クロミフェンクエン酸塩

成分名

クロミフェンクエン酸塩

適応症状

・排卵障害にもとづく不妊症の排卵誘発
・乏精子症における精子形成の誘導
生殖補助医療における調節卵巣刺激。(令和4年4月1日より保険適用)

簡易説明

排卵を生じさせるお薬です。排卵障害による不妊症に用います。
排卵誘発薬の中でもクロミッドは代表的な排卵誘発薬です。排卵がない場合、この薬がまず最初の選択肢として選ばれます。
また男性の不妊治療に使われることもあります。
クロミッドは脳のホルモン中枢に作用して、精巣を刺激するホルモンを増やすことで精子や男性ホルモンを作る働きを改善します。

処方可能な診療科目

産婦人科/婦人科 など

健康保険の適応

健康保険適応
クロミッドは1日量が1錠(50mg)~3錠(150mg)
ただし、1日量3錠〜は、保険適用外です。
生殖補助医療における調節卵巣刺激。(令和4年4月1日より保険適用)

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約1000円~5000円程度
新薬1錠あたりの目安:
クロミッド錠50mg 96.4円/錠(薬価)
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1968年3月【発売開始年月日】

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

クロミッド錠50mg【製薬メーカー:富士製薬工業】
セロフェン錠50mg【製薬メーカー:メルクバイオファーマ】(クロミッドと同等医薬品}

関連製品(ジェネリック)

クロミフェンクエン酸塩錠50mg
フェミロン錠50mg「富士製薬」
オリフェン錠50mg 「岩城」
スパクロミン錠50mg「科薬」

効果・作用

クエン酸クロミフェン(クロミッド)は1961年にアメリカのメレル社で開発され長年使用されている排卵誘発剤で安全性が確立しているお薬です。
生殖医療(不妊治療)では、排卵誘発剤がよく使われます。
その中でも、最も多く処方されているのが、このクロミフェンクエン酸塩だといわれています。
一般的な量は1日25~150mg(0.5~3錠)までです。
一般的にクロミッドは排卵していない人に使われますが、排卵している人でも内服することにより成熟卵が出来やすく約6%妊娠率があがるといわれています。排卵障害のみの患者さんにクロミッドで排卵を誘発した場合、6か月の累計妊娠率は60~75%に達します。
またクロミッドを長く内服していただくと、卵の成長を促すとともに、排卵を抑える働きがあるので、体外受精の際に自然排卵などを抑制するために使用されます。
■作用機序として
クロミフェンクエン酸塩は、内因性エストロゲンのレベルが保たれている無排卵症婦人に投与すると、視床下部のエストロゲン受容体に内因性エストロゲンと競合的に結合し、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)を分泌させる。その結果、下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が分泌され、卵巣を刺激して排卵が誘発される。
クロミフェンクエン酸塩は、乏精子症において、視床下部及び下垂体に対して抗エストロゲンとして作用することで、下垂体からFSH及びLH分泌を促進する。その結果、精巣中のライディッヒ細胞及びセルトリ細胞が刺激され、精子形成が誘導されると考えられる
自然周期では通常1個の卵胞が排卵するのに対し、クロミッドでは、1~5個の排卵があります。クロミッドによる多胎妊娠は、考えられているよりも多くなく、自然周期の妊娠で1%に対し、4%であることが報告されていますが、品胎(三つ子)妊娠はほとんどなく、もちろん単胎妊娠の場合、妊娠後の赤ちゃんへの影響もありません。その他、内服中の嘔気、頭痛、めまい感が稀にみられたり、物がかすんで見える視覚症状、体温上昇があることがありますが、重篤な副作用はほとんどみられません。視覚症状が強いときには眼科受診も勧められています。

また男性の不妊治療に使われることもあります。男性更年期障害の症状改善作用や、男性不妊症における精子形成促進作用を示します
クロミッドは脳のホルモン中枢に作用して、精巣を刺激するホルモン(卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモン)を増やすことで精子や男性ホルモンを作る働きを改善します。
クエン酸クロミフェン:クロミッド®は、間脳の性ステロイドホルモン受容体に結合します。 女性においては、内因性エストロゲンが受容体と結合するのを、競合阻害します。 このため、エストロゲンの作用が不足していると感じた人体は、フィードバックによって、 エストロゲン分泌を亢進させようとし、上位ホルモンであるゴナドトロピン放出ホルモンの分泌を亢進させます。
ゴナドトロピン放出ホルモンの分泌亢進によって、結果的に女性ではエストロゲンの分泌が亢進し、 排卵が誘発されます。
男性の場合には、アンドロゲンの産生やテストステロンの分泌を進行させる事になります。
おそらく、このクエン酸クロミフェン:クロミッド®の男性ホルモンの産生・分泌亢進が、結果として、 男性ホルモンの相対的欠乏状態である男性更年期障害の症状を改善し、 また、男性不妊症患者における精子形成促進に働くものと思われます。

