ノルトリプチリン塩酸塩

成分名

ノルトリプチリン塩酸塩

適応症状

うつ病/うつ状態/パニック障害/過食症/神経痛/片頭痛/夜尿症 など

簡易説明

憂うつな気分を和らげ、意欲を高めるお薬です。うつ病やうつ状態の治療に用いられます。
脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンやセロトニンの量を増やし、神経の働きを改善します。ノルアドレナリンの増加は意欲を高め、セロトニンの増加は不安感を和らげて気分を楽にすると言われています。
古くからある薬で効果が高い一方、副作用が出やすいのが欠点です。

処方可能な診療科目

精神科/心療内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約,1000円~,2000円
薬代1錠あたりの目安:10mg約5.7円/25mg約10.1円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1971年11月(ノリトレン錠10mg/25mg)

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ノリトレン錠10mg/20mg【製薬メーカー:住友ファーマ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

ノルトリプチリン塩酸塩は、アメリカ合衆国、カナダ、ドイツなど、多くの国で承認され、使用されています。

効果・作用

うつ病は、脳内のノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質の働きが不調になることにより、落ち込んだり、悲観的になったり、意欲の低下、不安、不眠などの症状があらわれる病気です。

脳内の神経細胞は、シナプスという部位を介して神経回路を形成しています。シナプス前終末から神経伝達物質が遊離(放出)され、神経後シナプスの受容体へ作用(結合)することで情報が伝達されるのです。遊離された神経伝達物質の一部は「再取り込み」といって神経前終末へ回収されますが、この再取り込みを阻害すると伝達に使われる神経伝達物質を増やすことができ、その神経伝達物質の働きを増強することができます。

本剤は脳内におけるノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害し、これら神経伝達物質の働きを改善することで抗うつ作用を発揮します。うつ病のほか、パニック障害、過食症など、いろいろな心の不具合に効果があります。また、神経痛や片頭痛、夜尿症の治療に使われることもあります。

古くからある薬で、第一世代の三環系抗うつ薬に分類されます。作用が強く、高い効果が期待できる一方、副作用がでやすのが欠点です。また、効いてくるまで少し時間がかかります。

使用方法

はじめ1回量としてノルトリプチリン10~25mg相当量を1日3回、又は2回に分けて経口投与して下さい。その後、症状および副作用を観察しつつ、必要ある場合は漸次増量して下さい。通常最大量は1日量としてノルトリプチリン150mg相当量以内であり、これを2 ~ 3回に分けて経口投与して下さい。

副作用

重大な副作用
・てんかん発作
 てんかん等の痙れん性疾患又はこれらの既往歴のある患者は、痙れんを起こすことがあります。
・無顆粒球症
 異常(前駆症状として、発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合もある)が認められた場合には、投与を中止して下さい。
・麻痺性イレウス
 腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満又は弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止して下さい。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので、注意して下さい。
・悪性症候群
 無動緘黙/強度の筋強剛/嚥下困難/頻脈/血圧の変動/発汗等が発現し、それにひきつづき発熱が認められる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行って下さい。
・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
 低ナトリウム血症/低浸透圧血症/尿中ナトリウム排泄量の増加/高張尿/痙れん/意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が認められる場合は投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行って下さい。
・心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)
 定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行って下さい。

その他の副作用
血圧降下/血圧上昇/頻脈/動悸/心電図異常(QT延長等)/眠気/不眠/振戦等のパーキンソン症状/焦燥/不安/耳鳴/知覚異常/幻覚/せん妄/精神錯乱/運動失調/口渇/便秘/排尿困難/視調節障害/鼻閉/眼圧上昇/発疹/そう痒感/白血球減少/黄疸/AST・ALTの上昇等の肝障害/食欲不振/悪心/嘔吐/味覚異常/下痢/口周部等の不随意運動/眩暈/頭痛/倦怠感/ふらつき/発汗

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・閉塞隅角緑内障の方
 抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがあります。
・本剤の成分及び三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者
・心筋梗塞の回復初期の方
 循環器系への影響を強く受けるおそれがあります。
・尿閉(前立腺疾患等)のある方
 本剤の抗コリン作用により、尿閉が助長されるおそれがあります。
・ノルトリプチリン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
 下記、添加物にアレルギーをお持ちの方は、アレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ノリトレン錠10mgの有効成分
ノルトリプチリン塩酸塩
▼添加物
乳糖水和物/結晶セルロース/ヒドロキシプロピルセルロース/低置換度ヒドロキシプロピルセルロース/タルク/ステアリン酸マグネシウム/プルラン/ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール/精製白糖/酸化チタン/カルナウバロウ/黄色五号

