成分名 |
アミトリプチリン塩酸塩 |
適応症状 |
アミトリプチリン塩酸塩はもともと精神科の領域に対する鬱病並びに鬱状態に対して、また夜尿症に対して適応を持つ医薬品でした。
その後の研究結果から新たに末梢性神経障害性疼痛に対しても適応を持つようになりました。 |
簡易説明 |
アミトリプチリン塩酸塩は三環系抗うつ剤に分類されている医薬品になります。うつ病、うつ状態の治療に効果が期待できる薬です。この薬は飲み続けることによって脳内の神経伝達をスムーズにし、不安や気分の落ち込み、無気力などと言った症状をやわらげ、意欲を高めていきます。
また、最近では整形外科領域において末梢性神経障害性疼痛に対して効果が期待できる医薬品となり治療の幅が広がりました。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/泌尿器科/精神科/心療内科/神経内科/麻酔科/小児科/産婦人科/歯科口腔外科等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:10mg約10円/25mg約10円
薬代後発薬1錠の目安:10mg約10円/25mg約10円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
トリプタノール錠10
1982年9月1日製造販売承認
1963年1月1日薬価基準収載
1962年4月11日発売開始
トリプタノール錠25
1982年9月1日製造販売承認
1961年11月1日薬価基準収載
1961年6月11日発売開始 |
国内のジェネリック認可 |
国内のジェネリック認可あり |
関連製品(先発薬) |
トリプタノール錠10/25【製薬メーカー:日医工株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
アミトリプチリン塩酸塩錠10mg「サワイ」/25mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
Arrow【製薬メーカー:New ZealandのTeva社】
TRIPTA 25mg【製薬メーカー:atlantic Laboratories Corp.,LTD.】
Amitone【製薬メーカー:Intas Pharmaceuticals Ltd.】
トリプトメール(アミトリプチリン)10mg【シンガポール/台湾】 |
海外での使用実績 | アメリカ合衆国
会社名 Accord Healthcare, Inc.
販売名 Amitriptyline Hydrochloride Tablets , USP
イギリス
会社名 Accord-UK Ltd
販売名 Amitriptyline 10mg Tablets BP |
効果・作用 |
アミトリプチリン塩酸塩は精神科領域におけるうつ病・うつ状態、夜尿症、末梢性神経障害性疼痛に対して効果のある医薬品になります。
【作用機序】
脳内においてアミントランスポーターを阻害する事によって、神経細胞から放出されたノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込みを抑制する結果、シナプス領域にこれらモノアミン量が増量することにより抗うつ作用を示すと考えられています。さらに、これらの活性アミンのシナプス間隙での増加によっておこるアドレナリンβ受容体の機能低下やセロトニン受容体機能の変化が抗うつ薬の作用機序として有力視されております。
また末梢性神経障害性疼痛に対しての作用も同様に脳内のセロトニンやノルアドレナリンなど、神経伝達物質の神経への再取り込みを阻害する事により、下行抑制系を活性化させることによって痛みを抑制するとされております。
夜尿症に関してはアミトリプチリン塩酸塩の抗利尿ホルモン分泌刺激作用により軽度から中等度の夜尿に効果を示します。
【夜尿症とは】
夜尿とは夜間寝ている間に排尿してしまい、尿を漏らしてしまう現象を言います。夜尿症の定義としては5歳を過ぎても月に数回以上の夜尿がみられる疾患とされております。夜尿症は年齢が上がるにつれ減少しますが、成人早期になっても治らない場合があります。 |
使用方法 |
【うつ病及びうつ状態に対する使用方法】
アミトリプチリン塩酸塩として、通常、成人においては1日30~75mgを初期用量として投与開始し、1日150mgまで徐々に増量していき、分割して経口投与する事とされております。患者の状態によっては、ほぼ稀になりますが1日300mgまで増量する事もあります。なお、患者の年齢や症状によって適宜減量する事とされております。
【夜尿症に対する使用方法】
アミトリプチリン塩酸塩として、1日10~30mgを1日1回就寝前に経口投与する事とされております。なお、患者の年齢や症状によって適宜減少する事とされております。
【末梢性神経障害性疼痛に対する使用方法】
アミトリプチリン塩酸塩として、通常、成人においては1日10mgを初期用量として投与開始し、その後、患者の年齢や症状によって適宜増減していきますが、上限として1日150mgを超えないこととされております。 |
副作用 |
重大な副作用
1)悪性症候群(頻度不明)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる事があります。
本症発症時には、白血球の増加や血清 CK の上昇がみられることが多く、またミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがあります。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されております。
2)セロトニン症候群(頻度不明)
不安、焦燥、せん妄、興奮、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクロヌス、反射亢進、下痢等が合わられることがあります。
3)心筋梗塞(頻度不明)
4)幻覚、せん妄、精神錯乱、痙攣(いずれも頻度不明)
5)顔・舌部の浮腫(0.1%未満)
6)無顆粒球症、骨髄抑制(いずれも頻度不明)
7)麻痺性イレウス(頻度不明)
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)が現れる事があります。
8)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等が現れる事があります。
その他の副作用
1)循環器
血圧低下、頻脈(0.1~5%未満)
血圧上昇、動悸、不整脈、心発作、心ブロック(頻度不明)
2)精神神経系
眠気(5%以上)
振戦等のパーキンソン症状、運動失調、四肢の知覚異常、焦燥(0.1~5%未満)
構音障害(0.1%未満)
不眠、不安、口周部等の不随意運動(長期投与時)(頻度不明)
3)過敏症
発疹(0.1~5%未満)
蕁麻疹(0.1%未満)
4)血液
白血球減少(頻度不明)
5)肝臓
黄疸(0.1%未満)
肝機能障害、AST上昇、ALT上昇(頻度不明)
6)消化器
口渇(5%以上)
悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、便秘(0.1~5%未満)
味覚異常(0.1%未満)
7)泌尿器
