ダイズ油

成分名

ダイズ油

適応症状

・軟膏剤/リニメント剤/硬膏剤の基剤
・外傷/術後/消耗性疾患/熱傷/火傷/術前/急性消化器疾患/慢性消化器疾患/長期にわたる意識不明状態時の栄養補給

簡易説明

ダイズ油は軟膏などの基剤(軟膏 (なんこう) 剤や座剤などの製造に際して使われる賦形 (ふけい) 剤)として使われております。
イントラリポスは、腕などの末梢静脈から点滴投与することを主な目的とした糖質・電解質・アミノ酸などを含む輸液剤です。熱傷/火傷などの栄養補給に使用されております。
点滴の際の手技が比較的簡便で、カテーテル穿刺・留置に伴う危険性や合併症が少ないなどのメリットが考えられます。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1000円~
薬代1袋あたりの目安:1袋10%約1058円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

販売開始年月 : 1973年2月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。(海外にもありません)

関連製品(先発薬)

ダイズ油【製薬メーカー:小堺製薬/日興製薬】
イントラリポス輸液10%【製薬メーカー:大塚製薬工場】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。(海外にもありません)

効果・作用

≪薬理作用≫
・人間は、ビタミン、食事から糖質、脂質、タンパク質やアミノ酸、ミネラルといった栄養素を摂っています。栄養が摂れない場合、肝臓や筋肉のブドウ糖が結合したグリコーゲン(多糖類)をエネルギー源として利用し、体内の脂質やタンパク質を分解してエネルギー源として利用します。このように栄養が摂れない状況が続くと、脂質や筋肉の分解が進み生命の危機状態に近づいてしまいます。このような状況において、静脈から栄養素を含んだ輸液製剤を点滴することで飢餓状態の改善が期待できます。
・輸液による補給の中でも腕などの末梢静脈から点滴投与することを「末梢静脈栄養(PPN:Peripheral Parenteral Nutrition)」と呼びます。
・PPNは、食事が摂取できない期間が10日前後の場合などに行われるます。PPNは糖質、脂肪、アミノ酸などの補給により体のタンパク質消耗を抑えられ、手技や管理がTPN(中心静脈栄養:心臓に近い太い血管である中心静脈から高濃度の栄養輸液を投与する方法)に比べて簡便で、カテーテル穿刺・留置に伴う危険性や合併症が少ないなどのメリットが考えられております。また、投与できるカロリーには限り(約1000kcal程度)があるので、食事が摂取できない期間が2週を超えるような場合などには、高カロリーを投与できるTPN(中心静脈栄養)を使用します。PPNが用いられる場合は大きく分けて二つで、一つは食欲不振や軽度の意識障害などにより経口からの栄養摂取が不十分な場合での使用、もう一つは比較的栄養状態は良いが経口摂取ができない手術前後における使用となります。
・イントラリポスはPPNに用いる輸液剤で、糖質、アミノ酸、電解質などを含みます。また中には糖質からのエネルギー産生に必要なビタミンB1(塩酸チアミン)などを含む製剤もあります。

≪基剤とは≫
軟膏剤や座剤などの製造に際して使われる賦形剤のことです。また、医薬品や農薬などの取扱いあるいは成形の向上や服用を便利にするために加える添加剤のことです。

≪イントラリポスを投与すべき理由≫
①:必須脂肪酸の補給
・必須脂肪酸は体内で合成することができません。イントラリポスの原料は大豆油で、大豆油には必須脂肪酸の一種であるリノール酸が多く含まれています。長期間絶食患者さんや栄養状態の悪い患者さんに対して、欠乏を防ぐために重要です。
②:エネルギー源として
・脂肪は1gで9kcalものエネルギーがあり、糖質(4kcal/g)とタンパク質(4kcal/g)よりも大きなエネルギーがあります。したがって、脂肪は少ない量で多くのエネルギーを補給することができます。糖質だけでカロリーを補給しようとすると、糖質の過剰になり脂肪肝の原因となってしまいます。
③:脂肪肝の予防
・コレステロールの大半は肝臓でつくられています。ただ、コレステロールは水に溶けないため、コレステロールを運搬するためにアポリポタンパクが必要です。しかし、脂質が不足するとアポリポタンパクが作られなくなり、肝臓でつくられた脂肪がそのまま肝臓に溜まって脂肪肝になってしまいます。当然、アポリポタンパクをつくるためにはアミノ酸も必要なので、同時にアミノ酸の投与も重要です。また、高カロリーな脂質を投与せず、糖質だけでカロリーを賄おうとすると、糖質過多になりがちで、肝臓で合成される中性脂肪も増え、こちらも脂肪肝につながります。
④:静脈炎の予防
・ビーフリード(ブドウ糖やアミノ酸が入った末梢静脈栄養製剤)などを末梢点滴から投与する場合、浸透圧が高く静脈炎を引き起こす可能性が報告されている。その結果、発赤、疼痛、感染兆候を起こしてルートを抜針することになってしまいます。しかし、イントラリポスを同時に投与すると浸透圧を下げることによって静脈炎の予防となります。

▼他の末梢静脈栄養輸液製剤(PPN製剤)▼
プラスアミノ輸液/ビーフリード輸液/ツインパル輸液/パレセーフ輸液/アミグランド輸液/パレプラス輸液

使用方法

≪ダイズ油≫
・軟膏剤、硬膏剤、リニメント剤等の基剤として調剤に用いる
≪イントラリポス輸液≫
・1日500mL(ダイズ油として10%液)を3時間以上かけて点滴静注する
※なお、体重、症状により適宜増減するが、体重1kg当たり1日脂肪として2g(本剤20mL)以内とする

副作用

主な副作用
静脈炎、血管痛、出血傾向、過敏症、発疹、そう痒感、肝機能障害、血圧降下、頻脈、頻呼吸、嘔気

重大な副作用
静脈塞栓、ショック、アナフィラキシー反応、呼吸困難、チアノーゼ

極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。

その他の副作用
嘔吐、下痢、口渇、発熱、悪寒、顔面潮紅、顔面浮腫、異臭感、胸部圧迫感

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ダイズ油を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方イントラリポスは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼イントラリポスの有効成分
ダイズ油
▼代表薬の添加物
精製卵黄レシチン、濃グリセリン、水酸化ナトリウム(pH調整剤)

■他に使用できない方
・血栓症
・ケトーシスを伴った糖尿病
・高脂血症
・重篤な肝障害
・重篤な血液凝固障害

使用に注意が必要な方
・高齢者
・新生児(低出生体重児を含む)/乳児/幼児/小児
・肝機能障害
・血液凝固障害
・呼吸障害
・重篤な敗血症
・アシドーシスを伴う新生児/呼吸障害を伴う新生児

上記にあてはまる方は、ダイズ油を使用する事が出来ない可能性があります。
ダイズ油を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
ゼラチン

上記を使用している方は、ダイズ油を使用する事が出来ない可能性があります。
ダイズ油を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
ワルファリン

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
イントラリポスは中心静脈ラインの側管から投与可能か?

基本的には単独投与ですが、中心静脈ラインの側管から投与可能であると考えられます。側管投与は、別の栄養輸液との接触が短いため、イントラリポスの粗大粒子の増加が起きにくいためと思われます。

イントラリポスは他の輸液製剤で希釈可能か?

希釈は不可です。他の薬剤と混合すると経時的に粒子系が粗大化される可能性があるためです。

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