ペロスピロン塩酸塩水和物

成分名

ペロスピロン塩酸塩水和物

適応症状

統合失調症

簡易説明

本剤は統合失調症に用いられます。
ドーパミンとセロトニンの両方に作用し、陽性症状と陰性症状の両方に作用します。
セロトニン1A受容体部分作動薬として作用することも特徴的で、抗うつや抗不安効果が期待できます。
認知機能の改善効果も期待でき、安価に使用することができます。
第二世代の抗精神病薬なので、命にかかわるような重篤な副作用が少ないのも使用される理由だといえます。

処方可能な診療科目

精神科/心療内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:
・ルーラン錠4mg/13円(住友ファーマ)
・ルーラン錠8mg/24.6円(住友ファーマ)
・ルーラン錠16mg/43.9円(住友ファーマ)
・ぺロスピロン塩酸塩錠4mg「アメル」/6.8円(共和薬品工業)
・ぺロスピロン塩酸塩錠8mg「アメル」/13円(共和薬品工業)
・ぺロスピロン塩酸塩錠16mg「アメル」/22.1円(共和薬品工業)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2001年2月

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

ルーラン錠4mg(住友ファーマ)
ルーラン錠8mg(住友ファーマ)
ルーラン錠16mg(住友ファーマ)

関連製品(ジェネリック)

ぺロスピロン塩酸塩錠4mg「アメル」(共和薬品工業)
ぺロスピロン塩酸塩錠8mg「アメル」(共和薬品工業)
ぺロスピロン塩酸塩錠16mg「アメル」(共和薬品工業)

効果・作用

本剤は統合失調症の治療薬として使用されます。
統合失調症とは、脳内での情報伝達がうまくいかなくなり、感情や思考の統合が難しくなってしまう病気です。
陽性症状と陰性症状があり、陽性症状はドーパミンの過剰分泌によって幻覚や妄想が症状としてあらわれます。
陰性症状は逆に、ドーパミンの不足によって意欲減退などの症状があらわれます。
本剤はドーパミンの働きを弱めることによって、陽性症状の改善を図ります。
そしてセロトニンにも作用し、セロトニンの働きを弱めることによって陰性症状にも効果をもたらします。
つまり、ドーパミンとセロトニンの両方に作用し、陽性症状と陰性症状の両方を改善するのが本剤です。
このようにどちらの症状にも作用する薬を非定型抗精神病薬といいます。
そして本剤の特徴は、セロトニン1A受容体部分作動薬として作用するということです。
部分作動薬とは、その受容体を少しだけ刺激する薬のことです。
この受容体は抗うつ剤のターゲットになる部分で、抗うつや抗不安効果が期待できます。
また、認知機能の改善効果も期待されます。
本剤は第二世代の抗精神病薬ですので、命にかかわるような重篤な副作用が少ないです。
そして第二世代の抗精神病薬の中でも安価な薬です。
作用時間が短いのが難点ですが、比較的使いやすい薬であるといえます。

使用方法

通常、ペロスピロン塩酸塩として成人1回4mg1日3回より始め、徐々に増量します。維持量として1日12〜48mgを3回に分けて食後経口投与します。
なお、年齢、症状により適宜増減します。但し、1日量は48mgを超えないこととされています。

副作用

主な副作用
筋強剛・CK上昇・ジスキネジア・口周部不随運動・不随運動・嘔吐・悪心・便秘・口渇・錐体外路症状・パーキンソン症候群

重大な副作用
悪性症候群・無動緘黙・強度筋強剛・嚥下困難・頻脈・血圧変動・発汗・発熱・白血球増加・血清CK上昇・ミオグロビン尿・腎機能低下・高熱が持続・意識障害・呼吸困難・循環虚脱・脱水症状・遅発性ジスキネジア・麻痺性イレウス・腸管麻痺・食欲不振・著しい便秘・腹部膨満・腹部弛緩・腸内容物うっ滞・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群・SIADH・低ナトリウム血症・低浸透圧血症・尿中ナトリウム排泄量増加・高張尿・急性腎障害・痙攣・横紋筋融解症・筋肉痛・脱力感・血中ミオグロビン上昇・尿中ミオグロビン上昇・無顆粒球症・白血球減少・高血糖・糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡・高血糖悪化・糖尿病悪化・多飲・多尿・頻尿・肺塞栓症・深部静脈血栓症・静脈血栓症・血栓塞栓症・息切れ・胸痛・四肢疼痛・浮腫

