クロルジアゼポキシド

成分名

クロルジアゼポキシド

適応症状

不安、緊張、うつ

簡易説明

クロルジアゼポキシドを主成分とする薬剤はコントール、バランスの2製剤が1成分2製剤として販売されています。ジェネリック医薬品も鶴原製薬から販売されていますが、薬価は同じです。
クロルジアゼポキシド製剤(以下、本剤)はベンゾジアゼピン系抗不安薬です。マイナートランキライザーとも呼ばれています。
本剤は1963年3月、半世紀以上前に日本国内で発売された非常に歴史のある薬剤です。

処方可能な診療科目

精神科/心療内科/内科など

健康保険の適応

神経症における不安・緊張・抑うつ
うつ病における不安・緊張
心身症(胃・十二指腸潰瘍、高血圧症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約200円(7.30円×2g×14日(*)=204.4円)~約1,650円(9.80円×12錠×14日(*)=1646.4円)
(*)本剤は14日分投与が限度とされています。
薬代1錠あたりの目安:5mg 9.80円 10mg 9.80円 散1% 7.30円 散10% 36.20円
薬代後発品1錠あたりの目安:先発・後発同薬価
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始日:1961年11月

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

コントール【製薬メーカー:武田テバ薬品株式会社】、バランス【製薬メーカー:丸石製薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

クロルジアゼポキシド「ツルハラ」【製薬メーカー:鶴原製薬株式会社】

効果・作用

本剤は脳が興奮している状態を鎮める働きを持っています。脳内ではGABA(γ‐アミノ酪酸)と呼ばれる神経伝達物質が興奮を鎮める働きを持っています。GABAはベンゾジアゼピン受容体と結合することで、脳内の興奮を抑える働きをします。本剤はこのベンゾジアゼピン受容体と結合することで、GABAと同様の働きをし脳の興奮を抑える働きをします。このためベンゾジアゼピン受容体作動薬とも呼ばれています。
ベンゾジアゼピン受容体作動薬はこのほかに、眠くなる働きや筋肉を弛緩する働き、副交感神経を抑える働き(抗コリン作用)などがあります。
本剤を含むベンゾジアゼピン受容体作動薬は「短時間作用型」「中時間作用型」「長時間作用型」「超長時間作用型」に分類されていますが、本剤は「長時間作用型」に分類されています。

本剤を含むベンゾジアゼピン受容体作動薬はは長く投与することで、薬物依存が現れることがあります。耐性(薬が効きにくくなるといった症状)が現れることがあり、薬の量が増えることもありますが、必ず医師の指示通りに服用してください。
また、離脱症状と呼ばれる、減薬や投与中止をした時におこる不快な症状が現れることもあります。薬物依存・耐性などの問題があり必要最低限の処方にとどめる必要があり、また、症状を見ながら徐々に減らしていかなければならないため、薬をやめる時も必ず医師の指示通りに服用してください。
薬物依存の危険因子には長期投与や多剤併用があると考えられています。国内の大規模診療報酬データを用いて研究では、12.0%から15.2%の患者が1年以上にわたって継続処方がされていたことがわかっています。また、精神科や心療内科では20.7%~28.5%が抗不安薬を多剤併用していたことがわかりました(それ以外の診療科では11.9%~13.8%)。
これらの背景から抗不安薬は14日投与が限度とされています。また併用薬剤に関しても3剤以上投与することは制限されています。

本剤は国内で有効性・安全性を確認するための臨床試験は行われていません。

新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して

ワクチン接種を受ける方は、本剤を飲んでいることを伝えてください。

使用方法

1日20㎎~60㎎(*)を2回~3回に分けて、水またはぬるま湯で飲んでください。
(*)5㎎錠:1日4錠~12錠。10㎎錠:1日2錠~6錠。1%散:1日2g~6g。10%散:1日0.2g~0.6g。

2回分を1度に飲んではいけません。医師・薬剤師に指示された通りに飲んでください。
飲み忘れた時は気が付いたときに1回分を飲んでください。次の飲む時間が近い場合は1回飛ばしてください。

副作用

主な副作用
眠気、めまい。血圧低下、吐き気、発疹、倦怠感等。

重大な副作用
薬物依存、刺激興奮・錯乱(*)、呼吸困難。
(*)刺激興奮・錯乱の主な自覚症状
刺激興奮:口数が多くなる、大声で叫ぶ、周囲に暴力をふるう、器物を破壊する、些細な事で怒る
錯乱:注意力が散漫になる、問いかけに間違った答えをする、行動にまとまりがない

※本剤は副作用頻度が明確になる調査をしていません。

薬物依存を避けるため治療上必要な投与期間までしか処方されません。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
急性閉塞隅角緑内障の方(抗コリン作用により症状を悪化させるおそれがあります。)
重症筋無力症の方(抗コリン作用および筋弛緩作用により症状を悪化させるおそれがあります。)

眠気や集中力・反射神経等の低下がおこるおそれがありますので、自動車運転等の危険を伴う機械の操作は行わないでください。
アルコール飲料はこの薬の効果や副作用に影響を与える可能性がありますので、控えてください。
別の病気などで診察を受ける時や、薬局等で薬を買うときなどには、本剤を飲んでいることを医師・薬剤師等に伝えてください。

使用に注意が必要な方
心臓に病気のある方、肺などの呼吸器に病気がある方(症状を悪化させるおそれがあります。)
肝臓や腎臓に病気のある方、脳に病気のある方・衰弱している方、乳児・幼児(薬が効きすぎるおそれがあります。)
高齢者(運動機能障害の副作用がおこりやすいため。)
妊産婦・授乳婦(胎児や乳児に本剤が移行しするとの報告あります、また胎児の奇形・仮死や離脱症状等が報告されていますので、治療の有益性が危険性を上回るばあいのみ投与します。)

上記にあてはまる方は、クロルジアゼポキシドを使用する事が出来ない可能性があります。
クロルジアゼポキシドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
フェノチアジン誘導体(抗精神病薬)、バルビツール酸誘導体(睡眠薬)等の中枢神経抑止剤:両剤が効きすぎるおそれがあります。
アルコール:両剤が効きすぎるおそれがあります。
マプロチリン塩酸塩(抗うつ薬):両剤が効きすぎるおそれ及び本剤中止によりマブロチリン塩酸塩の副作用(痙攣)が現れやすくなるおそれがあります。
ダントロレンナトリウム水和物(筋弛緩剤):両剤が効きすぎるおそれがあります。

上記を使用している方は、クロルジアゼポキシドを使用する事が出来ない可能性があります。
クロルジアゼポキシドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
薬物依存とはどのような症状ですか。

薬物依存になると、薬が飲みたいと強く思い、その想いをコントロールできなくなります。また薬を中断したり減らしたりすると、手の震え、不安、幻覚、不眠などの離脱症状と呼ばれる症状が現れることがあります。これらの症状がみられる場合は医師に相談してください。

薬が効きすぎるとどのような症状が現れますか。

過量投与などで薬が効きすぎると、運動失調(手足の動きがぎこちない)と呼ばれる症状や、昏睡などが現れることがあります。薬を飲むのをやめて、ただちに受診してください。通常は2~3日以内に最も強い離脱症状が現れるとされていますが、本剤は長時間作用型なので、5~6日して現れることもあります。

この薬が残ってしまったらどうしたらいいですか。

余った薬の処分方法は医師や薬剤師に相談してください。処分までは子供の手の届かないところに保管してください。また、本剤は絶対に他の人に渡してはいけません。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。