成分名 |
スルトプリド塩酸塩 |
適応症状 |
躁病、統合失調症(興奮、幻覚、妄想) |
簡易説明 |
スルトプリド塩酸塩はフランスのDelagrange社(現Sanofi)で1957年に合成され、1970年に製剤化され、1975年に同国で急性期、慢性期の精神異常症状の治療薬として発売されました。
日本国内では1980年に三井製薬株式会社(現バイエル薬品株式会社)が同製剤(以下、本剤)を導入し、臨床試験を経て、1989年に発売しました。現在本剤は共和薬品工業株式会社に販売が移管されています。 |
処方可能な診療科目 |
精神科/内科など |
健康保険の適応 |
躁病、統合失調症の興奮及び幻覚・妄想状態 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:約530円(63.1円×0.6g×14日=530.04円)~3,290円(26.1円×9錠×14日=3,288.60円)
※目安は14日処方で計算していますが、1回の投与量は症状などに合わせて医師が決めます。同様に細粒、錠剤の選択も医師が行います。
薬代1錠あたりの目安:50㎎錠 12.00円/100㎎ 17.20円/200mg 26.10円/細粒50% 63.10円(1gあたり)
薬代後発薬1錠の目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1989年4月20日 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
バルネチール(錠50、錠100、錠200、細粒50%)【製薬メーカー:共和薬品工業株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
本剤は抗ドパミン作用によって、躁病や統合失調症の興奮や幻覚・妄想といった陽性症状(病気になったため現れた症状)を改善する薬です。
躁病や統合失調症の原因はわかっていませんが、脳内の神経伝達物質であるドパミンの過剰が症状を誘発していると考えられています(ドパミン仮説)。
本剤は、脳内のドパミンを減らすことでその効果を発揮すると考えられています。
国内の臨床試験成績
(躁病)
中等度以上の改善率:75.1%(148/197)
感情安定性:93.5%(116/124)、行動量:93.3%(112/120)、話し方と音声:92.5%(111/120)、制禦度(医師の力で自分を支配すること):91.5%(119/130)などに高い改善がみられました。
(統合失調症)
幻覚・妄想状態の中等度以上の改善率:45.9%
疑惑:76.9%(159/208)、興奮:76.3%(148/194)、幻覚:71.8%(140/195)、敵意:71.0%(130/183)などに高い改善がみられました。
一方、ドパミンは自律神経(交感神経や副交感神経)やプロラクチンというホルモンの分泌に影響を与えます。
自律神経とは自分の意思とは無関係に体を正常に保つために働く神経、プロラクチンは乳汁分泌をコントロールするホルモンです。
このため、本剤の副作用として、錐体外路症状といった自意識とは無関係に体が動いてしまう症状や、抗コリン作用といった安静時に働く神経を抑えることで生じる症状(眠気、のどの渇き、視覚異常、排尿障害等)が現れる事があります。
また、プロラクチンに影響を与えることから、乳汁分泌や月経異常などが現れる事があります。 |
使用方法 |
1日300㎎(100㎎錠 3錠)~600㎎(200㎎錠 3錠)を分けて飲みます。最大量は1,800mg(200㎎錠 9錠)です。
細粒の場合は、600㎎~1,200㎎。最大量は3,600mgです。 |
副作用 |
【重大な副作用と主な自覚症状】
悪性症候群(0.1~5%):高熱、手足のふるえ、体のこわばり、話しづらい、飲み込みにくい、頻脈、呼吸数が増える、等
麻痺性イレウス(0.1~5%):便がでにくい、吐き気、お腹が張る、等
痙攣(0.1~5%):顔や手足の筋肉がびくつく、意識の低下、筋肉が硬くなり震える、等
遅発性ジスキネジア(0.1%未満):意思に反して体や口、舌などが動く、等
心電図異常(QT延長)、寝室頻拍(頻度不明):めまい、動悸、意識を失う、等
無顆粒球症、白血球減少(頻度不明):風邪症状、突然の高熱、等
肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明):胸の痛み、息切れ、足のむくみ・痛み・青あざができる、等
頻度5%以上の副作用
パーキンソン症候群(手足のふるえ、筋肉の硬直、歩行障害、よだれ、等)
※眠気、注意力・集中力・反射運動能力の低下などがおこることがあるため、自動車運転等の危険を伴う機械の操作を行わないでください。
