成分名 |
フルタゾラム |
適応症状 |
慢性胃炎や過敏性腸症候群、ならびに胃潰瘍や十二指腸潰瘍の内、発症及び経過に対し心理的、及ぶ社会的ストレスの影響で機能的(器質的)な障害を伴った疾患をもつ心身症における、身体に見られる症候、また緊張・抑うつ・不安に対して適応をもつ医薬品になります。 |
簡易説明 |
フルタゾラムはベンゾジアゼピン系消化管機能安定剤として発売されました。
その適応として過敏性腸症候群、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍などの消化器系心身症に対して優れた効果を持ち、精神症状と共に消化器症状を改善します。
比較的安全性が高く、依存性もそれほど強くはありません。
ベンゾジアゼピン系ではありますが投与制限のない医薬品であり使いやすい医薬品とも言えます。
作用の強さは中くらいで、作用時間は比較的短いのが特徴です。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/心療内科/精神科/小児科/産婦人科/消化器内科/泌尿器科等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~5,000円
薬代1錠/1gあたりの目安:4mg約7円/1%約12円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1987年5月19日製造販売承認(旧販売名)
2008年3月13日製造販売承認(販売名変更)
1987年10月1日薬価基準収載(旧販売名)
2008年6月20日薬価基準収載(販売名変更)
1988年1月20日(錠4mg)発売
1987年11月18日(細粒1%)発売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
コレミナール錠4mg/細粒1%【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
フルタゾラムは心身症(過敏性腸症候群、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつに効果のある医薬品になります。
【作用機序】
フルタゾラムはベンゾジアゼピン系化合物になります。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の作用機序には「GABA」と呼ばれる物質が関わっております。
GABAは中枢神経系を抑制する代表的な脳内神経伝達物質です。
ベンゾジアゼピン系薬物にはGABAの脳内作用を増強する働きがあります。
GABAが脳神経のGABA受容体に結合すると、脳神経の働きが抑制されます。
その詳しい作用機序についてですが、GABA受容体複合体に存在するBZD授与体にBZD受容体作動薬が結合すると、GABA受容体が活性化され、Cl-チャネルが開口して細胞内にCl-イオンが流入し、過分極になることで神経活動の抑制が起こるとされております。
フルタゾラムは自律神経系の高位中枢であり、また、情動の中枢である中脳網様体、視床下部及び大脳辺縁系(特に扁桃体、海馬)の経路、またはこれらの部位に抑制的に作用して、ストレスによる自律神経系のアンバランスを正常化し、また、抗不安・緊張・抑うつ作用を現すとされております。
【GABA受容体とは?】
GABA受容体には、5つのタイプがあり、それぞれ違う働きを行っております。
タイプ1は、気持ちを落ち着かせる働き(鎮静作用)、タイプ2は、不安を和らげ、緊張をほぐす働き(抗不安・筋弛緩作用)、タイプ3とタイプ5は、筋肉をほぐす働きを行っております。
タイプ4については、ベンゾジアゼピン系抗不安薬やその他の薬が結合しても、何の反応の変化も見られず、その役割はまだ明確にはわかっておりません。
これらのサブタイプへの親和性の違いによって、筋弛緩作用や抗不安作用等に差が出てくると言われております。
【心身症とは?】
ストレスなど心理的な要因で体に症状が現れる疾患の総称です。
ストレスへの反応の仕方はヒトによって異なる為、心身症の疾患は様々な形をとって現れます。
日本心身医学会では、「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する。」と定義されております。 |
使用方法 |
通常、成人においては医薬品成分名フルタゾラムとして1日12mg、代表薬であるコレミナール錠4mgであれば1日3錠を1日3回に分割して経口投与する事とされております。なお、年齢や患者の症状によって適宜増減する事ができます。 |
副作用 |
重大な副作用
1)依存症(頻度不明)
連用することにより、薬物依存を生じさせることがある為注意が必要になります。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止によって、けいれん発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状が現れる事があります。
2)刺激興奮・錯乱
ベンゾジアゼピン系薬剤を統合失調症等の精神障害者に投与した結果、刺激興奮、錯乱等の症状が発現したとの報告がございます。
その他の副作用
1)精神神経系
眠気、めまい・ふらつき・たちくらみ(0.1~5%未満)
眼症状(調節障害、複視、羞明)、頭痛、頭重感、焦躁感、振戦、夜間せん妄(0.1%未満)
2)肝臓
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇(0.1%未満)
3)循環器
血圧低下、動悸(0.1%未満)
4)消化器
口渇、胃腸障害(便秘、下痢)(0.1~5%未満)
食欲不振、嘔気・嘔吐、胃部不快感、膨満感、胃のもたれ、胸やけ、異和感、のどがつかえる(0.1%未満)
5)過敏症
発疹、皮膚掻痒感(0.1%未満)
6)骨格筋
易疲労感・倦怠感(0.1~5%未満)
筋弛緩、脱力感(0.1%未満)
7)その他
排尿困難、発汗、性欲減退(0.1%未満)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)急性閉塞隅角緑内障の患者
抗コリン作用によって眼圧が上昇してしまい、症状を悪化させることがあるとされております。
2)重症筋無力症のある患者
服薬により筋弛緩作用によって症状を悪化させる恐れがあるとされております。
使用に注意が必要な方 1)心障害のある患者
服薬する事で症状が悪化する恐れがあるとされております。
2)肝障害のある患者
本剤は肝臓で代謝・排泄されるため、服薬する事で薬物の排泄が遅延する可能性があり、副作用が強く現れる恐れがあるとされております。
3)腎障害のある患者
本剤は腎臓で排泄されるため、服薬する事で薬物の排泄が遅延する可能性があり、高い血中濃度が持続する恐れがあるとされております。
4)能に器質的障害のある患者
服薬する事で作用が強く現れる恐れがあるとされております。
5)小児
6)高齢者
高齢者ではベンゾジアゼピン系薬剤の投与により、運動や認知に関する能力が低下するとの報告がございます。
7)衰弱患者
衰弱患者は主に薬剤に対する感受性が高く、服薬する事で傾眠や運動失調が起こりやすいとされております。
8)中等度又は重篤な呼吸障害(呼吸不全)のある患者
服薬する事で症状が悪化する恐れがあるとされております。
またベンゾジアゼピン系薬剤の投与により、呼吸不全を起こし炭酸ガスナルコーシスを来したとする症例が報告されております。
9)妊婦、産婦、授乳婦等
上記にあてはまる方は、フルタゾラムを使用する事が出来ない可能性があります。 フルタゾラムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用により、相互に作用が増強する事があるとされております。
2)モノアミン酸化酵素阻害剤
機序は不明ですが相互に作用が増強する事があるとされております。
3)アルコール(飲酒)
アルコールは中枢神経抑制作用を有します。その結果相互に作用が増強されることがあるとされております。
4)四環系抗うつ剤(マプロチリン塩酸塩等)
本剤の抗痙攣作用が、四環系抗うつ剤によるけいれん発作の発現を抑えている可能性がある為、併用中の本剤を急速に減量又は中止する事でけいれん発作が起こる恐れがあるとされております。
上記を使用している方は、フルタゾラムを使用する事が出来ない可能性があります。 フルタゾラムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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