チアミラールナトリウム

成分名

チアミラールナトリウム

適応症状

チアミラールナトリウムを主成分とするチトゾール注用0.3g/0.5gは麻酔剤としての適応を持ちます。その主な効能及び効果としては、①全身麻酔、②全身麻酔の導入、③局所麻酔薬、または吸入麻酔薬との併用療法、④精神神経科における電撃療法の際の麻酔、⑤局所麻酔剤中毒・子癇・破傷風等に伴う痙攣、以上に対して適応症をもつ注射剤になります。

簡易説明

チアミラールナトリウムを主成分とする医療用医薬品にはチトゾール注用0.3g/0.5gとイソゾール注射用0.5gがありますが、いづれの医薬品も超短時間作用型バルビツレートに分類される静脈麻酔薬です。
チアミラールはチオペンタールと比較した場合、1.5倍強力で、麻酔効果も早く、興奮性も少なく、また麻酔の回復が早いと言われている注射剤です。

処方可能な診療科目

歯科口腔外科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/皮膚科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/精神神経科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1瓶あたりの目安:0.3g460円/0.5g470円(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

チアミラールナトリウムを主成分とするチトゾール注用0.3g/0.5gは1959年9月22日に製造販売が承認され、1987年10月1日に薬価基準収載、1957年12月1日に販売が開始されました。その後、医薬品関連医療事故防止対策の為販売名を変更し、2008年10月15日に製造販売が承認され、2008年12月19日に薬価基準に収載されました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

チトゾール注用0.3g/0.5g【製薬メーカー:杏林製薬株式会社】
イソゾール注射用0.5g【製薬メーカー:日医工株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

チアミラールナトリウムを主成分とするチトゾール注用0.3g/0.5gは麻酔剤としての適応を持ちます。その主な効能及び効果としては、①全身麻酔、②全身麻酔の導入、③局所麻酔薬、又は吸入麻酔薬との併用療法、④精神神経科における電撃療法の際の麻酔、⑤局所麻酔剤中毒・子癇・破傷風等に伴う痙攣にたいして効果のある薬です。

その作用機序は、バルビツール酸誘導体としての共通の作用機序により鎮静、催眠作用を現します。
チアミラールナトリウムはGABA受容体サブタイプの一つであるGABAA受容体のサブユニットに存在するバルビツール酸誘導体結合部位に結合する事によって、抑制伝達物質GABAの受容体親和性を高める事によってGABA作用を増強する。また単独でクロルイオンチャネルを開口する。クロルイオンチャネル開口は細胞膜過分極によるシナプス後抑制を起こし鎮静・催眠作用を惹起する。クロルイオンチャネル開口により神経機能抑制作用を促進します。
またグルタミン酸、アセチルコリンなどの興奮性神経伝達物質によるシナプス伝達抑制作用も報告されています。

薬効:チオペンタールナトリウムは鎮静・催眠作用のほか、用量依存性に脳代謝を抑制します。脳波が等電位になると、更に投与量を増加してもそれ以上の脳代謝減少は起こりません。脳代謝の減少に伴い、脳血流量と頭蓋内圧が低下します。平均動脈圧より頭蓋内圧が相対的により低下するため脳灌流圧は維持されます。

使用方法

【チトゾール注用0.3g/0.5gの調整】
・使用する注射剤(チトゾール注用0.3g/0.5g)の溶液の濃度は2.5%水溶液を使用します。(5%溶液を使用した場合、静脈炎を起こす事がある為調整する濃度には十分注意が必要です。)
・投与量及び投与法について:2.5%溶液に調整したチトゾール注用0.3g/0.5gを静脈内へ注入します。チトゾール注用0.3g/0.5gの用量や静注速度は投与する患者の年齢及び体重とは関係が少なく、個人差がある為、一定ではないが、大体の基準を次の通りとなります。

