成分名 |
オキシトシン |
適応症状 |
分娩誘発/微弱陣痛/弛緩出血/胎盤娩出前後/子宮復古不全/帝王切開術(胎児の娩出後)/流産/人工妊娠中絶 |
簡易説明 |
オキシトシンは、子宮収縮薬・陣痛促進剤です。
出産のための陣痛がうまく起こらなかったり、お母さんや赤ちゃんの状態によって通常のお産の進行を待たずに出産した方が良い場合に使われます。注射剤です。
1906年に発見され、1954年に日本で販売が開始された歴史が長い薬剤です。子宮収縮薬や陣痛促進剤として以外にも、さまざまな医学的場面で使用されるようになってきています。 |
処方可能な診療科目 |
産婦人科 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
アトニン−O注1単位(オキシトシン注射液)を処方してもらう場合。
診察料などの目安:約1000円~約2000円(保険により3割負担の場合)
1単位1管あたりの目安:約97円(薬価)
病院によって差ががあります。また、診察料・薬代の他に、初診料・検査料などが必要になる場合があります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1954年6月販売開始(新薬:アトニン−O注1単位/5単位) |
国内のジェネリック認可 |
なし |
関連製品(先発薬) |
アトニン−O注1単位(あすか製薬)
アトニン−O注5単位(あすか製薬)
オキシトシン注射液5単位「F」(富士製薬) |
関連製品(ジェネリック) |
なし |
効果・作用 |
オキシトシン(アトニン)は、子宮収縮薬や陣痛促進剤として分娩時に用いられる注射剤です。
赤ちゃんは、約40週間かけてお母さんの胎内で育ち、母児ともに出産の準備が出来ると生まれてきます。お母さんのからだでは、出産の準備が出来ると、出産に関係する各種ホルモンがからだの中で分泌されて子宮を収縮させ、出産のための「陣痛」を起こします。
しかし時々、出産のための陣痛がうまく起こらなかったり、お母さんや赤ちゃんの状態によって、通常のお産の進行を待たずに出産した方が良い場合があります。このような場合には、子宮収縮薬を使って出産を促したり、帝王切開を行うことがあります。そこで使われるのがオキシトシンです。
オキシトシンは、視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンです。1906年にヘンリー・ハレット・デールによって発見され、1952年に分子構造が決定されました。
また、オキシトシンには末梢組織で働くホルモンとしての作用、中枢神経での神経伝達物質としての作用があります。末梢組織では、主に平滑筋の収縮に関与して、分娩時に子宮を収縮させます。また、乳腺の筋線維を収縮させて乳汁分泌を促すなどの働きを持ちます。このため臨床では、子宮収縮薬や陣痛促進剤をはじめとして、さまざまな医学的場面で使用されてきており、その歴史は長いです。最初は女性特有の機能に必須なホルモンとして発見されましたが、その後、男性にも普遍的に存在することが判明しています。また、視床下部の室傍核(PVN)や視索上核(SON)にあるニューロンから分泌され、下垂体後葉をはじめ、様々な脳の部位に作用して機能を調節していることがわかっています。
なお、オキシトシンは、「幸せホルモン」「愛情ホルモン」などと呼ばれることがありますが、そのような、情愛を増やすような用途の医療品としては、今のところ具体的な開発は進んでいないようです。 |
使用方法 |
原則として点滴静注法によって行って下さい。
■分娩誘発/微弱陣痛
・点滴静注法
通常5~10単位を5%ブドウ糖注射液(500mL)等に混ぜ合わせ、点滴速度1~2ミリ単位/分から開始して下さい。また、陣痛発来状況/胎児心拍等を注視しつつ必要に応じて随時増減して下さい。なお、点滴速度は20ミリ単位/分を超えないようにして下さい
■弛緩出血/胎盤娩出前後/子宮復古不全/流産/人工妊娠中絶
・点滴静注法
通常5~10単位を5%ブドウ糖注射液(500mL)等に混ぜ合わせ、子宮収縮状況などを注視しつつ必要に応じて随時増減して下さい。
・静注法(弛緩出血及び胎盤娩出前後の場合)
5~10単位を、静脈内に緩やかに徐々に注射して下さい。
・筋注法
5~10単位を、筋肉内に緩やかに徐々に注射して下さい。
■帝王切開術(胎児の娩出後)
・点滴静注法
通常5~10単位を5%ブドウ糖注射液(500mL)等に混ぜ合わせ、子宮収縮状況などを注視しつつ必要に応じて随時増減して下さい。
・筋注法
5~10単位を、筋肉内に緩やかに徐々に注射して下さい。
・子宮筋注法
5~10単位を、子宮筋層内へ直接投与して下さい。
※使用時の注意事項
■弛緩出血/胎盤娩出前後/子宮復古不全/流産/人工妊娠中絶/帝王切開術(胎児の娩出後)
・筋注法、静注法は調節性に欠けます。弛緩出血に用いる場合、もしくはやむを得ない場合に限って使用を検討して下さい。
■分娩誘発/微弱陣痛
・本剤に対する子宮筋の感受性においては個人差が大きく、少量でも過強陣痛を引き起こす症例があります。それを考慮し、できる限り少量(2ミリ単位/分以下)から投与を開始し、陣痛発来状況及び胎児心音を注視しつつ必要に応じて随時増減して下さい。過強陣痛等は、点滴を開始した初期に起こり易いので特に注意が必要です。