使用方法

〈排卵障害にもとづく不妊症の排卵誘発〉
通常第1クール1日クロミフェンクエン酸塩として50mg5日間で開始し、第1クールで無効の場合は1日100mg5日間に増量する
用量・期間は1日100mg5日間を限度とする
〈乏精子症における精子形成の誘導〉通常、クロミフェンクエン酸塩として1回50mgを隔日経口投与する
〈男性の不妊治療〉
毎日一錠(50mg)を効果発現まで服用します。通常は4~6か月服用します。
必ず医師の指示に正しく従って飲んでください。
■用法及び用量に関連する注意
〈排卵障害にもとづく不妊症の排卵誘発〉一般に3クール反復投与しても排卵性月経の全くみられない場合には投与を中止すること

副作用

クロミッドには、副作用が起こる可能性があります。
クロミッドを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

クロミッドの注意すべき副作用
霧視/視覚症状/頭痛/情動不安/悪心/嘔吐/食欲不振/顔面潮紅/尿量増加/口渇

クロミッドの主な副作用
霧視/視覚症状/頭痛/情動不安/悪心/嘔吐/食欲不振/顔面潮紅/尿量増加/口渇/疲労感

クロミッドの副作用(重度)
卵巣過剰刺激症候群/卵巣腫大/卵巣茎捻転/下腹部痛/下腹部緊迫感/腹水貯留/胸水貯留/血液濃縮/血液凝固能亢進/呼吸困難
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
◇◇
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

その他の副作用
虚血性視神経症/過敏症/発疹/精神変調/AST上昇/ALT上昇/ビリルビン上昇/γ−GTP上昇/女性化乳房/ざ瘡/脱毛/5%以上のBSP排泄遅延

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方(クロミッド錠50mgの場合)は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼クロミッド錠50mgの有効成分
1錠中 日局 クロミフェンクエン酸塩 50mg

その他にも以下に該当する方は使用できません
・本剤成分又は含有成分で過敏症の既往歴のある方
・下垂体腫瘍
・肝疾患
・肝障害
・子宮内膜癌
・頭蓋内に病変
・前立腺癌
・乳癌
・無排卵症以外の不妊症
・卵巣腫瘍
・甲状腺機能異常による無排卵
・子宮性無月経
・副腎機能異常による無排卵
・多嚢胞性卵巣症候群を原因としない卵巣腫大
・原発性卵巣不全による尿中性腺刺激ホルモン分泌の高い
・アンドロゲン依存性悪性腫瘍
・エストロゲン依存性悪性腫瘍
・児を望まない無排卵
・妊婦、産婦、
・生殖能を有する(11歳〜)

使用に注意が必要な方
・肝疾患
・肝障害
・子宮内膜症
・子宮筋腫
・前立腺肥大
・乳房レントゲン像に異常
・乳房結節
・乳癌
・乳腺症
・多嚢胞性卵巣
・乳癌家族素因が強い
・血栓症素因
・未治療の子宮内膜増殖症
・高齢者
・授乳婦等
・小児等

上記にあてはまる方は、クロミフェンクエン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
クロミフェンクエン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
排卵誘発剤を注射していますが、普通のセックスで妊娠は可能なのですか?

普通のセックスによる妊娠は可能です。排卵誘発剤の役割としては、卵巣を刺激して排卵の時期を早めたり、排卵する卵子の個数を増やしたりすることです。
ただし、ただし、治療の内容によっては性行為を避けるタイミングもあるため、まずは医師にご相談いただくことをおすすめします。

お酒を飲んでも大丈夫ですか?

大丈夫です。お酒を飲んでもクロミッドの効果がなくなるといったことはないので大丈夫です。お酒以外の特定の食品がクロミッドの効果に影響を与えることもありません。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。