メカセルミン(遺伝子組換え)

成分名

メカセルミン(遺伝子組換え)

適応症状

・インスリン受容体異常症A型とB型、脂肪萎縮性の糖尿病、ウィリアムズ症候群やインスリン受容体遺伝子の変異に起因する単一遺伝子型の糖尿病(ラブソン・メンデンホール症候群)での高血糖、高インスリン血症、黒色表皮腫、多毛の症状改善
・成長ホルモン抵抗性の成長ホルモン単独欠損症タイプ1A、ラロン症候群での成長障害の改善

簡易説明

メカセルミンは成長ホルモンの働きにおいて重要な役割を担う物質です。もともとは入手困難な薬剤でしたが、アステラス製薬が大量生産を実現しました。その後、本剤の持つ成長促進作用から、インスリン様成長因子Ⅰと同一物質であることが判明しました。そのため、インスリン受容体に異常が起きている疾患に本剤を使用する場合は、糖尿病治療と同じく、食事療法や運動療法を行ってもなお、効果不十分な場合に使用を検討します。現在は、2015年からオーファンパシフィックが製造販売権を取得しています。海外では、ソマゾンは販売されておりませんが、メカセルミンを含む薬剤はいくつか販売されています。

処方可能な診療科目

糖尿病内科/小児科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
ソマゾン注射用10mg【製薬メーカー:オーファンパシフィック】10mg1瓶53252円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

1995年2月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ソマゾン注射用10mg【製薬メーカー:オーファンパシフィック】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

メカセルミンは成長を促す作用が期待されていた薬剤でしたが、もともと、入手困難で大量に生産することができませんでした。しかし、アステラス製薬が遺伝子組み換え法を駆使し、高純度のヒトソマトメジンCを生産することに成功しました。現在、ソマトメジンCはインスリン様成長因子Ⅰと同じ物質であると認められており、そのことから、インスリンと同じような代謝作用があることも明らかにされています。実際に、正常なラット、もしくは糖尿病を持つラットに対して、血糖を下げることが認められました。本剤は用量を増やせば増やすほど、効果が強まることが分かっています。

成長ホルモンに抵抗性をもつ成長ホルモン単独欠損症タイプ1A、ラロン症候群の患者3名を対象にした国内臨床試験も実施しています。そのうち1例では、成長ホルモンで治療していた時の成長率が 1年6.4センチであったのに対して、本剤で治療した後は 1年8.2センチと、1.8センチ伸びていました。加えて、ラロン症候群の1例では治療前には1年3.2センチだった成長率が本剤治療後は1年5.4センチと、2.2センチ改善していました。イスラエルで、ラロン症候群5名に対して本剤を投与したところ、治療前は1年あたり2.8から5.8センチであった成長率が本剤治療後は1年あたり8.8~13.6センチと伸びており、本剤の有効性が示されました。

インスリン受容体に異常がある12名を対象にした国内臨床試験を実施し、血糖値や糖化蛋白、血中インスリン値などの改善が認められました。臨床的にも、黒色表皮腫や多毛など、それ以外にもさまざまな所見の改善が示されています。また、イギリスで、ラブソン・メンデンホール症候群の患者1名にソマゾン投与をしたところ、血糖値や血中でのインスリンを低下させ、ケトン体産生を抑制しました。

使用方法

A型インスリン抵抗症/B型インスリン抵抗症/脂肪萎縮性の糖尿病/ウィリアムズ症候群(妖精症)/インスリン受容体遺伝子の変異に起因する単一遺伝子型の糖尿病(ラブソン・メンデンホール症候群)における高血糖や高インスリン血症、黒色表皮腫、多毛の改善の場合、1回1kgあたり0.1~0.4mgを1日1回から2回、食前に皮下注射します。1日1回のときは朝食前に投与し、 1日2回のときは朝食前と夕食前に投与してください。

・成長ホルモン欠損症(成長ホルモン抵抗性/単独欠損/タイプ1A)、ラロン症候群における成長障害の改善の場合、1回1kgあたり0.05~0.2mgを1回から2回、食前に皮下注射します。1日1回のときは朝食前に投与し、 1日2回のときは朝食前と夕食前に投与してください。

副作用

主に、嘔気や注射部位の発赤、気分不良、低血糖症状などがあげられます。
すべて頻度は不明ですが、項目別の副作用は以下の通りです。

低血糖・・低血糖症状(脱力感/高度の空腹感/発汗/心悸亢進/振戦/頭痛/知覚異常/不安/興奮/眠気/神経過敏/集中力低下/精神障害/意識障害/痙攣等)
過敏症・・嘔気/蒼白/蕁麻疹
臓器腫大・・下垂体腫大/扁桃腫大/顎下腺腫大/脾臓腫大/腎腫大/卵巣腫大等
循環器・・肥大型心筋症の増悪
生殖器・・多嚢胞性卵巣
適用部位障害・・注射部位の発赤/腫脹/疼痛/硬結/熱感
その他・・糖尿病性網膜症の発症・悪化注/浮腫/めまい/気分不良/トリグリセリド上昇/リンパ球数減少

徐々に進行する低血糖では、初期症状として精神障害や意識障害が出る場合があるので注意をしてください。もし出た場合は医療機関を受診してください。
また、本剤を投与中もしくは投与後に、腫瘍が発現した例が認められております。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・悪性腫瘍のある方は、本剤が細胞増殖作用を有するため使用できません。

使用に注意が必要な方
・重篤な腎機能障害の方は、低血糖を起こす恐れがあるため、使用に注意をしてください。
・重篤な肝機能障害の方は、低血糖を起こす恐れがあるため、使用に注意をしてください。
・重篤な肝障害や腎障害以外でもアルコールを大量に摂取される方や、栄養バランスが偏った生活をしている方など低血糖を起こしやすい症状や疾患の方は、使用には注意をしてください。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
・小児への安全性や有効性は確立していないため、使用には注意をしてください。
・高齢者は一般的に生理機能が低下しているため、使用する際には検査をするなど注意をしてください。

上記にあてはまる方は、メカセルミン(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
メカセルミン(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<糖質コルチコイド(ヒドロコルチゾン/プレドニゾロン等)>
機序は明らかになっていませんが、糖質コルチコイドの投与は小児の発育を抑制することがわかっています。そのため、本剤の成長促進作用が抑制される恐れがあります。

上記を使用している方は、メカセルミン(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
メカセルミン(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

メカセルミン(遺伝子組換え)に関する
よくある質問
ソマゾンは在宅自己注射が可能な薬剤ですか?

在宅自己注射が可能です。ヒトソマトメジンCは1996年に在宅自己注射が可能な薬剤として追加されています。

ソマゾン®注射用10mg - よくあるお問い合わせ

【上記引用元:CMICオーファンパシフィック 希少疾病治療薬を待ち望む患者さんに】

ソマゾンを自己注射する際の針のサイズ指定はありますか?

注射針の太さについて決められたものはありませんが、患者さんの投与において最も痛みが少ないと言われている、27G 13mmの針が推奨されます。

ソマゾン®注射用10mg - よくあるお問い合わせ

【上記引用元:CMICオーファンパシフィック 希少疾病治療薬を待ち望む患者さんに】

参考元一覧

メカセルミン 添付文書

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