スルピリド

成分名

スルピリド(Sulpiride)

適応症状

胃潰瘍/十二指腸潰瘍/統合失調症/うつ病・うつ状態

簡易説明

スルピリドは、定型抗精神病薬の一つで、もともとは胃薬として開発されましたが、抗うつ剤、抗精神病薬として使われています。
近年では抗うつ剤として使用されることが多く、少量のスルピリドを投与することで、ドーパミン機能を高めることができ、意欲・食欲を改善させる作用があります。

処方可能な診療科目

内科/心療内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

【保険薬価】
アステラス製薬
錠剤100mg 1錠 15.60円
錠剤200mg 1錠 19.80円
※病院によって差が有り。薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1973年8月販売開始

国内のジェネリック認可

ジェネリック有り

関連製品(先発薬)

アビリット【製薬メーカー:大日本住友】/ドグマチール【製薬メーカー:アステラス】

関連製品(ジェネリック)

ドブレン【製薬メーカー:TEOFARMA SRL】/スルピリド【製薬メーカー:共和】/スルピリド【製薬メーカー:沢井】/スルピリド【製薬メーカー:武田テバ薬品】/スルピリド【製薬メーカー:東和】

効果・作用

スルピリドは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、統合失調症、うつ病・うつ状態の治療に使用される医薬品で、脳内の伝達物質である「ドパミン受容体(D2受容体)」に作用することにより精神状態を安定させる効果があります。
ドパミンは神経細胞から放出される物質で、他の神経細胞と結合することにより、神経の働きをコントロールする性質がありますが、スルピリドには、このドパミンを増減させる効果があります。
少量のスルピリドを投与することでドパミンを増加させる効果があり、逆に量を増やすことでドパミンを抑える働きをします。
この働きを利用することにより、興奮や妄想、幻覚、幻聴、混乱などといった統合失調症の治療はもちろんのこと、意欲や食欲を安定させ、落ち込んだ気分を高めることが期待できます。
胃薬としては、消化管にあるドパミン受容体をブロックすることにより、胃腸の働きを活発にし、胃粘膜の血流を促すことで胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの痛みを和らげます。

使用方法

【胃・十二指腸潰瘍の場合】
スルピリドとして、1日150mgを3回に分けて経口投与します。症状により適宜増減します。

【統合失調症の場合】
スルピリドとして、1日300~600mgを分けて経口投与します。年齢、症状により適宜増減します。※1日1200mgまで増量することができます。

【うつ病・うつ状態】
スルピリドとして、1日150~300mgを分けて経口投与します。年齢、症状により適宜増減します。※1日600mgまで増量することができます。

副作用

【主な副作用】
筋強剛/嚥下困難/AST上昇/ALT上昇/Al-P上昇/ジスキネジー/浮腫/月経異常/乳汁分泌/女性化乳房/錐体外路症状など

【重大な副作用】
悪性症候群/Syndrome malin/無動緘黙/強度筋強剛/頻脈/血圧変動/発汗/発熱/白血球増加/血清CK上昇/血清CPK上昇/ミオグロビン尿/腎機能低下/高熱が持続/意識障害/呼吸困難/循環虚脱/脱水症状/急性腎不全/痙攣/QT延長/心室頻拍/Torsades de Pointes/無顆粒球症/白血球減少/肝機能障害/黄疸/γ-GTP上昇/遅発性ジスキネジー/口周部不随意運動/不随意運動/肺塞栓症/深部静脈血栓症/静脈血栓症/血栓塞栓症/息切れ/胸痛/四肢疼痛

【その他の副作用】
パーキンソン症候群/振戦/流涎/舌のもつれ/焦燥感/不眠/眠気/眩暈/ふらつき/口渇/胸やけ/悪心/嘔吐/便秘/熱感/倦怠感/発疹/性欲減退/血圧下降/言語障害/頚筋捻転/眼球回転/注視痙攣/アカシジア/静座不能/射精不能/睡眠障害/不穏/頭痛/頭重/浮遊感/興奮/躁転/躁状態/しびれ/運動失調/食欲不振/腹部不快感/体重増加/脱力感/排尿困難/心電図変化/乳房腫脹/勃起不全/心電図異常/血圧上昇/胸内苦悶/物忘れ/ぼんやり/徘徊/多動/抑制欠如/無欲状態/下痢/腹痛/食欲亢進/皮膚そう痒感/視力障害/眼球冷感/眼球重感/眼のちらつき/頻尿/腰痛/肩こり/鼻閉

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

【禁忌】
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・プロラクチン分泌性下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)の患者(抗ドパミン作用によりプロラクチン分泌が促進し、病態を悪化させる恐れがある)
・褐色細胞腫の疑いのある患者(急激な昇圧発作を起こす恐れがある)

【慎重投与(次に当てはまる方は慎重に投与すること)】
・心、血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者(症状を悪化させるおそれがある)・QT延長のある患者(QT延長が悪化するおそれがある)
・QT延長を起こしやすい患者(QT延長が発現するおそれがある)
①著明な徐脈のある患者
②低カリウム血症のある患者 等
・腎障害のある患者(高い血中濃度が持続するおそれがある)
・パーキンソン病の患者(錐体外路症状が悪化するおそれがある)
・脱水、栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者(悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい)
・高齢者
・小児

【重要な基本的注意】
・本剤の投与により、内分泌機能異常(プロラクチン値上昇)、錐体外路症状等の副作用があらわれることがあるので、本剤の投与に際しては、有効性と安全性を十分考慮のうえ使用すること。
・ときに眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
・抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意すること。
・制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。

併用禁忌薬

【併用注意】
QT延長を起こすことが知られている薬剤 (イミプラミン 等)/ジギタリス剤 (ジゴキシン 等)/ベンザミド系薬剤 (メトクロプラミド 等)/中枢神経抑制剤 (バルビツール酸誘導体 等)/ドパミン作動薬 (レボドパ 等)/アルコール (飲酒)

よくある質問
スルピリドを服用すると食欲旺盛になると聞きましたが?

スルピリドには副作用として食欲を増進させることがあります。

副作用で高プロラクチン血症を発症してしまいました。薬をやめたら治りますか?

はい。服用をやめ、他の薬に変更することで胸の違和感やその他の症状は徐々に治まっていきます。
治まるまでに数ヶ月かかる場合もあります。

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