フマル酸ジメチル

成分名

フマル酸ジメチル

適応症状

多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制に対して適応症を持ちます。

簡易説明

多発性硬化症は現在日本では難病指定されております。フマル酸ジメチルは多発性硬化症の治療及び予防に対して効果のある医薬品です。多発性硬化症の病態は多面的で、継続的な炎症刺激及び神経変性刺激を介して進行します。本剤は末梢及び中枢神経系細胞・組織で抗炎症作用及び神経保護作用の両方を直接促進する作用があり多発性硬化症患者に対して高い治療効果を示します。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/神経内科/眼科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

■病院で処方してもらう時の費用目安
診察料などの目安  :約10,000円~
薬代1錠あたりの目安:120mg約2,060円/240mg約4,100円/(薬価)
※病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
多発性硬化症は指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2016年12月19日製造販売承認
2017年2月15日薬価基準収載
2017年2月22日販売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

テクフィデラカプセル120mg240mg【製薬メーカー:バイオジェン・ジャパン株式会社】

関連製品(ジェネリック)

スクレロゲン【製薬メーカー:Cipla社】

効果・作用

フマル酸ジメチルは多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制にたいして効果のある医薬品になります。

フマル酸ジメチルの作用部位は末梢及び中枢神経系になります。その作用機序についてですが、①Nrf2抗酸化応答経路の活性化と、②抗炎症作用からの効果と考えられております。
①について、酸化ストレスは脱髄及び神経変性等に関与しており、Nrf2経路はその酸化ストレスに対する抗酸化応答を介した細胞防御機構になります。フマル酸ジメチルは主にNrf2経路の活性化を介して薬力学的作用をあらわします。
②について、フマル酸ジメチル及びその主要な活性代謝物であるフマル酸モノメチルは、炎症性刺激に対する免疫細胞の活性化及びその後の炎症性サイトカイン産生の抑制を示します。

そもそも多発性硬化症とはどのような病気なのでしょうか?
多発性硬化症は突然に目が見えなくなる、腕が痺れて上がらなくなる、お風呂に入っても厚い冷たいの感じが分からなくなると言った症状で発病します。これらは、大脳、視神経、脊髄、小脳などの病変による症状になります。主に若い人のかかる病気で男性よりも女性に多い傾向にあります。神経内科で治療を行いますが眼科で診断される場合が多いようです。指定難病に認定されておりますので該当する場合は医師もしくはソーシャルワーカーに相談してみると良いでしょう。

使用方法

通常、成人において多発性硬化症を治療開始する場合には有効成分であるフマル酸ジメチルを、1回量として120mgを用い、1日2回投与から開始します。投与開始から1週間経過後に1回240mg1日2回投与へと増量する事とされております。なお、増量前後いずれの場合においても用法として朝・夕食後に経口投与する事とされております。

フマル酸ジメチルの主な副作用である潮紅や消化器系副作用等が認められた場合においては、患者の体調や症状等を慎重に観察しながらおおむね1ヵ月程度の期間減量する事ができます。減量を考慮する場合の投与量は、開始用量である1回120mgを1日2回投与に減量します。なお、1回120mgへ減量した後、再度1回240mgへ増量しようとする場合、忍容性が認められない場合においては、本剤の投与を中止する事とされております。

副作用

重大な副作用
フマル酸ジメチルを投与した患者において下記6項目の副作用が現れたとの報告があります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行いましょう。特にアナフィラキシーなどは頻度不明ですが実際に呼吸困難、蕁麻疹及び喉・舌の腫脹等が認められております。患者の状態をしっかりと観察する事も大切になります。

1)リンパ球減量(2.2%)、白血球減量(0.9%)
2)進行性多巣性白質脳症(頻度不明)
3)感染症(頻度不明)
4)急性腎不全(頻度不明)
5)肝機能障害(頻度不明)
6)アナフィラキシー(頻度不明)

