「太った」のか「むくみ」なのか?簡単な見分け方と正しい対処法を解説

利尿剤

太ったのか、むくみなのか?見分け方

太ったのか、むくみなのか?見分け方画像

「最近、なんだか体がむくんでる?それとも太った?」
このような疑問を持ったことはありませんか?
体重計の数字が増えた、服がきつくなった、顔がパンパンに感じる等など。
単なる脂肪の蓄積なのか、一時的なむくみなのかを見極めることは、適切な対処法を選ぶ上で非常に重要です。
今回は、「太り」と「むくみ」の違いを、誰でも簡単に見分けられる方法をご紹介します。

太りとむくみの基本的な違い

まず、「太ること」と「むくみ」は根本的に異なるものです。

太ること

食事で摂ったエネルギーが消費を上回ると、余分なカロリーが脂肪として体に蓄積されます。これは長期的に少しずつ起こる変化です。

むくみ

体内の水分バランスが崩れ、通常は血管内にとどまるべき水分が組織にたまり、体が腫れたように見える状態です。
むくみは短期間で起こり、原因が改善すれば数時間~数日で元に戻ることが多いのが特徴です。

太ることとむくみは見た目だけでは判断しづらいという点が挙げられます。
例えば
①軽度の肥満とむくみは、どちらもボリュームが増して見える
②顔のむくみは、単に「太った顔」と勘違いされやすい
③下半身のむくみは、「下半身太り」と思われがち
そこで、自分自身で簡単にチェックできる判断基準をいくつか紹介します。

太りとむくみの見分け方表

以下の表を参考に、あなたの状態がどちらに当てはまるか確認してみましょう。

判断ポイントむくみの場合太りの場合
指で押したときの反応へこみが残り、ゆっくり戻るすぐに元に戻る、弾力がある
一日の変化朝は比較的軽く、夕方にかけて悪化する一日を通じてほぼ変化しない
左右差片方だけむくむことがある基本的に左右対称に太る
発生スピード一晩~数日で急に現れることがある数週間~数ヶ月かけて徐々に増加する
目立つ部位足首、足の甲、まぶた、指などに顕著腹部、太もも、二の腕など全身に均等に
触った感触冷たく、押すとへこむ感覚がある常温で、柔らかいがしっかりした弾力がある
痛みや違和感重だるさや張り感特になし
姿勢の影響長時間同じ姿勢でいると悪化する姿勢を変えても変化なし

生活習慣からの判断材料

あなたの最近の生活習慣も、判断の手がかりになります。

生活習慣むくみ/太り
塩分の多い食事が続いているむくみの可能性が高い
長時間のデスクワークやフライト下半身のむくみを引き起こしやすい
生理前や妊娠中ホルモンの影響でむくみやすい
カロリー過多の食生活が続いている太りの可能性が高い
運動不足の生活が数ヶ月続いている太りの可能性が高い

むくみと太りの複合パターン

実際には、むくみと太りが同時に起こっていることも少なくありません。
特に以下のような状況では、両方の問題が絡み合っていることがあります。

①食生活の乱れ

高カロリー・高塩分の食事は、脂肪の蓄積とむくみの両方を引き起こします。

②運動不足

筋肉の動きが減ると血液やリンパ液の循環が悪くなりむくみやすくなると同時に、エネルギー消費も減り太りやすくなります。

③ホルモンバランスの変化

女性ホルモンの変動は、水分保持と脂肪蓄積の両方に影響します。

むくみの原因

むくみの原因画像

むくみが起こるのには必ず理由があります。
主な原因は以下の5つが考えられています。

①塩分の過剰摂取

塩辛い食事をすると、体がむくみやすくなります。
これは、塩分が高いと水分がその周りに集まる性質(浸透圧)が働くためです。
つまり、塩分の濃い部分に体の水分が引き寄せられ、むくみが起こるのです。
特に注意したいのは、
・インスタント食品やコンビニの食事は塩分が多い
・外食は塩分が多め
こうした食事を続けると、むくみが慢性的に起こることもあります。

②運動不足

体を動かさないと筋肉が衰えます。
筋肉には、体内の水分を押し上げるポンプのような働きがあります。
特にふくらはぎの筋肉が弱くなると、足から心臓へ水分を戻しにくくなり、むくみが起こりやすくなります。
デスクワークの人は、一日中座っているため下半身の筋肉をほとんど使いません。そのため、足のむくみが起こりやすい傾向があります。
一方、営業職など歩く機会が多い人は、筋肉のポンプ作用がうまく働くため、足がむくみにくいことが多いです。
年を重ねると筋肉量が減るため、むくみやすくなるのも特徴です。
高齢者のむくみは、加齢による筋肉の減少が原因の一つと考えられます。

