成分名 |
ブレクスピプラゾール |
適応症状 |
統合失調症 |
簡易説明 |
ブレクスピプラゾールは統合失調症に効果のあるセロトニン-ドパミン アクティビティ モジュレーターと呼ばれる新しい作用機序を持つ医薬品として大塚製薬株式会社より発売されました。
統合失調症の薬物治療の歴史を紐解いてみると第一世代抗精神病薬と呼ばれる定型抗精神病薬、第二世代抗精神病薬と呼ばれる非定型抗精神病薬、そしてドパミン システム スタビライザーと呼ばれるアリピプラゾールへと進化してきました。統合失調症の治療目標は症状の改善と再発防止、合わせて社会機能やQOLに視点を置いた治療が必要とされております。 |
処方可能な診療科目 |
内科/小児科/産婦人科/脳神経外科内科/精神科/心療内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:0.5mg約130円/1mg約250円/2mg約480円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
レキサルティ錠1mg/2mg
2018年1月19日製造販売承認
2018年4月18日薬価基準収載
2018年4月18日発売
レキサルティOD錠0.5mg/1mg/2mg
2021年8月17日製造販売承認
2021年11月25日薬価基準収載
2021年11月30発売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
レキサルティ錠1mg/2mg/OD錠0.5mg/OD錠1mg/OD錠2mg【製薬メーカー:大塚製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
その作用機序は、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用及びドパミンD2受容体部分アゴニスト作用を併せ持つ薬剤になります。
脳内におけるドパミンの作用は大きく分けて4つの仕事をしています。①中脳-皮質系(ドパミン不足により陰性症状の出現)、これは感情鈍麻や意欲減退につながります。②黒質-線条体(ドパミン不足により錐体外路症状の出現)、これはパーキンソン症状やジストニアにつながります。③視床下部-下垂体系(ドパミン不足により高プロラクチン血症)、これは生理不順や性機能低下につながります。④中脳-辺縁系(ドパミン過剰により陽性症状)これは幻聴や妄想につながります。
中脳辺縁系におけるドパミンを抑える事で陽性症状の改善が期待できます。(ドパミンD2受容体遮断作用)しかしドパミン全体をブロックしてしまうと、他の部分では必要なドパミンの働きが抑えらえ副作用が生じます。
セロトニンはドパミンを抑制する働きがあります。このセロトニンをブロックすると、中脳辺縁系以外でのドパミンの働きを高める作用が期待できます。したがってドパミンD2受容体とセロトニン5-HT2A受容体を同時にブロックする事で陽性症状と陰性症状の療法に効果が期待でき、副作用も軽減されます。
ブレクスピプラゾールはドパミンD2受容体とセロトニン5-HT1A受容体には部分的に作用します。ドパミンが過剰な場合は、働きが抑えられ、ドパミンが欠乏している場合は働きを強めます。
またセロトニン5-HT2A受容体に対しては受容体を遮断する事で中脳辺縁系以外でのドパミンの働きを間接的に強めます。
これらの作用によって脳内におけるドパミンの量を調整しています。 |
使用方法 |
通常、成人に投与する場合にはブレクスピプラゾールを、1日1回1mgから投与を開始し、その後患者の状態を確認しながら4日以上の間隔をあけて増量しながら、有効用量である1日1回2mgまで増量し維持量とします。 |
副作用 |
重大な副作用
1)悪性症候群(頻度不明)
抗精神病薬共通の注意事項になります。国内外の臨床試験では副作用としての報告はありません。
悪性症候群の症状は抗精神病薬による治療中に、発熱(38度以上)、意識障害、錐体外路症状(筋強剛、振戦)、自律神経症状(発汗、頻脈、血圧異常、尿閉)等を呈する症候群です。
2)遅発性ジスキネジア(頻度不明)
抗精神病薬に共通の注意事項になります。国内外の臨床試験では副作用としての報告はありません。
遅発性ジスキネジアの症状は抗精神病薬の長期投与を受けている患者にあらわれる持続的な不随意運動の総称で、顔面、顎、舌、四肢、口部、躯幹等に出現します。
3)麻痺性イレウス(頻度不明)
抗精神病薬に共通の注意事項になります。国内外の臨床試験では副作用としての報告はありません。
麻痺性イレウスの症状は腸管の蠕動運動が抑制されることにより、腸管内容物に通過障害が起こり、食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状がみられます。
4)横紋筋融解症(頻度不明)
抗精神病薬に共通の注意事項になります。国内外の臨床試験では副作用としての報告はありません。
横紋筋融解症の症状は、四肢の脱力、腫脹、痛み、赤褐色(ミオグロビン尿)などがあります。
5)高血糖(0.1%)、糖尿病性ケトアシドーシス(頻度不明)、糖尿病性昏睡(頻度不明)
非定型抗精神病薬に共通の注意事項になります。
高血糖や糖尿病の悪化があらわれた場合、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあります。
6)痙攣(0.1%)
抗精神病薬に共通の注意事項になります。
発症機序は不明ですが、痙攣閾値を下げる事が原因の可能性が高いとされております。
7)無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.1%)
抗精神病薬に共通の注意事項になります。
8)肺塞栓症(0.1%)、深部静脈血栓症(0.1%)
抗精神病薬に共通の注意事項になります。
その他の副作用
発生頻度は以下の通りです。
1)精神神経系
不眠、頭痛、傾眠、激越、浮動性眩暈、鎮静(1~5%未満)
落ち着きのなさ、不安、体位性めまい、異常な夢、悪夢、睡眠障害、自殺念慮、耳鳴、精神病性障害、歯ぎしり、神経過敏、チック、無為、回転性めまい、平衡障害、錯感覚、幻聴、勃起不全、パニック障害、敵意、抜毛癖、頭部動揺、衝動行為、頭部不快感(1%未満)
2)錐体外路症状
アカシジア(5%以上)
振戦、錐体外路障害(1~5%未満)
ジスキネジア、筋痙縮、パーキンソン症候群、筋固縮、流涎、ジストニア、筋骨格硬直、運動緩慢、精神運動亢進(1%未満)
3)循環器
高血圧、心電図QT延長、起立性低血圧、徐脈、不整脈、心室性期外収縮、第一度房室ブロック、動悸、心電図QRS群延長、右脚ブロック、頻脈、低血圧(1%未満)
4)消化器
悪心、便秘(1~5%未満)
口内乾燥、食欲不振、消化不良、腹痛、腹部不快感、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、食欲亢進、胃炎、嘔吐、排便回数増加、下痢、歯肉腫脹、口唇乾燥、裂肛(1%未満)
嚥下障害(頻度不明)
5)血液
白血球増多、貧血、血小板減少、ヘモグロビン低下、APTT延長、好中球減少、好中球増多(1%未満)
6)内分泌
高プロラクチン血症(1~5%未満)