排尿困難(0.1~5%未満)
尿閉(頻度不明)
8)その他
ふらつき、頭痛、眩暈、倦怠感、発汗、視調節障害(0.1~5%未満)
眼内圧亢進(0.1%未満)
体重増加(頻度不明)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)閉塞隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させる事があり使用できません。
2)三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者
3)心筋梗塞の回復初期の患者
循環器系に影響を及ぼすことがあり、心筋梗塞が悪化する恐れがある為使用できません。
4)尿閉(前立腺疾患等)のある患者
抗コリン作用を有する為、症状が悪化する恐れがある為使用できません。
5)モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①排尿困難のある患者
抗コリン作用を有する為、症状が悪化する恐れがある為使用に注意が必要になります。
②開放隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある為使用に注意が必要になります。
③眼内圧亢進のある患者
抗コリン作用を有する為、症状が悪化する恐れがある為使用に注意が必要になります。
④心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者(心筋梗塞の回復初期の患者を除く)
循環器系に影響を及ぼすことがあり、これらの症状が悪化する恐れがある為使用に注意が必要になります。
⑤甲状腺機能亢進症の患者
循環器系に影響を及ぼすことがある為使用に注意が必要になります。
⑥てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
痙攣を起こすことがある為使用に注意が必要になります。
⑦脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者
精神症状を憎悪させることがある為使用に注意が必要になります。
⑧躁うつ病患者
躁転、自殺企図が現れる事がある為使用に注意が必要になります。
⑨衝動性が高い併存障害を有する患者
精神症状を憎悪させることがある為使用に注意が必要になります。
⑩自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者
自殺念慮、自殺企図が現れる事がある為使用に注意が必要になります。
2)妊婦
三環系抗うつ剤には動物実験において催奇形作用が報告されております。
3)授乳婦
ヒト母乳中へ移行する事が報告されております。
4)小児等
5)高齢者
起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすいとの報告がございます。
上記にあてはまる方は、アミトリプチリン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 アミトリプチリン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)アルコール
アルコールが肝での本剤の代謝を阻害し、血中濃度が上昇する為本剤の作用が増強されることがある為併用に注意が必要になります。
抗コリン作動薬(ブチルスコポラミン臭化物)
併用によって受容体部位での抗コリン作用が相加され、本剤の作用が増強されることがある為併用に注意が必要になります。
2)コリン作動薬(ピロカルピン塩酸塩)
本剤がこれらの薬剤の作用に拮抗する事により、これらの薬剤の作用を減弱する事がある為併用に注意が必要になります。
3)アドレナリン作動薬(アドレナリン・ノルアドレナリン)
三環系抗うつ剤は交感神経末梢へのノルアドレナリンの取り込みを抑制し、受容体のアドレナリ
ン作動性を上昇させ、作用を増強させることがある為併用に注意が必要になります。
4)中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体)
本剤の治療量において、本剤の肝での代謝が増加する為血中濃度が減少することがある。
また本剤の中毒量における有害作用を増強することがある為併用に注意が必要になります。
5)降圧剤(グアネチジン硫酸塩、硫酸ベタニジン)
本剤はアドレナリン作動性神経末でのグアネチジンの取り込みを阻害し、降圧作用を減弱させる為併用に注意が必要になります。
6)スルファメトキサゾール・トリメトプリム
機序不明ですが本剤の作用を減弱する恐れがある為併用に注意が必要になります。
7)カリウム製剤(徐放性、腸溶剤)
本剤の抗コリン作用により消化管運動が抑制される為、カリウム製剤の消化管粘膜刺激があらわれやすい事から併用に注意が必要になります。
8)クマリン系抗凝血剤(ワルファリンカリウム)
ワルファリンの肝での代謝が阻害され、抗凝血作用を増強する恐れがある為併用に注意が必要になります。
9)トラマドール塩酸塩
機序不明ですが、痙攣発作の危険性が増大するとの報告がある為併用に注意が必要になります。
10)血糖降下剤(インスリン、経口血糖降下剤)
機序は不明であるが、他の三環系抗うつ剤でインスリン感受性を増強する等の報告があり、これらの薬剤の血糖降下作用を増強する事がある為、併用に注意が必要になります。
11)バルプロ酸ナトリウム
本剤の血中濃度が上昇することがあり、作用が増強されることがある為、併用に注意が必要になります。
12)CYP3A4誘導作用を有する薬剤等(カルバマゼピン、フェニトイン、セイヨウオトギリソウ含有食品)
本剤の血中濃度を減少させると考えられており、本剤の作用が減弱する恐れがある為、併用に注意が必要になります。
13)CYP3A4阻害作用を有する薬剤(リトナビル、ホスアンプレナビル)
本剤の血中濃度を増加させると考えられており、本剤の作用が増強する恐れがある為、併用に注意が必要になります。
14)CYP2D6阻害作用を有する薬剤(選択的セロトニン再取り込み阻害剤『フルボキサミン・パロキセチン』、抗不整脈剤『キニジン、プロパフェノン、フレカイニド』、シメチジン、フェノチアジン系製剤
本剤の血中濃度を増加させると考えられており、本剤の作用が増強する恐れがある為、併用に注意が必要になります。
上記を使用している方は、アミトリプチリン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 アミトリプチリン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 1)モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩『エフピー』、ラサギリンメシル酸塩『アジレクト』、サフィナミドメシル酸塩『エクフィナ』)
詳細は不明であるが、相加・相乗作用により発汗、不穏、全身けいれん、異常高熱、昏睡等が現れる事があるとの報告がございます。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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