③冷え

体が冷えると血流が悪くなり、水分が流れにくくなるため、むくみが起こりやすくなります。
体温が下がると、体は熱を逃さないよう血管を収縮させます。特に指先や足先は心臓から遠いため冷えやすく、むくみやすい部位です。
冷房の効いた部屋に長時間いたり、冷たい飲み物を多く摂ったりすると、季節を問わず体が冷えてむくむことがあります。

④ホルモン変化

女性は、生理周期や妊娠、更年期などホルモンの変動により、体に水分が溜まりやすくなります。

生理前

女性ホルモンの影響でむくみやすい時期は特に生理前の1週間です。

妊娠中

ホルモンレベルが変動するため、妊娠初期から後期までむくみが起こりやすいです。

更年期

ホルモンバランスの変化で一時的にむくみやすくなる場合があります。

これらのむくみは基本的に一時的で、ホルモンバランスが安定すれば改善します。

⑤薬の副作用

特定の薬の副作用により、むくみが起こることがあります。

対象となる薬

血圧を下げる薬、ステロイド、ホルモン薬など

注意点

新しく薬を飲み始めてからむくみが出た場合は、医師や薬剤師に相談しましょう

ポイント

自己判断で薬を中止せず、変更や用量調整は専門家に任せる

これらの原因を理解することで、対処法が見えてきます。
また、自分の生活の中でどの原因が当てはまるのかを把握することで、より効果的な対策が立てられます。

むくみの対処法

むくみは正しく対処すれば、改善できます。
すぐに実行できることから、生活習慣の改善まで、ご紹介します。

今すぐできること

むくみの対処法今すぐできること

①脚を高い位置に置く

寝るときは脚の下にクッションを置き、重力を利用して水分が心臓に戻りやすい体勢をつくります。座っているときも、足を高い位置に置くようにしましょう。
20分程度でも効果を感じることができます。

②温める

就寝前にぬるめの風呂に浸かって体を温めます。
体が温まると血流が良くなり、溜まった水分が流れやすくなります。
就寝前に温浴することで、夜中のむくみ改善にもつながります。

③着圧ソックス

圧迫により、水分が足に溜まるのを防ぎます。
継続して使用することで、むくみが軽くなることが多いです。
昼間だけの使用でも効果が期待できます。

生活習慣でできること

むくみの対処法生活習慣でできること画像

①塩分を控える

調理時に塩を少なめにする、インスタント食品を避けるなど、毎日の工夫で塩分摂取を減らしましょう。
味付けは薄めにして、代わりに香辛料やレモン汁などで風味を付けると、塩分を減らしても美味しく食べられます。
また、寝る前の塩辛い食事は、翌朝のむくみを強めます。
就寝中は体が水平になり重力の影響が小さくなるため、体内の水分が再分配され、特に顔のむくみとして現れやすくなります。

②運動習慣

無理なく続けられる範囲で、ウォーキングなどの軽い運動を心がけてください。
筋肉が強くなると、水分の循環が改善します。
週に3日、1日30分程度のウォーキングが理想的です。
無理をして続かないよりも、自分のペースで続けることが重要です。

③水分補給

意外ですが、水をしっかり飲むことも大切です。
体が水不足だと、水分を溜め込もうとしてむくみやすくなります。
1日1.5~2L程度の水分摂取が目安です。
腎臓に問題がある場合は、医師の指示に従ってください。

④体を冷やさない

薄着を避け、特に足を温めることを意識してください。
膝掛けを使ったり、靴下を履いたりするだけでも、体の冷えが軽減します。
特に冷房が効いた部屋では、上着を羽織ることをおすすめします。

⑤規則正しい生活

毎日同じ時間に寝起きすることで、ホルモンバランスが安定し、むくみが起こりにくくなります。
また、十分な睡眠は体の水分調整機能を正常に保つために重要です。

⑥リンパマッサージ

むくんでいる部分を、心臓に向かってゆっくりマッサージします。
リンパ液の流れを促進することで、むくみが改善します。
プロの施術を受けるのも効果的ですが、自分で毎日行うことも大切です。

これらの方法を2~3週間継続して実行しても改善しない場合は、別の対策が必要かもしれません。その場合、医師の判断で利尿剤を使うことも一つの選択肢です。

利尿剤について

生活習慣を見直しても改善しない場合は、利尿剤(りにょうざい)の使用が検討されます。
利尿剤は腎臓での余分な水分や塩分の排出を促し、体の中にたまった水分を減らすことでむくみを解消します。
代表的なものには以下のタイプがあります。
▼メデマート取り扱い商品

