プロピルチオウラシル

成分名

プロピルチオウラシル

適応症状

甲状腺機能亢進症

簡易説明

・甲状腺ホルモンが多すぎると、体の代謝が異常に高まり「暑がり、汗をかく、微熱が続く、手の震え、心臓のドキドキ、イライラ、食べても食べてもやせる」などの症状がおきます。プロピルチオウラシルは、甲状腺ホルモンの合成を抑制し、ホルモンの分泌を減らし甲状腺機能亢進症を改善します。甲状腺機能亢進症の代表的な病気が「バセドウ病」です。
・甲状腺が働きが活発な時、治療するためには「甲状腺を切除する」や「放射線によって甲状腺の機能を弱める」などがありますが、薬を使用するという選択肢もあり、この薬としてプロピルチオウラシルが使用されます。

処方可能な診療科目

内科、内分泌科、耳鼻咽喉科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約1,000円~10,000円

プロパジール錠50mg:9.8円(50mg1錠)
チウラジール錠50mg:9.8円(50mg1錠)

※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1966年2月販売開始

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

プロパジール錠50mg【あすか製薬】
チウラジール錠50mg【ニプロESファーマ】

関連製品(ジェネリック)

なし

効果・作用

▼プロピルチオウラシルの作用▼
・甲状腺に作用し、甲状腺ホルモンの合成に必要な酵素の働きを阻害し、甲状腺ホルモンの過剰分泌をおさえる作用があります。
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病を含む)の治療に用いられます。
甲状腺ホルモンで重要となる元素としてヨウ素(I)があります。ヨウ素は甲状腺に集まる性質を持っていますが、これは甲状腺ホルモンを作り出すときにヨウ素(I)が必要不可欠であるためです。

▼甲状腺機能亢進症▼
・喉に存在するハート型の臓器として甲状腺があり、甲状腺からはホルモンが分泌します。このホルモンを「甲状腺ホルモン」といいます。
・甲状腺ホルモンは体の新陳代謝に関係しており、甲状腺ホルモンが多量に分泌されると、新陳代謝が活発になり過ぎ、疲労、動悸・頻脈などを発症させます。これを「甲状腺機能亢進症」といいます。また、甲状腺機能亢進症として、バセドウ病が知られております。

▼甲状腺ホルモン作用▼
・甲状腺ホルモン作用は、脳の発達をはじめ器官の成長・発育作用、酸素消費増加による熱産生作用、心血管系に対する作用、脂質・糖質代謝作用などとなっております。
・化学合成物のT4製剤としてチラーヂンS、レボチロキシンナトリウム錠「サンド」、T3製剤はチロナミンが販売されております。
・甲状腺ホルモン薬は、橋本病、甲状腺手術後およびアイソトープ(放射線ヨウ素)治療後に起こる甲状腺機能低下症の甲状腺ホルモン補充に使用されます。
・下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)には甲状腺がんの進行を促進する作用があり、TSHを低く保つためにも使用されることもあります。
・甲状腺ホルモンとしての効果はT3が担っていますが、T3はT4に比較して血液中のたんぱく質との結合力が弱く、服用後の吸収が速やかで排泄が早い(血中の半減期が短い)ため、内服後に安定した濃度を維持することが難しいという欠点があります。
・T4は、半減期が長く肝臓や腎臓などでゆっくりとT3に変換されるため、適切な量を服用することにより生理的な血中濃度が継続的に保持されるので、原則としてT4製剤が使用されております。
・T4製剤は半減期が約1週間ですので、服用し続けていれば服用時間がずれても血中濃度の変動はほとんどなく、いつ服用しても血中濃度の時間帯による効果の違いもあまりないのも特徴です。
・最近の研究では、食後よりも空腹時や寝る前の方が吸収がわずかですが、よいことがわかってきております。
・服用回数は通常、内容量にかかわらず1日1回の服用ですが、服用により心悸亢進(動悸など)がある場合、心臓疾患を合併している場合、高齢者などは分けて使用することがございます。
・T4製剤は人間の甲状腺ホルモンを化学的に合成したものなので副作用はないはずですが、まれに、成分、賦形剤、着色料などによりアレルギーを起こすこともございます。

