トラゾドン

成分名

トラゾドン

適応症状

うつ病、うつ状態、不眠症、強迫性障害、パニック障害、過食症 など

簡易説明

トラゾドンは、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種で、セロトニン遮断再取り込み阻害薬(SARI;Serotonin 2 Antagonist and Reuptake Inhibitor)として知られています。
脳内の神経伝達物質であるセロトニンの量を増やすことにより、うつ病、うつ状態の改善に効果があります。その他、強迫性障害などにも用いられます。
いわゆる三環系抗うつ剤と新しいタイプの抗うつ剤(SSRIなど)のちょうど間頃に開発された抗うつ剤であり、効果はマイルドで即効性が比較的高いと言われています。
睡眠を深くする特徴があるので、睡眠薬として処方されることが多いのも大きな特徴です。日本では「デジレル」の商品名でファイザーから、「レスリン」でMSD株式会社から発売がされています。

処方可能な診療科目

精神科/心療内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約1000円~約3000円(保険により3割負担の場合)
薬代1錠あたりの目安:約10円~約50円(薬価)
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1991年11月販売開始

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

デジレル錠25mg・50mg (ファイザー)/レスリン錠25mg・50mg (MSD)

関連製品(ジェネリック)

デジレル(Santa Farma Ilac Sanyii A.S.)/トラゾドン塩酸塩錠25mg・50mg「アメル」 (共和薬品工業)

効果・作用

脳内の神経伝達物質であるセロトニンの量を増やし、神経の働きをよくします。
セロトニンとは、脳内で働く神経伝達物質のひとつで、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっています。セロトニンが不足すると脳の機能の低下が見られたり、心のバランスを保つことが難しくなります
逆にセロトニンの増加は、不安感をやわらげ「気分」を楽にするといわれます。
この薬を飲むことにより、気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気がでない、集中できない、眠れない・・そんなこじれた心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けます。
また、不安や緊張した気分をほぐして、気持ちを楽にします。うつ病・うつ状態のほか、パニック障害、過食症など様々な心の不具合に応用されます。
従来のうつ病治療薬と比べ、口の渇きや便秘の副作用もかなり軽減されています。SSRIに近い薬です。
作用が穏やかで安全性が高く、睡眠の質を改善する効果があるため、睡眠薬の代用として使われることが多い一方で、抗うつ効果はあまり強くありません。

使用方法

通常、成人は1日3~4錠(主成分75~100mg)から服用を始め、1日8錠(200mg)まで増量し、1~数回に分けて服用して下さい。
病状や年齢により適宜増減されます。必ず指示された服用方法に従ってください。
飲み忘れた場合は、気がついた時点で1回分を飲んでください。
ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分を飲まず、次の服用時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
誤って多く飲んだ場合は医師または薬剤師に相談してください。医師の指示なしに、自分の判断で飲むのを止めないでください。

副作用

【重大な副作用】
・QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、心室性期外収縮
QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、心室性期外収縮があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行って下さい。
・悪性症候群(Syndrome malin)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行って下さい。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがあります。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されています。
・セロトニン症候群
セロトニン症候群があらわれることがあるので、錯乱、発汗、反射亢進、ミオクロヌス、戦慄、頻脈、振戦、発熱、協調異常等が認められた場合には、投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行って下さい。
・錯乱、せん妄
錯乱、せん妄があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には減量又は休薬等の適切な処置を行って下さい。
・麻痺性イレウス
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来たし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行って下さい。
・持続性勃起
陰茎及び陰核の持続性勃起が起こることが報告されているので、本症状が発現した場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行って下さい。(持続性勃起の治療として、エピネフリン、ノルエピネフリンなどのα-アドレナリン作動薬の海綿体内注射及び外科的処置が行われた症例が報告されている。)
・無顆粒球症
無顆粒球症があらわれたとの報告があるので、血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行って下さい。

