成分名 |
アトモキセチン |
適応症状 |
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)など |
簡易説明 |
アトモキセチンは、AD・HD治療に対して処方される第一選択薬です。選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬に分類されます。薬への依存や乱用のリスクが低いこともその要因となっています。
脳の中の神経伝達機能を改善することにより、注意散漫や落ち着きがないといった症状を落ち着かせることができます。
内用液剤があり、カプセルが飲みにくい患者さんでも服用できるといったメリットがあります。
眼球刺激性がある為、分割してはいけません。カプセル剤は決して中を開けずに、コップ1杯の多めの水で服用してください。液剤では、希釈せず正確な量を原液のまま服用してください。万が一溶剤が目に入った場合は、ただちに流水で洗い流し、眼科医へ相談してください。体に付着した場合には、その部分をすぐに水で洗い流してください。 |
処方可能な診療科目 |
精神科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約1000円前後
薬代1錠あたりの目安:ストラテラカプセル5㎎ 156.7円/Cap、10㎎ 187.6円/Cap 25㎎ 236.1円/Cap、40㎎ 274.1円/Cap、内用液0.4% 120.6円/㎖
薬代後発薬1錠の目安:アトモキセチン5㎎ 66.5円/錠、10㎎ 76.8円/錠、25㎎ 96.5円/錠、40㎎ 104円/錠、内用液0.4% 55.1円/㎖
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要となります。また、健康保険の負担割合によっても異なります。
診断名によっては、高額療養費制度や自治体の助成制度の対象になる可能性があります。この場合患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。それぞれの申請先に相談してください。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2018/12/1 |
国内のジェネリック認可 |
あり |
関連製品(先発薬) |
ストラテラカプセル5・10・25・40㎎(日本イーライリリー) |
関連製品(ジェネリック) |
ストラテラ10・18・25・40・60㎎(イーライリリー) |
海外での使用実績 | 海外においても、ADHDに対する治療ガイドラインで治療の第一選択薬はアトモキセチンとされています。2009年9月時点で、世界84カ国で承認されています。 |
効果・作用 |
ADHDとは、注意欠如・多動症のことです。発症原因はいまだはっきりと解明されておらず、生まれつきの脳の発達の偏りが原因なのではないかと考えられています。神経伝達物質との関係が少しずつ明らかになってきているところです。
それぞれの年齢における発達の水準とは不相応に、注意を持続させることが困難、物事を順序立てて考え行動することが苦手、じっとしていられない、待つことができない、自分の感情をこらえることができず行動を抑制できないなどの特徴が、継続的に認められ、かつ日常生活に何らかの困難が生じている状態をさします。
学童期の子供の3~7%で診断され、その男女比は男の子の方が3~5倍多いとされています。成人期においても診断に該当する人は2.5%程度であり、男女比は1:1に近づきます。
ADHDの症状は、日常生活においての困難が多々生じることから、自己肯定感が傷つく場面も少なくありません。また、保護者が子育てにおいて悩みを抱え込んでしまっている場合もたくさんあります。うつ病や双極性障害、不安症などの他の精神疾患を併発していたり、自閉症や学習障、チック症などの発達障害をともなっていることもあります。
主な治療法として①薬物療法 ②社会的支援があります。現在ではADHDを根治する薬はありません。その為、環境調整などの社会的支援は欠かすことができません。
様々な環境調整によってもなお困難が続く場合には、薬物療法も有効です。複数の薬剤がありますが、効果の強さや持続時間などに差があります。実際の生活で起こっている困難の程度に応じて、薬が選択されます。あくまでも、日常生活を獲得していく為の後ろ盾とすることができるのが薬物療法です。
私たちの脳内には様々な種類の神経伝達物質があります。それぞれの神経伝達物質では、それぞれの物質にしか作用しない受容体があり、その間で情報の受け渡しが行われています。
アトモキセチンは、脳内のノルアドレナリン受容体を選択的に阻害することで、ノルアドレナリンやドパミンの再取り込みを阻止し、結果的にその濃度が上昇します。ADHDでは、この神経伝達物質の現象が関与していると言われており、これにより様々な症状の改善が期待できます。
アトモキセチンは服用開始後、効果を実感できるまでには時間がかかります。変化が分かりづらいからとすぐにやめてしまうことのないように注意しましょう。維持量に到達するまで、医師の指示通りの用法用量を守りましょう。継続していたところから急に服用を中止すると、症状の悪化をまねく危険性があります。必ず医師に相談してから服用方法を変更するようにしましょう。
