メピバカイン塩酸塩

成分名

メピバカイン塩酸塩

適応症状

硬膜外麻酔/伝達麻酔/浸潤麻酔など

簡易説明

メピバカイン塩酸塩は神経膜のナトリウムチャネルをブロックするはたらきがあり、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し知覚神経及び運動神経を遮断する局所麻酔薬です。
伝達麻酔作用はプロカイン塩酸塩の1.5倍で、リドカイン塩酸塩と同等の強さを示し、硬膜外麻酔ではブピバカイン塩酸塩の1/2から2/3倍の作用持続時間を示します。

処方可能な診療科目

内科/神経内科/外科/脳神経外科/脳神経内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約1000円~5000円程度
薬代1mLVあたりの目安:0.5%約11円/1%約11円/2%約18円
薬代1筒あたりの目安:0.5%約105円/1%約104円/2%約143円
薬代後発薬1筒あたりの目安:0.5%約186円/1%約163円/2%約228円
※病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要です。

厚生労働省による認可、または発売年月日

【0.5%カルボカイン注/1%カルボカイン注/2%カルボカイン注】
薬価基準収載年月 : 1960年6月
販売開始年月 : 1959年1月
再評価結果公表年月 : 1974年11月

【カルボカインアンプル注0.5%】
薬価基準収載年月 : 2006年6月
販売開始年月 : 2000年8月

【カルボカインアンプル注1%】
薬価基準収載年月 : 2006年6月
販売開始年月 : 1999年6月

【カルボカインアンプル注2%】
薬価基準収載年月 : 2006年6月
販売開始年月 : 2000年8月

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

【製薬メーカー:サンドファーマ】
0.5%カルボカイン注
1%カルボカイン注
2%カルボカイン注

【製薬メーカー:日新製薬-山形】
カルボカインアンプル注0.5%
カルボカインアンプル注1%
カルボカインアンプル注2%

関連製品(ジェネリック)

塩酸メピバカイン注シリンジ0.5%「NP」/塩酸メピバカイン注シリンジ1%「NP」/塩酸メピバカイン注シリンジ2%「NP」

海外での使用実績

メピバカイン塩酸塩の歯科領域における伝達麻酔については、欧米などの6ヶ国で承認されています。40名の健康成人を対象にして、5万倍から10万倍に希釈したアドレナリン含有2%リドカイン塩酸塩製剤、及び3%メピバカイン塩酸塩製剤の口腔内眼窩下神経ブロック(伝達麻酔)による麻酔効果を比較することを目的とした無作為化二重盲検クロスオーバー比較試験が実施しました。
各被験者に対して、5万倍から10万倍に希釈したアドレナリン含有2%リドカイン塩酸塩製剤、もしくは3%メピバカイン塩酸塩製剤 1 管(1.7 mL)を口腔内眼窩下神経ブロック(伝達麻酔)によりそれぞれ1回ずつ、少なくとも1週間以上間隔をあけて投与しました。
上顎の注射側における中切歯、側切歯、犬歯、第一及び第二小臼歯並びに第一大臼歯の電気歯髄診を4分ごとに合計60分間実施して、麻酔効果が評価を行い、2回連続で電気式歯髄診断器の最
大出力(80)で刺激しても被験者の反応がない場合に麻酔成功と定義して、試験を行いました。
結果、上顎の中切歯、側切歯及び第一大臼歯に歯髄麻酔を行う場合、いずれの製剤においても、口腔内眼窩下神経ブロック(伝達麻酔)の麻酔成功率は10%から62%と低く、犬歯並びに第一及び第二小臼歯の歯髄麻酔では、5万倍から10万倍に希釈したアドレナリン含有2%リドカイン塩酸塩製剤の麻酔成功率は75%から92%、麻酔の作用持続時間は60分未満であり、3%メピバカイン塩酸塩製剤の麻酔成功率は75%から88%で、麻酔の作用持続時間はリドカイン塩酸塩製剤と比べて短い結果となりました。

効果・作用

メピバカイン塩酸塩は神経膜のナトリウムチャネルをブロックするはたらきがある薬剤です。
本剤は神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し知覚神経及び運動神経を遮断する局所麻酔薬として使われることから、硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔などに用いられます。
伝達麻酔作用はプロカイン塩酸塩の1.5倍であり、同系薬のリドカイン塩酸塩と同じ程度の強さを示すことや、硬膜外麻酔ではブピバカイン塩酸塩の2分の1から3分の2の作用持続時間を示します。
ヒト伝達麻酔においては、本剤はリドカイン塩酸塩と同じ程度の作用発現時間及びより長い作用持続時間を示します。
本剤は金属を侵す性質があることから、長時間カニューレや注射針等の金属器具に接触させないことが望ましく、金属器具を使用した場合は、使用後に十分な洗浄を行う必要があります。
その他、まれにショックや中毒症状を起こすことがあるため、注意が必要で、投与の際には医師による十分な問診により対象患者の全身状態を把握する必要があり、観察の結果、異常が認められた場合には、直ちに救急処置のとれるように常時準備をしておく必要があります。
なお、事前の静脈路確保が望ましいです。

使用方法

▼用法用量
[0.5%カルボカイン注]
・メピバカイン塩酸塩として、成人には次の用量を投与します。なお、メピバカイン塩酸塩の基準最高用量は、1回500mg(0.5%注:100mL)です。ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減します。

