デスフルラン

成分名

デスフルラン

適応症状

全身麻酔の維持

簡易説明

全身麻酔の維持に使用されるハロゲン化エーテルの一種です。素早い麻酔作用の効果が期待できます。麻酔後の回復、早期覚醒も可能です。麻酔深度が調整しやすいことも特徴の一つです。これにより、日帰り手術等にも有効であると期待されています。また、代謝産物による毒性リスクが低く抑えられており、肝臓や腎臓でほぼ代謝されず、生理機能が低下している高齢者や慢性肝疾患の患者、腎移植を受ける患者などにも高い安全性、忍容性、有効性が示されています。

処方可能な診療科目

内科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1mlあたりの目安:1ml約40.3円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始年月:2011年7月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

スープレン吸入麻酔液【製薬メーカー:バクスター】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

2011年に使用可能となった最も新しい全身吸入麻酔剤です。吸入麻酔薬のなかでも覚醒が早く、遅延になりやすい高齢者や肥満の患者にも有効です。覚醒の質も良く、手術終了後の指示動作によく反応し、誤嚥の危険性も少ないです。炭素と結合力の強いフッ素のみでハロゲン化された化学構造であり、生体内での安定性が期待できます。承認時までに、国内臨床試験で本剤を投与された安全性評価対象例169例において、臨床検査値異常を含む副作用は106 例(62.7%)に200 件認められました。主な副作用は、悪心27.2%、嘔吐14.2%、ビリルビン増加12.4%、血圧低下9.5%、γ-GTP増加5.9%、AST(GOT)増加4.7%、心拍数減少4.7%等でした。血液/ガス分配係数は0.424であり、組織への溶解性も低い薬です。

▼作用機序
肺胞より吸収されて血液へ移行し、作用部位である中枢で麻酔作用を発現します。ただし、その麻酔作用の発現機序は完全に解明されていません。

▼吸入麻酔薬とは
吸うタイプの麻酔薬のことです。静脈麻酔薬と比べると、麻酔の調整がしやすいのがメリットです。吸入麻酔薬の麻酔導入の速さと覚醒の速さの指標には血液/ガス分配係数があります。血液/ガス分配係数が小さいものほど血液に溶けにくいことを意味するため、導入と覚醒が速くなります。ハロタンと比べると、心筋のカテコールアミンに対する感受性増大作用は弱いです。鎮静作用に加え、筋弛緩作用、気管支拡張作用があります、鎮痛効果はほとんどありません。

▼他の吸入麻酔剤
エーテル
ハロタン
イソフルラン

使用方法

・成人は、3.0%の濃度で開始し、適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、濃度を調節してください。
・成人では、亜酸化窒素の併用の有無にかかわらず、7.6%以下の濃度で外科的手術に適切な麻酔深度が得られます。

≪重要な基本的注意 ≫
使用に際しては、麻酔技術に熟練した医師が、専任で患者の全身状態を注意深く監視してください。
投与中は気道を確保し、血圧及び心拍数の変動に注意して呼吸・循環に対する観察・対応を怠らないようにしてください。
麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめてください。
麻酔の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意してください。

副作用

主な副作用
血圧低下、AST増加、ALT増加、頭痛、悪心、嘔吐、結節性不整脈、心拍数減少、心拍数増加、尿糖、尿蛋白陽性

重大な副作用
高炭酸ガス血症、筋硬直、頻脈、頻呼吸、チアノーゼ、不整脈、血圧変動、重篤な悪性高熱、高カリウム血症、重篤な不整脈、心停止、心室頻拍、Torsades de pointes、横紋筋融解症、筋肉痛、脱力感、CK増加、血中ミオグロビン増加、尿中ミオグロビン増加、重篤な高カリウム血症、急性腎障害、ショック、アナフィラキシー、肝機能障害、黄疸、肝壊死、肝細胞融解性肝炎、著しいAST増加、著しいALT増加、交叉過敏性、喉頭痙攣、換気困難

その他の副作用
ビリルビン増加、γ-GTP増加、LDH増加、ALP増加、悪寒、上室性不整脈、完全房室ブロック、脚ブロック、洞性不整脈、洞性頻脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮、痙攣、息こらえ、激越、浮動性めまい、流涎過多、急性膵炎、腹痛、悪性高血圧、高血圧、低血圧、血管拡張、心筋梗塞、心筋虚血、徐脈、心室不全、心室壁運動低下、心電図異常、心電図ST-T変化、心電図T波逆転、凝血異常、出血、凝固検査異常、蕁麻疹、紅斑、結膜炎、黄疸眼、胆汁うっ滞、肝機能異常、咽頭炎、無呼吸、咳嗽、低酸素症、呼吸停止、呼吸不全、呼吸窮迫、気管支痙攣、喀血、低カリウム血症、代謝性アシドーシス、無力症、倦怠感、アンモニア増加

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・妊婦/授乳者
・過敏症
・悪性高熱

使用に注意が必要な方
・高齢者
・新生児/乳児/幼児/小児
・肝機能障害
・筋ジストロフィー
・心疾患
・心電図異常
・胆道疾患
・脳器質的障害
・筋ジストロフィーが潜在
・デュシェンヌ型筋ジストロフィーが潜在
・スキサメトニウム塩化物水和物併用中
・スキサメトニウム塩化物水和物の静脈内投与により筋硬直
・冠状動脈疾患

上記にあてはまる方は、デスフルランを使用する事が出来ない可能性があります。
デスフルランを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・スキサメトニウム塩化物水和物
・エピネフリン
・ノルエピネフリン
・中枢抑制剤
・ベンゾジアゼピン系化合物
・オピオイド系鎮痛剤
・筋弛緩剤
・パンクロニウム臭化物
・ベクロニウム臭化物

上記を使用している方は、デスフルランを使用する事が出来ない可能性があります。
デスフルランを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はございません。

デスフルランに関する
よくある質問
妊娠後の使用ではどんなリスクがありますか?

子宮筋弛緩作用があり、子宮胎盤血流を低下させる可能性がある。

インタビューフォームスープレン吸入麻酔液

【上記引用元:バクスター株式会社】

神経には影響ありますか?

健康成人に本剤6~12%を吸入させたときの脳波変化は、6%で徐波化の亢進、9%で群発抑制が認められたが、12%で更なる群発活性の徐波化は認められなかった。また、皮質の電気活動が濃度依存的に低下したが、てんかん様脳波は認められなかった。

添付文書スープレン吸入麻酔液

【上記引用元:バクスター株式会社】

参考元一覧

インタビューフォームスープレン吸入麻酔液【バクスター株式会社】
添付文書スープレン吸入麻酔液【バクスター株式会社】

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。