服用中において、攻撃的な行為が増えた、希死念慮、幻覚や幻聴などの症状が現れた場合には、すぐに主治医に相談しましょう。
開発当初は小児に向けた薬でしたが、現在では大人のADHDに対してもアトモキセチンは処方されます。その服用期間のおおよその目安は1年ですが、個人差があります。その都度主治医と相談をし、納得のいく治療を継続できるようにしていきましょう。 |
使用方法 |
18歳以上:アトモキセチンとして1日40㎎より服用を始めます。その後1日80㎎まで増量したのち、1日80~120㎎の範囲で維持して服用します。1日80㎎までの増量には1週間以上、その後の増量には2週間以上の間隔をあけて行うこととされています。症状に応じて増減しますが、1日量は120㎎を超えてはいけません。
18歳未満:アトモキセチンとして1日0.5㎎/㎏より服用を開始します。その後1日0.8㎎/㎏に増量し、さらには1日1.2㎎/㎏まで増量していき、1日1.2~1.8㎎/㎏が維持量です。増量については、1週間以上の間隔をあけて行う必要があり、どの服用量においても1日2回に分けて内服します。症状に応じて服用量は増減しますが、1日1.8㎎/㎏または120㎎のどちらか少ない量を超えてはいけません。
【注意点】
CYP2D6阻害作用を持つ薬を服用中の患者さんや、遺伝的にCYP2D6の活性が欠損している患者さんでは、血中濃度の上昇から副作用があらわれやすい可能性があります。特に増量においては十分な観察と慎重な判断が必要です。
中等度~重度の肝機能障害がある患者さんでは、服用開始用量・維持量ともに通常の50~25%に減量する必要があります。 |
副作用 |
前提として、アトモキセチンにおける使用成績調査などの副作用発現頻度が明瞭となる調査は実施されていません。
重大な副作用
肝機能障害、黄疸、肝不全アナフィラキシー
その他の副作用
消化器症状:嘔気・嘔吐、下痢、食欲低下、腹痛など
精神神経系症状:頭痛、めまい、傾眠、睡眠障害、振戦、不安、間隔鈍麻など
過敏症:発疹、蕁麻疹など
循環器:動悸、頻脈、血圧上昇、失神、レイノー現象など
その他:多汗症、皮膚炎、排尿障害、勃起不全、月経困難症、体重減少、胸痛、疲労、ほてり・寒気など
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■アトモキセチンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ストラテラはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ストラテラの有効成分
アトモキセチン
▼代表薬の添加物
部分アルファー化デンプン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸Mg、ヒプロメロース、酸化チタン、ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、その他2成分
■他に使用できない方
①アトモキセチン過敏症の患者さん
②MAO阻害剤を服用中または服用中止後2週間以内の患者さん
③重篤な心血管障害がある患者さん
④褐色細胞腫またはその既往がある患者さん
⑤閉塞隅角緑内障の患者さん
使用に注意が必要な方 ①肝機能障害
②腎機能障害
③けいれん発作
④高血圧
⑤脳血管障害
⑥起立性低血圧のある患者さん、またはそれぞれの既往歴のある患者さん
⑦心疾患またはその既往歴・家族歴のある患者さん
上記にあてはまる方は、アトモキセチンを使用する事が出来ない可能性があります。 アトモキセチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ①サルブタモール硫酸塩:心拍数増加、血圧上昇のおそれがあります。
②β-受容体製剤:薬の作用が増強するおそれがあります。
③CYP2D6阻害剤:血中濃度上昇のおそれがあります。
④昇圧作用のある薬:血圧上昇作用が強まるおそれがあります。
⑤三環系抗うつ剤・選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害剤:薬の作用が増強するおそれがあります。
上記を使用している方は、アトモキセチンを使用する事が出来ない可能性があります。 アトモキセチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 セレギリン塩酸塩(エフピー)、ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)、サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ)
これらの薬は、両方の薬の作用が増強されることがある為、併用はできません。また、中止後2週間以上の間隔をあけなければいけません。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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