ゾレドロン酸水和物

成分名

ゾレドロン酸水和物

適応症状

癌による骨病変、高カルシウム血症

簡易説明

ゾレドロン酸水和物(以下、本成分)はノバルティスファーマが開発した第三世代のビスホスホネート製剤です。
本成分は悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の治療薬として2000年にカナダ、スイスで承認され、国内では2004年に製造承認を取得しました。加えて各種腫瘍に伴う骨病変の治療薬ゾメタとして2006年に国内での承認を取得しました。
海外では、骨ページェット病、閉経後骨粗鬆症、男性骨粗鬆症等の適応が追加承認され、国内では旭化成ファーマにより2016年に骨粗鬆症を適応としたリクラストが承認を取得しました。

処方可能な診療科目

腫瘍科/外科など

健康保険の適応

(ゾメタ)
悪性腫瘍による高カルシウム血症(以下、高カルシウム血症)
多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変(以下、骨病変)
(リクラスト)
骨粗鬆症

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません(薬価記載)。
ゾメタ点滴静注:4mg/5mL 17,079円、4mg/100mL 16,383.00円
ゾレドロン酸点滴静注4mg/5mL 6,425.00円~7,518.00円、4mg/100mL 6,988.00円
リクラスト点滴静注液5mg 35,007.00円

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2005年1月21日「ゾメタ」
発売年月日:2016年11月25日「リクラスト」

国内のジェネリック認可

ゾメタ:あり
リクラスト:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ゾメタ点滴静注(4mg/5mL、4mg/10mL)【製薬メーカー:ノバルティスファーマ】
リクラスト点滴静注液5mg【製薬メーカー:旭化成ファーマ】

関連製品(ジェネリック)

ゾレドロン酸点滴静脈4mg/5mL「ヤクルト」、4mg/100mLバッグ「ヤクルト」【製薬メーカー:ヤクルト本社】
ゾレドロン酸点滴静注4mg/5mL「サンド」【製薬メーカー:サンド】
ゾレドロン酸点滴静注4mg/5mL「日医工」【製薬メーカー:日医工株式会社】
ゾレドロン酸点滴静注4mg/5mL、4mg/100mLバッグ「ニプロ」【製薬メーカー:ニプロ】
ゾレドロン酸点滴静注4mg/5mL「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】
ゾレドロン酸点滴静注4mg/5mL「NIG」【製薬メーカー:日医工株式会社】
ゾレドロン酸点滴静注4mg/5mL「NK」、4mg/100mLバッグ「NK」【製薬メーカー:日本化薬】
ゾレドロン酸点滴静注4mg/5mL「VTRS」、4mg/100mLバッグ「VTRS」【製薬メーカー:ヴィアトリス製薬】
ゾレドロン酸点滴静注4mg/100mLバッグ「日医工P」【製薬メーカー:日医工株式会社】
ゾレドロン酸点滴静注4mg/100mLバッグ「KCC」【製薬メーカー:ネオクリティケア製薬】

海外での使用実績

(ゾメタ)
100か国以上で承認されています(2019年8月現在)。
(リクラスト)
骨粗鬆領域や骨ページェット病の適応症でヨーロッパ、アメリカの他、アジア・オセアニア、中近東、アフリカ、北中南米で発売されています。

効果・作用

骨は破骨細胞の働きによる骨吸収と骨芽細胞の働きによる骨形成によりその状態が維持されています。破骨細胞は文字通り骨を壊し血中のカルシウムを増加させる働きがありますが、本成分はこの破骨細胞に取り込まれ、破骨細胞を細胞死(アポトーシス)させ機能を失わせることで、骨吸収を抑える働きを持っています。
本剤の薬理作用は各種動物実験で破骨細胞の誘導・形成阻害、高カルシウム血症改善作用、骨吸収阻害作用などが確認されました。
これらの作用から臨床効果を確認するために各種臨床試験が行われました。
高カルシウム血症患者を対象とした治験(国内第Ⅱ相試験)では、投与後10日目までの血清カルシウム正常化率は84.0%となりました。市販後の使用成績調査では有効率(血清カルシウム正常化の有無)は79.90%でした。
骨病変患者を対象とした治験(国内第Ⅲ相試験)では、SRE(骨関連事象)の発現率は本剤未使用患者に比べ低いという結果が得られました。市販後の使用成績調査では有効率(ゾメタ投与後の骨合併症の発生有無)は77.83%でした。
骨粗鬆症患者を対象とした治験も数多く行われました。国内第Ⅲ相試験では、リクラスト使用後の新規錐体骨折の発現率を未使用群と比較し、リクラストを使用することで有意に錐体骨折を抑えることが確認できました。市販後の使用成績調査では有効性(新規錐体骨折発生率)は1年で1.56%、3年で4.40%となり、腰錐骨の骨密度も増加傾向が見られました。

新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して

予防接種や治療により他の薬を使用する場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。

使用方法

(高カルシウム血症)
4mgを生理食塩液またはブドウ糖液100mgに希釈し(4mg/100mLの場合は1ボトル)、15分以上かけて点滴で静脈内に投与します。再投与が必要な場合には初回投与から少なくとも1週間は投与間隔を空けます。
(骨病変)
4mgを生理食塩液またはブドウ糖液100mgに希釈し(4mg/100mLの場合は1ボトル)、15分以上かけて3~4週間間隔で点滴で静脈内に投与します。
(骨粗鬆症)
5mgを15分以上かけて1年に1回点滴で静脈内に投与します。

