デュロキセチン

成分名

デュロキセチン

適応症状

うつ病/統合失調症

簡易説明

デュロキセチンはSNRI系の第4世代の抗うつ剤です。   
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬というSNRIに分類されます。
セロトニンとノルアドレナリンの働きを活発にする作用があります。
不安や落ち込み、意欲や気力の低下といった精神的な症状の改善をします。
慢性的な痛みに対しても効果的で様々な用途で使用されているお薬です。

処方可能な診療科目

精神科/精神神経科/心療内科/メンタルヘルス科/メンタルクリニック/整形外科/内科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2500円~約10000円                 
薬代1錠あたりの目安:20mg約174円/30mg約235円(薬価)                 
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2010年1月承認

国内のジェネリック認可

関連製品(先発薬)

サインバルタ(Cymbalta)【製薬メーカー:塩野義製薬株式会社/日本イーライリリー社】

関連製品(ジェネリック)

デュゼラなど

効果・作用

デュロキセチンが配合されている、サインバルタという医薬品が有名です。

▼効果   
うつ病/うつ状態/慢性疼痛がある病気全般/様々な不安障害/ストレス性の尿失禁   
デュロキセチンは主にセロトニンを増加させ、ノルアドレナリンも増加させてくれます。そして痛みを抑えてくれる効果もあります。   
うつの症状に関しては、ノルアドレナリンによる意欲向上を目的に使用されます。   
気分の落ち込みだけの症状の方に用いられる事が多いです。起伏が激しい方には煽ってしまう為、向いていないとされています。   
デュロキセチンは痛みを抑えてくれる作用があるため、さまざまな慢性疼痛で用いられています。鎮痛剤を使用するより、デュロキセチンを使用していった方が安全とされています。   
うつ病患者の慢性的な腰痛や頭痛等が伴う場合があります。   
さらに主にセロトニンに対する作用であるため、不安障害に使用されます。   
SSRIを用いられる事が多いですが、痛みを伴う場合はデュロキセチンが使用される事があるのです。   
そしてストレスで尿意が強くなってしまう方、特に女性に多い症状なのですが、こちらにも効果があります。   
▼正式に認められている適応症状と認可年   
うつ病・うつ状態【2010年】/糖尿病性神経障害に伴う疼痛【2012年】/線維筋痛症【2015年】/慢性腰痛に伴う疼痛【2016年】/変形性関節症に伴う疼痛【2016年】   
以上がデュロキセチンの適応が認められてる病気です。   
もともとうつ病の治療薬として販売されていましたが、慢性的な痛みの症状にも効果があり、その適応の拡大により、精神科や心療内科だけではなく、整形外科や内科でも用いられるようになっています。   
特徴としては、三環系や四環系と比較すると、その他の物質への影響が少ない事が挙げられます。

使用方法

デュロキセチンの医薬品は現時点で新薬のサインバルタ、ジェネリックのデュゼラ、と   
2種類販売されていますが、両方ともカプセル錠になっており、錠剤のように割る事ができない為、容量を調整する事ができませんので、ご自身に合った容量を選ぶようにしましょう。   
1カプセル最小20mg~最大60㎎があります。   
開始容量は20㎎からで、用法は1日1回服用を継続する事で、少しづつ効果を高めていくお薬になります。   
タイミングはいつでも大丈夫なのですが、毎朝食後に服用する場合が一般的です。   
その理由は意欲を高め、睡眠を浅くする副作用があるからです。眠気が副作用になる方もいます。   
デュロキセチンは食事の影響は少ないので、夕食後、就寝前に服用する場合もあります。   
デュロキセチン服用開始になると、20㎎を服用後2週間ごとに効果を判定していきます。   
効果が足りない場合は20㎎ずつ増やしていきます。   
最大容量の60mgになっても効果が足りなかったという場合、   
他の抗うつ剤、抗精神病薬、安定剤を追加する、または他の抗うつ剤に変更する。   
もしくは診断の見直しをします。   
デュロキセチンは海外では120㎎まで使用できる薬なので、症状によって抗うつ剤を追加する事が可能です。

