパデルム、ボアラ、フルコート、ドレニゾンがあります。

処方可能な診療科目

皮膚科、小児科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

成人 3割負担 アトピー性皮膚炎の場合
初診料900円+皮膚科特定疾患指導管理料300円+処方箋料200円+薬剤料・薬学管理料など約1,000円=約2,400円
別途処置料や検査料が加算されることがあります。

※上記の金額はあくまでも目安です。診察の内容、保険診療の負担割合、診療報酬改定などにより変動することがあります

厚生労働省による認可、または発売年月日

製造承認年月日 2003年2月27日
薬価基準収載年月日 2003年7月4日      
発売年月日<軟膏・クリーム> 1992年6月1日
発売年月日<ローション> 1997年12月19日
※製造承認年月日・薬価基準収載年月日については販売名変更による再承認、再収載年月日です。

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

久光製薬株式会社
エクラー軟膏0.3%
エクラークリーム0.3%
エクラーローション0.3%
エクラーブラスター20μg/cm²

関連製品(ジェネリック)

デプロドンプロピオン酸エステルクリーム0.3%「イワキ」(岩城製薬)
デプロドンプロピオン酸エステル軟膏0.3%「イワキ」(岩城製薬)
※クリーム・軟膏ともに2022年6月27日に製造販売中止が発表されました。
※上記の二つの薬は旧名称がアロミドンです。2021年9月までは市場流通されていたため処方時期によってはアロミドンがお手元にある可能性もあります。

効果・作用

●効果
臨床試験の結果、以下の通りエクラーの有効性が認められるような結果が出ています。
以下の項目はエクラー軟膏、エクラークリームに対して実施された試験の結果です。有効性(%)で表しており、評価は治癒、著しく軽快、かなり軽快、やや軽快、不変、増悪の6段階で行われ、3段階目までのかなり軽快以上を有効としています。

・湿疹・皮膚炎群 軟膏91.4% クリーム88.8%
・薬疹・中毒疹 軟膏95.0% クリーム92.1%
・虫さされ  軟膏95.5% クリーム88.6%
・痒疹群  軟膏82.6% クリーム71.4%
・乾癬 軟膏69.7% クリーム69.2%
・紅皮症 軟膏85.2% クリーム81.3%
・紅斑症 軟膏91.2% クリーム94.7%
・ジベル薔薇色粃糠疹 軟膏84.4% クリーム95.0%
・掌蹠膿疱症 軟膏75.7% クリーム59.5%
・特発性色素性紫斑 軟膏80.8% クリーム78.8%
・円形脱毛症 軟膏46.9% クリーム50.0%

一部、十分に効果が期待できない疾患もありますが、湿疹、虫刺されなどの症状に対しては非常に高い有効性を持っているといえるでしょう。

以下の項目はエクラーローション0.3%に対して実施された試験の結果です。有効性(%)で表しており、評価は治癒、著しく軽快、かなり軽快、やや軽快、不変、増悪の6段階で行われ、3段階目までのかなり軽快以上を有効としています。

湿疹・皮膚炎群 83.2%
薬疹・中毒疹 100%
虫さされ 92.3%
痒疹群 71.4%
乾癬 77.8%
紅皮症 41.7%
紅斑症 90.5%
ジベル薔薇色粃糠疹 91.7%
掌蹠膿疱症 51.1%
特発性色素性紫斑 71.1%
円形脱毛症 52.6%

エクラーローションはエクラー軟膏やクリームに対して評価症例が少ないものの、こちらも全体的に高い有効性を持っていると考えられます。

●作用
エクラーには3つの作用があります。
①抗炎症作用
②免疫抑制作用
③皮膚細胞の増殖抑制
があります。詳しい説明は以下の通りです。

①アレルギー反応と同じように、体内に侵入してきた無害の物質を有害な異物と誤認識して過剰な免疫が発生する場合に過剰な免疫を抑えることにより、アトピー性皮膚炎などの症状を抑えます。