【その他の副作用】
・循環器
低血圧、動悸・頻脈、失神、徐脈、不整脈、高血圧、起立性低血圧
・精神神経系
眠気、めまい・ふらつき、頭痛・頭重、構音障害、振戦等のパーキンソン症状、頭がボーッとする、視調節障害(霧視、複視等)、不眠、運動失調、躁転、痙攣、焦燥感、流涎、健忘、知覚障害、幻覚、運動過多、不安、見当識障害、口周囲不随意運動、集中力低下、興奮、妄想、性欲亢進、性欲減退、悪夢、怒り・敵意(攻撃的反応)、異常感覚、インポテンス、協調運動障害、激越
・過敏症
浮腫、発疹、そう痒感、眼瞼そう痒感→このような症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行って下さい。
・血液
白血球減少、貧血、白血球増多、溶血性貧血、血小板減少
・消化器
口渇、便秘、悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、胃重感、嚥下障害、腹部膨満感、味覚異常、食欲亢進、胸やけ
・肝臓
肝機能障害(AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTPの上昇等)→観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行って下さい。
・その他
倦怠感、ほてり、脱力感、排尿障害、鼻閉、関節痛、筋肉痛、発汗、眼精疲労、耳鳴、尿失禁、頻尿、射精障害、月経異常、乳房痛、胸痛、体重減少、体重増加、疲労、悪寒、血清脂質増加、息切れ、血尿、乳汁分泌、眼球充血、低ナトリウム血症、発熱

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

【使用に注意が必要な方】
・心筋梗塞回復初期の患者及び心疾患の患者又はその既往歴のある患者
循環器系に影響を及ぼすおそれがあります。
・緑内障、排尿困難又は眼内圧亢進のある患者
抗コリン作用を若干有するため、症状を悪化させるおそれがあります。
・てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
痙攣発作を起こすおそれがあります。
・躁うつ病の患者
躁転、自殺企図があらわれることがあります。
・脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者
精神症状を増悪させることがあります。
・衝動性が高い併存障害を有する患者
精神症状を増悪させることがあります。
・自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者
自殺念慮、自殺企図があらわれることがあります。
・小児等
小児等に対する安全性は確立していません。
・高齢者
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意して下さい。

【その他注意事項】
・眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意して下さい。
・陰茎及び陰核の持続性勃起が起こることが報告されているので、本症状が発現した場合には直ちに投与を中止して下さい。
・うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察して下さい。
・不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、 基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行って下さい。
・自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめて下さい。
・家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導して下さい。
・投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行って下さい。

上記にあてはまる方は、トラゾドンを使用する事が出来ない可能性があります。
トラゾドンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

■併用禁忌
・サキナビルメシル酸塩(インビラーゼ)
本剤の血中濃度が増加し、重篤な心血管系の副作用(QT延長等)を起こすおそれがあります。
■併用注意
・降圧剤
起立性低血圧及び失神を含む低血圧が起こるおそれがあるので、降圧剤の用量調節に注意して下さい。
・アルコール
・中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
本剤の作用が増大するおそれがある。なお、できるだけ飲酒は避けて下さい。
・モノアミン酸化酵素阻害剤
これらの薬剤の中止直後あるいは併用する場合に、本剤の作用が増大するおそれがあるので、本剤の投与量を徐々に増量するなど慎重に投与を開始して下さい。
・強心配糖体(ジゴキシン等)
・フェニトイン
血清中のジゴキシン濃度又はフェニトイン濃度が上昇するおそれがあります。
・フェノチアジン誘導体(クロルプロマジン等)
血圧低下を起こすおそれがあります。
・ワルファリン
プロトロンビン時間の短縮がみられたとの報告があります。
・カルバマゼピン
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがあります。
・CYP3A4阻害剤(リトナビル、インジナビル)
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量するなど用量に注意して下さい。
・タンドスピロン
・パロキセチン
・アミトリプチリン
セロトニン症候群を起こすおそれがあります。
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
他のうつ病薬と比べるとどうなのか教えて下さい。

SSRIなどの他のうつ病治療薬と比べ、効果は低く、副作用も少ないお薬です。眠気が強く出るため、睡眠薬として使われることが多いお薬でもあります。

実際に使った方のご意見を聞きたいのですが。

実際にお使いになった方のご意見として多いのは、「効き目が感じられない」「副作用が出ない」「眠くなる(よく寝れる)」というものです。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。