スガマデクスナトリウム

成分名

スガマデクスナトリウム

適応症状

ロクロニウム臭化物もしくはベクロニウム臭化物によって起こった筋弛緩状態からの回復

簡易説明

スガマデクスナトリウムは、世界で初めて実現した筋弛緩状態からの回復剤です。これまでの場合、筋弛緩状態から回復するためには、拮抗薬を使うしか選択肢がありませんでした。しかし、拮抗薬を使用すると、低血圧など心血管系の副作用が出てしまう、深い筋弛緩状態だと効果が限定的である、抗コリン薬を併用しないといけないというデメリットがありました。本剤は拮抗的な作用を持たず、筋弛緩状態からの回復が可能となった点で過去の薬剤と比べ大きな強みを持つ薬剤となっています。

処方可能な診療科目

麻酔科/外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
ブリディオン静注200mg【製薬メーカー:MSD】200㎎1瓶9000円(薬価)
ブリディオン静注500mg【製薬メーカー:MSD】500㎎1瓶21480円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

2010年4月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ブリディオン静注200mg/ブリディオン静注500mg【製薬メーカー:MSD】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

アメリカでは2015年から、ヨーロッパでは2008年から、オーストラリアでは2008年から発売されています。

効果・作用

スガマデクスナトリウムは、世界で初めて発売された筋弛緩症状からの回復剤です。これまで筋弛緩の状態を改善するためには、拮抗剤が用いられてきましたが、低血圧のような副作用が起こってしまうこと、抗コリン剤の併用が必要であること、深い筋弛緩状態では効果が限定的なことが課題でした。しかし、本剤はロクロニウムに対する結合親和性と選択性を高めることで、以前の課題を克服する薬剤を実現させました。作用機序としては、ロクロニウムもしくはベクロニウムと包接体をつくることで、筋弛緩剤の濃度を減らします。

海外で行われた臨床試験があります。各診療科で行われた手術において、ロクロニウム1kgあたり0.6mgもしくはベクロニウム1kgあたり0.1mgを患者に静脈内投与しました。その後、2回目の収縮反応が再出現した時に本剤1kgあたり2.0mgもしくはネオスチグミンメチル1kgあたり50μgを静脈内投与しました。また、PTC刺激によって1~2回の単収縮が出現した際にも本剤1kgあたり4.0mgもしくはネオスチグミンメチル1kgあたり70μgを静脈内投与しました。結果、薬剤を投与してからTOF比率0.9となるまでの時間は、本剤がネオスチグミンメチルと比較して有意に早いことが認められました。

海外で高齢者を対象に行われた第3相試験があります。各診療科での手術を受ける高齢患者または非高齢患者に、ロクロニウム1kgあたり0.6mgを静脈内投与した後、T2が再出現した時に本剤1kgあたり2.0mgを単回静脈内投与、本剤開始からTOF比率0.9となるまでの回復時間を検討しました。結果、64歳以下である48名の非高齢者群で約2.5分、65歳以上である62名の群で約2.9分、75歳以上の40名の群で約3.9分でした。

使用方法

筋弛緩モニターという装置を使用し、2回目の収縮反応の再出現を確認した後など浅い筋弛緩状態の場合、1回1kgあたり2mgを静脈内投与します。
一方、筋弛緩モニターにおいてPTC刺激による1~2回の単収縮反応の出現を確認した後など、深い筋弛緩状態の場合、1回1kgあたり4mgを静脈内投与します。また、ロクロニウムの投与直後に緊急で筋弛緩状態からの回復が必要となる際には、ロクロニウムを投与してから約3分後に1回1kgあたり16mgを静脈内投与してください。

副作用

主な副作用
主に、悪心や嘔吐、咳嗽などがあげられますが、最も多い副作用でも発現率5%未満となっています。

項目別の発現頻度は以下の通りです。

消化器・・悪心/嘔吐(1~5%未満)
精神神経系・・浮動性めまい/味覚異常(1%未満)
循環器・・頻脈/徐脈/高血圧/低血圧(1%未満)
呼吸器・・咳嗽(1~5%未満)
泌尿器・・β-N-アセチル-D-グルコサミニダーゼ増加/尿中アルブミン陽性/尿中β2-ミクログロブリン増加(1%未満)
骨格筋・結合組織・・筋力低下(1%未満)
過敏症・・潮紅/そう痒/発疹(頻度不明)
その他・・悪寒/体動(1%未満)

重大な副作用
<ショック、アナフィラキシー>
頻度不明ですが、潮紅、蕁麻疹、紅斑性皮疹、喘鳴、血圧低下、頻脈、舌腫脹、咽頭浮腫等を起こすことがあります。

<心室細動、心室頻拍、心停止、高度徐脈>
頻度不明ですが、本剤を投与してから数分後に起こることがありますので、循環器の状態を注意してみていただくようお願いします。

<冠動脈攣縮>
頻度不明ですが、あらわれることがあります。

<気管支痙攣>
0.3%未満の発現率で報告されています。呼吸器疾患に以前かかったことのある方はリスクがありますので、注意をしてください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■スガマデクスナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ブリディオンの有効成分
スガマデクスナトリウム

▼代表薬の添加物
pH調節剤

・以前、スガマデクスナトリウムを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。

使用に注意が必要な方
・心拍出量の低下のある方は、筋弛緩からの回復が遅くなる恐れがあります。
・浮腫性疾患の方は、筋弛緩からの回復が遅くなる恐れがあります。
・アレルギー素因のある方
・以前、呼吸器疾患にかかったことのある方は気管支痙攣をおこすことがあります。
・血液凝固障害を伴う方は、プロトロンビン時間の延長をきたす恐れがあります。
・腎機能障害のある方は、排泄が遅くなる恐れがあります。
・肝機能障害のある方
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性もしくは授乳婦
・小児
・高齢者

上記にあてはまる方は、スガマデクスナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
スガマデクスナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<トレミフェン>
筋弛緩状態からの回復が遅くなるもしくは筋弛緩の再発が起こる可能性があります。本剤投与してから6時間経過後に投与してください。

<経口避妊剤(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール等)>
経口避妊剤の作用が減弱することがあります。

<抗凝固剤(ワルファリン等)>
併用することで、抗凝固作用が増強される可能性があります。検査値に注意をしながら投与をしてください。

上記を使用している方は、スガマデクスナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
スガマデクスナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

スガマデクスナトリウムに関する
よくある質問
過少投与するとどうなりますか?

既定の用量より少ない投与をしますと、筋弛緩の再発が起こる可能性があります。必ず、用法用量に沿って投与をしてください。

ブリディオン 製品基本Q&A

【上記引用元:MSDConnect】

服用するときの注意点はありますか?

ほかの薬剤と併用する際には、別の経路で投与をしてください。もしくは、同じ点滴回路を使用して投与する場合は、生理食塩水などの中性液を用いて洗浄をし、混合しないようにしてください。オンダンセトロン塩酸塩水和物、ベラパミル塩酸塩またはラニチジン塩酸塩と混合した際、配合変化が報告されています。

ブリディオン 製品基本Q&A

【上記引用元:MSDConnect】

肥満の患者に投与する場合、用量の調節は必要ですか?

肥満患者であっても、投与量の調節は不要で、実際の体重換算での量を投与してください。

ブリディオン 製品基本Q&A

【上記引用元:MSDConnect】

参考元一覧

ブリディオン 添付文書

ブリディオン 医薬品インタビューフォーム

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