その他の副作用
感染症及び寄生虫症、過敏症、神経系障害、血管障害、呼吸器・胸郭及び縦郭障害、胃腸障害、皮膚及び皮下組織障害、腎及び尿路障害、一般・全身障害及び投与部位の状態、臨床検査の副作用が挙げられます。

発生頻度は以下の通りです。
1)感染症および寄生虫症
胃腸炎(1%以上10%未満)
2)過敏症
蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難(頻度不明)
3)神経系障害
灼熱感(1%以上10%未満)
4)血管障害
潮紅(22%)
ほてり(1%以上10%未満)
5)呼吸器、胸郭および縦隔障害
鼻漏(頻度不明)
6)胃腸障害
下痢、悪心(10%以上)
上腹部痛、腹痛、嘔吐、消化不良、胃炎、胃腸障害(1%以上10%未満)
7)皮膚および皮下組織障害
掻痒症、発疹、紅斑(1%以上10%未満)
脱毛症(頻度不明)
8)腎および尿路障害
蛋白尿(1%以上10%未満)
9)一般・全身障害および投与部位の状態
熱感(1%以上10%未満)
10)臨床検査
尿中アルブミン陽性、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ
増加、白血球数減少(1%以上10%未満)
総ビリルビン増加(頻度不明)

頻度不明の副作用は多いです。頻度不明だからと言って出ないとも言えません。また本剤投与時には潮紅の副作用が22%とかなりの高頻度で認められております。潮紅が現れた場合にはアナフィラキシーとの識別を慎重に行う必要があります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

■フマル酸ジメチルを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、テクフィデラカプセル120mg/240mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼テクフィデラカプセル120mg/240mgの有効成分
フマル酸ジメチル
▼代表薬の添加物
内容物:クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽
質無水ケイ酸、メタクリル酸コポリマーL、クエン酸トリエチル、メタクリル酸コポリマーLD、シリコーン樹脂、モノステアリン酸ポリエチレングリコール
カプセル:ゼラチン、酸化チタン

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①リンパ球減少のある患者
リンパ球減少がさらに悪化する恐れがあります。またリンパ球数の減少が6カ月以上継続した患者では、進行性多巣性白質脳症の発症リスクが高まる可能性がある為使用には注意が必要です。
②感染症を合併している患者又は感染症が疑われる患者
③易感染性の状態にある患者
②・3ともに感染症が憎悪及び誘発される恐れがある為併用には注意が必要です。
2)重度の腎機能障害のある患者
血中濃度が上昇する恐れがある為併用には注意が必要です。
3)重度の肝機能障害のある患者
血中濃度が上昇する恐れがある為併用には注意が必要です。
4)妊婦
5)授乳婦
6)小児等
7)高齢者

上記にあてはまる方は、フマル酸ジメチルを使用する事が出来ない可能性があります。
フマル酸ジメチルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
抗腫瘍剤、免疫抑制剤
免疫系の相加的な抑制作用により感染症等のリスクが増大する可能性がある為併用には注意が必要です。

併用禁忌薬及び併用注意薬は比較的少なく投与しやすく思えます。しかしフマル酸ジメチル自身の副作用が多い為使用にはやはり注意が必要になります。患者の状態を慎重に観察しながら投与を継続していかなければなりません。自身も自己判断での休薬等せず何か異常を感じた場合はすぐに主治医に相談するようにしましょう。

上記を使用している方は、フマル酸ジメチルを使用する事が出来ない可能性があります。
フマル酸ジメチルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
副作用が見られ1回120mgに減量した場合そのまま継続投与する事はできるか?

1回120mg1日2回投与における本剤の有効性は認められておりません。再び1回240mgに増量する必要性があります。

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【上記引用元:バイオジェン・ジャパン株式会社】

食後服用とあるが食前に飲んでも問題ないか?

臨床検査より高脂肪食摂取時に最高血中濃度が減量したことから食事による影響は大きいと考えらえます。特に問題がなければ食後に服薬するようにしましょう。

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【上記引用元:バイオジェン・ジャパン株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【バイオジェン・ジャパン株式会社】

医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

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