ファスジル塩酸塩水和物

成分名

ファスジル塩酸塩水和物

適応症状

くも膜下出血手術後の脳血管攣縮
くも膜下出血手術後の脳血管攣縮に伴う脳虚血症状の改善

簡易説明

ファスジル塩酸塩水和物はくも膜下出血の手術後に起こる、脳血管攣縮や脳虚血症状に使用する薬です。脳血管攣縮は寿命を縮めたり、死亡リスクを上げる症状ですが、早くから治療をすることで症状を改善します。
日本では旭化成ファーマがエリルという名前で発売していますが、既にネオクリティケア製薬から、ジェネリック医薬品も出ています。

処方可能な診療科目

脳神経外科/脳神経内科/外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
<先発品>
エリル点滴静注液30mg【製薬メーカー:旭化成ファーマ】30mg1管1991円(薬価)
<後発品>
ファスジル塩酸塩点滴静注液30mg「KCC」【製薬メーカー:旭化成ファーマ】30mg1管783円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2007年6月

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

エリル点滴静注液30mg 【製薬メーカー:旭化成ファーマ】

関連製品(ジェネリック)

ファスジル塩酸塩点滴静注液30mg「KCC」 【製薬メーカー:ネオクリティケア製薬】

海外での使用実績

【中国】
中国では、2002年5月に旭化成ファーマから依立盧という名前で発売されています。
<効能・効果>
くも膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善
<用法・用量>
30mgを50~100mLの電解質液または糖液に希釈し、1日2~3回約30分かけて点滴静注します。術後早期に投与開始し、2 週間投与することが推奨されています。

効果・作用

脳血管攣縮は、くも膜下出血術後数日を経て、高頻度に発生する症状です。予後を悪化させる最大の要因となっており、ときに死亡の原因ともなります。ファスジル塩酸塩水和物は、ミオシン軽鎖のリン酸化を阻害することで、くも膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状を改善します。5-イソキノリンスルホンアミドの誘導体で、血管平滑筋収縮機構の最終段階であるミオシン軽鎖のリン酸化を阻害する「世界で初めての蛋白リン酸化酵素阻害剤」です。

国内延べ 190施設で総計 666例を対象に、二重盲検比較試験を実施しております。
プラセボ(生理食塩液)とファスジル塩酸塩水和物の二重盲検比較試験において、くも膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状を改善しました。
本剤が 90mg/日投与された症例において、有効以上と判定された症例は、74%(373例中 276 例)でした。以上の試験より、ファスジル塩酸塩水和物は有効であることが示されました。

イヌでの試験で、遅発性脳血管攣縮を予防及び緩解し、脳血流を改善することが認められております。また、同様にイヌへの試験で大脳皮質血流を改善、ラットにおいて、血液粘度の改善が示されています。

使用方法

1回30mgを50~100mLの電解質液または糖液で希釈し、1日2~3回、約30分間かけて点滴静注します。くも膜下出血術後早期に開始し、2週間投与することが推奨されています

副作用

主な副作用
主に発現しやすいのは、肝機能異常(AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、LDHの上昇等)、低血圧、貧血、白血球減少、血小板減少、発熱などがあげられます。

項目別の発現頻度は以下の通りです。
循環器・・低血圧(0.1~5%未満)、顔面潮紅(0.1%未満)
血液・・貧血/白血球減少/血小板減少(0.1~5%未満)
肝臓・・肝機能異常(AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、LDHの上昇等)(5%以上)、黄疸(0.1%未満)
泌尿器・・腎機能異常(BUN、クレアチニンの上昇等)/多尿(0.1~5%未満)、排尿困難(0.1%未満)
過敏症・・発疹等の過敏症状(0.1~5%未満)
消化器・・膨満感/嘔気/嘔吐(0.1%未満)
その他・・発熱(0.1~5%未満)、頭痛/意識レベル低下/呼吸抑制(0.1%未満)

重大な副作用
重大な副作用として、頭蓋内出血(1.72%)、消化管出血、肺出血、鼻出血、皮下出血(0.27%)、ショック(0.02%)、麻痺性イレウス(0.04%)があらわれることがありますので、注意をしてください。
出血した動脈瘤に対する十分な止血処置を術中に施すことができなかった方は、頭蓋内出血を起こす可能性がありますので、投与は避けてください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・出血している方は、頭蓋内出血を起こす可能性があるため使用できません。
・出血した動脈瘤に対する十分な止血処置を術中に施すことができなかったなど、頭蓋内出血の可能性のある方は使用ができません。
・低血圧の方は、本剤の投与で低血圧が悪化する恐れがあるため使用できません。

使用に注意が必要な方
・術前から糖尿病を合併している方、術中所見で主幹動脈に動脈硬化がみられた方は頭蓋内出血を起こした例があるため、注意をしてください。
・腎機能障害のある方は、排泄が遅延して、血中濃度が持続する可能性があり、低血圧が認められることがあります。低血圧がみられた場合には減量してください。
・肝機能障害のある方は代謝が遅延して、血中濃度が上昇し、作用が強くあらわれる可能性があるため注意をしてください。
・重篤な意識障害のある方は使用経験が少なく、有効性が確立されていないため注意をしてください。
・70歳以上の高齢者は、機能予後の改善がみられない可能性があり、有効性が確立されていないため注意をしてください。
・くも膜下出血に重症の脳血管障害(モヤモヤ病、巨大脳動脈瘤など)を合併している方は使用経験がなく、有効性及び安全性が確立されていないため注意をしてください。

上記にあてはまる方は、ファスジル塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ファスジル塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ファスジル塩酸塩水和物に関する
よくある質問
投与間隔を変更してもよいですか。

臨床試験(第Ⅲ相比較臨床試験) は、1日3回8時間おきの投与間隔で実施しました。 投与間隔を変更した場合の有効性および安全性を検討した情報はありません。 投与間隔の変更は効果や安全性に影響を与えるおそれが考えられます。投与間隔は変更せず、出来る限り8時間おきとしてください。

よくある質問

【上記引用元:PharmaDIGITAL】

肝機能障害の副作用発現頻度や発現時期を教えてください。

発現時期に特別な傾向はなく、発現例の多くは、本剤投与開始後2、3日~2週間頃に発現しています。多くの症例が投与継続のまま軽快・回復しています。なお発現機序は不明です。 本剤の投与開始後は肝機能検査値などの観察を十分に行い、異常がみられた場合には、程度に応じて肝庇護剤投与などの適切な処置を行ってください。

よくある質問

【上記引用元:PharmaDIGITAL】

参考元一覧

エリル点滴静注液30mg添付文書
エリル点滴静注液30mg医薬品インタビューフォーム
ファスジル塩酸塩点滴静注液30mg「KCC」添付文書

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