硬膜外麻酔:50~150mg(10~30mL)
伝達麻酔:-
伝達麻酔[指趾神経遮断]:20~40mg(4~8mL)
伝達麻酔[肋間神経遮断]:25mg(5mL)
伝達麻酔[交感神経遮断]:25mg(5mL)
浸潤麻酔:10~200mg(2~40mL)


[1%カルボカイン注]
・メピバカイン塩酸塩として、成人には次の用量を投与します。なお、メピバカイン塩酸塩の基準最高用量は、1回500mg(1%注:50mL)です。ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減します。

硬膜外麻酔:100~300mg(10~30mL)
伝達麻酔:50~200mg(5~20mL)
伝達麻酔[指趾神経遮断:40~80mg(4~8mL)
伝達麻酔[肋間神経遮断]:-
伝達麻酔[交感神経遮断]:-
浸潤麻酔:20~400mg(2~40mL)

[2%カルボカイン注]
・メピバカイン塩酸塩として、成人には次の用量を投与します。なお、メピバカイン塩酸塩の基準最高用量は、1回500mg(2%注:25mL)です。ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減します。

硬膜外麻酔:200~400mg(10~20mL)
伝達麻酔:40~400mg(2~20mL)
伝達麻酔[指趾神経遮断]:80~160mg(4~8mL)
伝達麻酔[肋間神経遮断]:-
伝達麻酔[交感神経遮断]:-
浸潤麻酔:40~400mg(2~20mL)

副作用

副作用発現状況の概要については、使用成績調査などの頻度が明確となる調査を実施していません。副作用発現頻度については不明です。

次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

重大な副作用
▼ショック
徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じてまれに心停止を来すことがあります。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告があるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼意識障害、振戦、痙攣
意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼異常感覚、知覚・運動障害
注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがあります。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔では膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止して、適切な処置を行ってください。

その他の副作用
眠気/不安/興奮/霧視/眩暈/悪心・嘔吐/蕁麻疹等の皮膚症状/浮腫など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者には使用できません。投与しないでください。

■大量出血やショック状態の患者
大量出血やショック状態の患者は、過度の血圧低下が起こることがあるため使用できません。投与しないでください。

■注射部位又はその周辺に炎症のある患者
注射部位又はその周辺に炎症のある患者は、化膿性髄膜炎症状を起こすことがあるため使用できません。投与しないでください。

■敗血症の患者
敗血症の患者は、敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがあるため使用できません。投与しないでください。

使用に注意が必要な方
■全身状態が不良な患者
全身状態が不良な患者は、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがあります。観察を十分に行ったうえで、このような症状があらわれた場合には、投与を中止してください。やむを得ず投与を続ける必要がある場合には慎重に投与してください。

■心刺激伝導障害のある患者
心刺激伝導障害のある患者は、症状を悪化させることがあります。観察を十分に行ったうえで、このような症状があらわれた場合には、投与を中止してください。やむを得ず投与を続ける必要がある場合には慎重に投与してください。

■重篤な肝機能障害又は腎機能障害のある患者
重篤な肝機能障害又は腎機能障害のある患者は、中毒症状が発現しやすいです。観察を十分に行ったうえで、このような症状があらわれた場合には、投与を中止してください。やむを得ず投与を続ける必要がある場合には慎重に投与してください。

■中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄・脊椎に腫瘍又は結核等のある患者
中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄・脊椎に腫瘍又は結核等のある患者は、硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがあります。観察を十分に行ったうえで、このような症状があらわれた場合には、投与を中止してください。やむを得ず投与を続ける必要がある場合には慎重に投与してください。

■血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者
血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者は、出血しやすく、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがあります。観察を十分に行ったうえで、このような症状があらわれた場合には、投与を中止してください。やむを得ず投与を続ける必要がある場合には慎重に投与してください。

■脊柱に著明な変形のある患者
脊柱に著明な変形のある患者は、脊髄や神経根の損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難であることから、やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行い、慎重に投与してください。

■腹部腫瘤のある患者
腹部腫瘤のある患者は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすいことから、麻酔中はさらに増悪することがあります。投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行い、慎重に投与してください。

■重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者
重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者は、血圧低下や病状の悪化が起こりやすいのです。観察を十分に行ったうえで、このような症状があらわれた場合には、投与を中止してください。やむを得ず投与を続ける必要がある場合には慎重に投与してください。

■妊婦等
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。

■高齢者
一般に高齢者は麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下しています。投与量の減量を考慮して、患者の全身状態の観察を十分に行い、慎重に投与してください。

■小児等
小児等に対する安全性は確立していません。

上記にあてはまる方は、メピバカイン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
メピバカイン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・クラスIII抗不整脈剤
・アミオダロン 等

上記を使用している方は、メピバカイン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
メピバカイン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
メピバカイン塩酸塩は虫歯の治療で使用されると聞きましたが、実際どのように使用されるのでしょうか?

メピバカイン塩酸塩は麻酔薬として歯の神経を抜いたり、抜歯の際に使用します。

メピバカイン塩酸塩の局所麻酔中毒を避けるにはどうすれば良いですか?

局所麻酔中毒を避けるためには、注射針からの血液の逆流がないことを確認した上で薬剤投与にあたって患者の全身状態を観察しつつ、必要最小量を可能な限り速度を遅くして注入してください。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。