レトロゾール

成分名

レトロゾール

適応症状

閉経後乳癌

簡易説明

レトロゾールは、乳がんを治療する薬です。
副腎からのエストロゲン産生を抑制するという特性から、閉経後のホルモン療法として用いられます。
特に良く使われるのは、ホルモン反応性が高い女性ホルモン受容体陽性乳がんに対してです。この場合、高い有効率が期待でき、予後の改善にもつながります。進行乳がんに用いられるほか、手術後の再発予防目的に補助療法として用いることも多いです。

処方可能な診療科目

外科/乳腺外科/内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約1,000円~3,000円
薬代1錠あたりの目安:321.1円(薬価)
薬代後発薬1錠の目安:86.8円~(薬価)
病院によって差ががあります。また、診察料・薬代の他に、初診料・検査料などが必要になる場合があります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2006年5月【フェマーラ錠2.5mg】

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

フェマーラ錠2.5mg【製薬メーカー:ノバルティスファーマ】

関連製品(ジェネリック)

レトロゾール錠2.5mg(ダイト/東和薬品/MeijiSeikaファルマ/共創未来ファーマ/日本ジェネリック/第一三共エスファ/エルメッド/富士製薬/小林化工/日本化薬/共和薬品/沢井製薬/武田テバファーマ/日医工/ニプロ/マイランEPD/富士化学/サンド/ファイザー)

効果・作用

乳がんは、乳腺や乳管にできたがんであり、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の影響を受けて大きくなる性質があります。
エストロゲンは、閉経前は卵巣でたくさん作られますが、閉経後は副腎のアンドロゲンで作られます。このエストロゲンの影響を低減させることにより乳がんの増殖を抑制しようとする治療法が、ホルモン療法(内分泌療法)です。

閉経後のエストロゲン生成は、アロマターゼという酵素を介し副腎のアンドロゲン(男性ホルモン)から転化生成されるルートでおこなわれます。

レトロゾールは、アロマターゼのヘム鉄に可逆的に結合して不活化することで、エストロゲンへの転化を抑制します。このような作用機序から、アロマターゼ阻害薬、あるいはアロマターゼ不活化薬と呼ばれています。アロマターゼ阻害薬は成分の化学構造などにより、非ステロイド性とステロイド性に分かれますが、本剤は非ステロイド性に分類されます。
閉経後で、女性ホルモン受容体(HR:ER・PgR)が陽性の場合に優先される標準的な治療薬です。そのような患者さんの術後補助療法において、抗エストロゲン薬のタモキシフェン(ノルバデックス)をしのぐ臨床成績が報告されています(BIG1-98試験)。また、手術後5年間のタモキシフェン治療完了後の投与においても有用性が示されています(MA.17試験)。

使用方法

通常、成人にはレトロゾールとして1日1回2.5mgを経口投与して下さい。
※使用上の注意事項
・PTP包装の薬剤は、PTPシートから取り出して服用するよう指導して下さい。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されています。〕

副作用

重大な副作用
血栓症/塞栓症/心不全/狭心症/肝機能障害/黄疸/中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)/多形紅斑

その他の副作用
白血球数減少/血小板増加/白血球分画異常/単球数減少/好塩基球数増加/リンパ球数減少/食欲亢進/体重減少/血中コレステロール増加/高カルシウム血症/食欲不振/体重増加/血中クロール増加/血中コレステロール減少/血中カリウム減少/低蛋白血症/アルブミン・グロブリン比減少/うつ病/不安/不眠症/易興奮性/記憶障害/異常感覚/頭痛/浮動性めまい/注意力障害/傾眠/しびれ感/味覚障害/回転性めまい/白内障/眼刺激/霧視/耳鳴/頻脈/動悸/ほてり/高血圧/低血圧/潮紅/呼吸困難/喉頭痛/下痢/悪心/嘔吐/消化不良/腹痛/便秘/腹部膨満/上腹部痛/軟便/歯痛/口内炎/AST(GOT)増加/ALT(GPT)増加/ALP増加/γ-GTP増加/LDH増加/血中ビリルビン増加/皮膚乾燥/蕁麻疹/そう痒症/発疹/多汗/冷汗/局所性表皮剥脱/湿疹/脱毛症/骨痛/骨折/骨粗鬆症/関節痛/筋痛/関節硬直/背部痛/関節炎/頻尿/尿路感染/尿蛋白陽性/BUN増加/膣乾燥/乳房痛/膣出血/膣分泌物/発熱/粘膜乾燥/腫瘍疼痛/疲労/倦怠感/口渇/熱感/脱力/上肢浮腫/全身浮腫/胸痛

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔海外において、適応外として妊娠前及び妊娠中に本剤を投与された患者で奇形を有する児を出産したとの報告があります。動物実験(ラット)においては、胎児死亡及び催奇形性(ドーム状頭部及び椎体癒合)並びに分娩障害が観察されています。また、動物実験(ラット)で胎児への移行が認められています。〕
・授乳婦〔やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせて下さい。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められています。また、動物実験(ラット)で授乳期に本剤を母動物に投与した場合、雄の出生児の生殖能の低下が観察されています。〕
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■レトロゾールを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方(フェマーラの場合)は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼フェマーラの有効成分
レトロゾール
▼フェマーラの添加物
・乳糖
・トウモロコシデンプン
・セルロース・無水ケイ酸
・デンプングリコール酸ナトリウム
・ステアリン酸マグネシウム
・ヒプロメロース
・マクロゴール
・タルク
・酸化チタン
・三二酸化鉄

慎重投与
・高齢者〔一般に高齢者では生理機能が低下しており、副作用があらわれやすいです。〕
・重度の肝機能障害を有する患者〔本剤の重度の肝機能障害患者における安全性は確立していません。〕
・重度の腎障害を有する患者〔本剤の重度の腎障害患者における安全性は確立していません。〕

上記にあてはまる方は、レトロゾールを使用する事が出来ない可能性があります。
レトロゾールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・CYP2A6を阻害する薬剤(メトキサレン 等)〔メトキサレン等の薬剤はCYP2A6活性を阻害することより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性があります。〕
・CYP3A4を阻害する薬剤(アゾール系抗真菌剤 等)〔アゾール系抗真菌剤等の薬剤はCYP3A4活性を阻害することより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性があります。〕
・CYP3A4を誘導する薬剤(タモキシフェン/リファンピシン 等)〔これらの薬剤はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性があります。また、本剤とタモキシフェンの反復併用投与により、本剤のAUCが約40%低下したとの報告があります。ただし、相互作用に起因する効果の減弱及び副作用の報告はありません。〕

上記を使用している方は、レトロゾールを使用する事が出来ない可能性があります。
レトロゾールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
乳がんの治療中です。閉経前なのですが、レトロゾールを処方されました。効果はありますでしょうか。

通常、レトロゾール閉経後の乳がん治療に使われるものです。閉経前であれば、タモフェキシン等が通常は用いられます。その旨を医師・薬剤師に確認するか、医師のミスも考えられるため、セカンドオピニオンを検討した方が良いかもしれません。

不妊治療の薬としても使用できますでしょうか。

最近は排卵誘発剤として不妊治療で使われることもあるようです。適応外であり、保険診療ではないものの、きちんとした説明と理解の上で使われる上では問題ないように思われます。詳しくは、医師・薬剤師にご相談下さい。

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