▼デュロキセチンの半減期   
デュロキセチンの血中濃度は最大になる7~8時間で迎えたのち、半分の量になる半減期は18~19時間後になります。   
薬の血中濃度というのは半減期の4~5倍ほどの時間で安定するとされているので、デュロキセチンはだいたい4日間くらい飲み続ければ安定します。

副作用

デュロキセチンのような抗うつ剤では、   
飲み始め、服用中、減薬中、と三つの服用時期に分けられます。   
その時期によって副作用も変わってきます。   
基本的にデュロキセチンの副作用は薬を服用し続けることで、体が少しずつ慣れて収まる場合が多いようです。

  

▼飲み始め   
まず飲み始めの注意としては賊活症候群があります。   
中枢神経系を刺激すると、気分が高揚して躁転したり、不安からの衝動で自殺を考えてしまったりする事があります。   
このような精神状態になってしまったらすぐ服用を中止しましょう。

  

▼服用中   
服用中に関して、セロトニンを刺激する事による副作用が出てしまう事が多いです。   
主な副作用としては下痢、吐き気などの胃腸障害です。   
他にもいろいろ副作用が起きる可能性はありますが、軽度なものであれば服用していくうちに多くは慣れていきます。

  

▼減薬中   
減量していく場合、離脱症状に気をつけなければいけません。デュロキセチンが身体に常駐する事に慣れてしまっていて、急激に減量してしまうと心身に異常をきたす場合がありますので、少しずつ減らしていく事が大切です。

  

・主な副作用   
デュロキセチンに多い副作用は、胃腸症状、頭痛、性機能障害です。   
  
▼胃腸症状   
具体的な胃腸症状として、   
悪心37%/便秘14%/下痢12%   
になっており、脳よりまず先に胃腸に作用してしまう部分がある為です。   
この胃腸症状は、飲み始めに多く、慣れていく事が多いようです。

  

▼頭痛   
頭痛の副作用があります。   
うつ病での処方での副作用頻度として、頭痛は21%となっております。   
そしてこの頭痛が発症するタイミングは、   
デュロキセチンの飲み始め/デュロキセチンの減薬や中止の時の離脱症状   
セロトニンには脳血管の収縮作用があるのですが、セロトニンが分解されるその反動で脳血管が急激に拡張するのです。すると周りと取り巻いている三叉神経から痛み物質が生成されて、頭痛の副作用に発展するとされています。

  

▼性機能障害   
デュロキセチン服用により、性機能障害の副作用も多くみられるようです。   
この副作用は抗うつ剤の中ではSSRIの次に多いとされています。   
主な性機能障害として、   
性欲低下/勃起不全/オーガズム低下/射精障害   
などが報告されています。   
これらはセロトニン2A受容体や抗α1作用が原因と言われています。

  

▼気になる副作用   
抗うつ剤で多くの方が気になるという症状としては、   
眠気、そして体重増加です。   
眠気に関して、   
ディロキセチンはノルアドレナリンを増やすので、活発な方向にさせる薬です。   
眠気より、不眠になりやすい薬になります。   
他の抗うつ剤と比較すると、眠気が少ない薬になります。   
しかし眠気の症状が出る方もいらっしゃいます。   
不眠(15名/970名)/眠気(229/970名)   
原因ははっきりしていませんが、わずかな抗ヒスタミン作用、抗α1作用で直接な眠気が生じる、夜間の睡眠の質が低下し、その分、日中の眠気が発生してしまう。   
などの可能性があります。   
慣れない眠気が生じた場合、服用タイミングを遅めの時間に変更する、もしくは減薬、二回に服用を分けるなどのやり方があります。   
逆に慣れない不眠が生じた場合は、   
服用タイミングを朝食後に変更する、減薬、鎮静系抗うつ剤を追加するなどで対処します。

  