その他の副作用
振戦・流涎・仮面様顔貌・寡黙寡動・歩行障害・アカシジア・静座不能・四肢不随運動・構音障害・嚥下障害・食欲減退・プロラクチン上昇・不眠・眠気・焦燥・不安・めまい・ふらつき・過度鎮静・脱力倦怠感・心悸亢進・胸内苦悶感・血圧低下・心室性期外収縮・徐脈・血圧上昇・ジストニア・斜頸・眼球上転発作・AST上昇・ALT上昇・ALP上昇・γ-GTP上昇・視力障害・眼のかすみ・角膜びらん・過敏症・発疹・紅斑・食欲亢進・腹部不快感・下痢・腹痛・月経異常・排尿障害・白血球分類異常・赤血球増加・赤血球減少・ヘモグロビン増加・ヘモグロビン減少・ヘマトクリット増加・ヘマトクリット減少・血小板減少・興奮・易刺激性・頭痛・頭重・うつ状態・頭部異常感・しびれ感・眼瞼下垂・頭鳴・無力感・尿蛋白・ほてり・顔面紅潮・射精障害・鼻閉・体重増加・水中毒・多飲症・気分不快感・喀痰・総コレステロール上昇・総コレステロール低下・総蛋白低下・尿糖・尿ウロビリノーゲン・血清ナトリウム低下・血清クロール低下・LDH上昇・乳汁分泌・痙攣発作・躁状態・自殺企図・精神病症状憎悪・妄想・幻覚・衝動行為・思考異常・血糖上昇など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ぺロスピロン塩酸塩水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ルーラン錠はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ルーラン錠の有効成分
ペロスピロン塩酸塩水和物4.31mg(ペロスピロン塩酸塩として4mg
▼ルーラン錠の添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、濃グリセリン、シリコーン樹脂、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、トウモロコシ油、酸化チタン、カルナウバロウ

■他に使用できない方
・昏睡状態の方
・バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・アドレナリンを投与中の方

使用に注意が必要な方
・心疾患、血管疾患、低血圧またはそれらの疑いのある方
・パーキンソン病またはレビー小体型認知症の方
・てんかん等の痙攣性疾患またはこれらの既往歴のある方
・脱水、栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある方
・自殺企図の既往および自殺念慮を有する方
・糖尿病またはその既往歴のある方、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する方
・不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の方
・腎機能障害、肝機能障害のある方
・妊婦、授乳婦
・小児等
・高齢者

上記にあてはまる方は、ペロスピロン塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ペロスピロン塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
・ドーパミン作動薬(レボドパ製剤、ブロモクリプチン)
・降圧剤
・ドンペリドン、メトクロプラミド
・アルコール(飲酒)
・H 2 受容体遮断薬(シメチジン等)
・CYP3A4の選択的阻害剤(マクロライド系抗生物質等)
・CYP3A4によって代謝される薬剤(シサプリド、トリアゾラム等)

上記を使用している方は、ペロスピロン塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ペロスピロン塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・アドレナリン(ボスミン)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
服用に食事の有無は関与しますか?

空腹時と食後に服用するのとでは、効果の出方が異なり、血中濃度の差が1.6倍になるとされています。また様々な血栓症などの副作用を予防するためにも、食後に服用するのが良いとされています。処方に従って服用してください。またその通りに服用できない場合は、医師や薬剤師に相談してください。

妊娠中は服用を避けたほうがよいですか?

注意事項にも記載されているように、服用には注意が必要です。そしてできれば避けたほうが良いですが、治療の有益性がリスクを上回ったときは服用をします。ただし、妊娠後期に投与されている場合は、新生児に哺乳障害・傾眠・呼吸障害・振戦・筋緊張低下・易刺激性などの離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がありますので、医師とよく相談して投与の有無を慎重に決めるようにしてください。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。