使用方法

・成人に対しては初期量1日300mgを3~4回に分割経口投与すること
※症状が重症のときは1日400~600mgを使用する
※機能亢進症状がほぼ消失したなら、1~4週間毎に漸減し、維持量1日50~100mgを1~2回に分割経口投与すること

・通常小児に対しては初期量5歳以上~10歳未満では1日100~200mg、10歳以上~15歳未満では、1日200~300mgを2~4回に分割経口投与すること
※機能亢進症状がほぼ消失したなら、1~4週間毎に漸減し、維持量1日50~100mgを1~2回に分割経口投与すること

・通常妊婦に対しては初期量1日150~300mgを3~4回に分割経口投与すること
※機能亢進症状がほぼ消失したなら、1~4週間毎に漸減し、維持量1日50~100mgを1~2回に分割経口投与すること
※正常妊娠時の甲状腺機能検査値を低下しないよう、2週間毎に検査し、必要最低限量を投与すること
※年齢、症状により適宜増減する

副作用

主な副作用
プロピルチオウラシルには、副作用が起こる可能性があります。
服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

頭痛、浮腫、過敏症、AST上昇、ALT上昇、脱毛、皮膚色素沈着、皮膚そう痒感、悪心、嘔吐、痢

重大な副作用
無顆粒球症、白血球減少、発熱全身倦怠、咽頭痛、再生不良性貧血、低プロトロンビン血症、第7因子欠乏症、血小板減少、血小板減少性紫斑病、紫斑、劇症肝炎、黄疸、重篤な肝障害、肝機能障害、SLE様症状、紅斑、筋肉痛、関節痛、リンパ節腫脹、脾腫、間質性肺炎、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、抗好中球細胞質抗体関連血管炎症候群、ANCA関連血管炎症候群、急性進行性腎炎症候群、血尿、蛋白尿、肺出血、感冒様症状、肘関節痛 、膝関節痛、上強膜炎、ANCA陽性血管炎症候群、アナフィラキシー、そう痒、発疹、顔面浮腫、薬剤性過敏症症候群、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現、遅発性の重篤な過敏症状、ヒトヘルペスウイルス6再活性化、HHV6再活性化、ウイルス再活性化

極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

その他の副作用
食欲不振、めまい、末梢神経異常、蕁麻疹、CK上昇、こむらがえり、倦怠感、唾液腺肥大、味覚異常、苦味、味覚減退

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・過敏症の方
・本剤使用後肝機能が悪化の方
・妊婦・産婦

使用に注意が必要な方
・肝機能障害の方
・血液障害の方
・中等度以上の白血球減少の方
・高齢者

上記にあてはまる方は、プロピルチオウラシルを使用する事が出来ない可能性があります。
プロピルチオウラシルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
・クマリン系抗凝血剤
・ワルファリンカリウム
・ジギタリス剤
・ジゴキシン

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
薬は飲み始めると一生飲まないといけませんか?

内服を中止すると2週間~1か月で内服前の状態に戻ります。甲状腺機能低下症が一過性の場合がありますが、その多くは3?6か月以内に正常に回復します。甲状腺機能低下が6か月以上継続して内服を開始するような場合にはプロピルチオウラシル製剤の内服が生涯必要の可能性があります。内服が生涯必要なのは、甲状腺癌やバセドウ病などの手術で甲状腺全摘を行った後や、バセドウ病でアイソトープ療法後の甲状腺機能低下などです。また、内服中の方では、経過中に時々TSHが高値になる方や、TSHが上昇し少しずつプロピルチオウラシル製剤を増やしている方は、症状がなくても内服の継続が必要な可能性があります。

プロピルチオウラシル製剤を服用してて、インフルエンザの予防接種は受けても大丈夫ですか?

ほとんどの方は問題なく受けられます。もし、ご心配なら医師に相談するのがよいでしょう。

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