オキシペルチン

成分名

オキシペルチン

適応症状

統合失調症

簡易説明

オキシペルチンは、精神状態を安定させて気分を落ち着かせる鎮静作用や寝つきを良くする精神安定作用を有する物質で、主に統合失調症治療薬の主成分として用いられています。
統合失調症には様々な症状があり、それらは、妄想や幻覚を始めとする「陽性症状」、感情鈍麻や自閉を始めとする「陰性症状」などいくつかのカテゴリに分類されます。
その中でオキシペルチンは、
・大量摂取で陽性反応に
・少量摂取で陰性反応に
それぞれ効果があることが認められており、同疾患の治療に広く期待が寄せられています。

処方可能な診療科目

精神科/神経内科/心療内科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:20mg11.9円/40mg22円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要です。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1972年1月(発売)

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

・ホーリット錠20mg【製薬会社:アルフレッサファーマ】
・ホーリット錠40mg【製薬会社:アルフレッサファーマ】
・ホーリット散10%【製薬会社:アルフレッサファーマ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

オキシペルチンは、主に統合失調症の治療に効果的な物質です。
統合失調症は考えや気持ちがまとまらない状態が継続する精神疾患で、かつては精神分裂病という呼称がありました。
現在、思春期から40歳くらいまでの年齢層を中心に約100人に1人が罹るといわれており、決して珍しい疾患ではありません。
同疾患発症の原因は未だ明確にはなっておらず、遺伝子や大きなストレスなど様々な要因が関与しているとの見解がありますが、その要因の一つとして、脳内で情報を伝える神経伝達物質「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「セロトニン」のバランスの乱れがあるとされています。
上記3つの物質は「三大神経伝達物質」と呼ばれ、人の感情や精神状態、睡眠、記憶などの機能に関わっています。
具体的には
・ドーパミンは快楽や意欲
・ノルアドレナリンは生命の危機や怒り(精神の興奮)
・セロトニンはドーパミンとノルアドレナリンのコントロール
に深く関与しています。
統合失調症の症状は「陽性症状(妄想や幻覚)」「陰性症状(無為、感情鈍麻)」「認知機能障害(記憶力、集中力、判断力の低下)」と大きく3種類に分けられます。
このうちオキシペルチンが大きな改善効果を示すのは前半2つで、それらは
・陽性症状はドーパミンが過剰になること
・陰性症状はドーパミンやセロトニン分泌が減少、不足すること
がそれぞれ原因とされています。
さて本成分オキシペルチンは、セロトニンと類似した「インドールアルキル体」に、ノルアドレナリンを抑制する作用を有する「フェニルピペラジン側鎖」を化学的に合成して開発されました。
セロトニンはセロトニン受容体と結合することで初めて活性化するのですが、インドールアルキル体のようにセロトニンに類似した物質があると、その物質もセロトニン受容体と結合するため活性化するセロトニンの量が減少します。
以上より、オキシペルチンには精神の興奮に関わるノルアドレナリンの作用を抑制し、また活性化したセロトニンの量を抑える作用があり、またセロトニンの量が減少することで結果的にドーパミンの量も調整されるので、その摂取により統合失調症の諸症状を改善する効果が得られるのです。

使用方法

・通常、成人はオキシペルチンとして1回20mgを1日2~3回
・漸次増量して、オキシペルチンとして1回40~80mgを1日2~3回
・状況に応じて、オキシペルチンとして1回100mgを1日3回
服用します。
年齢や症状によって適宜増減する必要がありますので、医師の指示に従って下さい。

副作用

主な副作用
錐体外路症状 、 手指振戦 、 アカシジア 、 不眠 、 筋強剛 、 便秘 、 起立性低血圧 、 血圧降下 、 血圧上昇 、 心悸亢進 、 白血球数異常

重大な副作用
Syndromemalin、悪性症候群、無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗、発熱、白血球増加、血清CK上昇、ミオグロビン尿、腎機能低下、高熱が持続、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害、麻痺性イレウス、腸管麻痺、食欲不振、悪心、嘔吐、著しい便秘、腹部膨満、腹部弛緩、腸内容物うっ滞、無顆粒球症、白血球減少、肺塞栓症、深部静脈血栓症、静脈血栓症、血栓塞栓症、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫

その他の副作用
AST上昇 、 ALT上昇 、 肝機能検査値異常 、 眼球挙上 、 不安 、 焦燥 、 下痢 、 過敏症 、 発疹 、 眠気 、 鼻閉 、 倦怠感 、 めまい 、 流涎 、 口渇

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■オキシペルチンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ホーリットはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ホーリットの有効成分
オキシペルチン
▼ホーリットの添加物
・乳糖水和物
・トウモロコシデンプン
・カルメロースカルシウム
・ポリビニルアルコール(部分けん化物)
・ステアリン酸マグネシウム
・ヒドロキシプロピルセルロース
・タルク
・白糖
・沈降炭酸カルシウム
・グリセリン脂肪酸エステル
・カルナウバロウ
・黄色5号(ホーリット40mgのみ)

■低血圧の方
一過性の血圧降下があらわれることがあります。

■血液障害のある方
症状が悪化するおそれがあります。

■脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある方
Syndrome malin(悪性症候群) が起こるおそれがあります。

■不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等にある方
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されています。

■肝機能障害をお持ちの方
症状が悪化するおそれがあります。

■妊婦又は妊娠している可能性のある女性
ラットを用いた動物実験において、流産、胎児死亡等の胎児毒性が認められている他、妊娠後期の抗精神病薬服用で、新生児に哺乳障害、振戦、呼吸障害、傾眠、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれた、との報告があります。

使用に注意が必要な方
■授乳婦
投与中及び投与後一定期間は授乳しないことが望ましいです。

■高齢者
一般的に生理機能が低下しているので、少量から服用を開始するなどの配慮が必要です。

上記にあてはまる方は、オキシペルチンを使用する事が出来ない可能性があります。
オキシペルチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■モノアミン酸化酵素阻害薬
相互に作用を増強し、中枢神経系の興奮及び心悸亢進、血圧上昇などの副作用が発現するおそれがあります。

上記を使用している方は、オキシペルチンを使用する事が出来ない可能性があります。
オキシペルチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
即効性はありますか?

即効性は、人によって大きく2パターンに分かれます。
統合失調症患者6名を対象とした臨床試験では、オキシペルチン50mg、60mg、70mgをそれぞれ投与したところ、血清中濃度が投与後30分以内に最高になる群と、投与後4時間目まで徐々に上昇していく群に分かれたこと、また投与後4時間目には両群とも血清中濃度がほぼ同じになったことが報告されています。

有用性はどの程度ですか?

国内17施設で統合失調症患者230名を対象に行われた臨床試験では、「著名改善」「中等度改善」が全体の25%(57例)、「軽度改善」を含めると合計で58%(134例)に改善傾向が見られたとの結果が出ています。
なお改善した症状は主に自発性減退、感情鈍麻等の情動表出障害で、対人接触、疎通性、感情表出が高まった、とのことです。
同結果、また別で実施された臨床試験での結果から、本成分の統合失調症に対する有用性が認められています。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。