ゾテピン

成分名

ゾテピン

適応症状

統合失調症

簡易説明

ゾテピンは抗ドパミン作用と抗セロトニン作用により統合失調症の症状を改善する薬剤です。
ゾテピンを主成分とするロドピン(以下、本剤)は藤沢薬品工業株式会社(現、アステラス製薬株式会社)が発見し、1971年より動物実験等を開始しました。
その結果、既存の統合失調症薬(フェノチアジン系)と同等の効果と十分な安全性が確認できたため、1972年より臨床試験を開始しました。
その結果、1981年に製造承認を取得し、翌年2月より発売を開始しました。
本剤は第一世代の抗精神病薬に分類されています。

処方可能な診療科目

精神科/内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安(*):約250円(5.9円(後発品25㎎錠)×1日3回×24日)~約2,680円(63.7円(100㎎+50㎎)×1日3回×14日)
(*)14日処方で計算していますが、症状等に応じて処方日数が変わります。
薬代1錠あたりの目安(細粒は1gあたり):25㎎錠 12.90円/50㎎錠 22.30円/100㎎錠 41.40円/10%細粒 48.30円/50%細粒 208.90円
薬代後発品1錠あたりの目安(細粒は1gあたり)(**):25㎎錠 5.90円(10.00円)/50㎎錠 9.00円(17.00円)/100㎎錠 16.10円(33.50円)/10%細粒 19.20円(36.10円)/50%細粒 81.60円(126.30円)
(**)本剤の後発品は2価格帯に分かれています。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要となる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1982年2月22日

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

ロドピン錠(25㎎、50㎎、100㎎)、ロドピン細粒(10%、50%)【製薬メーカー:LTLファーマ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

ゾテピン錠「ヨシトミ」(25㎎、50㎎、100㎎)、ゾピテン細粒「ヨシトミ」(10%、50%)【製薬メーカー:長生堂製薬株式会社】、ゾピテン錠「タカタ」(25㎎、50㎎、100㎎)、ゾピテン細粒「タカタ」(10%、50%)【製薬メーカー:高田製薬株式会社】

海外での使用実績

チェコ、スロバキア、韓国等で発売されています(2016年12月現在)

効果・作用

統合失調症はこころや考え方がまとめられなくなる病気で「陽性症状」(健康時に現れなかった症状)と「陰性症状」(健康時にあったものが失われる症状)があらわれます。
また症状から、妄想や幻覚が主な症状の「妄想型」、感情や意欲の障害が主な症状の「解体型」、興奮と昏迷が主な症状の「緊張型」の3つに大きく分類されています。
統合失調症の原因は正確にはわかっていませんが、ドパミンやセロトニンといった脳の神経伝達物質バランスが崩れることでおこると考えられています。
本剤はこのドパミンとセロトニンの受容体に結合することで、ドパミンやセロトニンの作用を弱める働きを持っています。
抗ドパミン作用は陽性症状を弱める働きがあり、抗セロトニン作用は陰性症状を弱める働きがあると考えられています。
ドパミンやセロトニンはカテコールアミンとよばれる物質で、本剤にはこのカテコールアミンの働きを抑える作用があります。
カテコールアミンには自律神経(交感神経、副交感神経)の働きを制御する働きもありますので、本剤を投与する事で抗コリン作用と呼ばれる作用(副作用として、のどの渇き、眠気等)が現れる事があります。

国内の臨床試験成績(統合失調症666例を一般臨床試験27試験の概要)
著名改善:22.2%(92例)、中等度改善:41.7%(82例)、軽度改善:61.2%(81例)、悪化:7.7%(32例) ※改善率は累積%

統合失調症の治療の目的は、陽性症状の抑制や陰性症状の回避はもちろんですが、回復後に再発しないよう維持することも重要となってきます。
このため、薬物治療と合わせて行う心理的な治療も重要な役割を持っています。

新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して

本剤には併用に注意すべき薬などがありますので、予防接種や感染症治療を受ける場合には、医師や薬剤師に本剤を使用していることを必ず伝えてください。

使用方法

1日75㎎〜150㎎(*)を数回に分けて服用します。一日の最大量は450㎎までです。
(*)75㎎~150㎎の錠数、グラム数
錠剤の場合:25㎎3錠~50㎎3錠(数回に分けて飲むため、100㎎は最大量の場合に使用します)
細粒10%の場合:750㎎~1,500㎎(1g中にゾテピンを100㎎含みます)
細粒50%の場合:150㎎~300㎎(1g中にゾテピンを500㎎含みます)

副作用

主な副作用
副作用発現率(検査値異常を含む):28.36%(1,712例/6,037例)※発現件数は3,076件
眠気:5.53%(334例)、脱力・倦怠感:3.26%(197例)、不眠:3.01%(182例)、のどの渇き:2.93%(177例)、便秘2.83%(171例)、めまい:2.58%(156例)