※吐き気止めの作用があるため、中毒症状、腸閉塞、脳腫瘍など嘔吐症状を隠してしまう可能性があるので、注意してください。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■昏睡状態の方は、症状が悪化するおそれがあるため、服用できません。
■中枢神経抑制薬(バルビツール酸誘導体:睡眠薬、抗てんかん薬、麻酔など)の影響を受けている方は、作用が強く現れるため、服用できません。
■重症の心不全の方は、症状が悪化するおそれがあるため、服用できません。
■パーキンソン病の方、認知症の方は、副作用(錐体外路症状:意識と関係なく体が動くなどの症状)が現れるおそれがあるので、服用できません。
■脳障害のある方(疑いのある方を含みます)は、、高熱が出る恐れがあるので、全身を氷で冷やす、解熱剤を使うなどの対応を行ってください。
■プロラクチン分泌性の下垂体腫瘍がある方は、症状が悪化するおそれがあるため、服用できません。
■心電図異常を起こす可能性のある薬剤(イミブラミン:抗うつ薬、ピモジド等:抗精神病薬)を使っている方は、心電図異常の副作用がここりやすくなるので、服用できません。
■スルトプリド塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、バルネチールはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼バルネチールの有効成分
スルトプリド塩酸塩
▼バルネチールの添加物
(錠剤)
ステアリン酸マグネシウム、カルナウバロウ、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、結晶セルロース
(細粒)
ステアリン酸マグネシウム、クエン酸トリエチル、タルク、ポリソルベート80、メタクリル酸コポリマーLD、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、白糖
使用に注意が必要な方 ・心臓・血管に病気のある方、低血圧の方(疑いの方を含みます):一過性の血圧低下がおこることがあるため。
・心電図異常(QT延長)のある方:心電図異常が悪化するおそれがあるため(脈拍の少ない方や低カリウム血症の方は心電図異常がおこりやすい)。
・痙攣性疾患(てんかん等)の方(以前患った方も含みます):痙攣がおこりくなることがあるため。
・自殺願望のある方:症状が悪化するおそれがあるため。
・うつ状態にある方:特に躁うつ病の方はうつ状態になりやすいため。
・甲状腺機能亢進症の方:錐体外路症状(意識と関係なく体が動くなどの症状)がおこりやすいため。
・身体的疲弊(脱水、栄養不良常態等)の方:悪性症候群がおこりやすいため。
・褐色細胞腫の疑いのある方:類似薬(スルピリド)で急激な血圧上昇があったとの報告があるため。
・動かない、長期間寝ている(入院等)、肥満、脱水状態の方:抗精神病薬で血栓症が報告されているため。
・腎機能障害のある方:薬の作用が長く続くおそれがあるため。
・肝機能障害のある方:副作用が強く現れるおそれがあるため。
妊婦、授乳婦:動物実験で胎児への悪影響、乳汁移行が確認されているため。
・小児:情報がないため。
・高齢者:副作用(鎮静効果の増強、錐体外路症状など)がおこりやすい可能性があるため。
上記にあてはまる方は、スルトプリド塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 スルトプリド塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 中枢神経抑制薬、アルコール:作用が強く現れることがあるため。
アドレナリン:重篤な血圧低下がおこることがあるため。
ドパミン作動薬:ドパミン作動薬の作用が弱まることがあるため。
上記を使用している方は、スルトプリド塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 スルトプリド塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 心電図異常(QT延長)を起こすことが知られている薬:心電図異常や不整脈を起こすおそれがあるため。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
スルトプリド塩酸塩に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
スルトプリド塩酸塩(バルネチール 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA医療用医薬品 情報検索】
バルネチール 医薬品ガイド 【PMDA 患者向け医薬品ガイド(よくある質問)】 |
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