月経異常、高インスリン血症、血中甲状腺刺激ホルモン減少、血中コルチコトロピン増加、高コルチコイド症、甲状腺機能低下症、遊離サイロキシン減少、血中プロラクチン減少、血中甲状腺刺激ホルモン増加、血中コルチコトロピン減少、遊離サイロキシン増加(1%未満)
7)泌尿器
尿中血陽性、尿閉、頻尿(1%未満)
8)肝臓
肝障害、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、血中ビリルビン増加、γ-GTP上昇、脂肪肝、肝酵素上昇、LDH上昇(1%未満)
9)過敏症
発疹、掻痒症、紅斑(1%未満)
10)皮膚
皮膚炎、ざ瘡、逆むけ、皮膚乾燥(1%未満)
11)代謝異常
CK(CPK)上昇(1~5%未満)
糖尿病、脂質異常症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、高尿酸血症、高カリウム血症(1%未満)
12)呼吸器
気管支炎、口腔咽頭痛、咳嗽、息詰まり感、鼻出血、副鼻腔うっ血(1%未満)
13)眼
霧視、眼乾燥、瞬目過多、結膜炎、流涙増加、眼瞼痙攣、眼球回転発作、眼瞼下垂、羞明(1%未満)
14)その他
体重増加(1~5%未満)
疲労、倦怠感、口渇、筋肉痛、背部痛、頚部痛、体重減少、無力症、歩行障害、ほてり、疼痛、重感、顎痛、筋緊張、筋攣縮、四肢痛、灼熱感、性器出血、非心臓性胸痛、関節硬直、カンジダ症、真菌感染(1%未満)
体温調節障害(頻度不明)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)昏睡状態の患者
昏睡状態を悪化させる恐れがある為服用できません。
2)バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
中枢神経抑制作用が増強される恐れがある為服用できません。
3)アドレナリンを投与中の患者
4)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■ブレクスピプラゾールを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、レキサルティ錠1mg/2mg/OD錠0.5mg/OD錠1mg/OD錠2mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼レキサルティ錠1mg/2mg/OD錠0.5mg/OD錠1mg/OD錠2mgの有効成分
ブレクスピプラゾール
▼代表薬の添加物
・デンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、D-マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化デンプン、スクラロース、三二酸化鉄、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、青色2号アルミニウムレーキ
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①心・血管疾患、脳血管障害、低血圧又はこれらの既往歴のある患者
血圧降下が現れる事がある為使用に注意が必要です。
②てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下されることがある為使用には注意が必要です。
③糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
血糖値が上昇する事がある為使用には注意が必要です。
④自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者
症状を悪化させる恐れがある為使用には注意が必要です。
⑤不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている為使用には注意が必要です。
2)腎機能障害患者
①重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者
本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇する恐れがある為使用には注意が必要です。
3)肝機能障害患者
①中等度から重度の肝機能障害(Child-Pugh分類B又はC)のある患者
本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇する恐れがある為使用には注意が必要です。
4)妊婦
妊娠後期に抗精神病薬が投与された場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある為使用には注意が必要です。
5)授乳婦
授乳中への移行が報告されている為使用には注意が必要です。
6)小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していないため使用には注意が必要です。
7)高齢者
一般的に生理機能が低下している為使用には注意が必要です。
上記にあてはまる方は、ブレクスピプラゾールを使用する事が出来ない可能性があります。 ブレクスピプラゾールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)中枢神経抑制剤:バルビツール酸誘導体、麻酔剤等
ともに中枢神経抑制作用があり、作用が増強される可能性があります。
2)降圧剤
ともに降圧作用を有する為、作用が増強される可能性があります。
3)ドパミン作動薬:レボドパ製剤
本剤はドパミン受容体遮断作用を有する為、ドパミン作動作用を減弱する恐れがあります。
4)アルコール:飲酒
ともに中枢神経抑制作用を有する為、作用が増強される可能性があります。
5)強いCYP2D6阻害作用を有する薬剤:キニジン、パロキセチン等
本剤の主要代謝酵素であるCYP2D6を強く阻害する為本剤の作用が増強される恐れがあります。
6)強いCYP3A4阻害作用を有する薬剤:イトラコナゾール、クラリスロマイシン等
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を強く阻害する為本剤の作用が増強される恐れがあります。
7)肝代謝酵素(特にCYP3A4)誘導作用を有する薬剤:カルバマゼピン、リファンピシン等
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により本剤の作用が減弱する恐れがあります。
上記を使用している方は、ブレクスピプラゾールを使用する事が出来ない可能性があります。 ブレクスピプラゾールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 1)アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く):ボスミン
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される可能性がある為併用できません。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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