重大な副作用
副作用(発現率)と主な自覚症状
・悪性症候群(0.1%未満):高熱、ふるえ、意識低下、飲み込みにくい、筋肉のこわばり等
・心電図異常(0.1~5%未満):めまい、気を失う等
・麻痺性イレウス(0.1%未満):吐き気・嘔吐、激しい腹痛、食欲不振、便秘等
・痙攣発作(0.1%~5%未満):けいれん、意識がなくなる、手足の筋肉のふるえ等
・無顆粒球症、白血球減少(各0.1%未満):風邪症状、等
・肺塞栓、深部静脈血栓症(各0.1%未満):突然に息切れ、胸の痛み、足のむくみ等
・遅発性ジスキネジア(頻度不明):口周囲が意識と無関係に動く等
・抗利尿ホルモン不適合分泌症候分(SIADH)(頻度不明):痙攣、意識障害、嘔吐等

その他の副作用
(発現率5%以上の副作用)
パーキンソン症候群(手のふるえ、筋肉のこわばり、歩行障害など)
眠気、脳波異常
血清尿酸低下

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■昏睡状態や循環虚脱状態(全身に血液を運ぶ機能が低下している状態)の方は、これらの状態を悪化させるおそれがあるので、使用できません。
■中枢神経抑制剤(バルビツール誘導体(睡眠薬、抗てんかん薬等)、麻酔薬等)の強い影響下にある方は、それらの薬の作用が強くあらわれるおそれがあるので、使用できません。
■アドレナリンを使用している方は、血圧低下をおこすおそれがあるので、使用できません。
■下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ロドピンはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。またフェノチアジン系化合物やその類似化合物を使用している方も同様となります。
▼ロドピンの有効成分
ゾテピン
▼ロドピンの添加物
(各規格共通の添加物)
・乳糖水和物、トウモロコシデンプン
(錠剤の添加物)
ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、白糖、アラビアゴム、タルク、酸化チタン、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、カルナウバロウ、(50㎎錠のみ含有):クロスカルメロースナトリウム
(細粒)
・デキストリン
▼フェノチアジン系化合物とその類似化合物
精神安定剤(抗うつ薬等)や抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)などの医薬品だけでなく殺虫剤、染料などにも広く用いられています。
何らかのアレルギーをお持ちの方は、医師や薬剤師に伝えてください。

使用に注意が必要な方
自動車運転等の危険を伴う機械の操作を行う方:眠気や集中力、反射運動能力の低下等がおこることがあります。
脳内の病気(脳炎、脳腫瘍等)のある方:高熱があらわれるおそれがあります。
血液障害のある方:症状を悪化させるおそれがあります。
動脈硬化症や心疾患等のある方:類似薬(フェノチアジン系化合物)で血圧の急激な変動があらわれると報告されています。
重症喘息、呼吸器感染症糖の方、:類似薬(フェノチアジン系化合物)で呼吸抑制があらわれると報告されています。
てんかん等の痙攣性疾患のある方、過去に患った方:痙攣発作がおこりやすくなることがあります。
高温環境にある方:体温があがりやすいため。
脱水・栄養不良等の方:悪性症候群がおこりやすいため。
長期寝ている方、動かない方、肥満の方、脱水の方等:血栓症が報告されています。
肝機能障害の方:肝機能障害を悪化させるおそれがあります。
妊婦、授乳婦:動物実験で胎児への悪影響、乳汁への本剤の移行が確認されています。
高齢者:副作用がおこりやすいため
嘔吐を抑制する働きがありますので、嘔吐症状を伴う病気や薬の副作用を隠してしまう可能性があります。

上記にあてはまる方は、ゾテピンを使用する事が出来ない可能性があります。
ゾテピンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体、麻酔薬等):中枢神経抑制作用を増強するおそれがあるため
降圧剤:降圧作用を増強するおそれがあるため
抗コリン作用を持つ薬剤(抗パーキンソン薬、抗うつ薬等):抗コリン作用(のどの渇き、眼のかすみ、排尿障害等)を増強するおそれがあるため
メトクロプラミド(吐き気止め):作用(抗ドパミン作用)が増強するおそれがあるため
ドパミン作動薬(抗パーキンソン薬等):相互に作用を減弱するおそれがあるため
アルコール:相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがあるため
有機リン殺虫剤:殺虫剤の毒性を強めるおそれがあるため(触らないように注意してください。)

上記を使用している方は、ゾテピンを使用する事が出来ない可能性があります。
ゾテピンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
アドレナリン:血圧低下作用が増強されるため

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
症状がよくなったら薬をやめてもいいですか。

飲む量を自己判断で変更すると症状が悪化することがあります。本剤は、医師や薬剤師の指示通り飲むことが非常に重要ですので、症状がよくなったら今後の治療方法について医師等と相談してください。

間違えて多く飲んでしまった場合はどうすればよいのですか。

次のような症状があらわれた場合はすぐに医師に連絡をしてください。
・眠くなる、昏睡、血圧低下、意思と無関係に眼球が動く・手足がふるえるなど
・統合失調症症状の悪化(情緒不安、興奮など)
・けいれん、のどの渇き、吐き気、腹痛など

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。