ピパンペロン塩酸塩

成分名

ピパンペロン塩酸塩

適応症状

統合失調症・双極性障害

簡易説明

統合失調症における陽性症状に対して、ドーパミン受容体にピンポイントに作用し、ドーパミンの過剰分泌を阻害する働きを持ちます。
他の部位にはほとんど作用しないため、余計な副作用が少ないのが特徴です。
現在はあまり使われませんが、第二世代の抗精神病薬では効果が得られない方、高齢者や体力の低下によって薬が効きすぎては困る方などに使用されます。
なお、使用されるケースは限定的であるといえる薬です。

処方可能な診療科目

精神科/心療内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:
 プロピタン錠50mg/12円(サンノーバ)
 プロピタン散10%/25.4円(サンノーバ)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1965年3月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリックはありません。

関連製品(先発薬)

プロピタン錠50mg(サンノーバ)
プロピタン散10%(サンノーバ)

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリックはありません。

効果・作用

本剤は古くから使われている、第一世代の抗精神病薬です。
新たに発売されている第二世代の抗精神病薬よりも危険な副作用などがありますが、効果もしっかり得られます。
本剤は、脳内のドーパミン受容体をブロックすることで、幻覚や妄想などの陽性症状を改善させる働きを持ちます。
ブチロフェノン系に分類される本剤は、ドーパミン受容体にピンポイントに作用します。
統合失調症の陽性症状はドーパミンの過剰分泌によって引き起こされると考えられていますので、受容体に直接作用してドーパミンが作用できないようにします。
効果も副作用も、第一世代の抗精神病薬の中では比較的穏やかだとされており、高齢者の方や体力が落ちている方も使いやすい薬になっています。
ドーパミンにのみ作用するため、他の部位に関する副作用は比較的起こりにくいです。
穏やかに作用するため、ドーパミン不足によって引き起こされる錐体外路症状や高プロラクチン血症のリスクも高くはありません。
現在では本剤が第一選択として使われることはほとんどなく、第二世代の抗精神病薬では十分な効果が得られないなどのやむを得ない場合に使用されています。
幻覚や妄想などの陽性症状が強く出ている方、高齢者や体力がないなどの理由で薬が効きすぎたら困る方などに向いている薬といえます。

使用方法

"最初1~2週間は1日50~150mg、以後漸増し、1日150~600mgを3回にわけて経口投与します。
なお、年齢、症状により適宜増減します。"

副作用

主な副作用
筋強剛・血圧低下・パーキンソン症候群・手指振戦・流涎・倦怠感・便秘・肝障害・アカシジア・静座不能・ジスキネジーがあります。

重大な副作用
悪性症候群・無動緘黙・強度筋強剛・嚥下困難・頻脈・血圧変動・発汗・発熱・白血球増加・血清CK上昇・血清CPK上昇・ミオグロビン尿・腎機能低下・高熱が持続・意識障害・呼吸困難・循環虚脱・脱水症状・急性腎障害・腸管麻痺・食欲不振・悪心・嘔吐・著しい便秘・腹部膨満・腹部弛緩・腸内容物うっ滞・麻痺性イレウス・突然死・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群・SIADH・低ナトリウム血症・低浸透圧血症・尿中ナトリウム排泄量増加・高張尿・痙攣・無顆粒球症・白血球減少・肺塞栓症・深部静脈血栓症・静脈血栓症・血栓塞栓症・息切れ・胸痛・四肢疼痛・浮腫などがみられます。

その他の副作用
痙攣性斜頸・顔面攣縮・頚部攣縮・後弓反張・眼球回転発作・眼調整障害・発疹・腹痛・体重増加・焦燥感・不眠・眠気・めまい・頭痛・頭重・口渇・鼻閉・心電図変化・QT間隔延長・T波変化・錐体外路症状・口周部不随運動・不随運動・角膜混濁・水晶体混濁・角膜色素沈着・過敏症・そう痒・月経異常・乳汁分泌・高プロラクチン血症・女性型乳房・興奮・光線過敏症などがみられる場合があります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ピパンペロン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、プロピタン錠50mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼プロピタン錠50mgの有効成分
ピパンペロン塩酸塩50mg
▼プロピタン錠50mgの添加物
黄色三二酸化鉄、酸化チタン、ステアリン酸カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、ヒプロメロース、ポビドン、マクロゴール6000

■他に使用できない方
・昏睡状態またはバルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある方
・重症の心不全の方
・パーキンソン病またはレビー小体型認知症の方
・本剤の成分またはブチロフェノン系化合物に対して過敏症の既往歴のある方
・アドレナリンを投与中の方

使用に注意が必要な方
・肝障害のある方
・心疾患、血管疾患、低血圧またはその疑いのある方
・てんかん等のけいれん性疾患またはその既往歴のある方
・高齢者
・小児
・薬物過敏症の既往歴のある方

上記にあてはまる方は、ピパンペロン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ピパンペロン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
・アルコール
・リチウム
・抗ドーパミン作用を有する薬剤(ベンザミド系薬剤:メトクロプラミド、スルピリド、チアプリド等、ドンペリドン等)
・タンドスピロンクエン酸塩
・ドーパミン作動剤(レボドパ製剤:ブロモクリプチン等)

上記を使用している方は、ピパンペロン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ピパンペロン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・アドレナリン(ボスミン)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
妊娠中の服用は問題ないですか?

結論から申しますと、推奨されていません。他のブチロフェノン系化合物による動物実験では、胎児吸収や流産などの胎児毒性が報告されています。妊娠後期での服用では、新生児に哺乳障害・傾眠・呼吸障害・振戦・筋緊張低下・易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告があります。また、他のブチロフェノン系化合物における動物実験では、乳汁中への移行があったとも報告されています。主治医に相談し、できれば違う薬に変えてもらうことをおすすめします。

過量投与してしまった時の症状と対処法を教えてください。

主な症状は、重度の錐体外路症状・低血圧・重度の鎮静です。まれにQT延長・心室不整脈・心停止がみられることがあります。
対処法は、一般的な薬物除去法(胃洗浄や活性炭投与等)を行います。特別な解毒剤などはありません。QT延長のリスクがあるため、心電図異常には注意が必要です。気道確保(必要時は人工呼吸)等の維持療法や対処療法を行います。低血圧や循環虚脱があらわれた場合は輸血・血漿製剤・アルブミン製剤・ドーパミン・ドブタミン等の昇圧剤の投与を行います。また、重度の錐体外路症状に対しては抗コリン作用のある抗パーキンソン剤を投与します。
以上のような適切な処置を要するため、過量投与の際は速やかに医療機関と連携し、指示に従って対応してください。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。