商品名トーシミドアクアザイドスピロラクトトルバプタン
画像トーシミドアクアザイドスピロラクト画像トルバプタン
有効成分トラセミド5mg/10mg/20mg/40mg/100mgヒドロクロロチアジド25mgスピロノラクトン25mgトルバプタン15mg/30mg
メーカーJohn Lee Pharma(ジョンリーファーマ)Sun Pharma (サンファーマ社)Prevego(プリベゴ)Centaur Pharmaceuticals Pvt.Ltd.(ケンタウル・ファーマシューティカルズ)
購入サイトトーシミドの購入ページアクアザイドの購入ページスピロラクトの購入ページトルバプタンの購入はこちら

こんなときは医師に相談

医師に相談する場合画像

むくみの多くは一時的で、対処法で改善することが可能です。
しかし、中には医学的な対応が必要な場合もあります。
万が一、以下に当てはまるようなときは、直ちに医師の診察を受けてください。

相談が必要な場合

①むくみが1か月以上続いている

生活習慣の改善を試みても、むくみが続く場合は、別の原因がある可能性があります。

②片足だけ腫れており、左右で大きく異なる

むくみは通常、両足に起こります。
片足だけ腫れている場合は、血栓症(けっせんしょう)や静脈炎(じょうみゃくえん)など、より深刻な血管の問題の可能性があります。

③むくみと同時に息切れや動悸がある

これは心臓機能の低下を示唆する症状です。

④むくみと同時に体重が急に増えている

短期間での急激な体重増加は、単なる脂肪増加ではなく、水分の蓄積を示しています。
これは腎臓や心臓の問題の可能性があります。

⑤皮膚が赤くなったり、熱を持ったりしている

むくみと同時に炎症症状がある場合、感染や血管炎など、より深刻な病態の可能性があります。

⑥むくみが全身に広がっている

特定の部位だけでなく、全身がむくんでいる場合は、全身性の病態を示唆しています。
腎臓病や肝臓病の可能性も考えられます。

⑦突然むくみが起きた

特に何もきっかけがないのに、突然むくみが起こった場合は、医学的な検査が必要な場合があります。

⑧むくみと同時に尿の色が濃い、または出にくい

これは腎機能の低下を示唆する症状です。

⑨むくみと同時に皮膚に痒みや湿疹がある

これはアレルギーや皮膚疾患を示唆しています。

⑩長時間の不動(入院、長いフライトなど)の後のむくみ

特に片足だけがひどい場合は、血栓症(けっせんしょう)の可能性があり、緊急の対応が必要な場合があります。

医師に相談するときの準備

医師に相談するときは、以下の情報を準備しておくと、診断がより正確になります。

①いつから始まったのか
②むくみの出現パターン
③むくみの場所(足、顔、手など)
④むくみの程度(朝と夜の変化など)
⑤最近の生活習慣の変化(塩分摂取、運動量など)
⑥飲んでいる薬の一覧
⑦他の症状の有無(疲労感、体重変化など)
⑧むくみ以外に気になる症状
これらの情報があると、医師がより迅速かつ正確に診断できます。

医学的に必要な検査

医師がむくみの原因を特定するために行う可能性のある検査には、以下のようなものがあります。

血液検査腎臓や肝臓の機能を調べます。
尿検査タンパク尿の有無を調べます。
心電図心臓機能を評価します。
超音波検査(ちょうおんぱけんさ)血管の状態や臓器の異常を調べます。
下肢静脈超音波検査
(かいじょうみゃくちょうおんぱけんさ)
血栓がないか確認します。

これらの検査によって、むくみの原因が明確になり、適切な治療が開始されます。

まとめ

太りとむくみは見た目は似ていても、全く異なるものです。
朝と夜で変わるか、指で押してへこむか、こうした簡単な確認で判別できます。
むくみは脂肪蓄積ではなく、水分が体内に溜まった一時的な状態であり、適切な対処により確実に改善できます。
むくみの原因は日常生活の中にあることがほとんどです。
塩分の過剰摂取、運動不足、冷え、ホルモン変化、薬の副作用等が考えられます。
これらの原因を理解しておくと、対策が立てやすくなります。
むくみ改善には、脚を高く置く、マッサージ、温浴などの即効性のある対策と、塩分を控える、運動習慣を付けるなどの中長期的な対策があります。
2~3週間の継続が改善の目安です。
完璧を目指さず、自分ができる範囲で続けることが成功の秘訣です。
もし対処法を試しても改善しなかったり、むくみ以外の症状が見られたりしたら、医師に相談してください。
むくみが1か月以上続く、片足だけ腫れている、息切れが伴うなどの場合は、より深刻な疾患の可能性があります。
自分の体と向き合い、適切に対処することで、快適な毎日を取り戻せます。
むくみ自体は症状であり、多くは生活習慣の見直しで改善できる状態です。
焦らず、着実に対処していきましょう。

出典

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター(足の腫れ・むくみの原因は?)
MSDマニュアル家庭版(むくみの主な原因と特徴)
一般社団法人日本腎臓学会
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