イミプラミン塩酸塩

成分名

イミプラミン塩酸塩

適応症状

精神科領域におけるうつ病・うつ状態
遺尿症(昼・夜)

簡易説明

三環系抗うつ剤に分類される薬です。
セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、ノルアドレナリンの量を増やすことによって交感神経系に作用し、不安や不眠・焦りなどの精神症状を鎮静化する働きがあります。
また抗コリン作用という副作用を利用し、尿が出にくくなることから、頻尿や夜尿症にも適応されています。
鎮痛作用もあり、他の鎮痛剤では効果が得られなかった方に使用されることもあります。

処方可能な診療科目

精神科/心療内科/内科など

健康保険の適応

健康保険適用

病院で処方してもらう時の費用目安

診療代の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:
 トフラニール錠10mg/9.8円(アルフレッサファーマ)
 トフラニール錠25mg/10.1円(アルフレッサファーマ)
 イミドール糖衣錠(10)/9.8円(田辺三菱製薬)
 イミドール糖衣錠(25)/10.1円(田辺三菱製薬)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1968年10月発売

国内のジェネリック認可

現在国内のジェネリック認可はありません。

関連製品(先発薬)

トフラニール錠10mg(アルフレッサファーマ)
トフラニール錠25mg(アルフレッサファーマ)
イミドール糖衣錠(10) (田辺三菱製薬)
イミドール糖衣錠(25) (田辺三菱製薬)

関連製品(ジェネリック)

トフラニール(Assos Pharmaceuticals)
アンチデップ(Torrent Pharma)

効果・作用

三環系抗うつ剤に分類され、ハイリスクハイリターンな薬です。しっかりとした効果はあるものの、その分副作用も出てしまいます。
本剤はノルアドレナリンを優位にし、抗うつ効果や意欲改善効果が期待できます。気持ちや気分を落ち着かせる作用も強く、不眠や不安、焦りなどを鎮めてくれます。鎮痛効果も強く、夜尿症にも十分な効果をもたらしてくれます。
本剤は脳内のセロトニンとノルアドレナリンという神経伝達物質を増加させることによって抗うつ効果があるとされています。2つの物質は神経間の橋渡しをしている物質で、役割を果たすと回収されます。この回収される過程を再取り込みといいます。本剤はこの再取り込みを阻害することによってセロトニンやノルアドレナリンの量を増やします。量を増やすことによって、これらの物質の受容体への刺激を増加させる働きがあります。結果的にはノルアドレナリンを増加させていることになります。ノルアドレナリンが増えると、気分を意欲的にしてくれる効果があります。また鎮痛効果もあり、ノルアドレナリンが増えると、交感神経を抑制する作用のために痛みを感じにくくなります。
気持ちを落ち着ける鎮静効果もしっかりあり、不安や不眠、焦りなどの症状を改善してくれます。
そして副作用である抗コリン作用は、尿を出しにくくする作用があります。このために、小児の夜尿症にも用いられています。
本剤の効果があらわれるのは、通常2週間程度といわれています。薬が常に体の中にあり、状態が落ち着いてくるのは服用開始から4~5日後くらいで、血中濃度が安定してくるこの状態を定常状態といいます。
他の抗うつ剤で効果が得られなかった方、頻尿や夜尿の症状がある方に向いている薬であるといえます。慢性的な痛みに関しては第一選択として使われることはほとんどなく、副作用の少ない痛み止めから使っていき、効果が得られない場合に使用されることがあります。

使用方法

10mgをうつ病・うつ状態治療として使用する場合は、通常成人1日30〜70mgを初期用量とし、1日200mgまで漸増し、分割経口投与します。
遺尿症治療で使用する場合は、通常学童は1日量30〜50mgを1〜2回経口投与します。
25mgをうつ病・うつ状態治療で使用する場合、通常成人1日25〜75mgを初期用量とし、1日量は変わらず、分割経口投与します。まれに300mgまで増量することもあります。
遺尿症治療の場合、通常幼児は1日量25mgを1回、学童は1日量25〜50mgを1〜2回経口投与します。
いずれの場合も、年齢や症状に応じて適宜増減していきます。

副作用

主な副作用
口渇・めまい・ふらつき・眠気・便秘・悪心・発汗・振戦・嘔吐・パーキンソン症状・アカシジアがみられます。

重大な副作用
食欲不振・悪性症候群・Syndrome malin・無動緘黙・強度筋強剛・嚥下困難・頻脈・血圧変動・発熱・白血球増加・血清CK上昇・血清CPK上昇・ミオグロビン尿・腎機能低下・高熱が持続・意識障害・呼吸困難・循環虚脱・脱水症状・急性腎障害・セロトニン症候群・不安・焦燥・せん妄・興奮・ミオクロヌス・反射亢進・下痢・てんかん発作・無顆粒球症・咽頭痛・インフルエンザ様症状・麻痺性イレウス・腸管麻痺・著しい便秘・腹部膨満・腹部弛緩・腸内容物うっ滞・間質性肺炎・好酸球性肺炎・咳嗽・肺音異常・捻髪音・心不全・QT延長・心室頻拍・Torsades de Pointes・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群・SIADH・低ナトリウム血症・低浸透圧血症・尿中ナトリウム排泄量増加・高張尿・けいれん・肝機能障害・黄疸・AST上昇・ALT上昇・γ-GTP上昇がみられることがあります。