【警告】
(ゾメタ)点滴静脈内投与のみで使用し、必ず15分以上かけて投与します。高カルシウム血症では十分な補液治療を行ったうえ心機能への影響を留意しながらで使用します。
(リクラスト)急性腎障害を起こすことがあるので、以下の点に注意します。
・腎機能、脱水状態、併用薬について、患者の状態を十分に確認し、使用の適否を判断します。
・必ず15分以上かけて静脈内に点滴で投与します。
・急性腎障害は使用後早期にあらわれるため、患者の状態を十分に観察します。

副作用

重大な副作用
・急性腎障害、間質性腎炎、ファンコニー症候群
・うっ血性心不全(ゾメタのみ)
・低カルシウム血症
・間質性肺炎(ゾメタのみ)
・顎骨壊死・顎骨骨髄炎
・外耳道骨壊死
・大腿骨転子下、近位大腿骨骨幹部、近位尺骨骨幹部等の非定型骨折
・アナフィラキシー(リクラストのみ)

その他の副作用
(ゾメタ)
低リン酸血症、頭痛、嘔気、肝機能異常(AST、ALT、γ-GTP増加)、関節痛、骨痛、尿中βγミクログロブリン増加、発熱、倦怠感
(リクラスト)
頭痛、関節痛、筋肉痛、発熱、倦怠感、インフルエンザ様疾患、血中カルシウム減少

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ゾレドロン酸水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
ゾメタ、リクラスト、他のビスホスホネート製剤および下記添加物にアレルギーをお持ちの方、ゾメタ、リクラストはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用出来ません
▼ゾメタ、リクラストの有効成分
ゾレドロン酸水和物
▼ゾメタ、リクラストの添加物
D-マンニトール、クエン酸ナトリウム水和物
■妊婦または妊娠している可能性のある方
動物実験で胎児・母体への悪影響が報告されている為、使用できません。
(リクラストのみ)
■重度の腎機能障害のある方
臨床試験を行っていない上、腎障害を起こす可能性がある為、使用出来ません。
■脱水状態にある方(高熱、高度な下痢および嘔吐等)
脱水症の進行が腎不全発現の重要な原因と考えられる為、使用出来ません。
■低カルシウム血症の方
低カルシウム血症を悪化させる可能性がある為、使用できません。

使用に注意が必要な方
・腎機能障害のある方:(ゾメタ)骨病変のある方では、腎機能の低下に応じて投与量を調節します。
(リクラスト)下記症状のある方は使用後1~2週間後に腎機能検査を行います。
中等度の腎機能障害のある方、本剤の使用により脱水症状(腎機能障害、急性期反応を含む)を起こしたことのある方
・重度の腎機能障害のある方(ゾメタのみ):腎機能が悪化するおそれがあるため、状態を観察しながら慎重に使用します。
・妊娠が可能な方:治療上の有益性が危険性を上回る場合のみゾレドロン酸水和物を使用します。
・授乳婦:他のビスホスホネート製剤(バミドロン酸二ナトリウム)で母乳への移行が報告されているため、母乳栄養の有益性と治療上の有益性を元に授乳の継続または中止を検討します。
・小児等:臨床試験を行っていません。
・高齢者:一般に腎機能が低下していることが多く、脱水を起こしやすいため、腎機能や脱水に注意します。ゾメタは減量するなど慎重に投与します。

上記にあてはまる方は、ゾレドロン酸水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ゾレドロン酸水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・カルシトニン製剤、アミノグリコシド系抗生物質、シナカルセト
相互に作用を増強します。
(リクラストのみ)
・利尿剤
脱水状態になることがあります。
・腎毒性のある薬(非ステロイド系消炎鎮痛剤:NSAIDs等)
急性腎障害発現のリスクが増加するおそれがあります。

上記を使用している方は、ゾレドロン酸水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ゾレドロン酸水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ゾレドロン酸水和物に関する
よくある質問
顎骨壊死・顎骨骨髄炎で気を付ける事はありますか?

ビスホスホネート系薬剤による治療を受けている人に、あごの骨の壊死、あごの骨の骨髄炎がおこることがあります。この副作用の報告の多くが抜歯などの歯の治療に関連してあらわれているので、次の点について医師、薬剤師などから十分説明を受けてください。
① 医師と相談の上、必要に応じてこの薬を使い始める前に歯科検査を受け、できるだけ抜歯などの治療を済ませること。
② ブラッシングなどで口腔内を清潔に保つこと。
③ 定期的に歯科検査を受けること。
④ 歯科を受診する際には、この薬を使用していることを歯科医師に告げること。
⑤ この薬を使用している間は、抜歯などの治療をできるだけ避けること。
また、万一、歯やあごなどの異常(あごの痛み、歯のゆるみ、歯ぐきの腫れなど)が見られた場合には、ただちに歯科または口腔外科を受診してください。

ゾメタ点滴静注 4mg/5mL

【上記引用元:PMDA 患者向医薬品ガイド】

外耳道骨壊死で気を付ける事はありますか?

ビスホスホネート系薬剤を使用している人に、外耳道(がいじどう)の骨の壊死が発現したとの報告があります。これらの報告では、耳の感染や傷に関連してあらわれた人も認められることから、外耳炎(耳のかゆみ、耳の中の熱っぽさ、耳の違和感)、耳漏(耳だれ)、耳の痛みなどの症状が続く場合には、耳鼻咽喉科を受診してください。

ゾメタ点滴静注 4mg/5mL

【上記引用元:PMDA 患者向医薬品ガイド】

参考元一覧

ゾレドロン酸水和物(ゾメタ、リクラスト 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】
ゾメタ点滴静注 4mg/5mL 【PMDA 患者向医薬品ガイド】
医薬品マスター検索(ゾメタ、ゾレドロン酸、リクラスト) 【厚生労働省 診療報酬情報提供サービス】

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。