ランレオチド酢酸塩

成分名

ランレオチド酢酸塩

適応症状

・先端巨大症・下垂体性巨人症における成長ホルモン、IGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態及び諸症状の改善
※ただし、外科的処置で効果が不十分な場合もしくは施行が困難な場合に限ります。
・甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍
・膵・消化管神経内分泌腫瘍

簡易説明

ランレオチド酢酸塩は成長ホルモンとIGF-Ⅰを低下させることで、先端巨大症、下垂体性巨人症などの症状を改善する薬剤です。4週間に1回投与するため、患者の身体的負担が数ないというメリットを持っています。本剤は、膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する抗腫瘍効果も示しており、2017年に膵・消化管神経内分泌腫瘍の治療薬としても適応が追加されました。

処方可能な診療科目

脳神経外科/小児科/耳鼻咽喉科頭頚部外科/肝胆膵外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
ソマチュリン皮下注60mg【製薬メーカー:帝人ファーマ】60mg1瓶173149円(薬価)
ソマチュリン皮下注90mg【製薬メーカー:帝人ファーマ】90mg1瓶241623円(薬価)
ソマチュリン皮下注120mg【製薬メーカー:帝人ファーマ】120mg1瓶308922円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

2013年1月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ソマチュリン皮下注60mg【製薬メーカー:帝人ファーマ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

【フランス】
SOMATULINEという名前で2001年より販売されています。

【アメリカ】
Somatuline Depo注射剤として、2007年より発売されています。

効果・作用

ランレオチド酢酸塩は、持続性ソマトスタチンアナログ(ランレオチド)徐放性製剤で、成長ホルモンとIGF-Ⅰを低下させることが分かっています。また、5種類のヒトソマトスタチン受容体サブタイプのうち、GH分泌抑制に関連する2型と5型に対して高い結合親和性と選択性を示します。結果、先端巨大症及び下垂体性巨人症の治療だけではなく、膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する効果も認められています。日本では帝人ファーマ株式会社が販売しています。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生下垂体腫瘍患者13例に対して国内第Ⅲ相非盲検非対照試験を実施しています。本剤90mgを4週ごとに4回投与した後、血中遊離サイロキシン(FT4)濃度と臨床症状に基づく用量調節基準に従って、投与開始16週後から本剤60、90または120mgを4週ごとに投与しました。血中TSH濃度、血中遊離トリヨードサイロニン(FT3)濃度と血中FT4濃度の中央値において、有効性が認められました。

また、切除不能又は遠隔転移を有する無症候性の膵・消化管神経内分泌腫瘍患者204例に対して海外第Ⅲ相プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験を実施しています。
本剤120mgを4週ごとに96週間投与した結果、無増悪生存期間の中央値は本剤群で96週を超えたのに対し、プラセボ群で72週でした。結果、プラセボ群と比較し本剤群で有意なPFSの延長が認められました。

使用方法

先端巨大症・下垂体性巨人症、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍の場合、90mgを4週ごとに3ヵ月間、深部皮下に注射します。その後は患者の病態に応じて60mg、90mgもしくは120mgを4週ごとに投与します。
膵・消化管神経内分泌腫瘍の場合、120mgを4週ごとに、深部皮下に注射します。

副作用

主に、下痢や胆石症、倦怠感、脱毛、疼痛などがあげられます。
項目別の発現頻度は以下の通りです。

血液・・貧血(5%未満)
胃腸・・下痢、白色便、腹痛、腹部膨満、鼓腸、悪心(5%以上)、腹部不快感、嘔吐、便秘、硬便、血中アミラーゼ増加、消化不良、膵炎(5%未満)、脂肪便、膵酵素減少(頻度不明)
全身・・倦怠感(5%以上)、異常感、疲労、発熱(5%未満)
肝・胆道系・・胆石症(5%以上)、AST増加、ALT増加、血中ビリルビン増加、ALP増加、γ-GTP増加(5%未満)、胆管拡張、AST異常、ALT異常、血中ビリルビン異常、胆管炎(頻度不明)
皮膚・皮下組織・・脱毛(5%以上)、発疹、蕁麻疹、紅斑(5%未満)
筋・骨格系・・筋骨格痛、筋肉痛(頻度不明)
精神・神経系・・頭痛、傾眠、浮動性めまい(5%未満)、不眠、嗜眠(頻度不明)
内分泌系・・TSH減少、プロラクチン減少(5%未満)
代謝・栄養障害・・ヘモグロビンA1c増加、耐糖能異常、低血糖、血中ブドウ糖増加、血中ブドウ糖減少、糖尿病、コントロール不良の糖尿病、高血糖、食欲減退(5%未満)
注射部位・・硬結、疼痛、そう痒感(5%以上)、紅斑(5%未満)、腫瘤、結節、膿瘍(頻度不明)
その他・・体重減少、高血圧(5%未満)、ほてり、血中ナトリウム減少(頻度不明)

重大な副作用としては徐脈(3.7%)があげられます。
徐脈があらわれた場合、β-遮断剤、カルシウム拮抗剤等の徐脈作用を有する薬剤もしくは水分や電解質を補正する薬剤を投与している方では、これらの用量を調節してください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ランレオチド酢酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ソマチュリン皮下注の有効成分
ランレオチド酢酸塩

▼代表薬の添加物
酢酸

・以前、ランレオチド酢酸塩を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。

使用に注意が必要な方
・心疾患を有する方は本剤の投与開始時に患者の状態を十分に観察してください。本剤の投与により徐脈があらわれることがあります。
・中等度から重度の腎機能障害のある方
・中等度から重度の肝機能障害のある方
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
・小児
・高齢者

上記にあてはまる方は、ランレオチド酢酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ランレオチド酢酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<シクロスポリン(経口剤)>
シクロスポリンの血中濃度が低下することがあります。

<インスリン製剤及び血糖降下薬>
血糖降下作用の増強による低血糖症状、もしくは減弱による高血糖症状があらわれることがあります。併用する場合は、血糖値その他患者の状態に注意をしてください。

<ブロモクリプチン>
類薬で、ブロモクリプチンのAUCが上昇したとの報告があります。


主にCYP3A4で代謝される薬剤の血中濃度を上昇させることがあります。

上記を使用している方は、ランレオチド酢酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ランレオチド酢酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ランレオチド酢酸塩に関する
よくある質問
食事の影響はありますか?

食事の影響はありません。

食事・併用薬の影響

【上記引用元:ランレオチド酢酸塩 医薬品インタビューフォーム】

どのくらいで効果は発現しますか?

本薬剤は投与6時間後に最高血中濃度に達します。日本人健康成人男性18例に本剤30mgまたは60 mgを単回皮下投与しました。60mg群では、最高血中濃度到達時間は、投与6時間後(中央値)でありました

臨床試験で確認された血中濃度

【上記引用元:ランレオチド酢酸塩 医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

ランレオチド酢酸塩 添付文書

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。