ピペリドレート塩酸塩

成分名

ピペリドレート塩酸塩

適応症状

胃・十二指腸潰瘍における痙攣性疼痛/胃炎における痙攣性疼痛/腸炎における痙攣性疼痛/胆石症における痙攣性疼痛/胆のう炎における痙攣性疼痛/胆道ジスキネジーにおける痙攣性疼痛/切迫流・早産における諸症状の改善など

簡易説明

ピペリドレート塩酸塩は、副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑えることで、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣、下痢などを抑える薬です。胃・十二指腸潰瘍、胆のう炎、胆道ジスキネジーにおける痙攣性疼痛、切迫流産・早産における諸症状の改善に使用されます。
日本では、キッセイ薬品工業が先発薬として「ダクチル」という商品名で販売しています。
ぴぺリドレート塩酸塩は、内臓の平滑筋のけいれんを抑えたり、胃酸の分泌を抑える作用があり、子宮の収縮をやわらげる作用から、切迫流産、早産にも適応し、お腹の張りや腹痛、出血などの前兆症状を抑えます。

処方可能な診療科目

内科/胃腸科/消化器科/産婦人科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:ダクチル錠50mg約6.6円
薬代後発薬1錠の目安:ダクチラン錠50mg約6円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1975年10月販売開始【ダクチル錠:キッセイ薬品】

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

ダクチル錠50mg 【製薬メーカー:キッセイ薬品】

関連製品(ジェネリック)

ダクチラン錠50mg【製薬メーカー:杏林製薬】

海外での使用実績

・アメリカ
1954年にアメリカで初めてピペリドレート塩酸塩として承認されました。
・ベルギー
Hoechst M. Rousselを開発会社とし、Dactilを1958年に販売開始しました。
・ブラジル
Sarsaを開発会社とし、Dactilを1973年に販売開始しました。
・フランス
Bellonを開発会社とし、Dactilを1958年に販売開始しました。
・ドイツ
Med Pfluegerを開発会社とし、Dactilを1978年に販売開始しました。
・イタリア
Rhone Pouleneを開発会社とし、Dactilを1959年に販売開始しました。
・メキシコ
Lepetitを開発会社とし、Dactil-OBを1966年に販売開始しました。
・イギリス
Boeh Mann Pharmを開発会社とし、Dactilを1964年に販売開始しました。

効果・作用

ピペリドレート塩酸塩は、内臓の平滑筋の痙攣や胃酸の分泌を抑える作用を持っています。主に、胃炎や下痢、胆石、胆管炎などによる腹痛に対して用いられます。子宮平滑筋の異常収縮を抑える作用もあり、切迫流産や早産のおけるお腹の張りや腹痛、出血などにも適応されます。
日本では主にキッセイ薬品工業が先発薬「ダクチル錠50mg」を販売しています。

▼アセチルコリンに対する作用
胃腸や子宮の痛みは、アセチルコリンという神経伝達物質によって運動が強まります。アセチルコリンによって副交感神経の活動が活発になり、内臓の筋肉は活発になる事で胃・腸・食道などの痙攣、胃炎・腸炎・潰瘍などの発症や悪化、下痢や腹痛などがあらわれる場合があります。
ピペリドレート塩酸塩は、その副交感神経を亢進させるアセチルコリンの働きを抑える作用で、胃腸などの痙攣や消化管運動亢進に伴う症状を改善する作用をあらわします。
また胆石や腎結石が胆管や尿路にある状態でその周りの動きが活発になってしまうと、痛みが強くなることがありますが、これらの痛みも和らげる効果があるとされています。
収縮抑制は子宮体部に対して強く、薬理的には抗コリン薬はいくつかの種類がありますが、本剤は三級アミン合成抗コリン薬に分類されます。

使用方法

ピペリドレート塩酸塩として、通常成人に1日150~200mgを3,4回に分割経口投与します。
また、年齢や症状によって適宜増減することがあります。

副作用

主な副作用
ピペリドレート塩酸塩には、副作用が起こる可能性があります。
ピペリドレート塩酸塩を服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。
使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していませんが、次のような副作用があらわれる可能性があるため観察を十分に行い、異常が認められた際には投与を中止するなどの処置が医師の判断のもと行われることがあります。

・口の渇き
・便秘
・尿が出にくい
・かすみ目

重大な副作用
▼肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)の著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれる可能性があります。

その他の副作用
・散瞳
・悪心・嘔吐,食欲不振,腹部膨満感
・AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,総ビリルビンの上昇
・排尿障害
・めまい
・動悸
・発疹
・けん怠感,脱力感

極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■閉塞隅角緑内障の患者
閉塞隅角緑内障の患者は、抗コリン作用により眼圧が上昇して、症状を悪化させることがあります。投与しないでください。

■前立腺肥大による排尿障害のある患者
前立腺肥大による排尿障害のある患者は、症状が増悪するおそれがあります。投与しないでください。

■重篤な心疾患のある患者
重篤な心疾患のある患者は、症状が増悪するおそれがあります。投与しないでください。

■麻痺性イレウスの患者
麻痺性イレウスの患者は、症状が増悪するおそれがあります。投与しないでください。

■本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。

■ピペリドレート塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ダクチルは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ダクチルの有効成分
ピペリドレート塩酸塩
▼代表薬の添加物
・乳糖水和物
・結晶セルロース
・ヒドロキシプロピルセルロース
・カルメロースカルシウム
・ステアリン酸カルシウム
・ヒプロメロース
・マクロゴール
・タルク

使用に注意が必要な方
■開放隅角緑内障の患者
開放隅角緑内障の患者は、抗コリン作用により眼圧が上昇して、症状を悪化させることがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■前立腺肥大のある患者
前立腺肥大のある患者は、排尿困難を起こすおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■うっ血性心不全のある患者
うっ血性心不全のある患者は、症状が増悪するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■不整脈のある患者
不整脈のある患者は、症状が増悪するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■潰瘍性大腸炎の患者
潰瘍性大腸炎の患者は、中毒性巨大結腸があらわれることがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■甲状腺機能亢進症の患者
甲状腺機能亢進症の患者は、症状が増悪するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■高温環境にある患者
高温環境にある患者は、発汗抑制により体温上昇が起こるおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■高齢者への投与
高齢者は一般に生理機能が低下していることから、減量するなど注意してください。

上記にあてはまる方は、ピペリドレート塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ピペリドレート塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・三環系抗うつ剤(イミプラミン塩酸塩など)
・フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジンなど)
・モノアミン酸化酵素阻害剤
・抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミンなど)

上記を使用している方は、ピペリドレート塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ピペリドレート塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はございません。

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
切迫流・早産におけるいくつかの症状改善でダクチル錠を投与する場合、妊娠何週目から使用可能ですか?

使用開始週数は定められていないとされています。ダクチル錠の効果は「切迫流・早産における諸症状の改善」であり、切迫流・早産の週数範囲内(妊娠37週未満)であれば使用可能となっています。

ダクチル錠を服用していますが、普段の生活での注意点はありますか?

めまいや散瞳等が引き起こる可能性がある為、服用中は自転車の運転など、危険を伴う機械の操作に注意して下さい。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。