ペントバルビタール

成分名

ペントバルビタール

適応症状

不眠症/麻酔前投薬/不安緊張状態の鎮静/持続睡眠療法における睡眠調節 など

簡易説明

ペントバルビタールは、鎮静薬、静脈麻酔薬、抗てんかん薬などの中枢神経系抑制作用を持つ向精神薬の一群であるバルビツール酸系の鎮静催眠薬で、不眠症・不安の鎮静や、てんかんの痙攣発作等で用いる薬になります。
日本では、田辺三菱製薬がラボナの商品名で販売しています。
日本うつ病学会や気分障害のガイドライン作成委員会によると、バルビツール酸系の鎮静催眠薬は極力処方を回避することを推奨しており、現在では睡眠薬としてほとんど用いられていません。
ペントバルビタールは連用により依存症になる恐れや、急激な量の減少により離脱症状を生じることがあり、向精神薬に関する条約のスケジュールⅢに指定され、また麻薬及び向精神薬取締法の第2種向精神薬に指定されています。

処方可能な診療科目

内科/心療内科/精神神経科/精神科/麻酔科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:50mg 8.9円/錠(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1952年 8月発売開始【ラボナ錠50mg】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ラボナ錠50mg【製薬メーカー:田辺三菱製薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

・アメリカ
1930年に米国のアボット社が麻酔用注射剤としてネブンタールという名称で販売開始しました。
製造する工場が閉鎖したため、2005年には販売が中止されました。

効果・作用

ペントバルビタールは不眠症・不安の鎮静や、てんかんの痙攣発作等で使用される、中枢神経系抑制作用を持つ向精神薬の一群であるバルビツール酸系の鎮静催眠薬です。
現在では睡眠薬としてほとんど用いられていませんが、不眠の症状が重い場合やベンゾジアゼピン系など他の睡眠薬で効果が得られない場合に使用されることがあります。
ペントバルビタールは過剰摂取により致死性が高まる薬ということで、バルビツール酸系の鎮静催眠薬は極力処方を回避することが推奨されています。

◆バルビツール酸系の作用詳細
バルビツール酸系の薬は脳の大脳皮質や脳幹に対して作用します。脳の覚醒を抑制することで、眠気や精神上での鎮静作用が表れます。本剤のペントバルビタールは短時間作用型に当てはまり、他の種類では中間作用型や長時間作用型の薬剤もあります。作用持続時間の違いがあるため、症状やタイプに合った型の薬剤が患者によって選択されます。

呼吸抑制が強く、遅効性であることで麻酔作用を発揮する量と致死量との差が少ないことから、過剰摂取の危険性が増して呼吸停止に至ることがあります。
厚生労働省は2017年3月にペントバルビタールの重大な副作用の項目に、「連用により依存症を生じることがあるので用量と使用期間に注意して慎重に投与し、急激な量の減少によって離脱症状が生じるため徐々に減量する。」旨を追加して、周知徹底のため関係機関に通達しています。

使用方法

▼不眠症
通常、成人は1回50〜100mgを就寝前に経口にて服用します。
▼不安・緊張状態の鎮静
通常、成人は1回25〜50mgを1日2〜3回経口にて服用します。
▼麻酔前投薬
通常、成人は手術前夜100〜200mg、手術の1〜2時間前に100mgを経口投与します。
※全ての使用用途にて症状や年齢などによって適宜増減します。

副作用

重大な副作用
・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson Syndrome)
・依存性
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

その他の副作用
・発疹
・知覚異常、構音障害、精神機能低下、せん妄、昏迷又は運動失調
・ヘマトポルフィリン尿、蛋白尿
・低カルシウム血症又は葉酸代謝異常によると思われる巨赤芽球性貧血
・頭痛、頭重、めまい、悪心、嘔吐、術中不安、覚醒後の残遺・不快感、眠気、尿閉
・興奮、倦怠感

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■バルビツール酸系化合物に対し過敏症の方
■急性間歇性ポルフィリン症の方
■ミトタンを服用中の方
■ペントバルビタールを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ラボナ錠は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ラボナ錠の有効成分
ペントバルビタールカルシウム
▼代表薬の添加物
・エチルセルロース
・カルメロースカルシウム
・ステアリン酸マグネシウム
・セルロース
・二酸化ケイ素
・ヒドロキシプロピルセルロース
・マクロゴール6000

使用に注意が必要な方
■心障害を持つ方
■呼吸機能が低下している方
■虚弱者
■脳に器質障害がある方
■アルコール中毒、又は薬物依存、傾向のある方
■重篤な神経症の方
■腎、肝機能障害患者
■妊婦、妊娠している恐れのある方、授乳婦
■小児等
■高齢者

上記にあてはまる方は、ペントバルビタールを使用する事が出来ない可能性があります。
ペントバルビタールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■中枢神経抑制作用が増強する恐れ(鎮静、催眠、昏睡等)
■アルコール
■抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、プロメタジン塩酸塩等)
■フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン、ハロペリドール等)
■催眠、鎮静剤(アモバルビタール、トリクロホスナトリウム等)
■三環形抗うつ剤(イミプラミン塩酸塩、アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩)
■抗不安剤(ジアゼパム、ニトラゼパム)
■解熱、鎮痛剤(イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、アセトアミノフェン)
▼起立性低血圧が引き起こされる恐れ
■チアジド系薬物(シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド等)
■ジスルフィラム
▼対象薬の抗菌作用が減弱する恐れ
■ドキシサイクリン
▼抗凝血作用が減弱する恐れ
■ワルファリンカリウム
▼筋弛緩作用、呼吸抑制作用が増強する恐れ
■クラーレ様物質(ツボクラリン、パンクロニウム)

上記を使用している方は、ペントバルビタールを使用する事が出来ない可能性があります。
ペントバルビタールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
■ミトタン(オペプリム)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
動物にも使用されていますか?

動物医薬品でソムノペンチル(共立製薬)が麻酔薬や安楽死薬として使用されていましたが、2019年1月で販売中止となりました。それに伴い動物医療薬でのペントバルビタールの取り扱いが無くなったため、替わる医療品グレードのバルビツール酸誘導体の使用が現在は検討されています。

服用に際し、タイミングなど気を付ける点は何ですか?

本剤を使用している方は自動車の運転など、危険を伴う作業や操作をしないようにして下さい。また不眠症に対して使用する場合は、就寝の直前に服用しますが、睡眠の途中で起床して仕事などを行う可能性があるタイミングでは服用をしないよう注意して下さい。

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