1)全身麻酔の導入として使用する場合
まず最初に2mLから4mL(2.5%溶液で50mgから100mg)を注入して患者の全身状態、並びに抑制状態等を観察します。その感受性から判断し、追加量を決定します。続いて患者が応答しなくなるまで追加しながら注入していき、患者の応答が無くなった時点の注入量を就眠量とします。更にここで決定した就眠量の半量もしくは同量を追加注入した後、チアミラールナトリウムを使用した麻酔法以外の他の麻酔法へ移行します。
なお、麻酔剤使用時において、気管内に挿管する場合は筋弛緩剤を併用する事とされています。
2)短時間麻酔の場合
①チトゾール注用0.3g/0.5gを用いて短時間麻酔を行う場合、患者とコンタクトを保ちながら、最初に2mLから3mL(2.5%溶液で50mgから75mg)を用いて10秒から15秒ぐらいの速度で投与し、麻酔剤注入後30秒間投与したチトゾール注用0.3g/0.5gの麻酔の程度や、患者の全身状態を観察します。更に必要であれば2mLから3mを同速度で注入し、患者の応答がなくなった時点での注入量を就眠量とします。なお、手術に先立ち、更に2mLから3mLを同速度で分割注入する事によって、更に10分から15分程度の麻酔効果が得られます。
②手術開始後、短時間で終了しない場合には、注射針を刺したままの状態で、呼吸及び脈拍、血圧、そして角膜反射や瞳孔対光反射などに注意しながら手術を維持継続できる麻酔の深度を保つように、1mLから4mL(2.5%溶液で25mgから100mg)を数回に分けて注入します。(分割投与した際、1回の投与量は最大1000mgまでとする)
3)精神神経科における電撃療法で使用する場合
通常チトゾール注用0.3g/0.5gを、12mL(2.5%溶液で300mg)の溶液を用いて、おおよそ25秒から35秒くらいかけてゆっくりと注入した後、必要とされる麻酔の深度に達したことを確認後、直ちに電撃療法を行います。
4)併用して使用する場合
チアミラールナトリウムは局所麻酔剤もしくは吸入麻酔剤と併用して使用する事が可能です。通常2mLから4mL(2.5%溶液で50mgから100mg)を一定の間隔を持ちながら静脈内へ注入します。
また、点滴しながら投与を行う場合には、静脈内点滴麻酔法に準ずる事とされています。
5)痙攣時に使用する場合
患者の全身状態をよく観察しながら、通常2mLから8mL(2.5%溶液で50mgから200mg)を痙攣が止まるまでゆっくりと注入していきます。

副作用

重大な副作用
1)ショック(頻度不明)
呼吸困難、血圧低下等が認められることがあります。
2)呼吸停止、呼吸抑制(頻度不明)
呼吸停止、呼吸抑制、舌根沈下、喉頭痙攣、気管支痙攣、咳、しゃっくりが現れる事があります。

その他の副作用
循環器、過敏症、覚醒時の副作用が報告されています。

発生頻度は以下の通りです。
1)循環器
血圧下降、不整脈(頻度不明)
2)過敏症
皮疹等(頻度不明)
3)覚醒時
悪心、嘔吐、頭痛、眩暈、流涙、震え、痙攣、興奮、顔面潮紅、複視、痺れ感、尿閉、倦怠感など(頻度不明)

過敏症の皮疹等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)ショック又は大出血による循環不全、重症心不全の患者
2)急性間欠性ポルフィリン症の患者
3)アジソン病の患者
4)重症気管支喘息の患者
5)バルビツール酸系薬物に対する過敏症の患者
6)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■チアミラールナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、チトゾール注用0.3g/0.5gはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼チトゾール注用0.3g/0.5gの有効成分
チアミラールナトリウム
▼代表薬の添加物
・乾燥炭酸ナトリウム、pH調節剤

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①重症糖尿病の患者
②重症高血圧症、低血圧症、重症貧血、低蛋白血症の患者
③心筋障害、動脈硬化症の患者
④脳圧上昇時
⑤重症筋無力症、筋ジストロフィー、呼吸困難及び気道閉塞を呈する疾患の患者
⑥電解質アンバランス時(特にカリウム中毒の患者)
⑦薬物過敏症の患者(バルビツール酸系薬物に対する過敏症の患者を除く)
2)重症腎障害のある患者
3)重症肝障害のある患者
4)妊婦
5)授乳婦
6)小児等
7)高齢者

上記にあてはまる方は、チアミラールナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
チアミラールナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)中枢神経抑制剤
2)血圧降下剤
3)モノアミン酸化酵素阻害剤
4)中枢性筋弛緩剤(クロルフェネシンカルバミン酸エステル等)
5)スルホニル尿素系血糖降下剤
6)抗パーキンソン剤(レボドパ等)
7)三環系抗うつ剤
8)ジスルフィラム
9)ドキシサイクリン
10)クマリン系抗凝血剤(ワルファリンカリウム等)

上記を使用している方は、チアミラールナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
チアミラールナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

チアミラールナトリウムに関する
よくある質問
チアミラールナトリウム投与はどのくらい効果が持続しますか?

3~5mg/kgの短時間投与後の場合、15~20分で覚醒します。
インタビューホーム 【杏林製薬株式会社】

チアミラールナトリウムはどのくらいの時間で効果が見られますか?

3~5mg/kgの短時間投与において30秒程度で意識消失すると言われています。
インタビューホーム 【杏林製薬株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【杏林製薬株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】

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