アンベノニウム塩化物

成分名

アンベノニウム塩化物

適応症状

重症筋無力症

簡易説明

アンベノニウム塩化物は重症筋無力症の治療に用いる抗コリンエステラーゼ剤になります。同種・同効薬にはメスチノンやウブレチドなどがあります。アンベノニウム塩化物はコリンエステラーゼを阻害する事によって筋肉でのアセチルコリン濃度を高め、筋肉が収縮しやすくすると考えられております。重症筋無力症は自己免疫疾患で難病指定されております。アンベノニウム塩化物は対処療法になりますので根治的な免疫療法での治療が行われます。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/神経内科/眼科/脳神経外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

■病院で処方してもらう時の費用目安
診察料などの目安  :約5,000円~
薬代1錠あたりの目安:10mg約17円/(薬価)
※病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
重症筋無力症は指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1958年10月28日製造販売承認(旧販売名;マイテラーゼ)
1963年8月12日製造販売承認(旧販売名;マイテラーゼ錠)
2008年3月13日製造販売承認(販売名変更による)
1959年3月1日薬価基準収載(旧販売名;マイテラーゼ)
2008年6月20日薬価基準収載(販売名変更による)
1959年2月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

マイテラーゼ錠10mg【製薬メーカー:アルフレッサファーマ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

フランスにおいてMYTELASEとしてSanofiが発売しております。

効果・作用

アンベノニウム塩化物は重症筋無力症に効果のある医薬品になります。

その作用機序は、選択的に真性コリンエステラーゼに対して抑制作用を示します。つまり、コリンエステラーゼ阻害作用によってアセチルコリンの分解を抑え、アセチルコリンの作用を増強する事で重症筋無力症における筋力低下などを改善します。またアンベノニウム塩化物は著名な運動神経ー骨格筋伝達促進作用を有し、アセチルコリンによる骨格筋収縮、間接電気刺激による骨格筋攣縮を増強します。また、抗クラーレ作用を有しています。

重症筋無力症とはどんな疾患なのでしょうか。
重症筋無力症は、末梢神経と神経筋接合部にいて、筋肉側の受容体が自己抗体によって破壊される自己免疫疾患です。通常、全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特にまぶたの下垂と複視等眼の症状を起こしやすいことが特徴です。重症筋無力症はどの年齢層でも起こりえますがとくに、女性では20~40歳、男性では50~80歳の間に発生すると言われております。
重症筋無力症では、神経筋接合部の筋肉側に存在するいくつかの分子に対して自己抗体が産生されます。その結果、末梢神経から筋肉へと電気信号が伝わらなくなる事により、筋力低下が起こります。自己抗体の標的として最も頻度の高いのがアセチルコリン受容体になります。しかしなぜ、このような自己抗体が作られるのかはいまだに解明されておりません。

使用方法

通常成人においてはアンベノニウム塩化物として1日量15mgを3回に分割して経口投与する事とされております。なお、患者の症状によって適宜増減する事ができます。

アンベノニウム塩化物として日本で発売されているる商品名「マイテラーゼ錠10mg」は真ん中で割れるように割線が入っている錠剤です。割線を利用して半分に分割する事によって、1回5mgを1日3回として投与する事ができます。

副作用

重大な副作用
1)コリン作動性クリーゼ
本剤により急性中毒が現れる事があります。悪心・嘔吐、腹痛、下痢、発汗、唾液成分過多、気道分泌過多、徐脈、縮瞳、呼吸困難等の症状が認められた場合には直ちに本剤の投与を中止するようにしましょう。

その他の副作用
呼吸器、骨格筋、消化器、循環器、精神神経系、その他の副作用が挙げられます。

発生頻度は以下の通りです。
1)呼吸器
気管支分泌の亢進(5%以上又は頻度不明)
2)骨格筋
筋ちく搦、線維束れん縮(0.1~5%未満)
3)消化器
腹痛、下痢(5%以上又は頻度不明)
悪心・嘔吐、唾液分泌過多、腹部不快感、腹鳴(0.1~5%未満)
4)循環器
心悸亢進、房室ブロック、徐脈(0.1~5%未満)
5)精神神経系
頭痛(5%以上又は頻度不明)
めまい(0.1~5%未満)
6)その他
発汗、流涙、全身けん怠(不安を伴う)(5%以上又は頻度不明)
縮瞳(0.1~5%未満)