②エクラーを含むステロイド剤には免疫を低下させる働きがあります。そのため強いステロイドを塗り続けていると、細菌感染を引き起こしやすくなります。ご注意ください。しかし、アトピー性皮膚炎のような免疫が暴走する病気に対しては有効とされています。


③この作用も副作用(赤みのある皮膚になる)となることが多いですが、皮膚が分厚くなってしまうような病気では改善が見込まれます。

●作用機序
デプロドンプロピオン酸エステル(エクラー)は分子量が小さいことから細胞内へ取り込まれやすいです。細胞質まで到達すると、グルココルチコイド受容体(GR)に結合し、核内に入ります。その後、アラキドン酸カスケードの炎症に関与するプロスタグランジンやロイコトリエンといった局所ホルモンの生合成を阻害します。また、インターロイキン-6などの炎症性サイトカインの産生を阻害します。サイトカインとは細胞同士の情報伝達を行う物質のことです。炎症性サイトカインは炎症反応にかかわる物質の伝達を行います。

使用方法

1日1〜数回、適量を患部に塗布してください。

副作用

主な副作用
ステロイド皮膚 、 皮膚萎縮 、 魚鱗癬様皮膚変化 、 紫斑 、 多毛 、 皮膚色素脱失 、 皮膚感染症 、 皮膚真菌性感染症 、 皮膚カンジダ症 、 皮膚白癬 、 皮膚細菌性感染症

重大な副作用
緑内障 、 後のう白内障 、 眼圧亢進

その他の副作用
伝染性膿痂疹 、 毛のう炎 、 皮膚ウイルス感染症 、 ステロイドざ瘡 、 白色面皰 、 ステロイド酒さ 、 口囲皮膚炎 、 顔面紅斑 、 丘疹 、 毛細血管拡張 、 痂皮 、 鱗屑 、 過敏症 、 皮膚刺激感 、 発疹 、 下垂体・副腎皮質系機能抑制

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス性皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬・けじらみなど)を患っている方
・デプロドンプロピオン酸エステルに対して過敏症の既往歴のある方
・鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎の方
・潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷の方

使用に注意が必要な方
●重要な基本的注意(使用者全員)
・大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用により、副腎皮質ステロイド剤を全身的投与した場合と同様な症状があらわれることがある
・症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は使用を中止すること。
・症状改善後は、できるだけ速やかに使用を中止すること。
●使用注意
・妊婦の方→大量または長期にわたって使用しないでください。
・小児の方→長期・大量使用または密閉法により発育障害の恐れがあります。
・高齢者の方→大量・長期にわたる使用に際しては注意してください。

上記にあてはまる方は、デプロドンプロピオン酸エステルを使用する事が出来ない可能性があります。
デプロドンプロピオン酸エステルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

該当なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
使用してはいけないときはありますか?

化粧をしているとき、ひげをそった後は使用しないでください。

使用してはいけない場所はありますか?

目や目の周りには使用しないでください。

市販薬で代用はできますか?

エクラーと同じ成分の市販薬はありませんが、エクラーの代用となるような市販薬は発売されています。使用に際しては医師・薬剤師・登録販売者へご相談ください。

代用可能な市販薬
・ベトネベートクリームS(第2類医薬品)
→ステロイドの強さはエクラーと同じストロングです。

・ラシュリアPEクリーム(第2類医薬品)
→ステロイドの強さはエクラーより1段階低いミディアムです。副作用が出にくいほか、かゆみ止め成分,抗炎症成分、化膿予防の殺菌成分が含まれています。

・リンデロンVs軟膏(第2類医薬品)
→ステロイドの強さはエクラーと同じストロングです。患部を保護する効果が高いです。

・リビメックスコーワローション(第2類医薬品)
→ステロイドの強さはエクラーより1段階低いミディアムです。液体タイプで使いやすいです。

保存はどうすればいいですか?

室温で保存してください。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。