▼体重増加   
抗うつ剤では体重増加を気にされる方が多いですが、   
デュロキセチンは体重増加しにくい抗うつ剤とされています。   
抗ヒスタミン作用/抗5HT2c作用で直接的な食欲増加/セロトニンによる代謝抑制/ノルアドレナリンによる代謝亢進   
などが挙げられます。   
抗うつ剤の中では体重増加しにくくなっています。   
デュロキセチンは飲み始めは体重減少の傾向にあり、長期使用にて体重増加になっていくようです。   
その理由としては、飲み始めの副作用である胃腸障害による体重減少、   
そして長期使用による精神症状の改善により食欲が増していくと考えられています。   
もし太ってしまった対処法としては、   
生活習慣を見直す/運動をする/食事をよく噛んで食べる/減薬する/他の薬に変える   
などで対処します。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

▼運転への影響   
デュロキセチンを始めとする抗うつ剤は以前、服用中の運転や高所作業等の危険を伴う行為は禁止されていました。   
眠気、ふらつき等の副作用が発症する場合がある為です。その危険性を考慮し、製薬会社も運転禁止にしなければいけない状況でした。   
しかし、それでは精神病患者の社会復帰を妨げてしまう事になり、議論が続いていました。そして現在では運転、危険作業には注意をする事、という勧告に留まっています。   
厚生労働省の通知として、2016年11月25日から添付文書が改正され服用中も運転が可能になりました。   
しかし、   
初めて使用した場合/他薬から乗り換えた場合/薬の増減をさせている場合/体調が悪いと感じた場合   
に関しては運転など危険を伴う作業は禁止の注意喚起をされています。

  

▼妊娠・授乳への影響   
デュロキセチンの妊娠への影響について、薬の添付文書には、   
「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。」   
と記載があります。   
妊娠中に関しては薬を飲む事自体ない方が良いです。   
しかしデュロキセチンの服用を辞めてしまう事でどうしても不安定になってしまうという場合は、薬量を最小限に抑えながら服用していく傾向にあるようです。   
デュロキセチンによる奇刑児のリスクの報告はなく、影響してしまう可能性があるのは産後の赤ちゃんです。胎盤を通じて薬が赤ちゃんに取りこまれていた薬が産後はなくなるわけです。それによる離脱症状が起こってしまう可能性があるからです。   
ただこれは心配しすぎなくても大丈夫です、後遺症が残るようなものではないので、早期発見から治療を行っていれば問題は起きないものとなっています。   
授乳に関して、添付文書には服用中の授乳は避けるようにと記載があります。   
しかし乳幼児に対して目立った副作用は報告されていません。母乳で育てるのは赤ちゃんにとても良い影響があるとされていますので、デュロキセチンを服用していたとしても授乳を続ける方が有益だという考え方もあります。   
  
上記にあてはまる方は、デュロキセチンを使用する事が出来ない可能性があります。   
デュロキセチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

アスピリン/アドレナリン/アミトリプチリン塩酸塩/アルコール/イミプラミン塩酸塩/エノキサシン/L-トリプトファン含有製剤/キニジン硫酸塩水和物/クロニジン塩酸塩/三環系抗うつ剤/シプロフロキサシン/セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)/セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)/選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)/炭酸リチウム/トラマドール塩酸塩/トリプタン系薬剤/ノルアドレナリン/ノルトリプチリン塩酸塩/バルビツール酸誘導体/パロキセチン塩酸塩水和物/非定型抗精神病剤/ピモジド/フェノチアジン系薬剤/フルボキサミンマレイン酸塩/フレカイニド酢酸塩/プロパフェノン塩酸塩/ペルフェナジン/メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー)/リネゾリド/ロラゼパム/ワルファリンカリウム
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

デュロキセチンに関する
よくある質問
デュロキセチンはどのくらいの期間飲み続ければよいのですか?

症状の度合いによりますし、再発もしやすい症状になるので、服用期間は様子を見ながら医師の診断を受けて決めましょう。一般的には二ヶ月~半年くらいの服用で症状が良くなっていくというデータがありますが、それ以上かかる場合ももちろんあります。

良くなってきて辞める場合、離脱症状を避ける為の減薬期間はどのくらいかかりますか?

抗うつ剤は良くなったからといってすぐに辞めると離脱症状が出てしまい、再発や副作用が出ますので、減薬期間が必要になってきます。こちらも医師の診断をしてもらい決めましょう。良くなったとしても減薬期間は10ヶ月ほどは服用を継続しなければいけないようです。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。