コリン作動性クリーゼのような重大な副作用はもちろん投与中止しますが、その他の副作用において悪心・嘔吐などでも0.1~5%未満で発生します。コリン作動性クリーゼと混同する可能性もある為自己判断で休薬せずに異常が認められた場合は速やかに主治医へ相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
■アンベノニウム塩化物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、マイテラーゼ錠10mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼マイテラーゼ錠10mgの有効成分
アンベノニウム塩化物
▼代表薬の添加物
・リン酸水素カルシウム水和物、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、精製白糖、ゼラチン、アラビアゴム末、ステアリン酸マグネシウム、エチルセルロース
2)消化管又は尿路の器質的閉塞のある患者
器質的閉塞がある場合本剤を投与する事によって消化管の機能が亢進する事により、症状を悪化させる恐れがある。また、尿の逆流を引き起こす恐れがある為使用できません。
3)迷走神経緊張症の患者
本剤を投与により迷走神経の緊張を増強させ、症状の悪化を招く恐れがある為使用できません。
4)脱分極性筋弛緩剤(スキサメトニウム塩化物水和物)を投与中の患者
全身麻酔時に持続性呼吸麻痺を起こすことがある為使用できません。

使用に注意が必要な方
1)気管支喘息の患者
気管支喘息の症状を悪化させる恐れがある為使用には注意が必要です。
2)甲状腺機能亢進症のある患者
甲状腺機能亢進症を悪化させる恐れがある為使用には注意が必要です。
3)徐脈・心臓障害のある患者
徐脈・心臓障害がある場合本剤投与によって心拍数低下、心拍出量低下を起こす恐れがある為使用には注意が必要です。
4)消化性潰瘍のある患者
本剤を投与する事により消化管機能が亢進し、その結果潰瘍を悪化させる恐れがある為使用には注意が必要です。
5)てんかんの患者
てんかんの症状を悪化させる恐れがある為使用には注意が必要です。
6)パーキンソン症候群の患者
パーキンソン症候群の症状を悪化させる恐れがある為使用には注意が必要です。
7)糖尿病の患者
本剤の投与によりインスリン分泌が促進する事によって血糖が降下したとの報告がある為使用には注意が必要です。
8)妊婦
9)授乳婦
10)小児等
11)高齢者

上記にあてはまる方は、アンベノニウム塩化物を使用する事が出来ない可能性があります。
アンベノニウム塩化物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)副交感神経抑制剤(アトロピン等)
副交感神経抑制剤が本剤のムスカリン様作用を隠蔽する為、本剤の過剰投与を招く祖俺がある為併用には注意が必要です。
2)コリン作動薬(アセチルコリン等)・コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル塩酸塩等)
コリン作用が増強する為併用には注意が必要です。

併用注意に該当する薬は多数存在します。投与する前には必ず併用薬の確認を医師又は薬剤師にしてもらうようにしましょう。

上記を使用している方は、アンベノニウム塩化物を使用する事が出来ない可能性があります。
アンベノニウム塩化物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
1)脱分極性筋弛緩剤(スキサメトニウム塩化物水和物:スキサメトニウム・レラキシン)
本剤が脱分極性弛緩剤の分解を阻害する事により作用が増強し、全身麻酔時に持続性呼吸麻痺を起こすことがある為使用できません。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
くすりを飲み始めてどのぐらいで効果が現れますか?

30分から3時間、主として1時間程度で作用発現すると報告されております。

インタビューホーム

【上記引用元:アルフレッサファーマ株式会社】

どのくらいの時間作用が持続しますか?

4時間から24時間程度、主として8時間から10時間程度と報告されております。

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【上記引用元:アルフレッサファーマ株式会社】

食事の影響は受けますか?

食事の影響は受けません。食前でも食後でも問題はありませんので主治医の指示に従って服用するようにしましょう。

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【上記引用元:アルフレッサファーマ株式会社】

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。