成分名 |
ドミフェン臭化物 |
適応症状 |
口内炎、のどの痛み、抜歯後など |
簡易説明 |
ドミフェン臭化物臭化物はスイスで開発された陽イオン界面活性剤です。細菌の細胞壁等を破壊することで、殺菌作用を示します。
日本国内ではノバルティスファーマ株式会社が1960年4月に販売を開始しました。現在、ドミフェン臭化物製剤(以下、本剤)はオラドールトローチ0.5㎎、オラドールSトローチ0.5㎎の販売名で日医工株式会社が販売しています。ドミフェン臭化物を使用した一般用医薬品はありません。 |
処方可能な診療科目 |
内科、耳鼻科、歯科など |
健康保険の適応 |
咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:1日20円~40円×日数
薬代1錠あたりの目安:5.90円
薬代後発品1錠あたりの目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1960年4月1日 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
オラドールトローチ0.5㎎、オラドールSトローチ0.5㎎【製造メーカー:日医工株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 | 海外では1983年にF Scaglione氏による口腔内感染症に関する臨床試験結果が2報報告されています。
1報目(Int J Clin Pharmacol Res.1983;3(4):261-4)はプラセボ群(偽薬≒無治療群)と比較して本剤を抗菌剤と併用した群では口腔内感染症とそれに伴う痛みが抑えられる可能性があることが示されています(症例数29例)。
2報目(Int J Clin Pharmacol Res.1983,3(5):357-61)はプラセボ群と比較して、抗菌剤の併用が統計学的に明らかに少なかった、また本剤単独治療は本剤+抗菌剤と同程度の効果があり、痛みの日数を減らしたと報告しています(症例数31例)。 |
効果・作用 |
本剤の成分であるドミフェン臭化物には脂肪を溶けやすくしタンパク質の性質を変化させる働きがあります。この作用により細胞壁や細胞膜を急激に破壊することで殺菌作用を示すと考えられています。
ドミフェン臭化物は、四級アンモニウム塩の陽イオン界面活性剤に分類されます。
界面活性剤は界面(物質の境目)に作用して、性質を変化させる物質のことです。例えば、通常は混ざりにくい「水」と「油」が接触する部分(界面)を混ざりやすい性質に変化させて混ざりやすくする物質のことです。
界面活性剤の作用には、「浸透作用」「乳化作用」「分散作用」の3つがあります。
「浸透作用」とは、表面張力を弱くする作用です。例えば、水に毛糸を落としても毛糸は浮いたままで毛糸の繊維にまで水が染み込み沈むには時間がかかります。これは表面(界面)張力が働いているからです。界面活性剤はこの界面張力を弱くすることで毛糸の繊維に水が入りやすくなります。
「乳化作用」とは先程例示した水と油の関係を弱める働きです。難しい話を割愛して簡略化すると、これは水に混ざりやすいという水の界面の性質と油に混ざりやすいという界面の性質によるものですが、界面活性剤はこの性質を変化させることで水と油が混ざりやすくさせます。
「分散作用」とは、水に例えばインスタントコーヒー(粉)を落とした状態を思い浮かべてください。しばらく粉は浮かんでいると思います。これは粉の表面と水の界面が混ざらないことでおこる現象ですが、界面活性剤は粉の表面の性質を変化させることで、混ざりやすくします。
界面活性剤はこのような性質を持つため、洗剤などに用いられており、油汚れや繊維の内側に入った汚れなどを落とす役割をしています。
界面活性剤には、イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤があります。また、イオン性界面活性剤はさらに陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両生界面活性剤に分けられています。
ドミフェン臭化物は界面活性剤のうちイオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤に分類されています。陽イオン界面活性剤はカチオン界面活性剤とも呼ばれます。
この陽イオン界面活性剤はその化学構造からアミン酸系と第4級アンモニウム塩系に分類されていますが、ドミフェン臭化物は第4級アンモニウム塩系の陽イオン界面活性剤になります。
この陽イオン界面活性剤は陰イオン(マイナスイオン)を持つ固体表面に強く吸着するので、殺菌作用のほか、柔軟剤、ヘアリンスなどで帯電防止目的で用いられています。
この界面活性剤が細菌や真菌などの微生物に作用すると、その細胞壁の性質を変化させて細胞壁を破壊します。この作用により界面活性剤は殺菌効果を現わします。また、細胞組織を持たないウイルスに関しても、エンベロープと呼ばれるウイルスの外郭を破壊し、細菌等の細胞組織を持つ微生物同様に殺菌します。
実際に、試験管内の実験では、ドミフェン臭化物は様々な細菌や真菌への殺菌効果が確認されています。またウイルスに対しても殺菌効果を示すとされています。(*)
本剤は口の中やのどの感染症予防や抜歯後の合併症(敗血症等)の予防に使用されています。体内への吸収に関してはデータがありませんが、全身作用ではなく口の中やのどと言った局所の消毒を目的としています。
本剤の国内臨床試験の結果(有効率):83.0%(405/488)
咽頭炎:63.2%(91/144)、扁桃炎:86.0%(43/50)、口内炎:85.6%(119/139)、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防:98.1%(405/488)
(*)参考:ウイルス、細菌、真菌の違い
ウイルス、細菌、真菌はその大きさがまず異なります。ウイルスは10nm‐100nmと非常に小さく、細菌は1μm程度、真菌は1μm‐10μm程度です。人の細胞は10μm程度です。
・ウイルス:細胞組織を持たないため自己増殖ができず、人の細胞などに侵入して増殖をします。インフルエンザ、コロナ、ノロ、ヘルペスなどの様々な病原体が確認されていますがその一部にしか抗ウイルス薬は開発されていません。
・細菌:自身で細胞分裂をして増殖していきます。このため、細胞分裂を阻害する抗菌薬などが有効な場合があります。大腸菌、コレラ菌、赤痢菌などの病原体があります。
・真菌:菌糸と呼ばれる分枝によって発育していきます。細胞膜を破壊する、合成を阻害するなどの作用を持つ抗真菌薬が用いられます。カビ、白癬菌(みずむし)などが真菌に分類されます。 |
使用方法 |
1回1錠を1日3回~6回、口の中で徐々に溶かして服用する。 |
副作用 |
主な副作用
過敏症状、腹痛、胃もたれ、吐き気、下痢、舌のしびれ
副作用発現率:0.7%(7/1,057)
腹痛などの消化器症状(5例)、舌のしびれ(2例)
重大な副作用
重大な副作用は報告されていません。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 乳幼児(誤って飲み込むおそれがあるため)
使用に注意が必要な方 注意が必要となる報告はありません。
上記にあてはまる方は、ドミフェン臭化物を使用する事が出来ない可能性があります。 ドミフェン臭化物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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