・点滴速度をあげる場合は、一度に1〜2ミリ単位/分の範囲で、30分以上経過を観察しつつ徐々に行って下さい。点滴速度を20ミリ単位/分にあげても有効陣痛に至らない場合は、それ以上あげても効果は期待できません。増量しないで下さい。
・本剤を投与する際は、精密持続点滴装置を使って投与して下さい。 |
副作用 |
重大な副作用
・ショック、アナフィラキシー〔観察を十分に行い、血圧低下/発疹/発赤/そう痒感/血管性浮腫/呼吸困難/チアノーゼ等の異常が認められた場合には、投与を中止して適切な処置を行って下さい。〕
・過強陣痛/子宮破裂/頸管裂傷/羊水塞栓症/微弱陣痛/弛緩出血
・胎児機能不全
その他の副作用
過敏症状/新生児黄疸/不整脈/ST低下/静脈内注射後一過性の血圧下降/血圧上昇/悪心/嘔吐/疼痛/硬結/水中毒症状
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 次の患者には投与しないで下さい。
[効能共通]
・本剤の成分またはオキシトシンに類似する化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
[分娩誘発/微弱陣痛]
・プロスタグランジン製剤(PGF2α、PGE2)を投与中の患者。
・プラステロン硫酸(レボスパ)を投与中または投与後で、十分に時間が経っていない患者[過強陣痛を引き起こす恐れがあります。]
・吸湿性頸管拡張材(ラミナリア等)を挿入中の患者、またはメトロイリンテル挿入後に1時間以上経っていない患者[過強陣痛を引き起こす恐れがあります。]
・ジノプロストン(PGE2)製剤の投与終了後、1時間以上経っていない患者[過強陣痛を引き起こす恐れがあります。]
・骨盤狭窄/児頭骨盤不均衡/横位のある患者[正常な経腟分娩が成立せず、母体及び胎児へ障害が及ぶ恐れがあります。]
・前置胎盤の患者[出血により、母体及び胎児へ障害が及ぶ恐れがあります。]
・常位胎盤早期剥離の患者(胎児生存時)[緊急な胎児娩出が要求されるため、外科的処置の方が確実性が高いです。]
・重度胎児機能不全のある患者[子宮収縮によって胎児の症状が悪化する恐れがあります。]
・過強陣痛の患者[子宮破裂、胎児機能不全、胎児死亡の恐れがあります。]
・切迫子宮破裂の患者[子宮破裂の恐れがあります。]
使用に注意が必要な方 次の患者には慎重に投与して下さい。
・胎児機能不全のある患者[子宮収縮によって胎児の症状が悪化する恐れがあります。]
・妊娠高血圧症候群/心・腎・血管障害のある患者[大量投与で血圧下降による臓器虚血を来すおそれがります。また、本剤は弱いバソプレシン様作用(血管収縮作用及び抗利尿作用)を有し、血圧上昇及び水貯留があらわれることがあります。]
・児頭骨盤不均衡の疑いのある患者/胎位胎勢異常による難産・軟産道強靭症の患者[経腟分娩が困難であり、過強陣痛が起こり易いです。]
・帝王切開及び子宮切開等の既往歴のある患者/多産婦[このような患者では一般に子宮破裂が起こり易いです。]
・高年初産婦[このような患者では一般に軟産道の伸展不良により分娩障害が起こり易いです。]
・多胎妊娠の患者[胎位胎勢異常であることがあります。]
・常位胎盤早期剥離の患者(胎児死亡時)[母体の状態等により、緊急な胎児娩出が要求されます。]
上記にあてはまる方は、オキシトシンを使用する事が出来ない可能性があります。 オキシトシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・ジノプロストン(腟用剤)[本剤及びこれらの薬剤の有する子宮収縮作用が、前後して使われることによって増強され、過強陣痛を起こしやすいです。ジノプロストン(腟用剤)の投与終了後1時間以上の間隔を空け、十分な分娩監視を行って慎重に投与して下さい。]
・プロスタグランジン製剤(PGF2α,PGE2(経口剤))[本剤及びこれらの薬剤の有する子宮収縮作用が、前後して使われることによって増強され、過強陣痛を引き起こす恐れがあります。十分な分娩監視を行って慎重に投与して下さい。特に、ジノプロストン(経口剤)を前後して投与する場合は、前の薬剤の投与が終了して1時間以上経過してから、次の薬剤の投与を開始して下さい。]
・シクロホスファミド[機序は不明ですが、本剤の作用が増強されることがあります。]
上記を使用している方は、オキシトシンを使用する事が出来ない可能性があります。 オキシトシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 ※分娩誘発/微弱陣痛の治療の目的で使用する場合
・プロスタグランジン製剤(PGF2α,PGE2):プロスタルモン・F注射液/プロスタグランジンE2錠/プロウペス腟用剤 等[本剤及びこれらの薬剤が有する子宮収縮作用が併用により強まり、過強陣痛を起こし易いです。]
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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