成分名 |
硫酸鉄水和物 |
適応症状 |
鉄欠乏性貧血 |
簡易説明 |
鉄欠乏性貧血には鉄の投与が有効なことは古くから知られており、その治療には様々な鉄剤が用いられております。
しかし、経口鉄剤には嘔気、嘔吐、食欲不振などの胃腸症状の副作用の発現頻度が高く、その副作用を軽減するために種々の製剤学的な工夫がなされて来ました。
硫酸鉄水和物を成分とするフェロ・グラデュメット錠105mgは徐放錠で、急激に高濃度の鉄を胃腸粘膜に接触させないように作られたものになります。
このため、鉄を持続的かつ効率的に吸収させることができ、胃腸に対する負担を少なくすることが確認されております。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/血液内科/泌尿器科/消化器内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:105mg約7円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1964年9月9日製造販売承認
2009年6月26日製造販売承認(販売名変更による)
1965年11月1日薬価基準収載
2009年9月25日薬価基準収載(販売名変更による)
1964年11月発売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
フェロ・グラデュメット錠105mg【製薬メーカー:マイランEPD株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
米国
会社名:Teofarma
販売名:Ferrograd |
効果・作用 |
硫酸鉄水和物を成分とするフェロ・グラデュメット錠105mgは鉄欠乏性貧血に対して効果のある医薬品になります。
【作用機序】
小腸において吸収された鉄は血漿トランスフェリンに結合して、骨髄やその他の臓器へ運ばれます。
トランスフェリンに結合した鉄は骨髄で赤芽球に取り込まれ、ヘモグロビンの成分として利用され貧血状態を改善します。
フェロ・グラデュメット錠105mgは第二鉄になる為、胃酸において分解され、フリーのFe3+が遊離されます。
フリーのFe3+は腸粘膜側の鉄還元酵素によってFe2+に還元されてから取り込まれます。
これが鉄剤をビタミンCやクエン酸、リンゴ酸と一緒に服用すると効果が上がる理由になります。
【鉄欠乏性貧血とは】
鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄が不足する事で赤血球の中に含まれるヘモグロビンが作れなくなることによって生じる、貧血の中で最も頻度が高い疾患になります。
主な原因として①月経過多(子宮筋腫や子宮内膜症ナド)、②鉄分の不足(偏った食事や無理なダイエット)、③鉄の需要量の増大(成長期や妊娠、出産など)、④鉄の吸収不良(胃や十二指腸切除後等)、⑤造血機能の低下(癌や肝臓病等)、⑥激しい運動(筋肉内での鉄の需要の増大)、⑦慢性的な出血(潰瘍や腫瘍による消化管出血、痔からの出血、胃がん、大腸がん等)などによって、生体内の鉄バランスが負に傾き肝臓・脾臓・骨髄等の組織の貯蔵鉄が動員されて潜在的な鉄欠乏状態になります。
【鉄欠乏性貧血の症状】
全身倦怠感、耳鳴り、眩暈、息切れ、口角が切れやすくなる、肌がカサカサ、イライラ感、肩こり、動悸、頻脈、抜け毛等があります。
鉄の欠乏が進むと脳や筋肉、心臓が酸素不足になり主にこのような症状が見られます。
また爪がスプーン状に反り返ったり、薄く割れやすくなったり、口角炎、舌炎、嚥下障害などがみられることもあります。 |
使用方法 |
鉄として、通常成人においては、1日あたり105mgから210mgを、代表薬名フェロ・グラデュメット錠105mgとして1日あたり1錠から2錠を1回から2回に分割し、空腹時に経口投与する事とされております。しかし副作用が強い場合においては、食事直後に経口投与する事が認められております。なお、年齢や患者の症状によっては適宜増減する事が可能とされております。 |
副作用 |
1)消化器
悪心・嘔吐、腹痛、食欲不振、胃部不快感(0.5~5%未満)
下痢・便秘(0.5%未満)
2)過敏症
発疹、蕁麻疹、掻痒感(頻度不明)
3)肝臓
肝機能異常(頻度不明)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)鉄欠乏状態にない患者
摂取する事で鉄過剰症を来す恐れがある為服用できません。
使用に注意が必要な方 1)消化性潰瘍、慢性潰瘍性大腸炎、限局性腸炎等の胃腸疾患のある患者
消化管粘膜を刺激し、潰瘍や炎症を憎悪する恐れがある為服用に注意が必要になります。
2)発作性夜間血色素尿症の患者
溶血を誘発する事がある為服用に注意が必要になります。
3)腸管に憩室又は強度の狭窄のある患者及び腸管の運動機能が低下している患者
本剤は多孔性のプラスチック格子の間隙に硫酸鉄を含有させ精製した、徐放性の鉄剤になります。プラスチック格子は腸管内で崩壊せず、そのまま糞便中に排泄される事になります。このため腸管の狭窄や憩室、運動機能低下のある患者においては、本剤の通過が妨げられてしまい、腸閉塞や、憩室部位における壊疽等の重篤な症状を発現するおそれがある為服用に注意が必要になります。
4)高齢者又は嚥下障害のある患者
本剤が口腔内や食道に滞留し、潰瘍形成に至った事例が報告されております。また誤嚥してしまうことによって、錠剤が気管や気管支に停留してしまう事で、気管及び気管支の粘膜障害(びらんや出血、及び浮腫等)や、気管支狭窄に至った事例が報告されている為服用に注意が必要になります。
上記にあてはまる方は、硫酸鉄水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 硫酸鉄水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)甲状腺ホルモン製剤(乾燥甲状腺、リオチロニン、レボチロキシン)
甲状腺ホルモン製剤と難溶性の複合体を形成する為、これらの薬剤の吸収が阻害されてしまい、作用が減弱する事があります。
2)セフジニル・ニューキノロン系抗菌剤(ノルフロキサシン、シプロフロキサシン等)
これらの薬剤とキレートを形成する為、これらの薬剤の吸収が阻害され、作用が減弱する事があります。
3)テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)
テトラサイクリン系抗生物質とキレートを形成する為、相互に吸収が阻害されてしまい、作用が減弱する事があります。
4)制酸剤
難溶性の複合体の形成、又は消化管のpHの上昇により、本剤の吸収が阻害される恐れがあります。
5)タンニン酸を含有する食品等
難溶性の複合体を形成する事で本剤の吸収が阻害される恐れがあります。
上記を使用している方は、硫酸鉄水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 硫酸鉄水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
|
参考元一覧 |
フェロ・グラデュメット錠105mgインタビューホーム 【マイランEPD株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】 |
サイト利用に関する注意事項 | 医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。 |