その他の副作用
錐体外路障害・排尿困難・頭痛・血圧降下・不整脈・動悸・運動失調・言語障害・知覚異常・幻覚・精神錯乱・攻撃的反応・激越・躁状態・不眠・視調節障害・散瞳・鼻閉・発疹・そう痒感・味覚異常・体重増加・倦怠感・脱力感・異常高熱・熱感・耳鳴・起立性低血圧・心電図異常・血圧上昇・心ブロック・性欲減退・抗コリン作用・眼内圧亢進・尿閉・光線過敏症・過敏症・脱毛・顔浮腫・舌部浮腫・白血球減少・血小板減少・紫斑・点状出血・好酸球増多・口内炎・舌炎・乳房肥大・乳汁漏出・体重減少・口周部不随意運動・不随意運動・血管痙攣・血糖値上昇・血糖値低下がみられることがあります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■イミプラミン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、トフラニール錠10mg/25mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼トフラニール錠10mg/25mgの有効成分
「日本薬局方」イミプラミン塩酸塩10mg/25mg
▼トフラニール錠10mg/25mgの添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、精製セラック、ヒマシ油、白糖、タルク、アラビアゴム末、酸化チタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、マクロゴール6000、三二酸化鉄、カルナウバロウ/乳糖水和物、トウモロコシデンプン、グリセリン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、精製セラック、ヒマシ油、白糖、タルク、アラビアゴム末、酸化チタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、マクロゴール6000、三二酸化鉄、カルナウバロウ

■他に使用できない方
・閉塞隅角緑内障の方
・本剤の成分または三環系抗うつ剤に対して過敏症の既往歴のある方
・心筋梗塞の回復初期の方
・尿閉(前立腺疾患等)のある方
・MAO阻害剤を投与中、または投与中止後2週間以内の方
・QT延長症候群の方

使用に注意が必要な方
・開放隅角緑内障の方
・排尿困難または眼内圧亢進等のある方
・心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈等の心疾患のある方、または甲状腺機能亢進症の方
・てんかん等のけいれん性疾患のある方、その既往歴のある方
・躁うつ病の方
・脳の器質障害または統合失調の素因のある方
・衝動性が高い併存障害を有する方
・自殺念慮または自殺企図のある方、その既往のある方
・副腎髄質腫瘍のある方
・重篤な肝、腎障害のある方
・低血圧症の方
・低カリウム血症の方
・高度な慢性の便秘の方
・小児または高齢者

上記にあてはまる方は、イミプラミン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
イミプラミン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・抗コリン作用を有する薬剤(トリヘキシフェニジル、アトロピン等)
・アドレナリン作動薬(アドレナリン、ノルアドレナリン、フェニレフリン等)
・アトモキセチン
・中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
・全身麻酔(ハロタン等)
・抗不安剤(アルプラゾラム等)
・アルコール(サリドマイド)
・フェノチアジン系精神神経用剤(レボメプロマジン等)
・選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルボキサミン、パロキセチン等)
・セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(ミルナシプラン)
・リチウム製剤
・三環系抗うつ剤(アミトリプチリン、クロミプラミン等)
・トラマドール塩酸塩
・リネゾリド
・副交感神経刺激剤(ピロカルピン、セビメリン)
・肝酵素誘導作用を持つ薬剤(バルビツール酸誘導体、フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン等)
・フェニトイン
・抗不整脈剤(キニジン、プロパフェノン)
・メチルフェニデート
・シメチジン
・黄体、卵胞ホルモン製剤(シナカルセト、サキナビル)
・降圧剤(グアネチジン)
・テルビナフィン
・ホスアンプレナビル
・インスリン
・スルフォニル尿素系糖尿病用剤(グリベンクラミド、グリクラジド)
・ワルファリン
・スルファメトキサゾール・トリメトプリム
・QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤(スニチニブ、ダサチニブ、マプロチリン等)
・デスモプレシン
・ゾニサミド
・電気ショック療法

上記を使用している方は、イミプラミン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
イミプラミン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
受診すべき副作用はありますか?

不安感や焦燥感、パニック、興奮、不眠、イライラ、攻撃性、衝動性、アカシジア等の症状がみられた場合は、速やかに受診する必要があります。その他にも副作用が出やすい薬剤ではありますので、上記以外にも気になる症状があれば主治医に相談してください。

副作用が強く出ました。薬をやめてもいいですか?

向精神薬に関しては、自己判断での断薬はかえって副作用を増悪させたりすることがあるので大変危険です。体質が合わないなどの理由で薬をやめたい場合には、医師と相談して違う薬に変えたり、段階的に減薬していく必要があります。どちらにしても自己判断は決してせず、必ず医師に相談して医師の処方通りに服用していくようにしてください。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。