使用に注意が必要な方
・排尿困難のある方
 排尿困難が悪化するおそれがあります。
・眼圧上昇のある方
 眼圧上昇が悪化するおそれがあります。
・開放隅角緑内障の方
 抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがあります。
・心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者(心筋梗塞の回復初期の患者を除く)
 循環器系に影響を及ぼすことがあります。
・てんかん等の痙れん性疾患又はこれらの既往歴のある方
 痙れんを起こすことがあります。
・躁うつ病の方
 躁転、自殺企図があらわれることがあります。
・脳の器質障害又は統合失調症の素因のある方
 精神症状を増悪させることがあります。
・衝動性が高い併存障害を有する方
 精神症状を増悪させることがあります。
・自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある方
 自殺念慮、自殺企図があらわれることがあります。
・妊婦
 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与して下さい。三環系抗うつ剤(イミプラミン)では、動物実験(ウサギ)で催奇形性(外形異常)が報告されています。
・授乳婦
 授乳中の女性に投与する場合には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討して下さい。授乳中の女性に125mg経口投与した症例で母乳中への移行が認められています(外国人データ)。
・小児等
 小児等を対象とした臨床試験は実施していません。
・高齢者
 少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与して下さい。起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼圧上昇等があらわれやすいです。

上記にあてはまる方は、ノルトリプチリン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ノルトリプチリン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・抗コリン作用を有する薬剤(フェノチアジン系薬剤/ブチロフェノン系薬剤 等)
 併用により抗コリン作用が増強されるため、口渇、便秘、排尿困難、眼圧上昇等があらわれることがあります。
・バルプロ酸ナトリウム
 併用により本剤の血中濃度が上昇し、本剤の作用が増強することがあります。
・中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体 等)
 併用により中枢神経抑制作用が増強されるため、眠気、脱力感、倦怠感、ふらつきがあらわれることがあります。
・アルコール
 併用により中枢神経抑制作用が増強されるため、本剤の中枢神経抑制作用が増強することがあります。
・アドレナリン作動薬(アドレナリン/ノルアドレナリン 等)
 三環系抗うつ剤は交感神経終末へのノルアドレナリンの取り込みを抑制し、作用が増強されるため、過度の交感神経興奮、重篤な高血圧、異常高熱等があらわれることがあります。
・リファンピシン
 リファンピシンの肝CYP誘導作用により、本剤の代謝が促進するため、本剤の作用が減弱することがあります。
・スルファメトキサゾール・トリメトプリム
 本剤の作用が減弱することがあります(機序は不明)。
・キニジン
 キニジンの肝CYP2D6阻害作用により、本剤の代謝が抑制されるため、本剤の血中濃度が上昇することがあります。
・クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)
 本剤がワルファリンの肝代謝を抑制するとの報告があるため、クマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長することがあります。・・血糖降下剤(インスリン/経口血糖降下剤)
 機序は不明であるが、本剤がインスリン感受性を増強するなどの報告があるため、これらの薬剤の血糖降下作用が増強することがあります。

上記を使用している方は、ノルトリプチリン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ノルトリプチリン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩(エフピー )/ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)/サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ)
 発汗、不穏、全身痙れん、異常高熱、昏睡等があらわれることがあります。モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切り替えるときには、2 ~ 3日間の間隔をおくことが望ましいです。詳細は不明ですが、相加・相乗作用によってこのようなことが起きると考えられます。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ノルトリプチリン塩酸塩に関する
よくある質問
三環系抗うつ薬は、服用すると攻撃性が増すと聞いたことがあります。ノルトリプチリン塩酸塩は大丈夫でしょうか。実際の具体的な事例などはありますか。

わが国で承認されているSSRI及びSNRI以外の抗うつ薬としては,三環系抗うつ薬(アミトリプチリン塩酸塩,アモキサピン,イミプラミン塩酸塩,クロミプラミン塩酸塩(経口剤及び注射剤),ドスレピン塩酸塩,トリミプラミンマレイン酸塩,ノルトリプチリン塩酸塩,ロフェプラミン塩酸塩),四環系抗うつ薬(セチプチリンマレイン酸塩,マプロチリン塩酸塩,ミアンセリン塩酸塩),トラゾドン塩酸塩及びスルピリドの13成分がある。今般,これら13成分の抗うつ薬について,SSRI及びSNRIと同様の注意喚起の必要性を検討するため,傷害等の他害行為があったもの等を含めた攻撃性等に関する副作用報告を整理・調査した結果,スルピリドを除く12成分について,その必要があると判断されたことから,関係企業に対し,平成21年7月3日に使用上の注意の改訂指示を行ったので,その安全対策の内容等について紹介する。

三環系,四環系抗うつ薬等と攻撃性等について

【上記引用元:厚生労働省】

ノリトレン錠は、日本で開発された純国産の薬でしょうか。


ノルトリプチリン塩酸塩は1961年デンマークのルンドベック社で開発された三環系情動調整剤(三環系抗うつ剤)であり、三環系抗うつ剤であるアミトリプチリン塩酸塩の脱メチル化物のひとつである。臨床試験は1962年より行われ、最初に本品が販売されたのは英国で、1963年10月より販売されている。当社の輸入相手国デンマークにおいてH.Lundbeck社が、製造販売の登録を得たのは1963年12月であり、1964年1月より販売されている。以来、世界各国で販売されている。なお、医療事故を防止するため、2002年3月4日にノリトレン錠はノリトレン錠25mgに販売名を変更した。

ノリトレン錠10mg/錠25mg・インタビューフォーム - 開発の経緯

【上記引用元:住友ファーマ】】

参考元一覧

ノリトレン錠10mg/錠25mg・添付文書 【住友ファーマ】
ノリトレン錠10mg/錠25mg・インタビューフォーム 【住友ファーマ】

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